When The "Saints" Go Marching In Ivalice   作:N22b

46 / 52
42 Millennium Chronicle

B.B. 763 3月25日 ミュロンド

 

 かつての聖都の殆どは地殻ごと削り取られ、今は海となっている。1割ほど残された北東部の街区から重機が廃材を運び出し、城壁ゲートを経由して外へと運び出していく。アジョラが蘇らせた1千万の住人達は身一つで郊外に放り出されため、住居はじめ生活基盤を急ピッチで作らなければならなかった。あの日から1年半がたっても、8割方はろくに日も差さない城壁ビル内か、バラック住まいだ。

城壁ビルの屋上から、少年と中年のコンビが城壁外の工事の様子を眺める。

「で、決めたのか?」

中年が尋ねる。

「何を?」

目線は下のまま、少年が問い返す。

「「教団」の名前だよ!いつまでも名無しじゃ締まらない、ってこないだ言ったろう?人に代表押し付けてるんだ。チャチャっと決めてくれ。」

「決めてるよ。「グレバドス教会」だ。」

「エラく安直だな。ブルオミシェイスの本家が何か言ってくるんじゃないか?」

少年が視線を中年の方に向ける。

「しょうがないさ。僕はもっとイカした名前にするつもりだったけれど、ライオネルの皇帝が、その名前で立ち上げちゃったんだ。僕より先に、使徒の皆を集めてね。」

中年は目を丸くする。

「マジか・・・どうするんだ?それじゃあ、いよいよ同じ名前じゃ問題ありなんじゃないのか?」

少年は肩をすくめる。

「まあ、正直、予想外だったよ。あの皇帝が、そんなに「姉さん」にイカれてたなんてね。同盟諸国の元首も噛んでるらしい。でも、別の名前にはしないよ。拝む相手は一緒なんだし、商標権があるわけでもない。それに、下手に分かれて派閥抗争みたいになったら、姉さんが悲しむ・・・って、そんな不安そうな顔しないでよ。話はちゃんと付けるさ。ほら、噂をすれば・・・」

中年の後ろ、少年の視線の先には、双子らしきヒュムの姿。

「お久しぶり。ゲーナさん、ミーシャさん。」

「そうでもないだろ、アディ。サドルさんの1周忌以来だ・・・。もしかして、そちらが「リシュリュー代表」?」

名を呼ばれた中年、ミラン・リシュリューは双子に軽く会釈をすると、少年アドルフ・ゲルモニークに尋ねる。

「彼等は?」

「「使徒」だよ。「マフディ団」の方のね。バンガのサドルさんにヨシフさん、シークのヒューさんとメイさん、ヒュムのゲーナさん、ミーシャさん。あとは姉さんで、子供クラン「マフディ団」だ。」

ゲーナが笑う。

「まあ、俺達二人は雑務諸々、地味担当だったんだけどな。シルバニア組(ファミリー)みたいな専門技能も無けりゃ、サドルさんみたいなリーダーシップもヒュー達みたいな体力も無い。今更だけれど、よくやってたもんだ。」

「卑下しないで下さいよ。国境地帯の殆どの集落はヒュムが多数派なんです。同じ種族のあなた達が顔繋ぎや挨拶に奔走してくれたから、何でもスムーズに話が進んだんじゃないですか。僕は子供だし・・・。それに・・・」

「それに?」

「マージャンは、あなた達2人がダントツで強い。」

2人がゲラゲラと笑い出す。

「そういや、そうだった。俺達の一番大事な仕事は、アジョラの徹マンに付き合うことだった!」

「アイツ、役が覚えられないからって、自分で勝手に技名つけたんだよな。なんだっけ・・・」

「大四喜(グランドクロス)とか、七対子(双剣乱乱れ打ち)とか!まあ、アイツは役満狙いで自滅してばっかだったけどな。」

傍で話を聞いていたリシュリューが呆れたように鼻息を吹く。

「本当に・・・話を聞く度に、君達がどういう集団だったのか分からなくなる。宗教団体なのか、工作組織なのか開拓家なのか・・・失礼だが、子供の仲良しクランみたいに思える事も。」

