今日も正常営業。ただし“そういうとこ”を添えてー   作:火力万能主義

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久しぶりに前書きの文字数がいっぱいっぱい。
本篇とは関係ないのですぐスクロールしてくださっても大丈夫です!

ふぃーいつも冒頭の入りをどうするかで詰まるんだよなーマジで...
誰の視点でどこで何をしながら始まってどのぐらいで切るかで迷うのが執筆の半分ぐらいですね (-_-;)

まぁそういう時には我らが原作主人公にして超人枠たる彩葉さんを出せば大体なんとか解決するからいい(笑)
何番煎じにならぬよう気を付けないといけないけども。

前回のオマケ編でみなさん思った以上に寝顔写真集に反応が出てて驚きました(笑)


そして、総UAは5万超えて6万を前にし、お気に入りも1000を目前としています、本当にありがとうございます。
かれこれ連載初めから2か月がたって6月ももう今週で終わりって、本当に時間が速すぎるなと感じます。
まだまだ夏の大仕事まで時間がありますので原作での最終決戦の部分までもっていきたいですね。



それにしても、ハァ……いくら頭を捻って絞っても雅治のイメージが雷と重なっちまう
せっかくイメージし安くするためにGPTで画像出してもらってんのにこれじゃない感が半端ない(汗)
やっぱデザインは画力だけでどうにかならない世界なんだなと痛感しました。

GPTに頼んで作ってもらった主人公アバターの画像を創ってみました。
ほかの画像生成系は数年前の初期のやつしか触ったことがなくてまだ勉強してからもっと良いものができ次第に更新しようと思います。

ハッピー彩葉さん

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悪だくみのかぐや

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ムキムキDK橘雅治

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シらぬイ

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第十七話 前を向く人、後ろを引く声

第十七話 前を向く人、後ろを引く声

 

 

 

「使ったものぐらい、ちゃんと片付けて!」

 

 酒寄彩葉の部屋は、日に日に狭くなっていた。

 

 元から広くはない。ベッド、机、小さな台所、申し訳程度の収納。そこに参考書と配信用機材と生活用品を置けば、それだけでもうだいたい終わる。

 

 終わっていた。

 

 夏の前には。

 

 かぐやが現れてから、なにもかもが変わっている。

 

 月から来た少女。現代日本在住。そして現在、彩葉の生活スペースを最も圧迫している存在。

 

 配信で使った小物。外出先で買ったキーホルダー。真実に勧められて買った謎のお菓子。芦花に似合うと言われて増えた髪飾り。水鉄砲。ピコピコハンマー。なぜか予備の安全メット。ネットでもらったトルハルバン。

 

 なんであるの。

 

 いや、理由は分かる。分かるけど納得はしたくない。

 

 机の上には空になったカフェドリンクの瓶と缶。配信メモの横には食べかけのお菓子。床には、かぐやが「あとで片付ける!」と言ったまま忘れた袋。

 

 あとで。

 

 そのあとでは、いつ来るのか。

 

 たぶん月の暦で計算されている。

 

 ふざけんな。

 

「勝手にものを増やさないって決めたでしょ! なんでこんなに増えてんのよ! しかも、これ置いていいって私、言った覚えないんだけど!」

 

「え~、だって使うもん」

 

「使ったあと片付けなさいって言ってるの!」

 

「めんどくさい~」

 

 ぷつん。

 

 彩葉の中で、何かが切れた。

 

 大した音ではない。静かな音だった。でも、切れた。

 

「あのね、そういうの本当にいつか躓くよ? 生活リズムとか、習慣とか、そういうのって一回崩れると戻すの大変なんだから。かぐや、見た目はそのくらいでも中身は生活三歳児なんだからね?」

 

「三歳児じゃないもん!」

 

「じゃあ三歳児より片付けて」

 

「うっ」

 

 かぐやが言葉に詰まった。

 

 勝った。

 

 いや、勝ってない。片付いてないので何も勝ってない。

 

