異世界食堂 二軒目!   作:電動ガン

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申し訳ありませんティアナの一人称が違いました。原作を読んでいましたがミスです。ここはそういうもので通してください。

・一応ファンタジーです。
・剣も魔法も存在しますが、あまり活躍しません。
・店主は普通のあんちゃんです。料理以外はできません。
・訪れる客は毎回変わります。ただし常連客もいます。
・お召し上がりになれないものは遠慮無く申し付けください。

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甘酢はんぺん焼き定食

東大陸の未だロクに人の手が入っていない原野に常花の国、あるいは花の国と自らを称する小さな国がある。その国の国土は原野にぽかりと浮かぶ冬が長く夏が短いその地域の中にあって唯一春の暖かさが年中続く一面の花畑。そんな場所である。その花の国の女王、ティアナ=シルバリオ16世は逡巡する。何故かと言えば7日に1度楽しんでいたねこやの扉の他にもうひとつ出てきたからである。王宮の広場に現れたねこやの扉とは違い、王宮の裏にひっそりと現れた扉はすぐに異世界食堂だと、フェアリー達は気付いた。しかし話を聞いていなかった国民達に対しヴィクトリアから話を聞いていたティアナははたはた困っていた。国民は行きたがっている。だがこの国には、人間の飯屋に支払える金が無いからだ。

 

「(花の種や蜜などを持っていっても魔法に通づる者でなければ困るだけであろう。異世界食堂の店主は想定通りならば魔術には通じてない。金の代わりに渡しても換金に困る。故に支払いが出来ない。すなわち異世界食堂で物は食えない。)」

 

この事実をいつ国民に言うか決めあぐねているうちに国民の盛り上がりは最高潮に達し頭を抱えていた。

 

「(どうする。ヴィクトリア殿も通っているからねこやの時の様にヴィクトリア殿に花の種を渡して立て替えてもらうか?しかしこの花の国の女王としてそんな恥知らずの真似は出来ない。かと言って何かもうひとつの異世界食堂の店主にいつまでも集るのはもっと恥知らずだ。何も手が浮かばん。どうする?)」

 

「陛下、どうします。国民は自主的に二つ目の異世界食堂に行く民を選民しております。このまま待たせていると・・・・・・」

 

「わかっている・・・・・・だが貴様も支払いが出来ぬのに店に行けと?」

 

「またヴィクトリア様に・・・・・・」

 

「その恥知らずの頼みを余にしろと?」

 

「し、失礼しました・・・・・・」

 

「はぁ・・・・・・それに聞いてる話ではもうひとつの異世界食堂では甘味は無いそうだぞ。」

 

「そうなのですか?」

 

「ヴィクトリア殿に聞いたのだ。間違いない。」

 

「うむむ・・・・・・」

 

「仕方なし。国民に伝えよ。この異世界食堂には甘味は無いと。」

 

「はっ。」

 

仕方ないのだ。甘味が無いと伝えれば国民も諦めるだろう。そう考えた。だがその考えが甘かった。

 

「へ、陛下!!!国民が王宮に押し寄せています!!!」

 

「な、何故だ!!!甘味は無いと伝えたのではないか!?!?」

 

「し、しかし、国民は美味い飯があるなら、と・・・・・・」

 

「正気か・・・・・・!?!?」

 

甘味では無いなら諦めると思ったがそうは問屋が卸さなかった。花の国の国民達はねこやで舌が肥えて飯もうまい筈だと押しかけてきたのだ。これにはティアナ=シルバリオも息を飲んだ。連れていかねば、花の国で初めてクーデターが起こると。

 

「わかった・・・・・・余が行く。」

 

「陛下!?」

 

「余の対応が悪かったのだ。国民には誠実に行けぬと伝えねばなるまい。」

 

「陛下!!!ご報告が!!!」

 

「どうした!!!」

 

「国民がトレントを持ち出し王宮の門を突破しました!!!」

 

「なんだと!!??」

 

「恐らく狙いは王宮裏の異世界食堂の門かと・・・・・・!!」

 

