戦国転生 4歳から始める十種影法術   作:匿名希望

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AIはコメディに弱い。
しかしプロットと、術式などの案出しはやっぱり強いですね。ありがたや。
全体をチェックしてもらったりしてますが、やっぱり抜けはあるんですよねえ。


禪院家の未来

▫️禪院扇

 

午前四時、大所帯の禪院家の朝食の準備が始まる前。

修練場にて毎朝恒例になっている勧誘という名の模擬戦が繰り広げられていた。

 

「甚爾!やはりお前は躯に来るべきだ!私の後を継げるのはお前しかおらんのだ!」

 

伸ばした髪を後ろで一つに縛り、刃を潰した刀を獲物にした特別特級術師。

禪院家、「躯」筆頭、禪院扇。

 

「無理だって、あんたみてぇな繊細なこと俺にはできねえ、それにあんたの子供も二人いるだろうが!」

 

一切呪力を纏わぬまま、禪院扇と同じく刃を潰した刀一本で渡り合うのは、整った顔立ちに野生味。

特別一級術師。

禪院家、「炳」筆頭、禪院甚爾。

 

「確かに真依はあまりにも尊き構築術式であり、真希もお前ほどではないが優れた五感を持つ。二人とも私の誇りだ。しかしまだ子供だ!今から家事を強制し、料理そのものを嫌いになったらどうするのだ!」

 

「そんなこと知るかよ、家庭の問題だろうが!」

 

「何度でも言うぞ!お前が炳などという、荒事にしか脳のない部隊にいるのは、才能の持ち腐れなのだ!」

 

「あんたこそもっと任務受けてくれよ!そしたら俺らがもっと楽を出来んだろうが!」

 

見て聞いてる周りの炳も、躯倶留隊体も、躯も苦笑いである。

 

 

 

 

 

禪院扇は慶長の時代に、禪院源蔵が発展させた躯の筆頭を継いだ禪院扇一郎を尊敬している。

一時期、禪院扇一郎はどうやら気の迷いで「炳」筆頭という立場にいたそうだ。

しかし禪院家史上最強と言われる禪院影久の死後、禪院源蔵から「躯」筆頭を継いだ。

 

それから禪院影久が残したという数々の調理法を再現し、その際にさまざまな術式の応用を編み出し、それを記録として残していた。

 

いわば焦眉之赳の教科書である。

 

禪院扇一郎は調理にあたり、炎の噴出が火力が高すぎることに難儀していたらしい。

そこで炎という現象を熱さ(この発想を江戸時代にしている素晴らしいby禪院扇)と定義し、熱量操作へ術式を解釈した。

 

結果、一瞬だけの超高音、低温で長時間、表面を焼き固める、内部だけの加熱、などが可能になった。

 

現代の調理器具が顔負けである。

 

また複数箇所において同時調理が可能になる呪力を使用しての熱量維持などにも言及されていた。

術式反転による、急激な冷却、低温での保存。つまり低温熟成すらも行っていたのだ。

 

料理の研究や、家族への『料理はいいぞ』というある種の洗脳を行っていない時。

禪院扇は禪院扇一郎の書の写しを行っている。

 

ところで、疑問が生まれないだろうか。

この程度の応用で特級になれるものなのか、と。

結論から言えば、なってしまった。

解釈を広げ、焦眉之赳を熱エネルギー操作にまで到達させてしまったのだ。

 

焦眉之赳・極ノ番『天地大竈(てんちおおかまど)』

 

関東平野全域ほどの広さの熱分布を自由に操作できてしまう。

つまり洪水、台風、など大規模災害を起こせるということだ。

本人は自分の能力を戦闘で使うことにハナクソほどの興味もないため、しばらく知られることはなかった。

 

しかし10年ほど前五条家に呼ばれた際、今代の六眼と無下限の抱き合わせ、五条悟よって、炳でも頭角を見せ始めていた甚爾を馬鹿にされたことによって、大人気なくキレた。

これは甚爾自身というより、フィジカルギフテッドによる五感の強化を軽んじられたことが原因である。

それにより、この五条悟をぐうの音も出ないほどコテンパンに叩きのめしてしまったのだ。

それも、物理的な方法だけではなく、である。

 

五条悟の味覚と嗅覚の感覚受容体の最適温度をずらしたのだ。

「甚爾に謝りたくなったら禪院家に来るといい」そう言い残し去った翌日には五条悟がやってきた。

 

「何も匂いがない、何も味がない戻せよおっさん!」「その対極にいるのが禪院甚爾、お前が馬鹿にした男だ」それから殴りかかってきたクソガキを空間ごと冷気に閉じ込め意識を失わせた後、味覚と嗅覚を戻してやり、いかに五感が優れていることが素晴らしいかを理解させた。

 

そしてなぜか、いや何故かでもないかもしれない。

同格以上の存在を欲していたのだろう、ひっじょーに懐かれた。

そして、禪院扇が戦いにこれっぽっちも興味がないと知ると大層驚き、そして何度も手合わせをしようとしてくるのであった。

 

