デジモンロストメモリー   作:神本 夕海

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ハーメルンでの投稿は初めてです。
これはデジモンの二次オリ小説です。
オリジナルキャラクターやデジモン達が出てきます。
よろしくお願いします。



プロローグ〜第一話 出会い

瞼を開けると、そこは真っ暗な空間だった。

いや、そもそも今自分はホントに目を開けているのか?

そんなふうに感じてしまうほど、陽の光もない暗闇の世界。

上も下も、右も左も、前も後ろもわからない。

そんな暗闇の中を自分は歩く。ただ真っすぐに。

何処に向かって歩いているのか。そもそも、自分は何処から来たのかもわからない。

ただこの暗闇から出たいがために歩き続けている。

 

どのくらい歩いただろう。

そもそも、本当に自分は進んでいるのだろうか?

ずっと同じところを歩いているだけなのではないか?

そんな不安を抱えてきた時、ふと目の前に“光”が現れた。

眩く、直視することが出来ないほど輝くこの暗闇を照らすほどの光。

自分はゆっくりとその光に手を伸ばした。

その時だった

 

『募?縺ォ陦後¥縺ョ?』

 

自分の後ろから聞き取れない不気味な声が聞こえた。

 

『縺ュ縺??∽ス募?縺ォ陦後¥縺ョ?』

 

不気味な声を発しながら、声の主が近づいてくる気配がする。

 

『蜒輔r鄂ョ縺?※縲√◎縺」縺。縺ォ陦後¥縺ョ?』

 

恐怖と悪寒で震える。

冷や汗が止まらない。

恐る恐る、自分は振り返る。

 

『縺昴s縺ェ縺ョ險ア縺輔↑縺』

 

そこにいたのは原型を保てず、体を維持できないのか所々ノイズが走っている。黒く淀んだ存在だった。

 

「…ッ!」

 

反射的に、自分は光の方へ走った。

後ろにいた存在は、聞き取れない叫びを上げ追いかけてきた。

あれに捕まれば無事じゃ済まない。何故かそれは本能で分かった。

 

走る 走る 走る 走る。

 

あんなに近くに見えた光は、実際はとても遠いところに有ったのか、中々辿り着けない。

足が痛い、息が苦しい、あと少し、あと少しなのに辿り着けない。

でもここで止まれば“アレ”に捕まる。それだけは嫌だ!

自分は力のかぎり走り続けた。

 

すると光はどんどん強くなっていった。

いや違う、自分がやっと光に近づいたのだ。

しかし後ろの存在と自分との距離はジリジリと縮んできており、あと少しで捕まってしまう。

 

だから一か八かの賭けに出る。

あと少しで届くのならば、力のかぎり飛ぼう。

そう考え光に手を伸ばし、足に力を入れ。

地面を蹴った。

後ろの存在は腕を伸ばしたが、紙一重で自分は光の中へと入れたのだった。

 

そして自分は…いや、『私』は、意識を失った。

 

次に目を覚ますと不思議な空間が目に入り、

「あ!起きた!!君大丈夫?」

赤い不思議な生き物が心配するように私を覗いていた。

 

 

『第一話 出会い』

 

20xx年。

電脳技術が発展し、人々は現実とはまた別の世界、仮想空間『メタバース』が生活の中に当たり前になった現代。

ある株式会社『アヴァロン』が開発した、仮想現実世界『アヴァロン』が数年前に誕生した。

 

 

この仮想現実世界では様々なネットワークに繋がり、仕事やショッピング、娯楽施設など様々な機能が搭載されており、今世界中の人々が使っている。

そして現在『アヴァロン』では人々の新たな可能性に目を向け、お金がない、訳あって専門の勉強ができない人たちに向けて様々な専門に特化した電脳オンライン授業を企画している。

 

様々なエリアが点在する中、そんな仮想現実世界『アヴァロン』にも開発が中止になり立ち入り禁止のエリアも存在する…。

 

 

 

仮想現実世界『アヴァロン』

ーーエリア:???ーー

 

「ふんふふんふ〜ん♪」

人気のない裏路地。そこにガラクタを漁る一体の生物がいた。

「じぃちゃんがあまり“リアルワールド”のネット空間に行くなって言ってたけど、楽しいからこっそり来ちゃった〜♪」

その姿はまるで赤い恐竜だった。

彼の名は『ギルモン』。どうやら内緒でこの『アヴァロン』来ているらしい。ルンルンと楽しそうに赤い尻尾を振りながら見つけたガラクタ(彼にとってはお宝)を大きな肩下げバックに入れていた。

「〜〜♪…ん?」

次の場所へ移動しようとしたギルモン。しかしギルモンの眼の前を遮るように、小さな光が現れた。

「なんだろう‥これ?」

すると小さな光はゆっくりと移動し始めた。

「あ!待って〜」

光を追いかけるギルモンはある一角にたどり着いた。

そこは大小様々な形のデータの破片がキラキラと中を待っている場所だった。

「わぁ…こんな所あったんだ‥あ!」

するとさっきまで追いかけていた小さな光はある一点に止まりふわふわと漂っていた。

まるで彼をここまで導いていたかのように。

ギルモンは小さな光のとこまで歩みを進めた。

 

