異世界食堂 二軒目!   作:電動ガン

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・一応ファンタジーです。
・剣も魔法も存在しますが、あまり活躍しません。
・店主は普通のあんちゃんです。料理以外はできません。
・訪れる客は毎回変わります。ただし常連客もいます。
・生肉のお持ち帰りはご遠慮ください。

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予約制・七輪焼き肉定食

ある日の異世界営業日。

 

「この前はあれだけ忙しかったのにここ最近はびっくりするくらい暇だなー」

 

「ですなー」

 

「うあー」

 

「・・・・・・。」

 

急に客足が落ち着いた日々の異世界営業日が続き、もんにょりする日が襲来していた。さてどうしようかと思って今残ってるファルダニアちゃんとアリスちゃんに零す。

 

「あー別に気にしなくていいんじゃないかしら。そういう波が来てるだけでしょ。ねこやでもあったわよ。」

 

「あーそうっすな。」

 

ファルダニアちゃんはアリスちゃんと小鉢の野菜メニューを走破しようとしており、毎回食事を終えた後に三品食べて帰っている。まぁ簡単には走破できないだろう。小鉢、エルフさんが食べられるメニューだけで100品あるし。

 

「なんかあるの?忙しくないと困るとか。」

 

「いやそういうわけじゃないんだけどね?忙しいと出来ないメニューが一品あるのよ。」

 

「へぇ。それは気になるわね。エルフでも食べられる?それ。」

 

「一応。肉も使いますけど肉と分けられますよ。」

 

「じゃあそれ。お願い出来る?」

 

「いいですけど・・・・・・そうですなぁ。もう一組入れば予約受けられます。一組じゃちょっと無理。」

 

「なるほど・・・・・・ちなみにいくら?」

 

「えーっと・・・・・・・銀貨40枚ですね。」

 

「銀貨40枚!!安さが売りのこの店ではなかなかするわね・・・・・・・」

 

「ええ。とにかく準備が大変なんですよ。」

 

「そうなの・・・・・・うーんどうしようかしら。つまりそれは人数多く呼んで割るのが前提ってことよね。」

 

「ですね。座敷ひとつ占有するんで。五人くらいで利用していただく前提ですね。」

 

「うーん・・・・・・それが二組・・・・・・・」

 

「ねぇファル〜小鉢もっと頼んで良い〜?」

 

「待ちなさいアリス。一回三皿までって言ったでしょ。」

 

「ええ!でもおおとり草のおひたしすごく美味しいよ〜」

 

「ははは!そんなに美味かったかい?じゃあこれおまけな。他のお客には内緒にしてくれ。」

 

「わぁ!!ありがと店主さん!」

 

「もう店主、アリスを甘やかして。」

 

「いいじゃねぇですかたまには。」

 

「まぁ・・・・・・わかったわ。」

 

そうこうしているとキシャリーノさんとバイガスールがやってきた。寝る前の晩酌だろう。

 

「いらっしゃしゃせ。晩酌ですよね。いつものすか。」

 

「うむ。私にはハイボール。陛下には梅酒。つまみにあじのなめろうだ。」

 

「うす。」

 

店主が厨房に引っ込むとファルダニアはハッとした顔でキシャリーノを見る。キシャリーノは見向きもせずバイガスールと水を飲んでいる。

 

「あの、エドマエズシさん。」

 

「む?貴様はサンサイソバのエルフか。この時間に会うのは初めてだな。」

 

「ええ。すみませんが少し話しを聞いて欲しくて・・・・・・」

 

「そうか?酒とつまみが来るまでは聞いてやろう。」

 

だがすぐに酒が来てしまう。つまみはまだなので話は聞いてくれるようだ。

 

「そちらのノリマキさんもどうか。」

 

「む?余もか?」

 

「エルフ待てこのお方は・・・・・・」

 

「構わんキシャリーノ。ここでは肩書きは意味を成さんといったのは貴様だろう?」

 

「しかし・・・・・・」

 

「よいよい。余にはわかる。エルフよ。飯の話だろう?」

 