 それでも、さすがに彩葉の声に本気の心配が混じっていたことは伝わったらしい。かぐやはさっきまでの悪びれない顔を引っ込めて、しゅん、と肩を落とした。

 

 その顔を見ると、少しだけ言いすぎたかと思う。

 

 でも、言わないと駄目だ。こういうのは最初が大事。最初。

 

 もうだいぶ手遅れな気もするけど。

 

「でもさ、でもさ」

 

「何」

 

「こんなに狭いなら、もっと広い家に引っ越した方がいいんじゃない?」

 

「うちにそんな余裕ないです」

 

 即答だった。

 

 迷いなし。慈悲なし。夢なし。

 

「でも、かぐやってもう有名ライバーだよ? お金もいっぱい入ってくるんでしょ?」

 

「それはあぶく銭」

 

「あぶく?」

 

「いつかふっと消えるかもしれないお金。それを当てにして生活を組むのはリスクしかないの」

 

「えー」

 

「えーじゃない」

 

 このアパートは古い。見た目も古い。壁も薄い。階段もたまに変な音がする。お世辞にも、女子高生が一人暮らしする理想の部屋とは言えない。

 

 けれど、家賃が安い。

 

 同じ地域の他の物件より、三万は安い。

 

 三万。

 

 大きい。

 

 かなり大きい。

 

 光熱費。水道代。食費。教材費。通信費。配信に必要な機材費。そこに、かぐやの分まで乗ってくる。

 

 夏休みに入って睡眠時間は少し増えた。

 

 少し。本当に少し。

 

 でもバイトはある。

 登校日もある。

 勉強もある。

 チャンネル管理もある。

 予定表はある。あるだけだ。現実は予定表通りに動かない。

 

 特に、月から来た少女は予定表という概念に対して反逆的である。

 

 それでも最近、何とか首の皮一枚から三枚くらいには増えた。

 

 理由は分かっている。

 

 橘君だ。

 

 買い出し。

 かぐやの外出の付き添い。

 彩葉がどうしても部屋にいられない時の留守番。

 無茶な企画の安全確認。

 筋トレ。

 たまにプリンとかのおやつ。

 

 本人は「必要だから」としか言わない。

 

 でも、その必要にずいぶん助けられている。

 

 悔しい。

 

 でも事実。

 

「かぐや、彩葉とこれからもずっと一緒に住むんだし、二人ならもっと広い家の方がよくない? 掃除も片付けも料理も、ぜーんぶ一緒にしたら絶対楽しいよ。真実や芦花も呼んだらもっとにぎやかになるし!」

 

「うちにそんな余裕はまだないよ。第一、高校生と身元不明の女の子二人で立派な家に住めるわけないでしょ。保証人でもいない限り」

 

「え? 彩葉のパパやママは? 一緒に住まなくても、頼んだらしてくれるんじゃないの? ほら、雅治みたいにさ」

 

 言葉が、すっと入ってきた。

 

 悪気はない。かぐやに悪気はない。それは分かっている。分かっているから、余計に困る。

 

 大好きだった父は、もういない。

 頼っていた兄は東京へ行ったまま、まだ顔も合わせていない。

 京都の実家にいる母に、手を借りるつもりはない。

 祖父母からの仕送りもある。でも、それにはなるべく手をつけない。成人して完全に自立するまでは。

 

 母は、それをやった。支えもなく、東大に入って、弁護士になった。

 

 なら、私も  

 

 そこまで考えて、彩葉は止めた。

 

 違う。今それを考えると、たぶん顔に出る。かぐやに見せていい顔ではない。

 

 そもそも、もっと財布の紐を締めなければならなくなった原因は、目の前のこの少女である。

 

 どの口が、と思わないでもない。

 

 思う。

 

 正直、思う。

 

 でも。

 

 駄目だ。

 

 この子にそれを言うのは、酷すぎる。

 

「この話は終わり」

 

「えー」

 

「終わり。さっさと片付けするから起きて」

 

「彩葉も手伝って~」

 

「なんで私が手伝わないといけないのよ」

 

「おねが~い。かぐやを助けて~?」

 

