フィジギフオリ主in新エリー都   作:しじみを食べるクジラ

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自分なりにゼンゼロのストーリーを調べ、解釈しましたが、間違っているところがあるかもしれません。それでも良いという方はどうぞ!


絶影、やっぱり巻き込まれる

いつもは煌々と輝いているラーメン屋が今は息を潜めるかのように暗くなっている。夜もかなり更けた頃、おっさんから世間話という名の忠告を受けた俺は六分街に帰ってきていた。

……チョップ店長はもう店を閉めたんだな。せっかくだからラーメンを食べようとしていたんだが。

まぁいいや、また明日にでも来よう。

そんなことを考えながら心地良い静けさに包まれた道を歩く。そして数分もしないうちに今の自分の家であるビデオ屋に帰って来ることができた。

しかしそこで重大なミスに気がつく。

 

「あ、やべ。鍵持ってくんの忘れた」

 

そう、いつもは肌身離さず持ち歩いている鍵を今日に限って置いてきてしまったのだ。うーん、どう考えてもこれ詰んでね?仕方ない、久しぶりに野宿でもするか。俺が諦めかけたその時——

 

「クロウ、おかえり。今日は一段と遅かったね」

 

扉からアキラが顔をのぞかせていた。

差し込んだ月明かりが、いつもと違って髪を下ろしているアキラに重なる。それは一瞬幻かと疑ってしまうほどに幻想的な光景だった。

その神秘的な姿に少しドキリとしながらも俺は返事を返す。

 

「ただいま、アキラ。助かった、今日は鍵を持っていくのを忘れていたんだ」

 

「それは災難だったね。さ、中に入るといいよ。何か温かい飲み物でも飲むかい?」

 

「いや大丈夫だ。それにしてもよく俺がいるって分かったな」

 

「当然さ。だってキミには僕とリンが一生懸命つけた匂いが——おっと。……まぁクロウは家族だからね。どこにいても分かるさ」

 

最初何やら怪しげな言葉が聞こえた気がするけど、気のせいだろ。

それにしても「家族」か。アキラからそんな風に思われていると知って、何だか嬉しくなる。俺に「家族だ」何て言ってくれたのはあのおっさんと()()()ぐらいで——そこまで考えて強制的に思考を停止させる。これ以上考えてはいけない、思い出してはならない。

 

「クロウ、大丈夫かい?」

 

アキラが心配そうに問いかけてくる。

 

「……あぁ、少し疲れただけだ」

 

「ふむ、そうかい」

 

 

アキラは少し考える仕草をすると、俺に抱きついてきた。え?何で?俺が内心で困惑していると耳元でアキラが囁いてくる。

 

「リンには許したんだろう?なら僕がダメな理由はどこにもないはずだ」

 

「あれは不可抗力で——」

 

その瞬間ぞわりとした寒気が俺を襲う。

 

「キミは不可抗力だったら、誰にでもこんなことを許すのかい?」

 

横目に見るアキラの目が心無しか濁っているような気がした。

 

「……ソンナワケナイダロ」

 

「それは良かった」

 

危なかった。何が危ないかは分からないが、とにかく危なかったことだけは分かる。先ほどよりも満足気に、そして力強く抱きしめてくるアキラを見ながらそう思った。すごい、いい匂いがした。

 

 

 

 

 

 

デュラハンを狩ってから二週間ほど経ったある日、再び依頼が入った俺はホロウに出向こうとしていた。

 

「気をつけてね?最近はホロウによる事故も多くなってるんだから。街中でも避難指示があったらすぐに従うんだよ?」

 

「あぁ、分かった」

 

と言っても俺が今から向かうのはまさしくそのホロウなんだが……

 

「リンの言う通りだ。安全第一に行動するようにしてくれ」

 

「心掛けておく」

 

今日の見送りは珍しく二人揃っている。いつもは片方がいない事の方が多いから、何だか新鮮だった。

 

「それじゃ行ってくる」

 

「クロウ!行く前に……」

 

