・剣も魔法も存在しますが、あまり活躍しません。
・店主は普通のあんちゃんです。料理以外はできません。
・訪れる客は毎回変わります。ただし常連客もいます。
・店にある程度無茶は通りますが従業員に無茶を言うのはやめましょう。
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ある日の異世界営業日。昼の営業が終わったふたば。そのカウンターは死屍累々であった。エルフの団体客、公国の団体客、帝国の団体客、王国の団体客、西の大陸の、どこぞの宗派の、ありとあらゆる団体客が殺到し、200人越えの待ちが発生してそれをなんとか捌ききったのだった。
「つ、疲れた・・・・・・」
「私も・・・・・・」
「・・・・・・ふぐぅ。」
アーロイ、ミミ、デジリスの三人は腕と腰が取り外されたかのような有様だった。それを横目に見ながら店主は遅くなった昼飯を用意する。
「おーおまえら。飯だぞ。」
「店主はなんでそんな元気なの・・・・・・?」
「やばすぎ・・・・・・」
「・・・・・・ふみゅう。」
「鍛え方が違うわい。ほれ。食いな。」
ドン!と置かれたのはパン。フルーツの様なものと、何か砂糖の複数の甘い香り。それと香ばしいベーコン。これをバゲットに挟んだサンドイッチだった。
「なにこれ。」
「パンに何か挟んである。」
「・・・・・・。」
「これはな。エルビスサンドってやつだ。これの食い過ぎで死んだ人がいるって言われるほど美味いサンドイッチだよ。」
「サンドイッチ・・・・・・」
「すごい甘い匂い。」
「・・・・・・じゅる。」
異世界の者にとって未知の食べ物。もう慣れた三人ではあったが異常なほど食欲をそそられるこのサンドイッチは少し異質だった。
「・・・・・・いただき、ます。」
最初に動いたのはデジリスだった。大きく口を開けて大きなパンに齧り付く。
「・・・・・・。」
「どう、おデジさん。」
「おデジさん、美味い?」
「・・・・・・!!!!」
ぱぁ!と顔を輝かせ腹に叩き込もうと齧り付く。そのあまりにも一心不乱な様子にアーロイとミミもそろりそろりと齧り付いた。
「美味しい!!!」
「うまーーーーーーい!!!」
ガツガツと三人揃ってエルビス・サンドを貪る。腹が減っているというスパイスがこのエルビスサンドの美味さを爆発的に加速させていた。
「・・・・・・じゅる。」
砂糖を塗したと思われる謎の白いフルーツ。デジリスは確かこれはバナナというものだったなと思案する。そしてその甘さの暴力に追加でピーナッツクリームの甘さが加わりもはや災害級とも言える甘さとなっていた。そしてそこへ塩気の強いベーコンでワンパンチを繰り出してきている。腹が減っているとこの全てが腹に破壊力のある一撃を送り込んでくる。デジリスはまだ半分しか食べてないのに腹の中にとてつもない存在感を放つエルビスサンドを強敵認定した。結構腹は膨れた。まだ食べたい。
「あむ。んじゅ。むぐ。」
アーロイはこれは戦いだと認識していた。これほど暴力的な食事にありついたのは初めてだ。腹に溜まる感触はあるのにまだ、もっと、もっと食べたいと感じる食事は自分の世界では絶対味わえないものだった。二切れあるエルビスサンドの一つを食べきり、すぐさまもう一切れに手を伸ばす。これほど美味いものだ。早く食べないと食べ終わったミミに取られる。
「はぁっ!!もう食べ終わっちゃったぁ!!」
ミミは恐怖した。エルビスサンドを食べ終わった。だが感じたことのない満たされたという感覚、そして尋常では無い幸福感。これを感じてしまっては他の食事が楽しめなくなる。ミミは震えた。私は何を食べさせられたのか。何か、やばいものなのではないか。圧倒的幸福。それしか感じない。が、ミミは店主が食べてるおにぎりを見つけておにぎりも食べたいなと思った。ただの食いしん坊である。
「おーお前らもう食ったのか。」
「すごいよ店主・・・・・・私何食べさせられたの。」
「美味しすぎて頭が馬鹿になりそう。」
「・・・・・・・・・けぷ。」
「はははは!!そんなに美味かったか。まぁ俺の作り方はプリミティブじゃないけど。まぁ食い過ぎで死人がでるっていうのは嘘じゃ無いっぽいな。」
「店主!!明日もこれがいい!!」
「ミミも!!」
「まぁ、いいけど。これ毎日食ったら洒落にならんくらい太るぞ。いいのか。」
「えっ!?!?」
「太らない!!!ミミ達人魚だから!!!」
「本当か〜?」
ぷんぷん怒るアーロイ達を尻目に店主は見た。その後ろで汗を一筋垂らしながら脇腹を撫でるデジリスを。デジリスの食事は普通のにしてやろうと決めて昼食騒動は幕を閉じるのであった。
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「チキチキ!新定食決定会議〜〜〜。」
