戦国転生 4歳から始める十種影法術   作:匿名希望

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死滅回遊とか、プレイヤーとかの条件とかの独自解釈が強めです。


禪院家の未来②

2018年11月1日

 

その日、禪院家は蜂の巣をつついたような大騒ぎになった。

恵が禪院影久の式神たちを連れて現れたのである。

式神達は最初のうちこそ、電気、ガスに戸惑っていたものの程なく順応し、わずか数時間で勝手知ったる我が家とばかりに禪院家を闊歩していた。

 

そんな中、禪院直毘人と禪院直哉、そしていつの間にか年齢が上がり、服装が現代風になっている魔虚羅の話し合いが始まろうとしていた。

 

「ほんとに禪院影久の魔虚羅なのか?」

 

禪院真衣が焼いたアンチョビのピザを食べながら魔虚羅が答えた。

今頃厨房は式神達の食事を作るのに大忙しだろう。

 

「そうだ。直哉が当主かと思ったがそっちが当主だったんだな。今の時代は若い世代に引き継ぐのが遅くなってるのか?」

 

「まぁ僕もまだ現場で働いてる方が気楽やし。どうせそのうち継がなあかんねん、もうちょいのんびりしたってもええやろ」

 

襖が開き脱兎がアクアパッツァを持ってくる。

箸を器用に使いながら魔虚羅が食べ出した。

 

「主が起きてきたら、今の禪院家を見てさぞかし喜ぶだろう。……さて、それでは本題に入りたい。これからのことについてだ」

 

魔虚羅は言葉を選び二人に話し出した。

 

「禪院影久は今回のことと同じ黒幕。縫い目の呪詛師、羂索によって慶長御前試合直後に暗殺されそれによって呪物化した。

これからまもなく死滅回遊という儀式が始まる。羂索が千年かけて準備していたものだ。主はそう呼んでいた。

日本全土を巨大な結界に組み込み、術師同士を殺し合わせるというものだ」

 

これではまるで予知だ。当然直毘人が疑問を持った。

 

「なんでそんなことまで分かる」

 

「主が殺された理由だからだ」

 

嘘である。

 

魔虚羅は影久を殺された理由など知らない。

でも羂索が関係していることは知っている。

あの時、御前試合の会場で影久が最後に見た光景。

縫い目の武士。

 

魔虚羅の感情を説明するなら。

「羂索あの野郎ぶっ殺してやる」となる。

あらゆる責任を羂索に押し付けて気持ちよく殺したい。

そのためならどんな嘘でもつくだろう。

 

「主はこの情報を追うのは危険だと、追っていることを話すと禪院家そのものに、累が及ぶかもしれない。だから黙っていた。しかし今となっては羂索の出方が変わるだけだ。信頼できるものには伝えた方がいい」

 

嘘である。

 

情報を追ってなどいない、原作知識である。

でも景次に話すと迷惑かかるかも、と思っていたのは本当。

 

「全部信用するというのは難しいが、気に留めてはおこう」

 

「構わないどうせすぐ始まる。それでわかる」

 

その日の夜、七海建人が虎杖悠仁と呪胎九相図たちを連れて禪院家へとやってきた。

総監部の動きがきな臭い。五条悟の封印で好き勝手に動き出しているのではとのことだった。

七海建人は昔から総監部のことをよく思っていなかった、だからこそ動きを察知できたのだろう。

総監部が誰を狙うか、どの方向に舵を切るかを論理的に予測を立て虎杖悠仁の避難先として禪院家を選んだのだった。

 

直哉流石にそれはないやろ、と笑って聞いていた。

 

「それが本当やったら、ウチから出した報告書を丸々無視されたってことになんで?」

 

「そうなりますね」

 

「いやいや、流石にそんなバカなことあらへんやろ。悟くんのおらん影響はでかいやろうけどな」

 

「………」

 

「虎杖くんと、そっちの脹相ら兄弟もウチで預かる分には問題ないで、家だけはでかいからな」

 

「ありがとうございます」

 

「七海くんもゆっくりしとき、でかい戦いあったばかりやしな」

 

虎杖が申し訳なさそうに声を上げた。

 

「あの、俺扇さんを」

 

「違うやろ、宿儺や」

 

直哉がその声に被せるようにして鋭く遮った。

 

「それと言っとくで、僕らは君を殺さない。理由が必要か?」

 

「あ、できれば……」

 

直哉が理由を語る。

「殺せば終わる」という保証がそもそもない。

虎杖の器が壊れても、宿儺の呪力・人格は完全に消滅するとは限らない。

むしろ「制御者のいない、もっと厄介な状態」で世に放たれるリスクがある。

今の虎杖は唯一、実際に宿儺を内側から抑え込んだ実績のある器であり、これより安全な「容れ物」は他にない。

 

その上、適合する器自体が極端に稀少。

虎杖を失えば、次に宿儺が誰かに乗る時、今よりもっと無防備で悪意のある形で出てくる可能性が高い。

今の状態は「最も制御の効いた宿儺」であり、これを壊すのは合理的にリスクが高すぎる。

 

