・剣も魔法も存在しますが、あまり活躍しません。
・店主は普通のあんちゃんです。料理以外はできません。
・訪れる客は毎回変わります。ただし常連客もいます。
・新メニューは是非ご賞味ください。
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ある日、俺は新メニューを完成させた。
「・・・・・・よし!!!」
店内にヴィクトリアさんに作ってもらったサマナーク語の貼り紙とファルダニアちゃんに作ってもらったエルフ語の貼り紙をデカデカと並べた。このメニューは俺が料理人として初めて作ったオリジナルメニューだ。気合いの入りようが違う。
「・・・・・・食ってもらえるかなぁ。」
急に不安になった。だがやるしかねぇんだ。始めた、始まった。このメニューのために厨房も改築したのだ。売れて欲しい。
「まぁやるかぁ!!!」
「おはようございまーす!」
「おはようございます!」
「おう!アーロイちゃん!ミミちゃん!おはよう!おデジ起こしてきてくんねーか?」
「はーい!」
「おデジさん寝ぼすけね〜」
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・
そして異世界営業開始。だが新メニューは出ない。メイン客層のエルフさんの皆さんが来てないからだ。エルフさんの特徴として仲間の食ってるものは釣られて食う特徴があるので一回出れば連鎖的に出るはずなんだが・・・・・・
「らっしゃっしゃしゅせい!!!」
「いらっしゃいませー!」
「いらっしゃいませ!」
「・・・・・・いらっしゃいませ。」
「来たよ店主。いつもより腹減ってるやつ多いからザシキ二つ使わせとくれ!」
来た。メインターゲットのアルファロさん達だ。きっと気に入ってくれるはず。
「アルファロさんいらっしゃい!エルフさん向けの新メニューがあるんすけどどうすか?」
「新メニューだって?」
「はい!!ちゃんとなまぐさは除いてますのでご安心を。野菜餃子とも合うので一緒に頼んでも美味しいですよ。」
「そうかい。おまえ達!!!新メニューだってよ!!!食うかい!?!?」
やってきたエルフ全員が食べるー!と元気よく返事をした。よし!!!1、2、3、・・・・・・13人!!いっちょやるか!!!
「あれか。新メニューってエルフミソラーメン?」
「ミソってあれだよな。ミソシルのやつ。」
「でもラーメンってこないだ食ってるやつみたけどすごい獣臭だったぞ。」
「大丈夫かな・・・・・・」
「おまえ達、心配することないよ。ここの店主が無理矢理肉食わせる人間に見えるかい?まぁあの獣臭いラーメンをエルフに食わせるのは少し驚いたが・・・・・・」
「長老が言うならそうか・・・・・・」
「まぁ確かにここの店主はそんなことしないよな。」
「ラーメンかぁ・・・・・・」
エルフさん達がやいやい騒がしくなってきたな。俺の方も出来た。
「お待ちぃぃぁ!!!エルフ味噌ラーメンと野菜餃子です!!!」
アーロイちゃんに手伝ってもらって並べて行く。だが得られた反応は驚愕と恐怖だった。
「ちょいと待ち!!!店主!!!!」
「え?なんでしょ。」
「なんだいこれは!?」
アルファロさんが指さした物。それはデカデカと乗ったチャーシューであった。
「店主!あたし達は肉を食えないってわかってるのに肉を出すのかい!?!?」
「ま、待ってください!!!!落ち着いてください!!!」
「よくも裏切ってくれたね・・・・・・!!!」
「は、話を・・・・・・」
「あーーーーっ!!!」
急に大声がしたのでアルファロさんが振り向く。そこには箸を器用に使いチャーシューを貪る一人のエルフが。
「おまえ!!!何やってるんだい!?!?」
「長老!これ肉じゃありません!!」
「・・・・・・え?」
「めっちゃうまい!これやさいギョーザと同じ豆のやつですよ!」
「・・・・・・そうなのかい?」
そう言ってアルファロさんはチャーシュー・・・・・・俺特製のソイチャーシューを箸でつまんで頬張った。
「な、なんだいこれは・・・・・・見た目は完全に肉なのに、豆とショーユと何か調味料の味がする・・・・・・」
「へへんすごいでしょアルファロさん。肉の見た目にしたのは失敗だったのかもなので次からは別なのにしますけど、俺が丹精込めて作った大豆肉ですよ!!!!」
「だいず・・・・・・にく・・・・・・?」
「ええ。大豆って豆には肉と同じ栄養があって肉を食わずともよい野菜なんですよ。」
「・・・・・・店主の世界には驚かされてばっかりだよ。大きな声だして悪かったね。」
「いえ、こちらの落ち度です。エルフさんの肉の拒否感を見誤ってました。」
「それでもだよ。」
