セイレーンの少女、イリスは見た。キマイラ殺しの島の、ねこやの扉が出る反対側。岩場の隅にぽつんと扉があることに。
すぐさまアーリウスを連れて確認させ。ねこやと同じ種類の扉だとわかった。
「アーリウス!!美味しい物があるかもよ!!」
「そうだね。多分ねこやと一緒だから。あるかもしれないけど・・・・・・」
「行こうよ!!行こうよ!!」
「わかった。わかったってば。」
銀貨を持って扉を潜る。そこではこの魔物達にどのような出会いが待っているのだろうか。
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「らっしゃせせーーい!!!」
「いらっしゃいませー!」
「いらっしゃいませ!」
「・・・・・・・いらっしゃいませ。」
「おお〜」
「うわぁ。」
「らっしゃい!!お客さん初めてですね。とりあえず座ってくだせぇ。今説明しますんで!」
「はーい!」
「う、うん。」
カウンターの椅子に座り給仕から説明を受ける二人。そして大体はねこやと一緒だなと理解し、初めてはタダというのに喜んだ。
「お客さんサマナーク語読めます?」
「え、えと。読めるけどそんなには・・・・・・」
「そうっすか。メニューには絵も付いてるんで。それか食べたい物あったら近い物を作るんで言ってくだせぇ。じゃあごゆっくり。」
「ねぇねぇお魚あるかな。」
「まってよイリス。今開くから。」
メニューを開きあれも美味そうこれも美味そうと眺める二人。そこであるメニューを見つけるのだった。
「海鮮丼・・・・・?」
「生の魚を・・・・・・切って並べて・・・・・・コメの上に乗っけた料理だって。ショーユってソースを掛けて食べるみたいだよ。」
「ふーん?じゃ!それにしよ!すごくいっぱいだし!」
「良いけど・・・・・・コメってなんだろ。」
「うんうん!!すみませ・・・・・・」
「おおぉぉぉぉぉい!!!!ソースカツ丼おかわりぃぃぃぃ!!!!」
「うわぁ。」
「きゃ!すごい声!」
大きな声を出す魔族に驚いた二人は少し気後れしてしまう。だがそこへ穏やかな顔をした店主がやってくるのだった。
「お客さん、注文で?」
「あ、うん・・・・・・・この日替わりスーパー海鮮丼を二つ。」
「あいよぉ!日替わりスーパー海鮮丼は量が多いですけど。」
「大丈夫。今お腹空いてるから。」
「お残しでしたらお持ち帰りも出来ますンで言ってくだせぇ。」
「うん。わかった。」
「アーリウス!注文できた?」
「うん。海鮮丼を二つ、頼めたよ。」
「楽しみ〜〜〜〜〜〜!!!!」
そうして店内の物を眺めながら待つことしばらく。人の顔ほどもある大きさの丼を持った店主がやってくる。
「日替わりスーパー海鮮丼お待ちぃぃァ!!!」
「うわぁぁぁぁ〜〜〜〜!!!」
「す、すごいやこれは。」
「ちょっと説明させていただきやす。こちらがマグロ、あじ、さば、コハダ、たい、はまち、えび、真ん中にうにです。」
「あ、はい。」
「???」
二人は説明されてもわからなかった。だが美しく切り並べられた海鮮丼は素晴らしくうまいとわかる。
「食べよ食べよ!!」
「待ったイリス。このショーユをかけて食べるんだって。」
「そうなの?」
醤油を一回ししてアーリウスがマグロをひとつかみして口に運ぶ。とろけるようなマグロはひんやり、ねっとりと口に旨味を溢れだしていく。
次はあじ。鉄色のしっかりとした身のあじは歯ごたえがあってたくましい旨味を前進に届けた。美味い。最高に美味い。
イリスはどうだろうと見ると匙でコハダを持ったまま固まっている。その視線の先には先ほど大声を出していた魔族がいた。
「うおおおおおお!!!!ソースカツ丼も最高だぜぇぇぇぇ!!!!」
「・・・・・・。」
「イリス?」
イリスは匙を戻し、魚の下に敷かれていたしろいつぶつぶ。アーリウスはこれがコメかと推測した。
そのしろいつぶつぶとコハダを一緒に掬い。一気に頬張った。その瞬間。
イリスの顔が輝く満面の笑みに変わりガツガツとコメと魚を一緒に食べ始める。
アーリウスは何かわからなかった。だがもう一度先ほどの魔族を見てようやくわかった。
ソースかつ”丼”と海鮮”丼”この二つは全く違う料理でありながら同じ料理だったのだ。
「そうか・・・・・・丼はコメと一緒に食べる料理なんだ!!」
気付いたアーリウスも早かったガツガツと夢中で食べ始めあっという間に丼を空にする。イリスも一足先に丼をからにしており。満足げに腹をさすっていた。
「海鮮丼、美味しかったね〜〜!!」
「ああ、人間の料理はすごいよ。」
そこに店主が熱いお茶を持ってきてくれた。最近始めたサービスだと聞いた。満腹で飲む熱いお茶はなぜだか大変美味しく感じて二人は追加の満足を味わったのだった。
「また来ようね!アーリウス!」
「うんイリス。ほかにもいっぱい美味しい物があるよ。」
セイレーン。海の魔物。遭遇すれば大変な魔物ではあるが、こうして出会うことが出来れば見た目相応の少年少女達である。