何だ、と思って振り返ると少し照れながらリンが両腕を真っ直ぐこちらに伸ばしていた。どうやらまたハグがしたいらしい。そういうことかと納得して俺もリンを迎え入れるように腕を広げる。リンが幸せそうな顔をしながら俺に飛び込もうとしたが、

 

「ぐぇっ!?」

 

リンの首根っこを後ろからアキラが掴んだことで不発に終わった。

 

「リン、そんなにハグがしたいなら僕とすればいいじゃないか。懐かしいね。子供の頃キミが「雷が怖いから」と言って僕の布団に——」

 

「ちょちょ、ちょっとお姉ちゃん!?」

 

顔を真っ赤にしたリンがアキラの言葉を遮る。

 

「うん?何か問題でも?」

 

少し悪い顔をしたアキラがおもしろげに言う。

……こういう時の顔、リンとそっくりなんだよな。

 

「うー……この独占欲高め依存型ヤンデレお姉さん属性め」

 

「おや?分かっているのなら、僕の前で軽々しくああいった行為をするのは控えてもらいたいな」

 

静かに火花を散らす二人。それを尻目に俺は二人に気づかれないように、静かにビデオ屋を出る。触らぬ神に祟りなし、だ。

 

 

 

 

 

 

 

犬のようなエーテリアス—— ハティが声すら残さず、塵となって消える。

そんな仲間の死に様に動揺したのか、残りの一体がじりじりとこちらから距離を取り始め——最終的に背中を向けて勢いよく逃げ出していく。

しかしそれを逃す俺ではない。脚に力を溜めてそれを一気に押し出し、加速する。そして追い抜き様に逃げようとしていたハティの首を斬り落とした。首無しの骸がゆっくりと倒れ、それもやがて塵へと変わる。

場所は原生ホロウの一種であるクリティホロウ。ここにいるハティを狩るのが今回の俺の仕事だった。それも、もう終わったが。

さて帰るか。そういえば確かここのホロウの近くにでかいビルがあったな。依頼が案外楽に終わって退屈していたし、せっかくならそこにいっちょ観光に行ってみるか!そうと決まれば善は急げ、さっそく出発しよう。そして俺は再び脚に力を溜めると、勢いよく走り出すのであった。

……この選択が自分の首を絞めることになるとは知らず。

 

 

無事に外に脱出し、しばらく街を歩いていた俺は目的のビルに到着した。しかし、不思議な事に周りには誰もいない。

なんか嫌な予感がするな……だがここはホロウの外。そうそう大きなことなんて起きるはずないか——

それがフラグだったのかは不明だがその瞬間、突如として街がホロウに飲み込まれたことが空気を流れ出したエーテルによって分かった。

 

「は?どういうことだ?確かに俺は街を歩いていたはずだが……」

 

その疑問に答えるかのようにアナウンスが流れ始める。

 

—— 十四分街で共生ホロウが突如発生  

  近隣住民は指示に従って避難してください——

 

 

なるほど、ホロウ災害か。俺は体質のおかげでどれだけホロウにいても問題ない。なんならホロウで野宿していたこともあったぐらいだ、おっさんに怒られてやめさせられたが。避難指示が出ていると言っても今は緊急事態、避難場所は大混乱だろう。それに巻き込まれるぐらいなら他の場所に身を潜めた方がいい。幸い目の前のビルの上らへんはホロウの範囲外のようだ、エーテリアスに襲われる心配もないだろう。さっそく行こう。そう思いながら俺は()()()()()()()()扉から中へと侵入した。

 

 

 

 

 

 

 

クロウがある高層ビル内へと侵入したのとほぼ同時刻、リンはソファに座りながらテレビのニュースを見ていた。

 

『…速報です』

 

『十四分街で共生ホロウが突如発生、管制レベル3を突破…ホロウ調査協会が緊急対応に当たっており、近隣住民の避難誘導を進めています。十四分街に近づかないようお願いいたします。近隣住民は指示に従って避難してください。繰り返します——」

 

「お姉ちゃん、このニュース見て」

 

リンが不安気に言う。

 

「どうしたんだい?……十四分街…確か他のニュースで…待ってて」

 

思うところがあったのかおもむろに何かを調べ出すアキラ。

 