わーと拍手が起きてふたばの座敷の一角で会議は発足した。新メニューを考えるのである。
「てなわけで、リフォネオスさん、アルゲントさん、バルメデウスさん。よろしくお願いします。」
「うむうむ。」
「楽しみだ。」
「店主殿。よろしくおねがいする。」
「で、ですよ。みんな何が食いたいっすか。」
「うーん。」
「それなんだがなぁ・・・・・・」
「店主殿、根本的にだな。」
「なんかダメっすか。」
「ふたばには多種多様にメニューがあるから食いたい物は普通に見つかるんだよな。」
「左様。ふたばに行けば自分の食いたい物は見つかる。」
「二人の言う通りだ。」
「ええ・・・・・・」
三人は辛辣だった。もうあるという。だが料理人として新しい料理に挑戦するというのは使命だ。人間の数だけ食いたい物があるはずなのでうちだけで賄える筈が無い。
「では、どういったメニューがあったら嬉しいっすか。」
「そうだなぁ・・・・・・我々は騎士であるし、バルメデウス殿の様に冒険者であるならば塩気の肉。大盛り!という風になってしまう。」
「リフォネオス、それは少し短絡すぎないか。魚が食いたい者だっているだろう。」
「アルゲント殿、そういう話をしている訳では無いのでは・・・・・・」
「だが二人とも。訓練や、がっつり仕事をして、さて飯だとなったら、安く、質の良い肉を大盛りで食いたいのは自明の理ではないだろうか。」
「それは一理ある。」
「ですがリフォネオス殿。安く質の良い肉など簡単にありつけるものでは。」
「ふたばなら出来るでは無いか。」
「・・・・・・それは、そう、なんだが。」
うーんなんか新メニューっていうより何をどうやって食いたいかの話になってきたな。
「ここまで纏めるとだ。店主。何を食いたいというより、安く、多く食いたいというのが本音ということになる。」
「店主よ、貴方が苦労して今の値段にしているのはわかるし十分安いとは思っている。だが労働者からしたらもっと安く、多くと言う風になってしまうな。」
「それをこちらでやろうとしたら牛の餌を食っていろという羽目になってしまう。そういう方向で何か無いか。」
「うーん・・・・・・」
これは、あれをやればいいんではないかという発想になる。うちはメニューの多さからやってなかったが。ウチは銅貨一枚が百円だとして大体銅貨7〜8枚が平均。うな重なんかが銅貨17枚くらいになるが。
「わかりました。あれをやります。」
「あれ?」
「あれとは?」
「?」
「その名もお任せ日替わりメニュー。」
「ひがわり・・・・・・」
「日によって変えるのか。」
「良い・・・・・・のか?」
「あまりよくありません。ただでさえ偏りのある消費をさらに助長するものです。ですが、調整が可能になるという点では良い手法です。」
「ああ・・・・・・」
「美味いものは食いたいが店主に迷惑は掛けたくないぞ。」
「アルゲント殿の言うとおりだ。店主殿。」
「調整させられるという利点だけで動くので大変さは変わりませんが大丈夫ですよ。」
「では・・・・・・値段は?」
「銅貨五枚。」
「銅貨五枚!?」
「店主殿!?それで本当に定食は食えるのか?!?」
「食えます。食わせます。」
「信じられない。」
「我々の世界だとそれで満足な食事は無理だ。」
「水と黒パン半分しか買えんぞ。」
「任せてください。ウチは異世界食堂。異世界という利点を最大限生かしてこちらで仕入れをします。いつから始められるかわかりませんが。」
「大丈夫なんだな?」
「銅貨五枚は不安の値段だぞ。」
「店主殿・・・・・・」
「任せてくださいよぉ!!!日替わり、始めます!!!」
こうして始まった日替わり定食計画。これがどう転んでいくかはまだわからない。
ネタ募集します。皆さんこういう話が読みたいとかありましたら活動報告の方にコメントください。
たくさん募集してくださりありがとうございます。全ては書けませんが順次制作していきます。
そしてなんですがまたお願いがあります。活動報告にてネタを投稿していただけるのは嬉しいんですが皆様食べたい物のみを投稿する食いしん坊さんが比較的多く見られます。これは飯をネタにする小説での募集と考えると大金星ではあるのですが求めているのは食って欲しい飯ではなく話のネタです。わがままを言うようで申し訳ありませんが是非食って欲しい飯と一緒にこういう話を読みたいというのを書いてください。よろしくおねがいします。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=341393&uid=107136
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