「多分、全部ですよ。」

ゲーナが答える。

「今、リシュリューさんが言った中で一番遠いのが、宗教団体なんじゃないですか?」

「そりゃ、大いに問題ありだ!」

ミーシャが突っ込み、また笑う。笑い終わるのを待って、アドルフが切り出した。

「とにかく、来てくれてありがとう。皇帝と会って話す前に、そちらの状況を聞いておきたくて。勿論、こちらの状況を伝えたい、ってのもあるけれど・・・。」

 4人は車座になって話し込む。話して分かったことは、同じくアジョラを奉じる、といってもライオネルとミュロンドでは随分と趣が違う、ということだった。オペレーション・ウォールブレイカーを土台にしたアジョラの「理想」。彼女が処刑される前日、それを聞き出したユードラ皇帝ルテールが同盟諸国元首フレイジャーと共同して立ち上げた「グレバドス教会」は、必然的にその「教義」に重きを置いた。究極的には、アジョラが目指した「神も祈りも必要ない世界。地上における「天の国」」を実現するための組織だ。彼女に対する2人の元首の強烈な贖罪意識が、組織を早期に立ち上げた原動力だった。実務集団だった「使徒」を集めたことで、現世利益重視の色彩が濃い性格に拍車がかかる。

 対するミュロンド側は、アジョラの「神性」に重きを置く。1千万のミュロンド市民は「あの日」、散々この世の終わりのような光景を見せつけられた挙句の絶望と死から「光り輝く聖女」に救われた。市民の多くは、目を閉じても網膜に浮かぶ「聖女」の顔を知っていた。ほんの数か月前には嘲り、辱め、殺し、穢れた「モノ」として扱った女の顔だった。蘇り、身一つで投げ出された郊外の平原で、誰ともなく悔悛の祈りを捧げる者が現れる。祈りは凄まじい勢いで広がり、誰も止める者はいなかった。最も頑迷な法王府本庁の高僧達ですら、同じ体験をしていたからだ。

「アレを見せられたら、もう何も言えない。」

アドルフと再会し、彼の「提案」を受けた日にリシュリューが発した言葉だ。リシュリュー自身も、一度は瓦礫の竜巻に潰された身だった。

 ミュロンドの全てが一夜にして真逆に転換した。神威を穢す大罪人が、崇め、許しを請うべき「神」に変わった。あの日から程なくして、サディアの「密命」を帯びてミュロンドに向かったアドルフが、その流れを見逃すことは無かった。人々に「神」の正体を説きながら、数少ない「信頼できる大人」であり、教会組織に精通したリシュリューを見つけ出すと、「人々には新たな拠り所となる組織が必要だ。」と説得し、渋る彼を「どうせ他にやる事もないでしょう。」と半ば強引に引き込み、「教団」の代表として、プロデュースしてしまったのだ。かつてシュワルナゼがアジョラを動かしたの宜しく、アドルフがリシュリューを動かす。彼女と違ってリシュリューには「やる気」などは無かったが、ユードラ、特にミュロンドを筆頭に旧ファラ教西大教区に過ごす人々に新たな精神的支柱が必要だということは痛感していた。万事、経典法を愚直に守る事で現世を安らかに過ごし、天国にも迎え入れられると信じて生活していた人々が、突如「それは無意味だ」と宣告されたのだ。リシュリューは渋々ながらも「役割」を受け入れ、「悔悛し、目覚めた元ファラ教僧侶」を演じる。幸いにも、新たな道標は既に皆の瞼の裏に焼き付いていた。そんな背景で出来上がった「教団」に教義らしい教義などあるはずもなく、ただただ「救い主を死に追いやった罪を悔い、赦しを請うてその奇跡と威光を讃える」ための組織として成長した。そこには(御託はいいから、お前等は死ぬまで姉さんに謝れ。)というアドルフの復讐心も隠されていた。

 東西2つの組織の毛色の違いは一朝一夕には合わさりそうもなかった。既に互いが千万単位の人間を巻き込んだ「うねり」となり、主導者達だけが頭を合わせてどうにかなるものでもない。時間をかけてゆっくりと歩調を合わせていく事で合意する。