「そこ以外何処にある!!!全力で止めよ!!!!全軍出ろ!!!!」

 

「はっ!!!」

 

マズイことになった。こんなに国民が暴走する事になるとは思わなかった。食べ物ごとき・・・・・・いや自分もその食べ物に絆されていたのだった。まぁ考えるのは後だ。今は国民を止めなければ。

 

「・・・・・・大変な時に、王になってしまった。」

 

ティアナはちょっぴり王になった事を後悔した。

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

国民の暴走を鎮め、ティアナはもうひとつの異世界食堂の扉の前に立った。争いの原因になるこの扉はすぐにでも排除したいが一介のフェアリー程度には傷を付ける事も出来ない。ため息を吐き、座らせ整列している国民に語りかけた。

 

「お前達、わかっているか?店では金を払わないと物はもらえない。そしてこの国に金は無い。ねこやでは盟約がある故享受出来るもののこちらではそれが出来ないというのを何故わからぬ。」

 

しかし国民達も黙っていなかった。金鉱石や宝石の原石を持ち出してこれで飯を出してもらえると言った。だがティアナは一蹴した。

 

「人間の店で金以外で払うのは迷惑だ。貴様達の責任は余の責任。お前達はフェアリーの代表である余を迷惑な客に仕立て上げ恥をかかせたいのか?」

 

これには国民も黙った。王に恥をかかせたらいくらフェアリーでも極刑である。

 

「・・・・・・だが、手は尽くそう。まずはこの店の店主に詫び、どうにかする方法が無いか聞いてみる。こちらの店に国民を率いて行くのはその後だ。」

 

そうして国民は納得した。王はやはり民の心を理解しておられると言った。ティアナは暴れておいて都合の良い事をと。叱っておいた。

 

「近衛隊。準備せよ。扉に突入する。」

 

「はっ!!!」

 

こうしてティアナの一団は定食屋ふたばの扉に突入したのだった。

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

「らっしゃっっせせせっしやい!!!」

 

「いらっしゃいませー!!!」

 

「いらっしゃいませ!!!」

 

「・・・・・・いらっしゃいませ。」

 

ティアナは視線を巡らせる。ねこやの様に助力を乞える人物がいないか探すためだ。

 

「お客さんどうしました?」

 

「!」

 

だが先に店主らしき男に話しかけられてしまう。ティアナは一度考えたあと好都合だと振り返った。

 

「店主と見受ける。余は花の国の女王、ティアナ=シルバリオ16世である。」

 

「おお!王様!これはこれは。こんな場末の飯屋にきてくださり感謝致します。」

 

少々言い回しは独特だが敬意を払ってくれているのがわかる。それを感じたティアナは少し、表情を緩めるのであった。

 

「して、だ。一応余達はねこやで異世界経験がある。なのだが・・・・・・」

 

「なんでしょ。もしかしてうちの飯じゃ量が多すぎる感じですか?」

 

「い、いや、実は、だな・・・・・・」

 

ティアナは心苦しく思いながら口を開く。普通ならば聞いてくれる訳がない。

 

「実は、金が無いのだ・・・・・・」

 

「そうなんですかい?うちは初めての人はタダなんで食えますよ。」

 

「い、いや、そうではなく・・・・・・次の金の当ても無いのだ・・・・・・」

 

「あーなるほど。つまり人間の街から遠くて金が手に入らないって事なんですね。」

 

「う、うむ・・・・・・」

 

「うーん。すると、どうしたものか・・・・・・」

 

「店主。」

 

「ん?」

 

話しかけてきたのはいつぞやのピンクの花満開のドリアード、ピアテムちゃんだった。

 

「ピアテムちゃんどした?」

 

「そのフェアリーの金の話、我が引き受けても良い。」

 

「え?」

 

「よ、良いのか?」

 

「良い。フェアリーの女王よ。ただし条件がある。」

 

「なんだ。なんでも申せ。」

 

「フェアリーの国、花の国では国を守護する為に樹木のゴーレムを使ってるそうだな。それが欲しい。」

 

「構わないが、何故守護者を?」

 