「あと君結構みんなから慕われてんで、そんな君を殺す政治的リスクをとれるわけないやろ」

 

そう言って直哉は話をまとめた。

 

「扇のオジさんに負い目感じるんやったら、起きた時にちゃんと頭下げえ。あとは宿儺ぶっ倒すか、生かしたまま無力化するか、どっちかちゃんと結果出せ。それが一番の詫びや」

 

シリアスな話をしているところ失礼します。と言わんばかりに魔虚羅が白に乗ってやってきた。

 

「お前が虎杖悠仁だな。お前が宿儺の指を取り込んだおかげか……、中の宿儺に伝えてくれ」

 

「え?」

 

「お前の指、中々うまかった」

 

一瞬。場が静まった。

 

虎杖が固まる。

七海が眼鏡の位置を直した。

 

「は?ゆび?え?くった?」

 

「伝えろと言った。『ごちそうさま』とな」

 

「おい貴様」

 

虎杖の頬に一月ぶりくらいに宿儺の口が浮かぶ。

 

「今何と言った」

 

魔虚羅は宿儺を見る。

正確には虎杖の中にいる宿儺を。

まるで獲物を見るように。

 

「ほう、聞こえていたのか」

 

「貴様……」

 

宿儺が言葉を止める。

違和感、何かがおかしい。

目の前にいるのは式神だ。

呪力の塊、術式の一部でしかない。

 

——だが。

 

魔虚羅は宿儺を見ていた、まるで。

皿の上のごちそうを見るように。

 

「昨日食ったやつは400年前よりずっと美味かった。魂が活性化していた」

 

静かに。本当に静かに。

魔虚羅の口元から涎が一滴落ちた。

ぽたり。

 

畳に染みを作る。

 

「虎杖悠仁、宿儺を取り込んでくれてありがとう。次は全部食べてみたい」

 

そう言い残し魔虚羅は部屋から出ていった。

 

誰も何も言えない、動けない、ただ宿儺だけが。

ほんの僅か、目を細めた。

 

 

 

 

翌朝。

 

禪院直哉は激怒していた。

呪術総監部からの通達が、完全に自分達の報告を無視した内容であったからだ。

呪術総監部の真意はどこにあるのか、直哉たちはその謎を解き明かすべく、東京へと向かった——。

 

 

呪術総監部

「で、これはどないなっとんねん、僕ら報告したよな?耄碌してもう内容忘れてしもたんかクソジジイども」

 

説明を求める、にしてはやや喧嘩腰の禪院直哉に対し、総監部が返した言葉が日に油を注いだ。

 

「ヒッヒッヒッ、禪院家も共犯か」

 

ため息をつく。

 

「……なるほど、つまりや。」

 

直哉が障子に手をかける。

 

「渋谷で何が起こったかも興味ない、呪詛師の話も聞く気ない。宿儺の器を殺したい。悟くん封印されたのを利用したい。そういうことやな?」

 

そこからが大変だった。

直哉がブチギレ七海が宥めていると、恵の影から影久の魔虚羅が出てきたのだ。

そして総監部に貼られていた呪術的な守りを全て無効化しそこにいた老人たちの呪力を吸い尽くすと、二人だけ引き摺り出してきてこう言った。

 

「こいつら以外は、古臭い呪力がこびり付いていた」

 

結局七海が止める中、直哉によって羂索と繋がりのない二人を残しての粛清が行われ、総監部は刷新されることになった。

 

 

 

11月3日 禪院家

 

総監部の腐敗が明らかになり、禪院直哉一行による粛清が行われた翌日のこと。

五条、禪院、加茂の御三家、および両高専による今後の総監部に運営についての会合が行われることになった。

直毘人、直哉、護衛として甚爾は今後しばらくそちらにかかりっきりとなる。

 

 

 

11月4日 午前0時

 

会合の終わり際、加茂家の代表の一人の様子がおかしくなり発狂。虚な目で語り出した。

 

「私は千人の非術師の脳をいじり術師として覚醒させた。彼らはこれから手に入れた呪術を使い、殺し合いを始める。

 

結界はすでに日本の主要都市に貼られている。このゲームによって人類の可能性を新しいステージへと進める。それがこれからの新しい世界だよ。

 

君たちが五条悟を奪還するためにあがくのも、誰かを救うためにゲームにエントリーするのも、大歓迎だ。君たち呪術師の必死のあがきと、呪いの奔流が混ざり合った時……私すら想像できない『新しい混沌』が生まれる。

 

メッセージは以上だ。

今日からこの国は、呪いと混沌の実験場となる。せいぜい必死に生き延びて、私を驚かせるような美しい地獄を見せておくれ」

 

——「死滅回遊」開始——

 

呪詛師羂索が仕組んだ呪術師たちの殺し合いが始まった。

そして、同時に東京に大量の呪霊が放たれた。

 

 

 

 

 

11月8日 東京

 

ある程度の呪霊を払うことに成功した。

しかし都市機能は完全に麻痺、行政は停止、インフラ消滅。

23区は放棄され、世界に呪霊と呪術の存在が明らかになった。

この日乙骨が合流、天元への接触に向かおうとするが、これを影久の魔虚羅が拒否。

 

恵は単独で、死滅回遊攻略のための戦力を勧誘しに秤金次と星綺羅羅の元へ向かった。

 

「ってわけで総監部潰して、今御三家と高専で組織再編してるんですけど。死滅回遊攻略手伝ってくれませんか。五条先生も封印されて、それもなんとかしないとですし。戦力が欲しくて」

 

「おまっえっマジ?五条さん封印!?

