・剣も魔法も存在しますが、あまり活躍しません。
・店主は普通のあんちゃんです。料理以外はできません。
・訪れる客は毎回変わります。ただし常連客もいます。
・お肉はふたばの隣の通りの肉の吉川でお求めください。
Twitterやってます。Twitterアカウント→http://twitter.com/dendogun
「らしゃっしゃせっせい!!!!」
「いらっしゃ・・・!?」
「いらっしゃいませ〜・・・・・・」
「・・・・・・いらっしゃいませ。」
今日の昼営業の最後くらいに現れた客。それを見たアーロイちゃんとミミちゃんはちょっと嫌そうな顔をしていた。お客さんにそんな顔するなと言っておいたが、まぁこのお客さんは若い2人には仕方がないかなとも思った。
「ほひ・・・・・・ほひ♡」
「マーケル様。こちらの席に・・・・・・」
「小さい椅子だな〜」
「マーケル様、店構えからいつもの様な店ではないと進言致しましたと思いますが。」
「そうだった。ほひ♡」
現れた客はでっぷりと太っていて宝石をじゃらじゃら付けていてつるつるの頭の、如何にも悪徳貴族ですよ。という客が執事らしき人を連れて現れたのだった。残っていた他の客も何か身構えている。
「お、お客様、この店の、ことを、説明させていただきます。」
「ほひ。頼むぞ。」
「ありがとうございます。」
「定食屋ふたばは・・・・・・」
ミミちゃんが涙を堪えて説明をしている。まぁ気にはなるが俺はいつも見た目で差別するなと言ってあるので。
「い、いじょうです。」
「ほひ♡ありがとう♡」
「ひぃ。」
「マーケル様如何致しましょう。」
「ほひ♡初回はタダというのは頂けん。店主を呼んでくれるか?」
「は、はい!!」
ミミちゃんが涙目で呼びにきたので行く。何を言う気なんだ。
「店主です。来店ありがとうございます。何用でしょうか。」
「ほひ。店主、この店は初回はタダだそうだな。」
「はい。うちは異世界食堂ですので初回の客が金を持っているとは限りませんのでこのルールに。」
「ほひ!!私はマーケル=ベンデンブルク男爵だ。貴族なのだ。」
「左様ですか。」
「貴族は特別だ。責務がたくさん付き纏う。」
「はぁ。」
「故にだ。ほひ。貴族は金を出す責務がある。店のルールだからと言って損をさせるのは貴族の名誉に傷が付く。」
「え?」
「店主、貴様は貴族に恥をかかせるような事はしないだろう?ほひ。ならば私にしっかりと金を払わせろ。いいな?」
「は、はぁ。畏まりました。」
なんかこの人思ってるよりしっかりしてないか?ちゃんと異世界だってことも飲み込んでルールを理解していてその上で金を払うって言ってるぞ。
「それではメニューを・・・・・・」
「いらん。店主。ほひ。店主、食べたいものがあれば近いものを作ってくれるんだな?」
「え、あ、そうです、が。」
「ほひ。ならばこの店で一番高い肉料理を食わせろ。こやつにも一緒にな。」
「マーケル様、よろしいのですか?」
「良い、ゲルン。ここは王都の様に他の目があるわけでは無い。ほひ。久しぶりに共に食おう。」
「有難き幸せ。」
「すると、うちは霜降りサーロイン定食になってしまいますが良いですか?」
「しもふりさーろいんとはなんだ?ほひ。」
「牛の肉の脂の乗った良いとこのステーキです。」
「貴様!!牛の肉だと!?」
「え?すみません。」
「マーケル様によりにもよって牛の肉を食わせるだと!?貴様、貴族に対して・・・・・・」
「ほひ。よせゲルン。」
「しかしマーケル様!!!」
「ここは異世界だ。ほひ。すなわち私達の世界とは肉も違うということ。ほひほひ。すると牛の肉も違うのかもしれん。店主、その牛の肉は私達の世界とはどう違う?」
「えっとですね。そちらでは牛は農具にしていると聞いてるんですが、うちでは牛を食べる為に育ててるんです。その肉の更に一等良いとこを仕入れてるんですよ。」
「ほひ!!!聞いたかゲルン!!!牛を食べる為に育てているんだぞ!!!きっと美味い!!!」
「店主、不味かったら覚悟しておけ。」
「よせゲルン。」
「お作りしてもよろしいでしょうか。」
「ほひひ!!頼む。」
このお客さん思ったよりずっとマトモそうだと感じて鉄板を温める。うちの霜降りサーロインは厚切りで食べ応えがある。ただメニューには牛の肉って書いてあるからなかなか出ないんだよな。仕入れも4キロくらいしか入れられないし。いつも余らせてアーロイちゃんとミミちゃんの腹に入る。
「お待たせしました!!!厚切り霜降りサーロイン定食です!!!」
「ほひひひ!!!」
「これが・・・・・・」
「ソースは自分で好きな量に調整しておかけくださいね!」
「うむ。ほひ。感謝するぞ給仕よ。」
「これが、牛の肉・・・・・・」
「ほひ!ゲルン食べるぞ。」
「・・・・・・はい。」
まずマーケルって人が食うみたいだ。ゲルンって人はまだ抵抗があるらしい。
「ほひひひーーーーーーーーーー!!!!!!美味い!!!!!」
「マーケル様!?」
「ご飯とも合いますのでご飯も一緒にどうぞ。」
「ごはんとはこの白いのだな?ほひ!どれどれ。」
パクリとご飯を頬張り、肉を追加でパクリ。するとマーケルさんは立ち上がり両手を突き上げるのであった。
「素晴らしい・・・・・・!!!!」
「・・・・・・では私めも。」
ゲルンさんもパクり。すると目を輝かせた。
「こ、これが、牛の肉!?甘くて、濃厚で、濃い旨みが!?はぐっ!!」
「ほひひひひ!!!美味いかゲルン!!!庭にこの扉が現れた時は何事かと思ったが良い場所だったな!!!」
「は、はい!!!マーケル様!!!」
こうして2人は仕入れてあった4キロを2人で全て食べた。アーロイちゃん達が残念そうにみていたけどそれ本当はお客さんに出すものだからな?君たちのご飯じゃないからな?
「ほひーーーーー・・・・・・店主。大変美味かった。」
「ありがとうごぜーます。」
「ほひ。店主。給仕をした2人を呼んでくれ。」
「はぁ。」
客が呼んでいると2人に伝えたらぎょっとしている。半泣きで行ったので様子を見ていたらマーケルさんは2人に銀貨を2枚ずつ手渡すのであった。
「あ、あの・・・・・・」
「え、なんで銀貨・・・・・・?」
「ほひひひひひ!!!私の住む場所ではレストランなどの給仕に支払いとは別に小遣いを渡すのだ。次もよろしく頼むという意味合いでな。」
「へー・・・・・・」
「あ、ありがとうございます!!」
「ほひっひっひひひぃ。ではな店主、勘定をここに置いて行く。また来るでな。ゲルンと一緒に。」
「店主様、先程の御無礼、陳謝致します。」
「いいんですよ。またきてくださいね。」
2人は帰っていった。しかし小遣いか。アーロイちゃん達には給料の代わりに飯を食わせてやっているが給料渡した方がいいかな。
「きゅ、給料はいりません!!!もらい過ぎです!!!」
「です!!!」
「でも生活費とか・・・・・・」
「大丈夫です!!間に合ってます!!!」
「ます!!!」
「そう・・・・・・?」
それならいいが。必要なら言ってくれとも言っておいた。そして人を見た目で判断するなとも注意を。マーケルさん良い人だったじゃねーかよ。