・剣も魔法も存在しますが、あまり活躍しません。
・店主は普通のあんちゃんです。料理以外はできません。
・訪れる客は毎回変わります。ただし常連客もいます。
・自分の食べられる量を注文しましょう。
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ある日の異世界営業日。俺は昼営業を終わらせ空いた時間に仕込み作業をしていた。一応昼営業は終わっているが客が来ないとは限らないので店の中はきちんとしておく。そんなこんなしていたら来客があった。
「らっしゃっしゃしゃっせい!!!」
「いらっしゃいませー!!」
「いらっしゃいませ!!」
「……いらっしゃいませ。」
「お~」
入ってきたのは薄い髪色をしたツインテールの女の子、なんだが……
「にゃんぱすー」
「おじょうちゃん?」
「おじさんここご飯屋さんなのん?なんで土管の中に?」
その子は日本の女児が着るような女児服を着ていて、宮内れんげと名乗ったのであった。
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「ふーんそれじゃいせかいのご飯屋さんなのん。」
「そうだよ。ほらこれ見て。」
れんげちゃんは店内を隈なく見渡しているが異世界用の分厚いメニューを渡され未知の言語を見たら目を輝かせていた。
「おおおお!!!!ほんとのいせかいなのん!!!じゃあいせかいの物が食べられる?」
「ああ、いやそうじゃなくて。異世界の人に、日本の料理を出してる店なんだよ。うちは。」
「じゃあいせかいなのにいせかいのものないのん?」
「そう。」
そう聞いたれんげちゃんはがっくりと肩を落とした。かわいそうだが間違えられても困る。
「そう……」
「まぁでもれんげちゃん。うちは初めての人はタダだから。何か食べてくかい?」
「うーん今日はまだ朝ご飯とあけびしか食べてないのん。食べたい。」
「はいよ!れんげちゃんは日本語読めるよね。壁のメニューから好きなの選んでね。」
「はーい。」
れんげちゃんがカウンターに座り壁のメニューを読みだしたあたりで厨房の鉄板に火を入れる。味噌汁も温めておかねば。ご飯は残りがあるし、追加はまだ炊き上がってない。
「決めたのん。」
「はいよぉ!!!なんにします?」
「デミたまハンバーグにするのん!!!コーラもつけてください。」
「はいよぉ!!!デミたまハンバーグぅ!!!」
その時だったおデジが何かに気づき入口を開けるとまたまた女の子達が倒れこんできた。
「きゃぁ!」
「うわああ」
「ぴぃぃ!!」
その子たちはやはり日本人の服装をしていて日本のどこかに繋がった……いや日本人にこんなカラフルな髪の子はいる筈ないのでパラレルワールドに繋がったんだとわかる。
「いたた……」
「ちょっとねーちゃん!!!」
「うう蛍……重い……」
「おじょうちゃん達大丈夫か?」
「ひえ!!」
「あああすみませんすみません!!」
「ぴいっ!」
慌てる子たちをなんとか宥め、説明をする。三人はおっきい子が一条蛍ちゃん。もう一人のおっきい子が越谷夏海ちゃん。小さい子が越谷小鞠ちゃんというそうだ。異世界だと言ったが信じられないようで。
「れんちょんが消えたからどこ行ったかと思えば……」
「すみませんでした……」
「本当にすみません。」
「謝ることはないよ。普通突然現れた扉なんて入らないもんな。」
「まぁ異世界感は無いけど。水道橋の下の水道管の中に扉があるのは普通じゃないよなぁ。」
「確かに不思議です。扉の裏側は何もなかったのに……」
「で、どうする?」
「まぁまぁれんげちゃんが飯まだだっていうなら君たちもまだじゃないか?食ってくかい?」
「え?いいの?」
「でも私達お金が……」
「ご飯屋さんで食べられるほど持ってない……」
「大丈夫大丈夫!!!うちは初めてはタダだから!!!」
「え?そうなの?やりぃ!!」
「ええ!?大丈夫なんですか?」
「怪しい……なんでですか?」