 

秤金次と星綺羅羅はお出しされたあまりの情報に頭を抱えていた。

 

「でもよぉ俺らがお前に協力するメリットねぇだろ」

 

「まあ、それはそうっすね。だから断られたら帰るだけです。秤先輩が強いのは知ってます。協力してくれたら助かる。でも無理にとは言いません。死滅回遊は始まってます。ここで交渉に時間取られてる余裕もないですし……」

 

「じゃ、帰れ」「でも秤先輩」「あ?」

 

追い払おうとした秤の言葉を挑発的な笑みと共に恵が返す。

 

「これ逃していいんですか?今ならめんどくさい老人はゼロ。新体制にいっちょ噛みできる機会だってのに」

 

秤が黙ったが、恵は構わず続ける。

 

「さっき言った通り総監部は潰れました。御三家も高専も今は人手不足です。正直、誰が何やるかもまだ決まってない」

 

「………」

 

「だから今なら好き勝手できますよ。なんたって新体制発足メンバーです。」

 

綺羅羅が思わずと言った感じで吹き出した。

 

「禪院くん、それ勧誘なの?」

 

「もちろんです。今なら直哉さん、あーうちの次期当主に口利きもできますよ」

 

秤が両手で顔を覆った。表情は窺い知れない。

再び現れた秤の顔は目がキラキラしてにっこりとした気持ちの悪い笑みだった。

 

「決まりだ!死滅回遊なんてバシッと終わらせて、さっさと平和を取り戻すか。禪院くん、仲良くしようネ!」

 

「あ、はい」

 

隣では綺羅羅が肩を震わせていた。

 

リンゴンリンゴンリンゴンリンゴンリンゴンリンゴンリンゴン——

 

突如静寂を破り、ハンドベルを乱打したような、けたたましい金属音が鳴り響いた。

 

「うおっ!?」「なにこれ!?」

 

秤が耳を押さえ、綺羅羅が顔をしかめた。

恵の影が揺れ、そこから白い少年が顔を出した。

 

「なんだ、それ禪院の式神か?」

 

「ああ、まあ、当たらずとも遠からずというか」

(『禪院』の式神ではあるな)

 

同時に、その頭上へ小さな存在が現れる。

羽の生えた奇妙な式神。

 

『プレイヤーによる死滅回遊へのルール追加が行われました!!』

 

ルール9、プレイヤーは他プレイヤーの名前、得点、ルール追加回数、滞留コロニーを参照できる。

 

ルール10、参加者は一度だけ死を無効化できる。その権利は100点で再購入できる。権利の保持は一つ限り。

 

アナウンスを終えた式神は話し出した。

 

『ボクはコガネ、プレイヤーと……プレイヤー?』

 

魔虚羅を見る。

『確認中』沈黙。

『確認中』また沈黙。

『確認中』秤が顔をしかめた。

 

「壊れたか?」

 

『確認中』コガネの目が明滅する。

『術師判定』『成功(?)』『プレイヤー判定』『成功』『人間判定』『失敗』『受肉体判定』『失敗』『呪霊判定』『失敗』『式神判定』『成功』

 

沈黙。

『矛盾』

沈黙。

『矛盾』

沈黙。

『矛盾』

 

「完全に壊れてるじゃん」

『規定外存在を確認、新規プレイヤーを登録します』

 

『プレイヤー名』

 

コガネが魔虚羅に語りかけた。

 

『プレイヤー名』『プレイヤー名』『プレイヤー名』『プレイヤー名』「やっぱ壊れてんだろ」『プレイヤー名』『プレイヤー名』『プレイヤー名』『プレイヤー名』コガネの声がどんどん重なっていく。『プレイヤー名』『プレイヤー名』『プレイヤー名』『プレイヤー名』魔虚羅が無言でコガネを掴んだ。『プレイヤー名』『プレイヤー名』『プレイヤー名』『プレイヤー名』「魔虚羅でいいか?」『エラー』『プレイヤー名』『プレイヤー名』『プレイヤー名』『プレイヤー名』「主の名を借りる」『プレイヤー名』『プレイヤー名』『プレイヤー名』『プレイヤー名』『プレイヤー名』『プレイヤー名』

 

「禪院影久」

 

沈黙、コガネが止まった。

 

『登録完了』

 




死滅回遊への対応が4日遅れた羂索は、加茂家の乗っ取りができませんでした。
魔虚羅が天元のところに行きたくない理由は神威絡みで押し合いが発生する可能性があるからです。
流石に免疫機構のど真ん中にはいけないというか…。

宿儺の指2本でエラー起こしてます。
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