「ちなみにこの大豆肉、ソイミートっていうんですけど野菜餃子にも入ってますよ。」
「どうりで。」
「ささ、冷めないうちに召し上がってくださいな。」
「そうさせてもらうよ。」
周りのエルフさんはもうすでにエルフ味噌ラーメンを啜って餃子にパクついている。これはチャーハンとかも作ればウケるかな。
「おお!!美味いじゃないか!!!野菜と油で精が付きそうだ。」
「良かったらおかわりもありますからね。」
はーい!!!!と元気な返事がいくつも返ってきて。食べられて良かったと一安心する。さてガンガン回して行こう。
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「いらっしゃいファルダニアちゃん。アリスちゃん。」
「ええ、久しぶり店主。」
「店主さんこんばんわー!」
夜の遅めの晩ご飯の時間にファルダニアちゃん達はやってきた。
「それで、店主。あれなに?エルフミソラーメン始めましたって書いてあるけど。」
「読んだとおりですよ。俺の初めての創作料理でさぁ。」
「ふーん。エルフって付いてるんだからエルフが食べられるのよね。今日は山菜そばにしようと思ったけどエルフミソラーメンにするわね。アリスも良い?」
「うん!」
「まいど!そうそう野菜餃子も付け合わせると美味いですよ。」
「商売が上手ね。それじゃあやさいギョーザもお願い。」
「はいよぉ!!!」
この日のために作ったエルフさん用の別厨房は遺憾なく発揮されている。少々手間だがこれくらいは値上げすること無く対応出来る。もちろんソイチャーシューまるごとは誤解を与えるので刻んだ。
「お待ちぃ・・・・・・」
「これがエルフでも、食べられる・・・・・・?ラー、メン・・・・・・?」
「ふわぁ〜いい匂い〜」
「どうです?今日一日エルフさんに食ってもらいましたけど好評でしたよ。」
「確かに獣の匂いも気配もしないけど・・・・・・ねぇ、店主、これ肉じゃないの?」
「肉ですけど肉じゃないです。」
「はぁ?」
「美味しい〜〜〜!!」
「ちょっとアリス・・・・・・」
ファルダニアちゃんは疑ってるようだがもうエルフさんには食べて確認してもらってるので。
「まぁ・・・・・・アリスが食べられてるなら・・・・・・」
ファルダニアちゃんがスープを一口飲む。
「うっ・・・・・・」
「え?」
「うっっっっ・・・・・・まぁ・・・・・・」
「ほっ・・・・・・」
スープを飲み始めて恍惚の表情を浮かべるファルダニアちゃん。良かった。
「すごいわねこのスープ。これはもう油飲んでるんじゃないかしら。」
「ですねぇ。」
「このパスタも美味しいわ。この形状のパスタってどうやってつくるのかしら。気になるわ・・・・・・」
スープ、麺と楽しんだファルダニアちゃんは次はトッピングに移った。白髪ネギやもやしをつまんだりしている。
「この白くて細長いの・・・・・・二種類あってどっちもシャキシャキなんだけど、違うシャキシャキだわ。辛い方がスープの油を中和してくれていいアクセントになる。少し太いシャキシャキはお腹に溜まってパスタで飽きないようにしてる・・・・・・すごい完成度の料理ね。」
「この黄色いつぶつぶ美味しいよファル!」
「黄色いつぶつぶ、なんなのこれ。全然見たことない・・・・・・豆?かしら・・・・・・」
「この茶色いの何?」
「これね・・・・・・なにかしらこれ・・・・・・謎が多すぎるわね・・・・・・」
「それはメンマっすね。」
「めんま・・・・・・???」
そしてファルダニアちゃんはソイミートを口に放り込んだ。
「・・・・・・これが肉なの?」
「いや厳密には肉とは違うけど大分肉には近づけてあるんですよ。」
「まぁ・・・・・・私も肉を食べたことはないけど・・・・・・うん、豆の味がする。」
「どう?ファルダニアちゃん。ソイミートはエルフさん的にはアリ?」
「どうかしら・・・・・・今日これでクレームは無かったんでしょ?私も食べられるけどエルフによっては見た目が肉に近いってだけで拒否するのが出てくるかも。」
「あーなるほど。じゃあやっぱりソイミートは隠した方がいいか。」
「ソイミートってやさいギョーザにも使ってたわよね。あれみたいに肉の質感が無ければ問題無いと思うわよ。」
「うす。了解っす。」
「私は好きだけどね。ソイミート。」
「そうっすか?じゃあ入れるか入れないか聞けばいいか。ラーメン次郎みたいだな。」
「じろー?」
「なんでもないっす。」
とりあえず改良の余地有りって感じだけど割と好評って感じだな。よし。もう少し改良してエルフさんに喜ばれるものにしよう。こうして俺の初めての創作料理はそこそこの評価で受け入れられたのだった。