「に、人間だ‥‥」

データの破片の光に囲まれていた、白く短い髪の人間の少女がいた。

初めて近くで見る人間に驚きが隠せないギルモン。いや、驚き以上に、キラキラと光るデータの破片に埋もれるように横たわっている人間がとても…

「…あれ?この人間…怪我してる!?」

よく見ると少女の体のあちこちがボロボロだった。

「あわわわわ!!急いで治療しなきゃ!えっと、えぇ〜〜〜っと!!!」

ギルモンは急いで持っていた鞄の中を漁りだしたのだった。

 

「う、うぅん‥‥」

「あ!起きた!!君大丈夫?」

ギルモンは起きた少女の顔を覗き込んだ。少女は体を起こしあたりを見回した。

「ここは‥‥」

「ここは電脳空間のあまり人がいない所!君ここでボロボロで横たわってたんだよ」

「君はいったい‥」

「ボク?ボクはギルモンだよ!君の名前は?」

「なまえ‥‥なま‥え‥‥」

「?、どうしたの?」

「解らない‥」

「え!?」

「何も‥覚えてない」

「ええーーーーーー!!」

ギルモンの驚きの声がエリア中に響いたのであった。

 

取り敢えずここがどこなのか、自分が少女を見つけた経緯を話すギルモン。

 

「ってことなんだけど‥」

「そっか、君が私を助けてくれたんだね。ありがとうギルモン」

「へへへ、どういたしまして」

嬉しそうに照れるギルモンに、少女は微笑んだ。

「そうだ!ずっとここにいるのも何だし、少し歩こうよ、もしかしたらなにか思い出すかも!」

その提案に乗った少女はギルモンと共にあたりを散策し始めた。

 

エリア:??? 〜通路〜

 

「そういえばギルモンは大きなバックを持ってるけど何が入ってるの?」

少女はギルモンの持つ大きなバックが気になったようで質問を投げかけた。

「これ?これね、ボクのお宝がいっぱいはいってるんだ!これとか君を見つける前に見つけたやつ!」

そう言って見せてきたのはキラキラ光る角の丸い破片のようなものだった。

‥‥正直に言うと少女には何がいいのかわからなかったが、きっとギルモンにとってはとても素敵なものなんだろうと考えた。

「おじいちゃんにはあまりリアルワールドのネット世界には行くな!って言われてたんだけど、たまにこっそり来るんだ」

「“おじいちゃん”?」

「うん、おじいちゃん。本当は“ジジモン”って名前なんだけどボクはおじいちゃんって呼んでるんだ。おじいちゃんすっごく物知りで、知らないこといっぱい教えてくれるんだ」

ギルモンが暮らすデジタルワールドの事。生きるうえで必要なこと、デジタルワールドの歴史。

ギルモン自体は難しいことが苦手なようであまり覚えてないらしいが、ギルモンにとって親のような存在のようだ。

「いいおじいちゃんだね」

「うん!大好きなんだ!!」

 

何気ない会話をしながら二人は様々なエリアを歩いたが、一向に少女の記憶の手がかりは見つからなかった。

「うぅ~‥なんの手がかりもなかった‥」

「せめて名前だけでも覚えていればよかったんだけど‥‥」

少女達は歩き疲れたため、あるエリアのちょうど腰掛けれそうなオブジェに座っていた。

ふと少女は自分たちが歩いてきた道とは別の一本道の方に目を移した。

「ねぇギルモン、この先って何があるの?」

ギルモン「んー?その先はとっても危険だっておじいちゃんが言ってた。」

「そうなの?」

「うん、君と同じ人間がいっぱいいるんだ」

「そっか、私と同じ‥‥え!?私と同じ人間が!?それほんと!」

「え!う、うん‥」

それは記憶を思い出せる絶好の場所なのでは!?そうギルモンに伝えると、ギルモンは何故かよそよそしくなった。

「ギルモン?」

「あ、えっと‥‥そ、そうだね!きっと記憶の手がかりもあるかもだよね‥うん‥」

「どうしたの?」

さっきまで明るかったのとはうって変わり声のトーンが落ちていた。

「じ、実は昔あっちに行ったことがあるんだけど‥‥その時色々あって‥少し苦手なんだ」

「そうなんだ‥ごめん、君の気持ちも考えないで」

そう謝るとギルモンは慌てた様子でこちらを見た。

ギルモン「そんなことないよ!それに本当にあっちに君の記憶の手がかりがあるならいかなくちゃ!」

「でもギルモン、行くのが怖いんでしょ?」

「こ、怖いとは言ってないよ!それに友達のためだもん!行こう!」

『友達』、彼はたしかにそういった。

「友達?」

「うん!‥はっ!もしかして、迷惑だった?」

恐る恐る聞いてきたギルモンに「そ、そんなことないよ!」と言った。

「私もギルモンと友達になれて嬉しいよ!」

「ほんと!へへへ‥ボク人間の友達初めてだ」

「私もデジモンの友達初めて‥‥かも?」

記憶がないから自身はないが、記憶を無くす前の私にデジモンの友はいたのだろうか?