おっさんの料理味見してやるから戦ってと、と言われそれで帰るならと相手をした。

2度目からは扇の料理を食べることそのものが目的になっていたような気がしないでもなかったが、その後産まれた娘たちの好みの味付けを探る程度には役にたったかもしれない。

 

 

酒とつまみを盆にのせ、禪院家当主である禪院直毘人、兄の部屋に入る禪院扇。

 

「おお、丁度よかった、甚爾も今来たところだ」

 

「よっ」

 

「む、甚爾もいるならそういえ、つまみも酒も足らんではないか」

 

三人での会話が始まった、当たり障りのない会話から、最近の呪霊について、直毘人の息子の直哉について、そして、甚爾が切り出した。

 

「俺の息子が、恵が十種影法術だった」

 

扇がめでたいな、とばかりに反応した。

 

「ほぉ、かの相伝か!躯に入ってくれるといいが」

 

「いや、まてまて!たしかに禪院影久はその式神で家事を手伝ったとされているが、流石に躯に持っていかれるのは困る!」

 

「うちのガキの将来を勝手に決めんなよ」

 

呆れたように二人に言う甚爾であったがその口元には笑みが浮かんでいた。

確かに十種影法術の名前は禪院家では400年前非常に重かった。

禪院影久の運用があまりにも規格外すぎたからだ。

それ以降の十種影法術も素晴らしい術式であり、流石相伝、とはなったものの影久を比較され、使い手次第という評価へと落ち着いてきたのがこの時代だった。

 

今は一対一の実力で自分に並ぶ上、破壊範囲では遥かに上回る、頼れる叔父がいる。

そして自分の子供に過度な期待を掛けてこない、甚爾はそれをありがたく思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

甚爾の息子である恵くんが、今年東京高専に入学する。

我が娘、真希と同じ進路だ。

真依は躯所属に前向きなので近場である京都校へ進学し定期的に帰ってくるが、反抗期なのか真希の帰省はこの春が初めてだ。

あれほどの才能を呪霊に振るうなど実に勿体無いのだが、本人の希望がそうであるならば仕方あるまい。

 

甚爾から恵くんが十種影法術に目覚めたと聞いてから10年、身を守れるようにと鍛え上げ、更に家事に関しても手ずから教えてきた恵くんまでも東京高へ進学するというのは、いささか堪えるものがあった。

 

「では恵くん進学前最後の手合わせと行こうか」

 

「よろしくお願いします!」

 

今禪院家には影を軸とした術式を持つものがいない。

それゆえ、私が教えることになった。

 

恵くんの調伏している式神は九体、魔虚羅を除けば全ての式神を調伏済みということである。

彼の召喚する式神を捌きながら、格闘戦を仕掛ける。

 

式神を破壊するわけにはいかない、加減を加え玉犬と鵺を弾き飛ばす。

 

禪院影久は縛りを用いて式神を破壊されても復活させることができたらしい。

いったいどれほどの縛りや解釈を重ねていたというのか。

 

とはいえ、恵くんもだいぶ腕を上げている、4対1で式神に指示を与えながら私との格闘戦をこなす。

おっと、大蛇が増えた。

 

「素晴らしいぞ、恵くん。本当に強くなった」

 

「ぜんっぶ完全に捌きながらっ言われましてもね!」

 

「ははは、これでも特級、台所がメインの戦場とはいえまだまだ負けるわけには行かないからね」

 

会話を続けながら式神たちを掴み恵くんの影へを投げ入れた。

 

「ここからは式神を出す隙はないと思った方がいい」

 

ここからは腕に炎を纏わせる、恵くんが防いだところから私の呪力が霧散、また火傷を負うこともなく受けを見事に成立させていく。

 

「今日はまた少し速度を上げよう」

 

「くそっ!」

 

打撃の先へと炎伸ばし、レンジに緩急をつけ慣れさせないようにする。

この10年で私の動き、あるいは炳、躯倶留隊のものたちの動きにもだいぶ対応するようになってきていた。

恵くんは非常に飲み込みが早い、また微量ではあるが呪力特性の吸収も合間って、呪力量の割に継戦能力にも長けている。

 

禪院影久、かの人の能力をスケールダウンさせたような力を恵くんは持っている。

炳、あるいはフリーの術師として進路を考えているのかもしれないが、できれば躯にきてくれないだろうか。

掃除などに関して彼の右に出る術師はいまい。

 

恵くんが少しずつ私の速度に対応してくる。

本当に慣れるのが早い。

 

視界の端に真希の姿が見えた。

この辺りで締めるとしよう。

 

私の蹴りを掻い潜り耐性を低くしてのアッパー。

それをわざと倒れ込むようにし回避、地に手をついて上からの蹴り、腕をクロスして防いだ恵くんに、脚で絡み付き、投げからのマウントを取った。

 

「ここまで、だな」

 

「……うす、ありがとうございました!」

 

「恵、お前やるようになってんじゃねえか」

 

「よく帰った、真希」

 