 話題は「聖石」の事に移る。保有状況を問うたアドルフに、ゲーナは「行方不明になったネルベスカの「7号・改」にセットされたままの「キャンサー」、セレーナが回収後、沖合いの孤島に隠蔽投棄した「サーペンタリウス」と、アドルフが持って「いた」「リーブラ」以外の、自分達が託された分は、厳重に管理している。」と答えた。サドルの一周忌の時にはアドルフには伝えられなかった、サドルと「サーペンタリウス」の件を伝える。この件は国の指導者達にも伝えてはいない、とも。話を聞いたアドルフは、驚く様な素振りをみせつつ、心中で密かに「自信」を深める。「司令塔であり動力源でもある「聖天使」を失った「異形者達」がどのように振る舞うか」を示唆するこの情報は、自身がサディアから聞かされた「知識」と一致していた。

「「ヴァルゴ」と「レオ」は必ず掌握しておけ。その他は、手元にあればベストだけれど、無くても無理はしなくても良い。」

それがサディアからの「指示」だった。

「ヴァルゴ」の捜索をライオネル側と共同で行うことを考えていたアドルフだったが、喉元まで出たこの提案を飲み込む。2人の「使徒」と話す内に分かったからだ。(この人達にとって、姉さんそのものはもう「過去の思い出」なんだ)と。その「理想」を実現することが彼女を生かす事だと考えている。それはそれで悪いことではない。普通に考えれば、それが残された者の「あるべき姿」だ。だがそれは「サディアが自身に託し、自らもまた強く願う」ものとは違う。

アドルフは2人と話しながら、思いを巡らせる。

(彼等や元首達に、あの人と僕の「本当の目的」を持ちかけても、恐らく共有はできないだろう。それなら「ヴァルゴ」は僕達だけで探し出すべきだ。)

 

 再会を約束し、2人の「使徒」と分かれる。「方針を変えるのか?」と問うリシュリューに、「このままでいく。」と答える。「本当の目的」を達成できる組織を作るに当たって重要なのは、アジョラの「教義」よりも彼女自身に対する尊崇の念なのだ。

 

「そう言えば・・・」

そう言いながらリシュリューは懐から一冊のファイルを出し、アドルフに差し出す。

「言われた通り、読んだよ。「ゲルモニーク・レポート」・・・」

「どうだった?」

ファイルを受け取りながらアドルフが尋ねる。リシュリューの顔は困惑気味だ。

「以前、君が私に教えてくれた、君とアジョラの話とは随分違うな・・・時系列は概ね事実ベースなんだろうけれど、エラく殺伐としている。このリポートに出てくる君と彼女は、徹頭徹尾、冷徹な敵対者だ。どちらも「実物」より数段は「あくどい」。同盟諸国に切り捨てられたが故の彼女の「自立」も、このリポートでは私欲に目覚めた野心家のそれだ。そして、帰依する教会に認められんと、ひたすらに己を偽り、聖者の化けの皮の剥がそうとするゲルモニーク・・・。似たような特別用務員のリポートを何度か読んだことがある。一見淡々と、無機質だが、裏には用務員のドス黒い執念が詰まったリポートだ。まあ、そうでもなけりゃ、長期潜入なんて務まらないんだろうが・・・」

溜め息をついて続ける。

「君はこんなモノをでっち上げてどうしようというんだ?神ならぬ彼女の「本当の姿」を残そうとしたんじゃなかったのか?」

「違うね。」

アドルフはさらりと否定する。

「このリポートは、「ミュロンドの奇跡」を経験していない、後世の世代に託すモノだ。それも、極めて限られた「管理者側」にだけ共有される。オーボンヌに居た僕は見ることができなかったけれど、あの日、あなた達は、姉さんが起こした「奇跡」を目の当たりにした。そんな人達にこのリポートを見せても、信じはしないだろう・・・。でもね、世代が変われば、確かな「記憶」はやがて不明瞭な「伝承」に姿を変えて受け継がれ、「信仰」は裏付けなく強化される。アジョラ・グレバドス「本人」も彼女の「奇跡」も知らず、地に足のついていない「伝承と信仰」だけを受け継いだ、「敬虔な」信徒がコレを読めば、どう感じるかな?」