「そうです。」

 

そしてファルダニアは二人に話した。ふたばの裏メニューを。

 

「なるほど・・・・・・・」

 

「ふむ・・・・・・」

 

「如何でしょう。二組裏メニューを頼む客がいれば出してくれるらしく・・・・・・」

 

「良いのでは無いか?キシャリーノ。余も興味が沸いた。」

 

「陛下も?ふたばの裏メニューか。どんな美味いものが出るのだろうな。」

 

「裏メニューは焼き肉ですよ。はいあじのなめろう。」

 

「焼き肉?」

 

「ええ。自分で好きな焼き加減で焼いて。たれだったり塩だったり好きな食べ方で食べる。エルフさん向けは焼き野菜ですけどね。」

 

「それは美味いのか店主よ。余は全て料理人に任せて食す方が良いと思うぞ。」

 

「いやいや。これは家族で囲む料理なんですよ。子供のために家長が焼いてあげて。子供が家長を労う為に焼く。そういう雰囲気を楽しむ料理なんです。料理とはちげぇか。」

 

「なるほど。キシャリーノちょうどいいではないか。もうすぐライルとミイルの誕生日だ。」

 

「ですね。陛下。誕生日に家族で飯を食う.これほどの幸せはありません。」

 

「エルフよ。余はその話受けるぞ。」

 

「ありがとうございます!!ノリマキさん!!」

 

ファルダニアは自分の席に戻り船をこいでいるアリスを抱える。

 

「私はクリスティアンと父さんを呼びましょうか。転移魔法で行ったら驚くわよね。」

 

・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

ファルダニアの焼き肉(焼き野菜)予約日。予想通り客足が控えめで8時には空いていた。

 

「なに・・・・・・・これ・・・・・・」

 

クリスティアン、エドモンド、アリスを引き連れふたばに来たファルダニアは鉄パイプが据えられた座敷を見て大層驚いていた。

 

「お、ファルダニアちゃん。いらっしゃっしゃせ!!!もう少し待ってくだせぇ。換気扇付けるんで。」

 

「え、ええ・・・・・・」

 

ゴリゴリと鉄パイプをいじる店主に呆気に取られているとエドモンドはひっそりと耳打ちをしたのだった。

 

「な、なにがはじまるんだ。ファルダニア。」

 

「シチリンっていう火鉢で野菜を焼くらしいけど・・・・・・まぁ室内でやるからね・・・・・・・これくらい大がかりにはなるか・・・・・・」

 

そして店主が衝立を持ってきて座敷を分けると準備出来ました!!と宣言する。その一つにファルダニア達が座る。

 

「わぁ〜!すごいねファル!」

 

「ええ。」

 

「ふむ。野菜を焼くだけとはいうが。」

 

「だなクリスティアン。急にファルダニアが現れてびっくりしたが・・・・・・」

 

「ファルダニアちゃん。ちょっと七輪運ぶのでどいてもらっていいですか。」

 

「え、ええ。」

 

そしてゴトリと運ばれた七輪を見て息を呑む。

 

「これは、この形、熱を収束しているのか?」

 

「この形状にはどうやって土を固めているんだ・・・・・・」

 

「わぁ!!おっきぃねぇ!」

 

「熱いので触っちゃダメですよー」

 

そして網が乗せられもう焼けますよと言われる。そして運ばれて来た野菜をみてこのエルフ達は目を見張った・・・・・・・瑞々しく輝く野菜達。見たことあるものもあれば見たことの無い野菜もある。だがどれも共通して言えること。それは今にも齧り付きたいということだけだった。

 

「す、すごい完成度の野菜だそクリスティアン・・・・・・!!」

 

「ああエドモンド。これほどの野菜、どこのエルフの里にも絶対に無い・・・・・・!!」

 

「わぁーい!!コレ食べて良いの!?」

 

「待ってアリス。焼くのよこれは。」

 