それでも彼とは友だちになったのだ。そこは素直に喜ぼう。

そうして二人で笑い合っていたときだった。

 

 

ピシッ

 

まるでガラスにヒビが入ったような音とともに酷い悪寒が二人を襲った。

振り返ると先程まで何もなかったはずの空間に酷く大きなヒビがあった。

それはピシッピシッ!と大きな音を立てながら割れていき

 

バリィィン!!!

 

白く不気味な細い腕のようなものが空間を完全に破壊した。

 

「な、なに!?」

「さがってて!!」

ギルモンは少女を庇うように前へ出てその割れた空間を睨みつけながら威嚇した。

 

空間から出てきた腕は、割れた空間の穴の縁をつかみそしてゆっくりと本体が見え始めた。

 

それは人でもなければきっとデジモンでもないだろう。いや、たしかにぱっと見人の形をしているがとてもじゃないが人とは思いたくなかった。

異様に細長い手足と胴体、頭部には黒く深い目のような丸い模様、そして体中を這いずり回っているかのような0と1の数字。

 

『不気味』一言で表すならそのような存在だ。

 

すると突然それは勢いを付け私達に襲いかかってきた。

『ファイアーボール!!』

すぐさま反応したギルモンが口から火の玉を“ヤツ”に向かって吐き出し確実に命中した‥はずだった‥

「なっ!?‥‥グッ!!!」

ギルモンが吐き出した火炎弾はたしかに“ヤツ”に当たったはずなのに“ヤツ”は速度を落とすことなくギルモンに攻撃を入れた。

「ギルモン!!!!」

ギルモンは攻撃をくらってしまった。

そして“ヤツ”は少女に攻撃しようとした。

「しまっ‥!!」

「伏せて!!」

そして振り下ろされる腕。それは私を庇ったギルモンに当たり、かけていたバックの紐が切れた。

「ギルモン!」

揺すっても目を閉じたままのギルモン。強烈な一撃をまともに喰らい気を失ってしまったのだ。

「そんな‥ギルモン!!」

そんなことをよそに、“ヤツ”はゆっくりと二人に近づいてくる。

それに気づいた少女はギルモンを庇うように抱き抱えた。

そして眼の前まで来た“ヤツ”は、腕を鎌状に変え攻撃の体制に入った。

(もう…駄目だ‥!)

振り下ろされる腕。来るであろう痛みと衝撃を覚悟し瞳を強く閉じた。

 

『ムーンスクラッチ!!!!』

『ーーーーー!!!!!!???』

 

突如聞こえた声とけたたましい悲鳴のような音。

ゆっくりと少女は瞳を開けると、先程までいた“ヤツ”は倒れ、ゆっくりとデータの破片のように消えて行き、そしてその前には大きな二足歩行の青い猫とヨレタコートを着ている男性がいた。

男性はこちらが見ていることに気づき、ゆっくりと近づいてきた。

「おい、大丈夫‥じゃないな。そのデジモンはお前のパートナーか?」

「えっと‥あの‥‥」

助かったのだろう。きっと‥‥。そう考えたら全身の力が抜けた気がした。

「ひどい怪我だな、直ぐにログアウトしろ。そのままじゃ本体に支障が出るぞ」

「‥‥‥」

安心したのだろう糸が切れたように意識が途切れた。

 

 

 

「おい?どうし‥‥おい!しっかりしろ!!」

男性は少女の肩を揺るがしたが反応はなかった。

青い猫「あんな怖い思いをしたんだ、助かって安心して意識を飛ばしたんだろう。こっちで勝手にログアウトしとこうよ」

青猫の話を聞いた男は心底面倒くさそうな顔をしたあとため息をついた。

「ったく面倒くせぇ‥勝手にID見させてもらうぞ」

そして男は少女に軽く触れ眼の前に映し出したモニターに目をやる。

しかしその後、男は眉をひそめた。

「どうしたんだい?」

「…ない」

「え?」

「ないんだよ、現実世界にかならずあるはずの『本体』が‥‥」

「それってどういう‥‥」

二人はギルモンを抱えて意識を失っている少女をみた。

「コイツは‥一体何者なんだ‥‥?」

 

 

 

 

 

このとき彼女達は知らなかった。この出会いが現実世界(リアルワールド)と電脳世界(デジタルワールド)の二つの世界の運命を揺るがすことになるなど。

 

これは人と人、人とデジモン、デジモンとデジモン達の絆を紡ぎ、そして失われた記憶(ロストメモリー)を取り戻していく物語だ。

 

 

 

 

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