「我々の花畑に時折人間の襲撃者が来る様になったのだ。この人間を撃退する為だ。我々の花畑には5匹しか我々がいない。人間は大勢で来る。もっと戦力が必要だ。」

 

「わかった・・・・・・とりあえず今あるだけ渡そう。」

 

「感謝する。またしばらくしたら持ってきて欲しい。この取引が続くなら。フェアリー達の餌の金を出そう。」

 

「ありがとう、花の友よ。」

 

「良いのだ。所詮魔物の我々に手を貸してくれるだけありがたい。」

 

ティアナは幸運だった。ねこやと同じく協力してくれる者が出てくるとは・・・・・・魔物と取引した事については目を瞑ろうと思った。

 

「では店主・・・・・・次の問題だ。」

 

「なんでしょ。」

 

「余が食せる料理があるかだ。」

 

「ねこやではどんな物を食べてました?」

 

「チョコクレープだ。」

 

「なるほど・・・・・・他には何食べました?」

 

「クレープは数種類食したが・・・・・・他は食べれそうになく。」

 

「食べれそうに無いと言うのは?」

 

「余達フェアリーはこの通り、小さい。食べ物を嚙み切れないのだ。」

 

「あーそういう・・・・・・」

 

「なのだが・・・・・・ここは甘味のように甘く柔らかいものは無いとも聞いている。大丈夫だろうか・・・・・・」

 

「良い物がありますよ!!」

 

「なに?」

 

「うちでは年老いてて噛む力や飲み込む力が弱くなっても食える定食がありまして。それならフェアリーさん達も食えると思いますよ。」

 

「それは、どのような料理だ?」

 

「甘酢はんぺん焼き定食です!!」

 

「あまず、はんぺん?」

 

「はい。はんぺんっていう魚のすり身をやわらかーくした物を焼いて、甘酢っていう甘酸っぱいソースを掛けたものですよ。あとご飯と味噌汁。」

 

「・・・・・・わかった。まずは食べてみよう。店主頼めるか?」

 

「はいよぉ!!!甘酢はんぺん焼き定食ひとつーーーー!!!」

 

ティアナは想像も出来ない料理だったが、想像が出来なかったのはねこやでも一緒だったなと思い出した。そして座敷に一団が案内され、水を出されて待つ。

 

「お待ちぃ!!!」

 

「ほうこれが。」

 

甘酢と呼ばれたソースの香りと芳ばしい焼いたはんぺんの香り。ティアナは感心した。甘い蜜でなくとも、ねこやのクレープでなくても、これだけフェアリー達の気を引ける料理があるとは思わなかった。

 

「すまない店主、細かく切り分けてはもらえないだろうか。」

 

「はいよ。」

 

店主に切り分けてもらい近衛兵を整列させる。そして・・・・・・

 

「陛下?」

 

「陛下何を?」

 

「毒味は必要無いと思うが?」

 

近衛兵達は溜め息を漏らした。ねこやで経験しているから良いものの一番上の王が民の為に毒味をするなど前代未聞ではある・・・・・・が、魔法で一番の毒耐性を誇っている女王がするのは苦しくも理にかなっていた。

 

「あむ・・・・・・」

 

「ど、どうですか陛下。」

 

「陛下!」

 

「うむ。待て、もうひとつ・・・・・・」

 

「陛下?」

 

「え?陛下?」

 

「・・・・・・うむ!食べてよし!!」

 

女王の号令とともに近衛兵達も槍を捨てて料理に飛びつく、はんぺんを食う者、コメと呼ばれた白い料理も、味噌汁と呼ばれたスープも。どれも素晴らしく美味であった。が・・・・・・

 

「コメと一緒に食いたい!」

 

「味噌汁ちょっとちょうだい!!」

 

「甘酢いっぱい取らないで!!!」

 

「うわぁべとべと!!」

 

ティアナは呆れた。甘味以外の味を覚えたフェアリーは、なにかと乱暴であった。

 

「(大丈夫なのかこれは。)」

 

ティアナはほとほと困り果てた。ねこやとふたばによる変革。それは、花の国に良き変化なのかまだわからない・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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