「うん!ヤヌス区がね、管制レベル3を超えたって」

 

「やっぱり。治安局がそこで今日捜索をしている。避難は手こずるだろうな……」

 

「それって……」

 

リンが何かを察する。

 

「準備しておこう。近々……『仕事』が舞い込むかもね」

 

「うん分かった……クロウ、大丈夫かな?巻き込まれてないと良いんだけど」

 

「確かに心配だけど、彼は常人よりはるかに上の実力を持っている。それにホロウにどれだけいても異化することはない。ここは信じて帰りを待とう」

 

「……お姉ちゃん、クロウが()()()()()()()()()()()のをこのまま黙って見てるつもり?」

 

その言葉にアキラが少し考え込む。

 

クロウが隠し通せていると思っている秘密。しかし、二人はこれでも伝説のプロキシ「パエトーン」。人一人の行動を洗い出し、隠された真実に辿り着くぐらいわけないのである。さらに言えば一緒に生活してもいる。スマホにGPSを仕込むことも容易いのであった。今はホロウに入ってしまったのか信号は途絶えてしまったが……

 

「僕もやめて欲しいとは思っている。何なら一生養ってあげたいしね。だけど、これは彼自身の決断だ。僕達にできるのは信じて待つことぐらいだけだよ。

……いつか彼が打ち明けてくれることをね」

 

その言葉にしぶしぶと言った感じでリンが頷き、二人は各々やるべき作業を始め出す。

 

そして当の青年はというと——

 

 

 

 

「待てこら!」

 

「逃げんな!」

 

待てと言われて待つやつなんているわけねぇだろ!

 

現在進行形で赤牙組の団員に追われていた。

……邪兎屋の三人とともに。

 

 

 

 

 

[悲報]なんか呑気にビル内の観光を楽しんでたら、ガラの悪い連中に追われている三人組に巻き込まれたでごわす。

 

いきなり曲がり角から三人一斉に飛び出してきたため反射的に俺も混ざってしまったが、よく考えたら別に逃げなくても良かったんじゃね?

だって気配消せるし。その隠密力たるやタナトスが、後ろからぶっ刺されるまで気づけないほど!

ていうかまた「曲がり角」か、前回も曲がり角から面倒ごとに巻き込まれたような……曲がり角を曲がろうとしたら事件に巻き込まれる呪いにでもかかっているのだろうか。ひとまず状況を整理するために一緒に逃げている三人に質問をする。

 

「お前たちは何者だ。それにどうして追われている」

 

「あんたこそ何であたしたちと一緒に仲良く逃げてんのよ。もしかして知り合いだったりする?」

 

質問に質問で返されてしまった。てか仲良くって……そっちが巻き込んできたんだろうが。まぁそんなことを言っても仕方ない。とりあえずまずは自己紹介だよねの精神で自分の名前を言う、もちろん業界での通り名で、だが。

 

「いや、初対面だな。俺は絶影と言う。これからよろしく」

 

「え゛、あんたが()()絶影なの!?」

 

「まじかよ!?ニイチャンが()()のホロウレイダー、絶影なのか!?」

 

めちゃくちゃ驚かれた。いつも思うんだが、何でみんな俺の通り名を聞くたびにに「あの」とか「伝説の」みたいな枕詞をつけるのだろうか。ただ人より少し速く動けたりするだけだぞ。ちなみにこの「絶影」という通り名は割と昔についた。

不意に着ているコートの裾を掴まれた。何だと思って見てみると、白髪の少女がこちらをじっと見ている。申し訳ないが、走りづらいから早く手を離して欲しい。

 

「何か用か」

 

「………けた」

 

「?悪いがもう一度——」

 

「やっと見つけた。もう離さない」

 

………は?どゆこと?この子はこれが平常運転なのだろうか。そう思い他の二人を見ると、二人とも口をあんぐりと開けて唖然としていた。

 

「あ、あ、あ、アンビー!?急にどうしたのよ!?」

 

「ニコ、ビリー。この人は『邪兎屋』に連れて帰る。これは決定事項だから」

 

「アンビー、本当にどうしちまったんだ!?」

 

なるほどピンク髪の女性がニコ、陽気な機械人がビリー、そして少し様子のおかしい白髪の少女がアンビーと言うらしい。

そうして当事者である俺を省いて繰り広げられる口論。

俺、この子に金借りてたりしたっけ?()()()借りたことがあるやつはいるが……それに連れて帰るとは。俺に拒否権はないのか?