「そりゃ、幻滅するだろう。正直、ここに書かれてるような彼女とは、信者どころか友達にすらなりたくないぜ。」

「うん、そうだね。でも、それだけかな?このリポートを書いた「アドルフ・ゲルモニーク」は、アレン・フォッシュに与えられた任務を完遂し、法王ディ・ヴォウスに感状を下賜されて悦ぶ、生粋のファラ教徒だ。そんな彼の一方的な視点で書かれたこのリポートを、そのまま受け入れられる?」

リシュリューは眉間にシワを寄せて腕を組む。

「・・・少なくとも、疑念は抱くだろう。私なら、真実はどうだったのかを知りたい。」

リシュリューの回答に、アドルフは「我が意を得たり」という風に満足げに頷く。

「真実を知るために、一番確実な方法は何かな?」

リシュリューは肩をすくめる。

「馬鹿げちゃいるが、本人に会って直接問いただすことかな。「どっちが本当の貴女なんですか?」ってね。」

アドルフは頷くと、不敵な笑みを浮かべながら、受け取ったリポートの末尾に、懐から取り出した数ページを追加する。

「そんな貴方に大チャンス!御本人に「会って、話せる」方法が、ここに載ってます。頑張って彼女を「復活」させないとね。」

リシュリューは、わけがわからないという風に首を傾げる。アドルフが続ける。

「姉さんは、死んでない・・・居るんだよ。あなた達が本当なら飲まれていた、あの「無」の世界にね。僕が今、追加したのは「指南書」だ。アジョラ・グレバドスに「会う」ためのね。とことんまで信じたものを崩され、それでも真実を知りたいと願う者だけが、このリポートと「指南書」を扱う資格を持つ・・・読んでみるかい?リシュリュー代表。」

リシュリューは即決で首を横に振る。好奇心が全く無いわけではなかったが、直感的に「そこには踏み込むべきではない。」と感じたからだ。

「残念だが、そこまでの探究心は、私にはない。私がこの役目を引き受けたのは、あくまで寄る辺を失ったファラ教徒達に「次」を与えるためだ。それ以上の面倒を引き受けるつもりはない。」

アドルフは声を上げて笑う。

「あなたならそう答えると思った。いいんだよ、あなたはそれで!頑張って、組織を固めていこう。まずは、人がいないと何も出来ないからね。「ヴァルゴ」を探し出すことも、「その時」が来るまで「リポートと指南書」を受け継ぐことが出来る人を見出すことも・・・」

そして背伸びをすると目線を再び工事現場に向ける。

「だから、僕が外向きに名乗ることは無い。あなたにも最初に言った通り、「目覚めた人ミラン・リシュリューに拾われた、記憶も名もなくした少年」で通す。「アドルフ・ゲルモニークを名乗った、リュビという男」は、法王府の公式記録どおりの「忠実な任務遂行者」にして「裏切りの使徒」、全グレバドス教徒の「敵」だ。僕とは関係ない。今は何処にいるかも分からない・・・。」

リシュリューは溜め息を付いて苦笑いする。

「なるほど。私をスカウトして「代表」なんかに仕立て上げたのは、単に「組織を作れる大人」を探していただけじゃない。君自身がそうやって裏で自由に動くためだったんだな。その最後の数ページに書かれた「君の本当の目的」のために・・・」

 

「無もなき少年」アドルフは、はにかむ様な笑みと視線だけで答える。

(まあ、僕自身も「使われる側」なんだけれどね・・・本物の「悪党」は、あの「兄さん」さ。)

 

「崩壊」の兆候は、すでに現れている。何千年もの間、国境地帯に沿うように広がっていた「ヤクト」が消滅した。逆にアルケイディアでは、首都周辺に突如「ヤクト」が広がり、グロセア・リングで支えていたビル群が崩壊する大惨事が起きていた(常日頃アルケイディスの超々高層ビルを「エセ摩天楼」と野次っていたミュロンドの建築技術者達は内心喜んだという)。ミストの変化に敏感な「森のヴィエラ」達が「危険な予兆」を騒ぎ始めている。穀物の作柄も、漁獲も明らかに去年より悪い。全ての環境が不安定になりつつあった。

