・剣も魔法も存在しますが、あまり活躍しません。
・店主は普通のあんちゃんです。料理以外はできません。
・訪れる客は毎回変わります。ただし常連客もいます。
・遠い異世界からお越しの場合は遠慮無くお申し出ください。
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旅する魔法剣士、フランとインテリジェンスソードの師匠。二人は次の街までの旅程を見誤り、食料が枯渇していた。次の街までどうしても足りない。
「ふぅ・・・・・・師匠、お腹空いた・・・・・・」
「我慢してくれフラン。もう水も残り少ない・・・・・・」
「うう・・・・・・助けて・・・・・・ママンダ・・・・・・」
助けを呼んでも来ない。魔物の出るような街道ではないが、人通りも少なく、通りがかった人に助けを求めるのも不可能。野営のたき火の火を眺めながらフランは食べたいものを想像するのであった。
「はんばーぐ・・・・・・かくに・・・・・・おむらいす・・・・・・しょうがやき・・・・・・かれー・・・・・・」
「よせフラン!!そんなことしたら心が死んでしまうぞ!!!」
「でも・・・・・・師匠・・・・・・もう三日も食べてない・・・・・・」
「野草しか食べてないしな・・・・・・アイテムボックス内も見事に空だ。」
「うう・・・・・・」
とにかく寝よう。あと一日歩けば次の街だ。無理矢理寝ようとしたフランの鼻腔に、不意に香しい薫りが紛れ込んだ。
「!!!!」
「ど、どうしたフラン!?」
「師匠!!!こっち!!!!」
「フラン!?!?」
師匠を抱えて走り出すフラン。野営場所より奥に少し行くと、木の看板が備え付けられた引き戸が現れた。
「師匠!!!ここから良い匂いする!!!」
「なんだぁ・・・・・・こりゃぁ・・・・・・」
「入ろう!!!!」
「ま、待てフラン!!!定食屋ふたば・・・・・・!?なんで日本語が・・・・・・!?」
師匠の制止も効かず、フランは引き戸に手を掛ける。そして異世界へと二人は異世界へと歩みを進めるのであった。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
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・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「らっしゃしゃしゅせい!!!!」
「いらっしゃいませー!!!」
「いらっしゃいませ!」
「・・・・・・いらっしゃいませ。」
フランは店に充満する良い匂いをこれでもかと吸い込んだ。そして恍惚の表情を浮かべているところに師匠からの念話が飛んでくる。
「フラン!!待て!!ここは飯屋のようだが、俺たちは金を置いてきてるんだぞ!!」
「!!じゃあ取りに戻りに・・・・・・」
「その場合扉が残ってるかどうかわからない。そもそも帰れるかもわからん。」
「ど、どうしよう・・・・・・」
「くそ・・・・・・俺もそれほどわかるわけではないが強力な転移魔法の類いだと思う。フランいつも言ってるだろ。勝手に行くなって。」
「ごめんなさい・・・・・・」
「お客さん大丈夫で?」
「あ、うん。」
「初めてですよね。うちの説明するんでまぁ席に着いてくだせぇな。」
「う、うん。」
「日本語・・・・・・!?じゃあここは日本なのか!?」
「姿が見えないお客さんも安心してくだせぇ。ここは異世界食堂。異世界の飯屋ですよ。」
「お、俺の声が聞こえるのか!?」
「ええバッチリ。」
フランは店主に案内され、カウンターに座る。そして給仕から水を渡された。
「私、水頼んでない。」
「ああ、うちは水タダなんですよ!おかわりもし放題なんです!」
「す、すごい!!」
「フラン、ちょっと水袋に水入れてもらえないか頼もう。」
「うん。ねぇ給仕さん。」
「はーい!なんでしょう!」
「この袋に水って入れてもらえる・・・・・・?」
「大丈夫ですよ!お預かりしますね!」
こうして水を補給したフランは出された水を一気飲みして喉を潤した。
「すごいよ師匠!!すごくつめたい!!」
「良かったなフラン。」
「それではお客様!うちの説明をさせていただきます!!!」
フランは異世界食堂の説明を受けた。七日に一度スイヨウの日に扉が現れること。初めてはタダのこと。暴れたら出禁のこと。
「あっぶねー初回はタダか。金持って無くても食えるのは助かるな。」
「うん!」
「ではお客様、サマナーク語は読めますか?」
「サマナ・・・・・・?」
「知らない言語だな。」
「読めないのでしたら店主や私に食べたい物をお伝えください!近い物をお作りしますので!」
「わかった。」
「あいよ。」
給仕が去っていきフランは店内を見渡す、そして夕食を食べに来ているのか結構客がいる。
「ドラゴンがいる・・・・・・」
「うーん、メニューはすごく多いな・・・・・・フラン、ここは俺の知ってる異世界なんだが、カレーとかがある世界なんだ。何が食べたい?」
「カレー!」