「うちは異世界を相手に営業してるからさ。初めてのお客さんがお金持ってないことが多いわけよ。でもうちの店に通うようになって欲しいから初めてはタダにして味を覚えてもらおうと思ってんのよね。」
「なるほど……」
「ウチはなんでもいいや。」
「ちゃんと理由があった。」
「店主……ハンバーグの解凍終わりました……」
「はいよ。じゃあお嬢ちゃん達も座って座って。あ、もし異世界っぽいもの見せてもらいたかったらさ、そこの給仕の二人に足見せてもらいなよ。」
「足?」
「なんで足?」
「どういうことなんでしょう……」
俺は厨房に戻るとどうやらアーロイちゃんかミミちゃんに足を見せてもらったのかきゃー!と歓声があがった。
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「はいよぉ!!デミたまハンバーグお待ちィ!!!コーラはこっちね。」
「おお!!来たのん!!」
俺はれんげちゃんにハンバーグを差し出し瓶コーラの蓋を開けてやる。れんげちゃんは自分で注ぎたいと瓶を手に取ってコップに注いだ。
「これがお店のハンバーグ……初めて見たのん……」
「おあがりよ。三人のはもうちょっと待ってくれ。」
はーいと返事が来て厨房に戻る。ここからでもカウンターの様子が見れる。れんげちゃんはハンバーグを大きく切り取り口いっぱいに頬張った。あつあつのハンバーグをそんなに口に頬張ったら自殺行為だがれんげちゃんはとにかく幸せそうだった。
「お待ちィ!!!蛍ちゃんの黒酢酢豚定食と夏海ちゃんの味噌チャーシュー麺と小鞠ちゃんのチキン南蛮定食ぅ!!!」
三人も食べ始めたのを見てホッと一息吐く。というか思った通りだ。新しい扉から来る客は子供が多くなってきた。ちゃんと食べさせしっかり帰すことに注視しないといけないな。あおさんに相談しよう。
「たまごがデミグラスソースと合わさってばつぐんにおいしいのん。おじさんコーラおかわり。」
「はいよぉ!!」
れんげちゃんはその小さな体からは思えないほどの勢いで食べている。一生懸命ハンバーグを切り分け、同時に切り分けたたまごと一緒に口へ。それだけで表情がとろけているので作った甲斐があるというもの。蛍ちゃん達も必死に食べているので安心して良さそうだ。
「はぐ、はぐ、もぐ、ぷひぃーごちそうさまなのん。」
「れんちょんもう食べ終わったの。」
「ウチの方が来たの早かったのー」
「すごくおいしいです!」
「母さんが作ったのより美味しい……これがお店の味……」
「四人とも。うちは毎週水曜日に扉が現れるからね。それ以外の日に来てもないからね。あと次回からはお代をちゃんともらうからね。」
「わかったのん!!ねぇねぇにお金もらってくるのん!!」
「いやーこれはリピートしたくなるわー」
「また来ますね!お母さんも連れてこようかな……」
「これがお店の味……お店の、味……」
そしてれんげちゃん達が席を立ち、帰ろうとしたその時だった。
「きゃ!」
「む。失礼。」
頭に花を満開にしたドリアードの集団と。
「店主、悪いね。集落の別のエルフを連れてきたよ。」
見るからにエキゾチック風な服装のエルフと。
「こ、ここ!こんにちは!」
ドラゴン人間の状態のリーシャルちゃんが入ってきた。
れんげちゃんは目を輝かせ、他の三人は目を見開いて驚いている。
「おおおおー!!!いせかいの人なのん!!!」
「すっげー……ほんとに異世界なんだ……」
「すごい……!!!小説の中の人みたいなのが……!!!」
「ぴぃぃぃ……!!」
こうしてれんげちゃん達は帰っていった。
「ねぇねぇ!!すごいのん!!ウチ今日いせかいでハンバーグ食べたのん!!!」
「はいよーお昼帰ってこないから心配したぞー」
「こんどはねぇねぇも行くのん!!!!いせかいしょくどう行くのん!!!」
「はいはい。水曜日休みの日はなかなか無いよー。」
「一日中やってるって言ってたのん!!!晩御飯食べに行くのん!!!」
「はいはい。今日のご飯は焼き魚だよー」
「ねぇねぇ!!!行くのん!!!」
「はいはい。夜は危ないから出歩かないよー」
「ねぇねぇ!!!」
「はいよー」