異世界食堂 二軒目!   作:電動ガン

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・一応ファンタジーです。
・剣も魔法も存在しますが、あまり活躍しません。
・店主は普通のあんちゃんです。料理以外はできません。
・訪れる客は毎回変わります。ただし常連客もいます。
・辛いのが苦手な方は注文はご遠慮ください。

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デビル揚げ鶏定食

ある日の異世界営業。俺は性懲りも無く新商品を店に並べていた。それはデビル揚げ鶏定食。悪魔の名が付く激辛唐揚げ定食だ。これは異世界の人にどうウケるかわからないからなぁ。まずは鶏肉系を食べてるお客さんに勧めてみるか。

 

「というわけで、ジゼットちゃん。ギルドスさん、タツゴロウさん。新メニューの生け贄になってください。」

 

「ふぇぇ。」

 

「ふむ。」

 

「新メニューとな?」

 

「はい。鶏のうま味を激辛で包んだ料理です。信じられないくらい辛くなりましたが美味いですよ。」

 

そういってゴトリとテーブルにデビル揚げ鶏定食を置く。手のひらほどもある真っ赤な揚げ鶏を見て三人は固まっている。

 

「ふにゃ〜すごい真っ赤。美味しそう!!」

 

「むむむ・・・・・・すごい色だ・・・・・・本当に食べて大丈夫なのか?」

 

「匂いからして辛いぞ。店主、大丈夫かこれは。」

 

「まぁヤバい辛いです。でもちゃんと美味しいので。」

 

短冊切りにしてある揚げ鶏をジゼットちゃんがフォークで一切れ取って頬張る。

 

「もぐもぐ・・・・・・ふにゃぁ〜〜からーーい!!でも美味しーーー!!!」

 

「おお!!!良かったです!!」

 

自分より相当か年下のジゼットが食べたのを見てギルドスとタツゴロウは覚悟を決めることにした。

 

「あぐ・・・・・・」

 

「もぐ・・・・・・」

 

鶏肉を口に放り込んだ二人の顔は瞬く間に汗が噴き出し震えだした。

 

「ぐわああああああああ!!!!!」

 

「ぬわああああああああ!!!!!」

 

「うまいうまい♪」

 

二人が叫びだした。ヤバいか・・・・・・?

 

「辛い!!!辛すぎる!!!」

 

「ぬおおおおおなんだこれは!!!!」

 

唇を真っ赤にしたギルドスさんとタツゴロウさんが悶えている・・・・・・

 

「あっ・・・・・・なんか。仄かなうまみが・・・・・・」

 

「辛さの向こうから何かが・・・・・・」

 

なんか変な目覚め方してない?大丈夫かこの二人。

 

「おいしい!!!店主さんおかわりちょうだい!!」

 

「ジゼットちゃんは辛いの大丈夫なんだねぇ。」

 

「うん!!」

 

ガツガツと食べるジゼットちゃんはさておきギルドスさんとタツゴロウさんだ。すごい辛そうに食べてるけど何か目覚めようとしてる。

 

「辛い・・・・・・辛い・・・・・・辛い・・・・・・美味い・・・・・・?」

 

「はひ・・・・・・はふ・・・・・・・なんということだ・・・・・・剣も使わず負けそうだ・・・・・・」

 

「うわ・・・・・・」

 

目をぐるぐるさせながら食べる二人はデビル揚げ鶏の批評を始めていた。

 

「とてつもなく辛い・・・・・・が、複数の辛さが折り重なっていますねタツゴロウ殿。スパイスの辛み、油の辛み、ソースの辛み。そしてその辛さの向こう側から来る味付けされた肉のうま味。店主が言った通り辛いだけじゃなく美味しい・・・・・・」

 

「うむ、ギルドス殿もわかるか。このアゲドリの肉、油を二種類使って揚げているのやもしれぬ。違う種類の味を感じる。」

 

「で、ありますか。普通に食べると辛さばかりに目が行きがちですが食べ終わる頃には口が地獄になっているのに肉のうま味で支配されている。不思議な料理だ・・・・・・」

 

「どうすか。三人とも。」

 

「店主、これは売れるかどうかはわからぬが美味い。かなり人を選ぶとは思うが・・・・・・」

 

「店主殿。美味い、美味いが・・・・・・かなり危険だ。辛すぎる。」

 

「あーそうすか。やっぱもう少し辛さを抑えた方がいいのかなー」

 