 

 「聖天使」は、数千年前のオキューリアとの戦に敗北し封印された後も、アジョラと融合した後も、存在する限り「仕事」は続けていたのだ。本来ならば停滞していた生命の流れを加速させ、乱れていたはずのミストを安定化させ続けていた。サディアと融合した「審判の霊樹」が、周りの時空ごと「彼女」をこの次元から消し飛ばしたその瞬間まで、無意識的に続けていたのだ。「彼女」の喪失は、「淘汰の果ての進化」の為にこの星が全ての生命に課そうとしていた「試練」の再来を意味していた。それ故にゲルン達が取り得なかった「策」をサディアは断行した。分かっていて、それでもやったのだ。

 

「兄妹連携プレーでイヴァリースを「ご破算」にする。」

 

彼の言葉が現実になる時が近づきつつあった。

 

 アドルフは身震いすると、城壁の外に背を向ける。

「じゃあ、僕は少しばかり暇をもらうよ。暫くは宜しくね。」

リシュリューに伝えると、エレベーターに通じるドアに向かう。

リシュリューは首を横に振りながら苦笑いする。

「また、オーボンヌか?君は本当に自由人だな。羨ましい限りで・・・」

 アドルフは、歩みを止めて振り返る。その顔は半ばあきれ、だがどこか嬉しそうにも見えた。

 

「自由人?僕は超多忙だよ。あの「兄妹」は特別、人使いが荒いんだ。」

 

 

 

 

 

 

2年後

 ミストの擾乱が進行。イヴァリース中において「ミストの安定域」が消失する。産業、インフラ防護のため、アルケイディアは「ヤクト対応型魔石」の技術を公開。ユードラはAM(アンチ・ミミック)ジェネレーター技術を公開

 

3年後

 ミュロンド南西沖にて聖石「リーブラ」回収。底引き網漁船が偶然引き揚げたものだった。

 

4年後

 ルドルフ・ルテール、ユードラ皇帝退位。グレバドス(東方)教会教主を宣言。(西方)教会ミラン・リシュリュー代表と会談。両教会の相互尊重を合意。「信頼の証」として西方から「リーブラ」、東方から「レオ」が相互に贈られる。

 

10年後

 ミスト擾乱進行により浮遊大陸(プルヴァマ)群が落着。ユードラ帝国ルザリア管区中央部において、死火山分類されていた火山が大噴火。「「神の御子」を奪われたベルベニアの怒り」と著名な詩人が詠んだ為に、地理的位置と関係なく「ベルベニア火山」の名が付く。主要国の気象学会が連名により「全イヴァリース規模の環境変動が、破壊的かつ不可逆的に進行中」と宣言

 

30年後

 シルバニア・ゼルテニア再統合。環境変化に伴う両国の国力低下が背景。ムスタファ・フレイジャーが同盟諸国元首を退位し、ゼルテニア国王に即位

東方教会教主ルドルフ・ルテール死去

 

40年後

 西方教会代表ミラン・リシュリュー死去

イヴァリース全体の寒冷化が進行。厭世主義、終末思想が広がり、特にヴィエラ、ン・モウ等の長命種に顕著な少子化傾向が現れる。

東方教会「使徒」セレーナ出奔。聖石の一部を持っての失踪だったとの説あり。

 

50年後 

 寒冷化、氷河地帯の拡大が急激に進行。寒冷気候に弱いバンガ人口が減少傾向となる。

全地域での地上部ミスト濃度の減少傾向を観測。気象学会は「今後、地上ミストが徐々に減少、概ね1500〜2000年までに消失し「魔法のない世界」が訪れる。」との長期予測を公表。

ユードラ帝国は、同予測を踏まえ、有力な代替エネルギー源として先行技術を有する原子核技術を「平和利用」を条件に主要国に共有。

 