 

俺が自分自身の人権について考えている間に、壁が一面ガラス張りの部屋に着いていた。ふと見るとまだこちらを見つめているアンビー。いつの間にか、コートの裾ではなく俺の手を握っている。

視線に気付いたのかアンビーが話しかけてきた。

 

「これ『恋人繋ぎ』って呼ぶらしいわ。映画でお互いに愛し合った男女がしているところを見た。私達にピッタリだと思わない?」

 

「………」

 

景色綺麗だな〜(現実逃避)

 

妙な空気を払拭するかのようにビリーが声を上げる。本当にありがとう。

 

「窓だ!ニコの親分、窓から出られるぜ!」

 

「でもあの下はホロウで…くっ、仕方ない。とにかく外に出られれば…ガラスを割ってくれる、ビリー?」

 

「楽勝!任せとけっ!」

 

ビリーが意気揚々と弾丸を放つ。が、

 

「えっ」

 

ニコが思わずと言ったように声を出す。

 

それもそのはず、銃弾が命中したガラスはヒビすら入ることはなく、それどころか銃弾を弾き返す。そして弾き返された銃弾は上にある、テレビを吊るしていたケーブルを綺麗に撃ち抜いた。当然重力に従って落ちてくる、当たったらただでは済まなそうな厚さのテレビ、もとい凶器。

そんな凶器が、

 

「あ…」

 

運悪く真下にいたビリーの頭に直撃したのであった。

 

場が少しの間静まり返る。

……尊い犠牲だった、俺はお前のことを生涯忘れない……

 

「弾かれた、丈夫そうね」

 

少しの沈黙の後、アンビーが冷静にそう言う。

そろそろ手を離してくれないかな。万年童貞の俺には少し刺激が強すぎる。

 

「ああもう、やっぱそう簡単にはいかないか。この窓は——」

 

ニコが焦ったように話していると、

 

「——強化した防弾ガラスだ、おめぇらの火力じゃ割れねえよ」

 

「何でも屋の邪兎屋……」

 

リーダー格っぽい銀髪の男とその取り巻き多数が俺達を囲むように現れた。

 

「なぜ…赤牙組の縄張りで盗みを働く?俺の兄弟たちが苦労して……くっ……」

 

何故この人は泣いているのだろうか。

……うん?赤牙組?

 

「研究所を襲撃して金庫を盗み出したのはあんたたちでしょ! あたしたちは盗まれた物を取り戻すっていう依頼を引き受けただけよ!こっちが悪いみたいに言わないで!」

 

研究所?金庫?

うーん、なんか聞いたことあるような……

 

「うぅっ…!お互いストリートで生きる者同士じゃねえか、なんだって……急に治安局のために働く?」

 

「残念だけど、あたしの依頼人は治安局じゃない。まあ、おっさんには関係ない話だけどね」

 

銀髪の男がいきなりキレだす。

 

「関係あるに決まってんだろ! おかげで赤牙組の縄張りに犬を放った奴を、懲らしめなきゃいけなくなったじゃねぇか!!」

 

あ、思い出した。これ俺の依頼主のおっさんが「巻き込まれないよう注意しろ」って言ってたやつじゃん。何が「巻き込まれる確率なんてほぼゼロだろ」、だ。誰がどう見ても巻き込まれてるじゃねぇか。過去の俺をぶん殴ってやりたい。そう考えている間にも話は進んでいく。

 

「ああ…本当に、本当にあれを返す気はねぇのか?赤牙組にとって非常に重要な物なんだ……」

 

「おめぇらの命と引き換えにしてもいいんだぞ……!」

 

またもや豹変する男を見て、この人大丈夫かなと心配になる。

 

「たった3人のために組全体が動くだなんて、これが『シルバーヘッドの涙』ってやつ?噂よりイカれてるじゃない……ん?」

 