「いやそれもどうだろう店主。この辛さだからこそあのうま味があるのだと思う。」

 

「うむ。辛いのは大変だが辛さはこのままが良い。」

 

「お二人がそういうなら。」

 

「店主さん!!!おかわり!!」

 

「はいよジゼットちゃん。」

 

「あの娘はなぜこの辛いのをあれだけ平気に食えてるのだ・・・・・・」

 

「タツゴロウ殿、あの娘は私たちとは別な生き物ですぞ・・・・・・」

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

ある日の異世界営業の夜。九時が過ぎてアーロイちゃんとミミちゃんを帰し、大凡お客さんをあおさんを残すだけになった時間帯。このお客が減って暇な時間帯におデジに暇を出す。この時間をおデジは仲良くなったお客さんとおしゃべりする時間に充てていた。俗に言うおデジタイムだ。

 

「・・・・・・と、だ。・・・・・・ぞ?デジリス。」

 

「・・・・・・です。・・・・・・わ。・・・・・・よ?」

 

「・・・・・・です。」

 

今日のおデジタイムの仲間はアーデルハイドさんと控えるハンナさん、そしてリフォネオスさんである。何話してるかはわからない。ガールズトークに男が入りに行くのは無粋だろう。俺はあおさんの弁当やおかわりの準備をする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ではデジリスは店主からなんのアプローチも受けてないと?」

 

「・・・・・・そう。」

 

「まぁ!それはなんともったいないですわ。」

 

「・・・・・・そもそも、そういう対象に、見られてない、可能性。」

 

「まぁ店主からすれば、突然現れた別な世界の従業員だからな。そういう対象で見ろという方が難しいのではないか?」

 

「・・・・・・やはり。」

 

「でもでもリフォネオス様?こういうのは急いてはいけませんわよ?」

 

「しかしアーデルハイド様。デジリスがこの店に来てどれほど経ちます?急ぐ必要は無いですが何も変化が無いのも問題です。」

 

「・・・・・・私が、あまり、おしゃべり得意じゃないのも、問題。」

 

「デジリスよ。どれだけ喋れたかは重要ではあるが必要ではない。それに喋るだけが仲を深めるものではないぞ。」

 

「・・・・・・そう。」

 

「デジリスさんも、奥手に見えて情熱家ですのに。」

 

「・・・・・・ぶい。」

 

「しかし店主も店主だ。これほど近くにいるのに何も行動を起こさないとは。」

 

「リフォネオス様?店主さんは異世界の方なのですから私たちとは違いますのよ。」

 

「わかっています。ですがデジリスほどの見目麗しく、器量良しでよく働く女を何も手出しをしないのは男としてどうなのですか。」

 

「うーん。そもそも異世界ではそれは当たり前でそれほど魅力に感じていない可能性も・・・・・・」

 

「なんて世界だ・・・・・・」

 

「・・・・・・こっちでは、見目麗しいかどうかは、さておき、みな働き者で要領が良い・・・・・・」

 

「デジリスほどが凡庸に収まる世界は恐ろしくもあるな。」

 

「すごい世界ですわね。」

 

「・・・・・・店主は、私が、歳が離れてるのが、嫌そうだった。」

 

「デジリス今いくつだ?」

 

「・・・・・・22になった。」

 

「店主さんは?」

 

「・・・・・・28だって。」

 

「それ離れてるっていうのか?」

 

「誤差の範囲内ですのに。」

 

「・・・・・・店主は・・・・・・離れてるって。」

 

「難しいな異世界というのは。」

 

「こちらでは20は離れてないと歳が離れてるとは言いませんのに。」

 

「それは人間だけでしょうアーデルハイド様。」

 

「でしたね。」

 

「・・・・・・店主、私のこと、好きじゃない・・・・・・?」

 

「あ!デジリスさん泣かないで!」

 

「デジリス!大丈夫だ!!」

 

「・・・・・・。」

 

「デジリス。大丈夫。大丈夫だ。まだ大きさが小さいだけで店主はお前のこと好きだと思うぞ。」

 

「ですよ。ちゃんと店主さんはデジリスさんのこと想ってくれてますわ。」

 

「・・・・・・そうだといい。」

 

「諦めちゃダメですわ。」

 

「そうだ。ここでデジリスが折れれば、終わってしまうぞ。」

 

「・・・・・・頑張る。」

 

ここまでのガールズトークを傍観していたハンナは。一筋、店主の無事を祈って汗を流したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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