70年後

 西方教会を「裏で牛耳る」と噂された「名無しの男」が死去。死の間際、当時の「代表」に対して、「ゲルモニーク・レポート」をアジョラの死後300年間は開けることのないよう厳命したと言われる。

 

80年後

 神聖ユードラ帝国、同盟諸国がそれぞれ解体、グレバドス教会を奉じる「西イヴァリース連邦」として再統合。ルザリア内各有力氏族の東方・西方教会帰属を巡って紛争勃発。調停に当たったゼルテニア国王ムスタファ・フレイジャーと「最後の使徒」フレアの暗殺を契機に連邦全土を巻き込む30年の騒乱となる。

 

110年後

 北部を中心に可居住地域を大きく減らしたアルケイディアの難民がダルマスカ・ナブラディア連合共和国に大挙。難民紛争の最中成立したナブラディア極右政府は「アルケイディア当局が適切な措置を取らなければ破滅的結果を迎える」と警告。その後、「隠蔽し搬入した核爆弾によるテロ攻撃」をアルケイディスに敢行。「警告は行った。」「破魔石によるナブディス破壊に対する報復の歴史的権利」として攻撃を正当化。アルケイディア側は即座に秘密裏に開発していた核弾道ミサイルによる連合共和国への反撃を実施。第二次ダルマスカ戦役はイヴァリース初の核大戦に。停戦後、西イヴァリース連邦は平和利用の約定を破った両国を非難すると同時に、「かかる情勢を踏まえた真にやむなき措置」として自国の核武装を宣言。同様の理屈でロザリア、ロマンダ等の主要国が後に続く。

 

 大国のみが核戦力・核技術を独占し、「勢力圏」の中小国に圧力をかける現状を憂いたモーグリ族のアカーン博士が独自のネットワークを構築、大戦でほぼ崩壊し核管理が破綻したダルマスカ・ナブラディア連合共和国から密かに複数の核弾頭及び核技術を中小国、武装集団に移転。

 

 西イヴァリース連邦では30年戦争の小競り合いが続く中、核戦力の管理及び配置を巡って連邦各国が牽制、そんな中、フレイジャーとフレアの暗殺を西方教会の陰謀と断じる東方教会過激派が「アカーン・ネットワーク」で入手した核弾頭によるミュロンドへの核テロを計画。計画は未遂に終わったものの、対立の深刻化を重くみた東方・西方両教会は連邦各国に「聖アジョラの威光と両教主・代表の名に於いて」終戦を指示、教会が独自に編成した軍による介入、一部領主の破門を伴う強硬策でこれを成し遂げる。終戦後、両教会教主・代表は、相互尊重の原則を遵守しなかったことが諍いの原因としてそれぞれ公式に「悔悛」、公会議の共催を約束。

 

115年後

 第1回公会議において、以下が決定される。

・(西方教会が重視する)「アジョラの神性」と彼女が居る「天国」の存在を不可侵とする。

・(東方教会が重視する)「隣人愛に基づく相互扶助」と「共同体の連携」を基盤にした「教義」を制定する。

・上2つを、統合される「グレバドス教会」の基盤見解とし、逸脱するものは「異端」として厳格に対応する。具体的には、野放図な教義解釈の拡大と過激思想を抑止するための「異端審問制度」を導入する。

・基盤見解の範疇において解釈を異にする事項が発生した場合、都度、公会議により解決するものとする。武力による解決はこれを認めない。

・新たな教会を統べる「教皇」位の創設。初代教皇を当時の西方教会代表「ベルコ1世」とし、以降は東西枢機卿位による会議「ガ・マンク・ラーベ」によって決定する。

・連邦各国家の枠を超えて教会と信徒を守護する軍事組織(神殿騎士団)を創設する。

 

 両教会の統合を強く望んだ東方教会に対し、かつてのファラ教団の失敗から組織の肥大化と教義の精緻化を望んでいなかった西方教会だったが、核テロが行われていた場合、「真の目的」を受け継ぐための「執行部」と「ゲルモニーク・レポート」を喪失していた公算が高かった事を踏まえ、軋轢を恐れて東側に大きく譲歩した形となった。

 

