異世界食堂 二軒目!   作:電動ガン

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・一応ファンタジーです。
・剣も魔法も存在しますが、あまり活躍しません。
・店主は普通のあんちゃんです。料理以外はできません。
・訪れる客は毎回変わります。ただし常連客もいます。
・ちゃんと注文すればお客としていられます。

Twitterやってます。Twitterアカウント→http://twitter.com/dendogun



ボルガライス

勇者ガガンポ・・・・・・いや、もう老いて年に一度のリザードマンの大会を勝ち抜けなくなったガガンポは勇者ではなくなった。リザードマンの寿命は短い。昔はあれほど元気よくオムライスを食べていたガガンポも杖を突き、村の長老という立場になった。

 

「・・・・・・。」

 

長老となったガガンポは今の勇者がねこやに行くのを羨望の目で見るのだった。食べたい。もっと食べたい。オムライスを。もっと。だがもう肉体は若い戦士には適わず心も老いて戦士とは呼べなくなってしまった。この老いにガガンポは落胆した。自分はもっと若いつもりであったが、年並みには勝てないのか・・・・・・と。

 

「・・・・・・フゥ。」

 

そんなガガンポの最近の楽しみは村の領域から少し離れた場所への散歩だった。雨の日も、風の日も欠かさず散歩をする。散歩をする度に新しい発見があった。木の匂い。草の匂い。水の匂い。風の匂い。勇者の座を退いた後の小さな楽しみだった。

 

「・・・・・・ム。」

 

ある日、その村から離れた水辺のほとりで、扉を見つけた。それは読めない文字の看板があり、格子窓の引き戸の扉だった。ガガンポは瞬時に理解した。あれはねこやと同じ扉だと。

 

「・・・・・・フ。」

 

勇者では無い者がねこやの扉を潜るのは掟破りだ。だがこの扉なら掟を破る事は無い。ガガンポは勇んで扉を開けるのであった。

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

「いらっしゃいっぇ!!!」

 

「いらっしゃいませー!」

 

「いらっしゃいませ!」

 

「・・・・・・いらっしゃいませ。」

 

「・・・・・・フ。」

 

ガガンポは明るい店内に少し眩んだがそれ以上に感じたこの匂い。ねこやと同じ美味い物の匂いを感じ、久方ぶりに興奮した。好きな席に着けと言われたので丸い背もたれの無い椅子に座った。

 

「お客さん。初めてですよね。まずは水どうぞ。んでうちの説明させてもらいますね。」

 

「ウム。」

 

ねこやと同じく白い服を着た店主らしき人物に水を出してもらい説明を受ける。ガガンポは金を持たずに店に入った為に初回はタダという案内に歓喜した。

 

「以上です。後は注文ですけど、お客さんサマナーク語読めますか?」

 

「ン。ヨメナイ。」

 

「そっすか。じゃあ食べたい物言ってくだせぇ。近い物作りますんで。」

 

「ン。オムライ・・・・・・」

 

ここでガガンポはハッと気付いた。ここでは村のみんなにお土産を買う事も無い。自分だけが楽しむ事が出来る。ならばオムライスよりも豪華なものを頼めば良いのでは無いか?と。そういうのが有るかはわからない。だが大好きなオムライスがさらに豪華になればもっと楽しめるのでは無いかと思った。

 

「ン・・・・・・オムライス、ゴウカ。オオモリ。」

 

「んー豪華なオムライス・・・・・・ならボルガライスでさぁ。」

 

「ボル・・・・・・?」

 

「ボルガライス。オムライスの上にトンカツが乗ってデミグラスソースを掛けた料理です。」

 

「ジャ。ソレ。」

 

「はいよぉ!!!」

 

ねこやでも聞いたことの無い料理で少し身構えたがまぁ美味いものに変わりは無いだろうと腰を落ち着けた。そしてしばらく待つとこれまた良い匂いが漂ってくるのであった。

 

「ボルガライス大盛りお待ちぃ!!!」

 

「ム。キタカ。」

 

ドン!と目の前に置かれたボルガライスという料理。よく観察するとそれはねこやで見た料理の組み合わせであった。黄色いオムライスの上にロースカツが乗って芳しい香りのする黒いソースが掛かっている。ガガンポは計算があまり得意では無い。だがこの料理は単純だ。美味しい物X美味しい物。それはもっと美味しい物だというガガンポでもわかる簡単な解だった。

 

「イタダキマス。」

 

まずはフォークでトンカツの端っこを一口頬張る。純粋な豚の旨味と濃厚なソースの味わい。ガガンポはこれだけで舌がとろけてしまいそうだった。続いてオムライスを一掬い。ねこやのオムライスはとろけるふわふわの卵の衣だったがふたばのオムライスはしっかりと焼かれて食べ応えのある衣でいる。どちらが好みかは甲乙付けられなかったガガンポだがデミグラスと言ったソースの味わいの方が好きだった。もう行けないねこやに思いを馳せるがしかたがない。これからはこのふたばを僅かな時間に楽しもうと思う。

 

「ン・・・・・・?」

 

ガガンポ、ここで気付いた。そういえば、ねこやの顔なじみで、カツ丼がコメと肉を一緒に食うと美味いと言っていたことを。コメと肉・・・・・・このボルガライスも一緒だ。ガガンポはトンカツとオムライスを同時に掬った。

 

「アム。」

 

次の瞬間だった。ドクン!と心臓が跳ねた。美味い。美味すぎる。これもそういう食べ物だったか。肉、コメ、卵。この食材はカツ丼と一緒だ。ガガンポは身体に活力がみなぎるのを感じた。鱗が輝き、皮にハリが戻り、筋肉が叫び出す。それは老いてから忘れていた歓びだった。

 

「アグ!ガツ!ムシャ!!」

 

そこからは怒濤だった。一気にボルガライスを腹に収め、店主に例を言う。

 

「テンシュ。メシ。ウマカッタ。」

 

「はいよぉお粗末さん!」

 

「マタクル。ツギハドーカギンカモッテクル。」

 

「はいよ!ありがとしゃしゃしたー!!!」

 

「ありがとございましたー!」

 

「ありがとうございました!」

 

「・・・・・・ありがとうございます。」

 

ガガンポは杖を担ぎ、店を後にした。姿勢を伸ばし、まるで竜のようにしっかりとした足取りで。

 

・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

村に戻ったガガンポは個人で貯めていた銅貨と銀貨を見る。

 

「十分あるな。」

 

「長老ガガンポ、随分長い散歩・・・・・・だった・・・・・・な・・・・・・?」

 

「む?ああそうだな。」

 

「ちょ、長老?」

 

「どうした?」

 

「あ、いや、その・・・・・・」

 

「どうしたんだ?それより今日の獲物の捌きは終わったか。」

 

「終わって・・・・・・ます・・・・・・」

 

「そうか。いつも通り子供達から食わせろ。」

 

「はい・・・・・・」

 

他のリザードマン達は恐れおののいていた。確かにガガンポは老いて、衰えた。それは今でも変わらない。だが昨日と今日で明らかに輝きが違う。それはまさに勇者の輝きであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ネタ募集します。皆さんこういう話が読みたいとかありましたら活動報告の方にコメントください。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=341393&uid=107136
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