異世界食堂 二軒目!   作:電動ガン

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・一応ファンタジーです。
・剣も魔法も存在しますが、あまり活躍しません。
・店主は普通のあんちゃんです。料理以外はできません。
・訪れる客は毎回変わります。ただし常連客もいます。
・完全ベジタリアンメニューも少数ですがございます。

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お煮しめ定食

ある日の異世界営業日のこと。昼営業が過ぎて夜営業までの僅かな時間の休憩。珍しくファルダニアちゃんがアイスを齧りながらまた管を巻いていた。

 

「ってなわけで。どうしてもキノコで取るっていう出汁が取れないのよ。何がいけないのかしら。」

 

「あー多分水っすね。硬水とか軟水とかあるんすよ。」

 

「こーすい?なんすい?どういうこと?水質はなるべく良い物を選んだのだけれど・・・・・・」

 

「まぁなんというか・・・・・・水に属性があるんですよね。」

 

「水に・・・・・・属性・・・・・・?」

 

「ええ。やわらかい、硬い・・・・・・みたいに俺たちは呼んでるんだけど・・・・・・」

 

「やわらかい?・・・・・・かたい?」

 

「ええ。」

 

「水の研究もしなくてはならないの・・・・・・?ダシ奥が深過ぎるわね・・・・・・」

 

「そりゃあそうっすよ!俺の世界じゃ出汁を出すのに30年とか50年とか研究に努めて、それでも中途半端な出来で評価されるしかない状態ですからねぇ。多分エルフさんの寿命があっても完璧な出汁を出すのは難しいんじゃないですかねぇ。」

 

「そんなレベルなのね。そっちの料理人っていうのは・・・・・・ダシを作るだけじゃ仕事じゃない筈だし・・・・・・人間っておもしろいわね。」

 

「料理人の道ってのは長く過酷なんでさぁ。俺も一応はみんなに美味い美味いって言ってもらえてますけど料理人としては未熟も未熟ですからね。」

 

「店主でも・・・・・・なるほどね。」

 

ファルダニアちゃんにお茶を出しながら片付けをする。すると入口が開く音がした。

 

「らっしゃっしゃせせっせい!!!」

 

「いらっしゃいませ!!!」

 

「いらっしゃいませー!!!」

 

「・・・・・・いらっしゃいませ。」

 

入ってきたのはエルフさん、だが、なんというかファルダニアちゃんを煮詰めて煮詰めて更に煮詰めて濃くしたみたいな気配がある。ファルダニアちゃんはお茶を溢しながら固まっている。そして次の瞬間。

 

『ここは、何?』

 

「!?頭の中に・・・・・・!?」

 

「え?」

 

「?」

 

「・・・・・・?」

 

頭の中に声がする。どういうことだ。何が起きてる?

 

『どうした?答えてくれ。』

 

「え、えと。ここは、ですね。」

 

入ってきたエルフさんにいつもの説明をするがあまり理解をしてくれているかわからない。大丈夫か。

 

『して、店、とな?金を払い・・・・・・飯を、もらう?』

 

「そそ、そうです。お姉さんは初めてなんでお金はいいですよ。」

 

『そうか。かたじけない。』

 

そういってなんか雰囲気の違うエルフさんのお姉さんは席に座る。エルフだからベジタリアンメニューがいいよな。そんなことしてたらファルダニアちゃんが手招きして耳打ちしてきた。

 

「店主!!ちょっと大丈夫!?」

 

「え?何が?」

 

「あのエルフ、多分だけど、始祖よ!!」

 

「しそ?」

 

「そう始祖!!始祖エルフ(エルブラシル)って呼ばれる、万年生きてるって噂されてるの!実在するなんて思わなかったわ・・・・・・」

 

「その始祖さんって食べるものはエルフさんと一緒なので?」

 

「え・・・・・・わからないわ・・・・・・」

 

「そうなの・・・・・・?」

 

『人間?良いか?』

 

「あ、はーい!!」

 

頭の中の声慣れねーな。

 

「注文何にしやしょ。何か食べれない物はあります?」

 

『そうだな・・・・・・私は少量ならば肉や魚、乳や卵も食せる。』

 

「お、そうなんですかい。」

 

『うむ。だが菜や実が好ましい。何かそういうのはあるか?』

 

「ありますよ。そういうものにしますね。」

 

『頼む。それと、私はエマリリスという。この店の礼儀を知りたい。すまぬが、知らぬ故の無礼は許して欲しい。』

 

「ええ構いませんよ。おデジ。教えてやってくれ。」

 

「・・・・・・はい。」

 

俺は厨房に入る。味噌汁はちゃんとエルフさん用のが用意してあるので。おっけーあとは煮物定食用の煮物・・・だしをかつおだしでとってないのがあったはずだから温めてそれで。後はご飯をよそって。完了。

 

「お待ちィィ!!お煮しめ定食です!!!」

 

『これが、店の、飯、か。』

 

エマリリスさんは定食をジロジロと観察して匂いを嗅いでいる。大丈夫だったかな。

 

『うむ。これならば私も食せるな。感謝するぞ人間。』

 

「うす。おあがりよ!!」

 

エマリリスさんはフォークで多少もたついたが難なく食べている。表情が明るいので大丈夫かな、と思ったがおかずとご飯を少し食べただけで残し、味噌汁は手付かずだった。

 

「あの・・・・・・あんまり、お口に合いませんでしたか・・・・・・?」

 

『すまない人間・・・・・・大変、大変美味だった。この様な美味な物を食したのは数千年ぶりでな。』

 

「ええ!?1000年!?」

 

『そうなのだ、故に、この量の食事は、些か、多過ぎてな・・・・・・』

 

「あ、そうでしたか。」

 

『すまない、全て食したいところだが。腹が受け付けぬ。許して欲しい。』

 

「そう言う事でしたら大丈夫ですよ。気にしないでくだせぇ。」

 

そうしてエマリリスさんは帰っていった。流石に残されたのは悲しかったが数千年ぶりの食事なら仕方がないってわかる。

 

「・・・・・・。」

 

「ファルダニアちゃん。じろじろ見るのは失礼だからって今更だけど言うけどさ・・・・・・」

 

「店主、あなただって珍しい、それも1000年に1度現れるような動物が現れたら見るでしょ。」

 

「見るけど・・・・・・それは動物。エマリリスさんは人だよ。」

 

「それを言うのは無茶よ。あれは幻の珍獣よ。」

 

「珍獣て・・・・・・」

 

まぁほんと異世界の人はいろんな人が来るなって思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけなのよクリスティアン。」

 

「そんな事が。始祖エルフ、実在していたのか・・・・・・?セレナ様のようなエルフの賢者では?」

 

「いいえ。あれは間違いなく始祖エルフよ。セレナ様は私達と一緒で肉とかはだめでしょ。あの人は少し獣の匂いのする食事を食べてたもの。」

 

「むぅ。ではハーフエルフ?」

 

「ハーフエルフなら私だってわかるわよ。あれは絶対始祖エルフよ。」

 

「お待たせしましたー!!ナットウスパとナットウ定食です!!」

 

「まずは落ち着けファルダニア。食事を食べよう。」

 

「・・・・・・そうね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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