ちょうどそこに隣にキシャリーノの一団も来たようだ。歓声が上がっており少し獣の匂いがした。なるほど、この衝立とこの位置の座敷。私達の席に獣の匂いがなるべく来ないように配慮されている。銀貨40枚はするだけあると感じたファルダニア。

 

「な、なぁ。ファルダニア。これ、焼く、んだよな?そのまま食べたいけど・・・・・・」

 

「そうよ父さんコレは焼くの。私が焼くから父さんやクリスティアンやアリスは食べてね。」

 

「楽しみだ。これほど野菜を焼いたらどうなるのか。」

 

「オラニエおいしー!!」

 

「あ!こらアリス焼くっていったでしょ!」

 

そしてじゅわじゅわと七輪で焼き始めるファルダニア達。そしてそこでもまたこのエルフ達は驚くのだった。野菜が弾けている。爆発しているのではない。水が弾け旨味をあふれ出させていた。そして通りがかった店主を捕まえ焼き加減を聞くのであった。

 

「店主これどれくらい焼くの。」

 

「個人での好みでいいよ。生でも食えるし。ただ焼き加減を楽しみたいならほんのり焦げるくらいまでは焼くといいっすよ。」

 

「ほんのり焦げるくらいね。わかったわ。」

 

そうして店主が去って行くとふわっと鼻をくすぐる香りがした。名称の知らぬ皮の固そうでオレンジの実の野菜が焦げた匂いが鼻に届いたのだ。そこからは早かった。アリスがブスリとフォークを突き刺しぱくりと食べてしまう。

 

「うわぁぁぁ〜〜〜〜〜!!!!すごく甘いよぉ〜〜〜〜〜〜!!!!」

 

とろけるような笑顔のアリスを見た他のエルフ三人の目の色が変わった。これは戦争だ。店主は家族の団欒の料理だと言ったが。これは食べたい物を奪われず食うという戦争だという事を本能で察知したエルフ達はファルダニアのトングさばきに一挙手一投足を反応させるのだった。

 

・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

一方キシャリーノ達は。とことんまで穏やかだった。一人一枚ずつ肉を焼き、自分の分が焼けたら食べる。それを繰り返す。

 

「おじいちゃんこのお肉、脂がすごく甘いよ。」

 

「おじいちゃんこのお肉!食べ応えがあるよ!」

 

「ほっほっほ。早食いは喉に詰まらせるぞ。」

 

「ライル、ミイル。口に脂が残り続けると良くないらしい。店主のお茶を飲みなさい。」

 

じゅうじゅうと七輪の上で踊る肉、野菜、バターコーン、にんにく揚げ。子供達にはコーラ、大人はハイボールで乾杯をしながら穏やかな焼き肉を楽しんでいた。

 

「うまーい!」

 

「おいしい・・・・・・」

 

「今日は二人の誕生日だからお祝いなのだぞ。いっぱい食べるのだ。」

 

「はーい!」

 

「はい!」

 

バイガスールがアーロイを呼び止め注文をする。

 

「すまないが肉の付け合わせはないか。なんでもいい。」

 

「お肉の付け合わせですとおコメとサンチュっていう葉っぱ。それとキムチがありますよ。」

 

「おおそうか。ではコメと・・・・・・キムチとはなんだ?」

 

「キムチはトガランで漬けた漬け物ですねーお肉にもコメにもすごく合いますよ。」

 

「ではキムチも。」

 

「はーい!」

 

向こうのエルフが戦々恐々ならこっちは極めて家族団欒だった。平和。

 

「しかしキシャリーノ。向こうのエルフに肉の焼ける匂いをさせて大丈夫か。」

 

「大丈夫でしょう。大丈夫ではなかったら既に苦情が来ていますよ。」

 

「そうか・・・・・・・そうか?」

 

「パパ、コーラ飲んで良い?」

 

「私メロンソーダ。」

 

「良いぞ。ただお茶を飲むのも忘れるな。」

 

「はーい。」

 

「はい。」

 

平和に終わるキシャリーノ一家の焼き肉。向こうのエルフの焼き野菜は奪い合いと探り合いに発展し店主から静かに食いなさいと指導が入るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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