・剣も魔法も存在しますが、あまり活躍しません。
・店主は普通のあんちゃんです。料理以外はできません。
・訪れる客は毎回変わります。ただし常連客もいます。
・食べられない物は事前にご申告ください。
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ある日・・・というか、あおさんが来るようになってから。明らかに客が増えた。あおさんが来るまでは4人が多かったのに今では1日で30人ほどが来るようになり食材を余らせる事がなくなった。これは嬉しいが。扉が増えたらもっと客が増えるということなので水曜日は仕込みを増やさなきゃならないと覚悟を決めていた。
「いらしゃイィ!!!」
そんななか。客が来た。5人。なんか女子高生みたいで、雰囲気が・・・・・・なんというかファルダニアちゃんに似てる。が、耳は長くない。
「メニューは読めないですよね。食べたい物を言ってください。近いものを作りますんで。」
「・・・。」
「あの・・・。」
「・・・。」
「水・・・・・・どうぞ・・・・・・」
5人分の水を出すと5人揃って水のコップに指を突っ込んでいる。異世界特有の仕草か?わからん。だがそうこうしてると次の客がはいってくる。
「いらっしゃいィ!!!」
⏰
あれから30分経った。昼時を過ぎて客が減り始めたにも関わらず、さっきの推定異世界女子高生軍団は水に指を突っ込んだまま何もしゃべってない。時折顔の向きを変えているが何かコミュニケーションをとっているようには見えない。なんなんだこの子達。
「あの・・・・・・」
「・・・。」
「ご注文は・・・・・・?」
「・・・。」
「何か、わからない事が?」
「・・・。」
何も喋らない。どうしたらいいか困っていたが急に異世界女子高生軍団の1人の頭にポン!とピンク色の花が咲いた。え!?
「!?!?!?」
「あ・・・・・・あー・・・・・・あああー!」
「あの・・・・・・?」
「すまない。人間や他の生物は、声を出してコミュニケーションを取ることを失念していた。皆、声を出せ。」
頭に花が咲いた子が急に喋り出した。そしてその子を皮切りにうあーとかうおーとか発声練習らしきものをしだしてみんな話し出した。
「お客さん・・・・・・大丈夫で・・・・・・?」
「我々はドリアード。花の魔物だ。」
「魔物・・・魔物!?」
「うむ。急に我らの花畑に扉が現れ、良い匂いを撒き散らし始めたのでな。極大魔法の気配を感じて観察していたが特に害は無いだろうと判断し。扉を開けたというわけだ。」
異世界には魔物がいるのか・・・・・・まぁでもうちに飯を食いにきたなら客だ。それはどんな種族だろうと変わらない。
「すまなかった。我々は念話で会話するものでな。どうりでいくら呼びかけても答えないわけだ。」
「ああ、いや。まぁ。こちらこそすいやせん。俺は魔法はからきしで。」
「だろうな。して、ここは何をする場所なのだ。この良い匂いはなんだ?」
「ああ・・・・・・ここはですね。」
簡単に定食屋の説明をする。5人はなんとなくわかったようなわかんないような顔をして口を開けている。そしてぽんぽんぽんと黄色だったり青だったり赤だったりの花が頭から咲き始めていた。
「すると。ここは金というものを渡して餌をもらう場所なのだな。」
「そうでっせ。」
「そうか。だが我々は金を持ってない。」
「あ、えと・・・・・・」
「だが美味い餌は食いたい。どうしたら良い?」
「そうですなぁ・・・」
これからこう言う事が増えそうだ。流石に金が無いのに飯を食うのはご法度だとわかってはいるようだが・・・まぁどちらにせよ異世界の連中はウマイウマイとしがない定食屋の飯をたくさん食ってくれる。儲けも他の日で儲かってはいるしちょっくらタダ飯を食わせても文句は言われねぇだろう。
「お客さん。今決めました。初めてうちに飯を食いに来たお客さんはタダで飯を食わせます。」
「タダ?とは?」
「お代を渡さなくても食い物を食って良いんです。」
「おお!!」
「ただし!次回も食いたければ!金を用意してくださいね。」
「わかった。次は金を用意してくる。約束する。」
「よし!それじゃ何食いたいですか。食べれないのありますか。」
「うむ我々はなんでも食う。だが肉はあまり食べない。草や木の実で美味い餌を食いたい。」
「じゃあ野菜だけでおまかせにしますね。」
「うむ。」
ならアレにしよう。野菜天丼。つゆを使う機会がなかったからここらで使おう。さっさとタラの芽、にんじん、ごぼう、玉ねぎ、大葉、ナスを衣を付け、油に投入。あげている間に5人分どんぶりにご飯をよそう。そして天ぷらが上がったら油を切り、ご飯に乗せて天つゆをたっぷりかける。
「野菜天丼お待ちィ!!!!」
ドリアード達は出てきた天丼に困惑していたがフォークの使い方を教え、天丼の食べ方を教えた。ピンクの花を一輪咲かせたドリアードがナスの天ぷらとご飯を口に運んだ次の瞬間だった。ポンポンポンポンポンと頭に無数の花が咲き、まるで満開の桜の様になったら目を輝かせて叫んだ。
「うまあああああぁぁぁぁーーーーーーーーーーーい!!!!!!!」
あまりの絶叫ぶりに他の客が振り向くがそのドリアードの様子を見た他の子たちは恐る恐る天ぷらとご飯を口に運ぶ。そして最初のドリアードと同じく頭に花を満開にして美味い美味いと叫ぶのだった。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「人間。世話になった。まさか人間の食べる餌がこれほどまでに美味いとは。」
「ああ、いや。まぁな。」
「次は金が必要なんだったな。必ず用意する。」
「おう。頼むぜ。」
結局、ドリアード5人集は野菜天丼を1人あたり5杯も食べ、最初はタダを存分に堪能したのだった。
「では、帰るぞ皆。」
「ありゃりゃしたー!!!」
俺は一仕事終えた気分で誰もいなくなった店内の掃除を始めるのであった。
「はぁ・・・」
「おや、サラさんどうしたんですか?」
「あ、マスター、えと・・・」
「はぁ・・・店主、聞いてくれる?」
「ええ。何があったんですか随分お疲れですけど。」
「ちょっとね・・・最近お宝探しに行ったところなんだけどえらいめにあったのよ。」
「へぇ・・・」
「押し売りドリアードっていうのがいてね。そいつらに花の蜜や木の実、薬草とかを渡されて金をふんだくられるっていう事件に巻き込まれちゃったのよ。」
「そういうのがいるんですねぇ。」
「困っちゃったわ・・・確かにドリアードの花の蜜や木の実っていうのはとても貴重で青天井の値段が着くけど、蔓で縛り上げられて買うまで離してくれないし、荷物パンパンになるまで売りつけられるし、有り金全部取られるし、もう散々!」
「あははは・・・・・・」
「サラさん、ドリアードって本来すごく怖い魔物なんですよ。命があっただけでも・・・」
「そうねアレッタ。犬に噛まれたくらいに思っとくのが吉ね!じゃあ店主!!今日もメンチカツ3皿!んー今日はライスで!!」
「はいよ!アレッタさん準備して。」
「はい!」