「ああ、ただいま親父、私の相手もしてくれよ」

 

 

 

その後真希との手合わせの最中、真依が昼食ができたと呼びにきて中断。

真希も順調に腕を上げている。しかし、甚爾と比べるとやはり心許ない。

 

「真希、卒業まではいい。だがそのあとはやはり躯に来ないか?」

 

勿体無い、本当に。双子で協力すればさらなる味の高みに、いやこれは栓なきことか。

本人が望まぬ進路は誰も救われぬ。

しかし、真依も腕を上げている、やはり構築術式は現代社会において最高峰の術式の一つと言えるだろう。

 

真依の炙った初鰹のたたきに口をつける。

この繊細な味には拡張術式による香気構築で嗅覚でのアプローチがあるな。

これは私には真似できない、やはり真依、お前はお私の誇り……。

 

「いつも言ってるだろ。私は術師としてやっていきたいんだよ。それこそ親父だって業界は人手不足なんだし、術師としてもうちょっとさあ」

 

「そうそう、呪術師はいつでも人手不足だから、僕としても、扇さんには術師としてもっと動いて欲しいんだけどね」

 

そういっていつの間にかサラッと食卓に混ざっていた、五条悟が会話に参加してくる。

 

「うーん、扇さんとはまた違う焼きに香り、禪院家の飯は本当うまいねえ」

 

「特級案件は、ちゃんと受けている。問題なかろう」

 

「ってか五条先生なんでウチにきてんすか」

 

「や、恵迎えにだよ、今日の夜には東京高専だからね。慣れのために早めに東京入りするんでしょ?」

 

ああ、改めて恵くんが東京に行ってしまうのは惜しい、せめて京都であれば。

 

「五条悟、恵くんをよろしく頼む。恵くん、甚爾も母君も寂しがる。こまめに帰ってきてやってくれ」

 

 

食事を終え、東京へと出発する恵くんを見送る。

真希は休みの間ウチにいるらしい。

甚爾からの手解きのためだということだが、真依との料理研究もなんだかんだと楽しみにしていたようだ。

 

帰り道、直哉から連絡がきた。

 

「扇のオジさん、ちょっと俺やと相性悪いねん、手伝ってくれへん?」

 

「む、お前ほどの術師が、か?わかったすぐ行こう場所は……」

 

 

 

▫️禪院直哉

漁港の魚市場にある食堂で発生した呪霊。

潮騒坊と板前幽鬼。

 

二体協力型の術式、および領域で市場全体を調理場に変え、巨大な生得領域を形成していた。

蒸気が発生。魚を焼く煙。煮立つ湯気。潮風。

包丁を叩く音。競りの声。フォークリフトの音。

 

「こらあかんわ、あん中じゃまともに投射が使えへん」

 

これは禪院直哉が弱いわけでは決してない。

投射呪法は視覚依存が強い術式だ。

対象の位置、動線、障害物を認識する必要がある。

しかし見えない、聞こえない。おまけに臭いも強い。

 

「勝てへん訳やない、せやけど時間がかかるな」

 

「直哉様?」

 

「扇のオジさんに掛けてくれ。調理場やろここ。専門家がおるやろが」

 

待つこと30分、禪院扇が真希を連れてやってきた。

 

「なんや真希ちゃん、帰ってたんか」

 

「今日帰ってきた、すげえ匂いだなあれ」

 

「中には入らずに私を呼んだのか?」

 

「そらそやろ。見たらわかるやんけ。明らかにオジさん向けの現場やろ」

 

「いい判断だ。誰よりも私向けだろう。すぐに終わらせよう」

 

そういうと散歩でもするかのように禪院扇が生得領域の中に入っていく。

 

「おい、親父!」

 

あまりにも自然体で入っていく父親に虚をつかれ、慌てて止めようとした真希の腕を直哉が掴んだ。

 

「真希ちゃん着いてったら危ないで、あの魚市場全体が領域になっとる」

 

「そしたら親父も!」

 

ニタリという表現がふさわしい笑いを浮かべる直哉。

 

「なんや真希ちゃん、オジさんの本気は見るの初めてか?いや俺も巻き込まれんように、しっかり見ることはなかなかないけどな。めちゃ見応えあんで?まあ今回は領域勝負になりそうやけどな」

 

その言葉に反応したかの如く魚市場を覆うサイズの黒い半球が生まれた。

1分、2分、領域が解ける。

 

立っていたのは禪院扇だけ。

外から見えていた呪霊の異常な生得領域も完全解体されていた。

 

直哉が扇の元へを歩き寄っていく。

真希はその背中を見ていた。

 

「おつかれさん」

 

「ああ」

 

「あー、なんか魚くいたなってきたな」

 

「夜は魚にするか」

 

「ええね」

 

直哉が振り返る。

「扇オジさん、すごいよな」そうその目が真希に語っていた。背中は遠い。




領域展開『八百万竈神宮』
「万物を食材として認識し、最適な熱処理を施す」

禪院恵視点は気長にお待ちください。
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