「カレー、定食屋ならカレーくらいあるだろうけど・・・・・・あった。イシカワカレー?なんだそりゃ。」
「カレーある?師匠。」
「あったが俺の知らないカレーだな・・・・・・」
「それ食べたい!」
「よしそれじゃあカレーにするか。すみませーん!」
「はーい!」
「イシカワカレーってやつひとつ。」
「あ・・・・・・すみませんお客様。」
給仕が申し訳なさそうに頭を下げてきた。もしかして・・・・・・
「カレーはもう全て出てしまって。今日は終了しました。すみません。」
「うわああああああああ。」
「ああ、まぁそうか。カレーは人気だもんな。」
がっくりと机につっぷすフランをよしよしと念動で撫でながら師匠は矢継ぎ早に給仕に聞く。
「他の料理は終了してるやつあるか?」
「他の料理ですと厚切りサーロイン定食とうな重が終了しています。」
「なるほどな・・・・・・」
しくしくしているフランをどうにか説得し、他の料理を注文するよう促す。
「フラン、大丈夫だ。カレーが無くても他の料理も俺が作った奴より絶対美味い。プロの料理人が作ってるからな。」
「そうなの?」
「ああ!とりあえず、ハンバーグとかどうだ?ガツンと肉を食っておけば。街に着くまで保つぞ!」
「わかった。ねぇハンバーグにする。」
「はーい!ハンバーグはソースはどうしますか?18種類有るんですけど・・・・・・」
「18はすごいな。」
「ふえぇぇ。」
「すまないが、一番よく注文されるソースにしたいんだがどれだ?」
「それだととびきりソースですね!醤油とオリーブオイル、ニンニクのソースでがっつり食べられますよ!」
「フランこれでいいか?」
「うん。」
「肉大盛りも出来ますよ!」
「肉大盛りしたい!」
「はい!とびきりハンバーグ肉大盛り!他にご注文はありますか?」
「おう。それじゃあコーラ頼む。」
「師匠コーラってなに?」
「甘くて。しゅわしゅわで、スッキリする飲み物だ。美味いぞ。」
「美味しそう!」
「ご注文ご確認します!とびきりハンバーグ肉大盛りとコーラ!お間違い無いですか?」
「おう、頼む。」
「かしこまりました!!ごゆっくりお待ちくださーい!!」
「ん。」
フランは師匠の料理で慣れてはいる。が本格的な料理人の作った料理は未知数であった。
・・・・・・・・・
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・・・・・・
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「お待ちぃぃァ!!!とびきりハンバーグ定食です!!こちらコーラ!!」
「おお!!!きたきた。」
「んーーー!!」
じゅうじゅうと鉄板の上で焼ける大きなハンバーグ。フランの空腹をこれでもかと刺激していた。
「早く食べたい!」
「フラン、いただきますは?」
「いただきます!」
早速ナイフとフォークでハンバーグを切り崩しにかかるフラン。たっぷりのソースが掛かったハンバーグを口に放り込むと師匠の作ったハンバーグとはまた別なうま味の洪水が押し寄せるのであった。
「はむ!はぐ!もふ!」
「フラン喉に詰まらせるなよ。」
「んーーーー!!」
切って、食って、ライス、スープ。肉大盛りの食べ応えは空腹のフランにはあまりにも暴力だった。
「あふ、もぐ、はふ。」
「フラン、ちゃんとバランス良く食べなさい。」
と、ここでフランは気付く、コーラとやらに。氷が入ったコップに黒い液体の入った瓶。コーラ・・・・・・コップに注いでシュワシュワと暴れ始めたので驚いてしまった。
「・・・・・・」
「どうした?」
師匠が頼んだコーラという飲み物。訝しげな視線で見て、飲んでみると・・・・・・
「ん!!」
しゅわしゅわパチパチと口の中が楽しくなった。そしてスッキリとした甘さがあり、ハンバーグの油を流してくれた。美味しい!!
「すごい!!!師匠すごい!!!」
「そうか。美味いだろ?コーラ。」
「おいしい!」
こうしてフランはハンバーグを平らげてコーラを飲み干した。
「コーラおかわり如何ですか?」
「飲む!」
フランは豪遊した。未知なる異世界食堂で。結局ハンバーグを二回おかわりし、コーラを五杯飲んだ。
「フラン、満足したか?」
「ん・・・・・・おなかいっぱい。」
「しかし随分食べてしまったな・・・・・・初回タダにしても食い過ぎたか?」
「どうすかお客さん、満足でした?」
「ん!美味しかった!」
「ありがとう大将。」
「そっちの姿の見えないお客さんもいただけました?」
「ああ、いや、俺は、フラン見せてやってくれ。」
「ん。」
「・・・・・・剣?」
「俺はこの通り剣なんだ。だから飯は食わないんだ。」
「ああ・・・・・・そうでしたか。飯が食えるようになったら召し上がってくだせぇ。」
「そうするよ。」
フランと師匠は異世界食堂を堪能し、店を後にした。満腹のフランは夢見心地で店を出たのだが・・・・・・
「夢じゃ無かった・・・・・・!!」
「そらそうだ。俺だっていたんだから。」
持ち帰りの五本のコーラの瓶を眺めながら野営の片付けをするのであった。