その時ニコが何かに気づく。

 

「待った!あれって閃光弾?」

 

「そう、GSII型高ルーメン軍用閃光弾、爆発時の非常に強い明るさが特徴」

 

ニコの質問にアンビーがスラスラと答える。

 

はえ〜、よく知ってるな。普通に尊敬…………………

できないな、うん。俺を連れ帰る、何て様子のおかしいことを言ってこなければ素直に賞賛できたかもしれない。

 

「よかった~。起きる時間よ、ビリー!」

 

ニコがそう言った瞬間、気絶しているとばかり思っていたビリーが近くにいた赤牙組の組員からその閃光弾を盗む。

 

「なに!?」

 

「頼むから目ぇ閉じるなよ!チーズ!」

 

ビリーが閃光弾のピンを抜く。その瞬間辺りは眩い光に包まれた。

 

 

突然のことに混乱する組員達。

 

「くっ、うぅ……やっぱり……やっぱり抵抗を選ぶのか!くぅ……これじゃっ、おめぇらを——」

 

「——おめぇらを、皆殺しにするしかなくなったなぁ!?」

 

そう言いながら銀髪の男が襲いかかろうとしてくるが、それに対してニコは不敵な笑みを浮かべながら言う。

 

「ほほほほほ、勘違いしないで、嘘泣きのおっさん。あんたの相手はあたしたちじゃなくて……」

 

「あっちだよ~」

 

ニコ、ビリー、アンビーが窓の外を指さす。その方向には厳ついヘリらしきものが飛んでいた。

俺も指さしとこ。

 

『長官、こちらフクロウ4、正体不明の発光地点に到着しました。赤牙組を発見——』

 

『繰り返します、赤牙組を発見。指示をお願いします』

 

「ボ、ボス、治安局の航空隊だ!」

 

公的機関の出現に慌て出す赤牙組。

 

「さっきの閃光弾は…攻撃ヘリコプターの注意を引くためだったのか!?」

 

「やっと気づいたの?ほらほら、今度は嘘泣きのおっさんが選ぶ番だよ~このままあたしたちとやり合って治安局に捕まるか、それとも撤退してみーんな安全に乗り切るか、どっちにする?」

 

「くそっ…邪兎屋め——!!」

 

「虎を制して狼を食らうのが兎の知恵ってもんよ、悪く思わないでね」

 

お〜、かっこいい。俺も邪兎屋入ろうかな、いまだに持っている少年の心が疼き出す。くっ静まれ、我が封印されし力よ……

冗談はこの辺にしといて、これで万事解決かな。あとは治安局に任せて、ここからトンズラこけばいいでしょ。唯一の懸念はいまだにがっちりホールドされている俺の右手だが……まぁ、関節外せばなんとかなるか。

 

しかしその場に誰も予想していなかった事が起きる。

 

「なに?赤牙組の(自主規制)を発見した?」

 

「何(自主規制)してんだ長官!」

 

「最大口径のやつを選べ!!正——義——実——行——だあああ!!!」

 

この部屋にあるテレビから聞こえてくる罵声。

確か逃げてる時もこの声を聞いたな。この人記者じゃなかったっけ?この気性の荒さなら治安官の方が向いているんじゃないか?

と言ってもただの一介の記者の言葉を治安局が真に受けるわけ——

 

『フクロウ4、攻撃命令を確認』

 

「やばっ……!」

 

ニコがそう呟くのを聞いた途端、体を凄まじい衝撃が襲う。気づけば俺達は外に投げ出されていた。

 

「後でクレームを出してやっからな!」

 

ビリーの叫びがこだまする。

よし、俺も治安局に問い合わせのメールを送ろう。

そう決意するのと()()()()()()がホロウに飲み込まれるのはほぼ同時だった。

………あの、いつ手を離してくれるんですかね?

 

 




ちなみに主人公君は過去、正確には幼少期にあった出来事が原因で昔のことを思い出すのを嫌っています。その影響か、自分が助けた人のこともまったく覚えていません。というよりも忘却しています。つまり何が言いたいかというと、こいつはクソボケだということです。
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