200年〜250年後

 一連の環境変化の中で最大の「大崩壊」が発生。沿岸部は海溝型大地震の連鎖多発による津波、内陸部は火山多発、連動する地殻変動も合わさり、都市部を中心に従来のインフラ・産業基盤の維持が不可能となる。ロザリアで「破綻した現世からの解脱」を主張する新興宗教集団がクーデターにより政権奪取。同時に、辛うじて機能を保っていた自国を含む主要国の都市・中核地域に「救済のための」核攻撃を敢行。主要国の政府機能が停止。国家による核管理も破綻、「アカーン・ネットワーク」によってばら撒かれた核が地域紛争にまで使用された結果、「文明」と「その記録」が完全に崩壊する。西イヴァリース連邦も文明の後退を強いられたものの、グレバドス教会が精神的支柱となり得たことで国家・秩序の完全な解体は免れた。

なお、「大崩壊」の余波による環境変化に伴い、ミミック菌が絶滅した。

 

300年後〜

 「大崩壊」と「核の冬」が落ち着く。グレバドス教会の主導によりいち早く復興(といっても、ようやっとで組織的農耕と手工業での製鉄が可能なレベル)、自信を深めた西イヴァリース連邦は国号を、かつて「世界」を意味した「イヴァリース」に改称。旧来のキルティア教が完全に信仰基盤を失い復興の遅れた他国から異論が出ることはなかった。

 グレバドス教会の指導力と権威が最高潮となる「黄金時代」の始まりの中、時の教皇が、代々継承された「名無しの男の遺言」に従い、「ゲルモニーク・リポート」を開く。当初、「レポート」の内容を「広く共有する」と公言していた教皇は前言を撤回。「レポート」を「聖典」に指定すると、内容を教皇とごく一部の高位聖職者のみに伝承される秘跡とした。

 

320年後〜

 各国において核戦力を含む兵器開発を主導したモーグリ族に「行き過ぎた技術が厄災を生んだ」との思想が拡散、千年来モーグリ族の定義となっていた「技術と頭脳」を捨て「原初の森に帰る」運動が世界レベルで巻き起こる。概ね100年弱の間に、主な人間の居住地域からモーグリ族は完全に消失。言語を独自化し、他種族(といってもこの時点でヒュム以外の種族は大きく数を減らし、さらなる減少も不可避となっていたが)とのコミュニケーションまで捨てたといわれる。

くぽ〜、くるくるぴゅー。

 

400年後〜

 「再温暖化」に伴い、世界全体の気候が概ね「聖天使の消失」前のレベルに戻る。主だった可居住地域の人口構成はほぼ全てヒュムとなっていた。

 

700年後〜

 ガリランドの塩田から「ヴァルゴ」発見。ミュロンドに献上される。「「キャンサー」「サーペンタリウス」「タウロス」「アクエリアス」を除く聖石が教会の元に集まった」旨が記録される。

 

900年後〜

 教皇位を巡る争いがイヴァリース内諸侯の派閥抗争と連動し内戦に発展。ミュロンドが大火でほぼ消失。「ゲルモニーク「聖典」」は、オーボンヌ修道院に避退させられたものの、移送を主導した枢機卿が殺害され、担当した神殿騎士団の部隊もその後の戦闘で壊滅したため、事実上の「紛失」扱いとなる。加えて短期間で教皇位が何度も入れ替わり、暗殺による空位期間までが発生したことで、教会の「真の目的」に関する「伝承」が断絶。「ヴァルゴ」を含む一部の聖石は、内戦末期に就任した教皇が支持を得るために諸侯に下賜し、分散。

 内戦の終結に寄与したイグーロスの土豪「ベオルブ一門」に爵位授与

 

約1200年後〜

 イヴァリース、オルダーリア間の50年戦争開戦。

 異端審問官シモン・ペン・ラキシュがオーボンヌ修道院内書庫にて「ゲルモニーク聖典」を発見。内容は二部構成となっており、後半の数ページは暗号化されていたために全く解読できず。暗号の解読表は「レオ」と共に、代々の神殿騎士団長が保管していたが、シモンがそれを知る由もなかった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。