「……」

 

「彩葉ぁ」

 

「……」

 

「いろPぃ」

 

「……くっ」

 

 なぜ。

 

 なぜ、私は。

 

 なぜ。

 

     *

 

「よっしゃー! 終わったらプリン食べよう! 昨日、雅治がミルクプリン買ってくれたんだぁ!」

 

「片付け終わってから!」

 

「はぁい!」

 

 結局、彩葉も手伝っていた。

 

 負けた。

 また負けた。

 

 床に散らばった袋をまとめる。空き瓶を洗う。缶を潰す。使わない小物は箱に入れる。配信用の道具はひとまとめにする。

 

 かぐやは隣で鼻歌を歌っている。

 

 反省しているのか、していないのか。

 たぶんしている。

 たぶん。

 

 おそらく。maybe☆

 

 持続時間が短いだけで。

 

 部屋は少しだけ広くなった。

 

 ほんの少し。本当に少し。

 でも、床が見える。

 

 床が見えるだけで、人間はこんなにも救われる。

 

 床、偉大なり。

 

「彩葉」

 

「何」

 

「広い家、いつか住めるといいね」

 

「……そうね」

 

「そしたら、かぐやの部屋もつくる!」

 

「まず自分の部屋を片付けられるようになってから言いなさい」

 

「じゃあ、片付けの練習する!」

 

「今してるのよ」

 

「これが!」

 

「これが」

 

 かぐやは真剣な顔で頷いた。

 

 どうやら、新しい遊びか何かだと思っている。

 

 まあいい。

 今日は、それでいい。

 

 彩葉は洗った瓶を水切りに並べながら、小さく息を吐いた。

 予定表通りにはいかない。生活は狭い。お金は足りない。睡眠も足りない。心の余裕も、正直そこまでない。

 それでも、前より空っぽではなかった。

 

 うるさい。狭い。散らかる。胃は痛い。

 でも、前より空っぽではない。

 

 それだけは、たぶん本当だった。

 

 

     *

 

 夏休みも中盤に差しかかった頃。

 

 全世界の学生たちが、それぞれの人生と自由を謳歌する季節。

 

 宿題を忘れる者。

 部活に焼かれる者。

 バイトに沈む者。

 遊び倒す者。

 

 そして、その全部を少しずつ踏み抜きながら走っている者。

 

 つまり、酒寄彩葉である。

 

 そんな夏の中で、《かぐやいろPチャンネル》は日を追うごとに勢いを増していた。

 

 上位ライバーとのコラボ。バラエティ企画へのゲスト出演。切り抜きの拡散。かぐや単独グッズの企画。どれもこれも、始まったばかりのチャンネルとは思えない速度だった。

 

 やはり人気ライバーとのコラボは強い。狙い通り、新規ファンは増えた。かなり増えた。目に見えて増えた。

 

 それを見たかぐやのやる気にも火がついた。

 

 配信する。伸びる。喜ぶ。

 もっと配信する。また伸びる。もっと喜ぶ。

 半永久機関である。

 

「これでノーベル賞はかぐやのものなのだぁ!」

 

「はよ歯磨いて寝なさい」

 

 現実であった。

 そんな調子で、かぐやは絶好調である。

 彩葉は絶好調ではない。

 

 勉強。バイト。配信。編集。音楽。

 かぐや。増える予定。崩れる予定表。

 胃。胃。胃。

 

 それでも、前よりは少しだけ息ができるようになっていた。

 

 だから、この日くらいは。

 

 本当に、この日くらいは。

 

 ただの夏休みをやることにした。

 

     *

 

 海である。

 

 青い空。白い雲。照りつける太陽。砂浜。波。

 

 そして、水着の上に羽織ものを着たまま、浅瀬で仁王立ちする酒寄彩葉。

 

「真のエリートは、遊びも疎かにしない」

 

 彩葉は言った。

 

 かなり真面目な顔だった。

 

 真実がサングラスを少し下げる。

 

「それ、遊ぶ時に言う台詞?」

 

「遊びも計画的にこなすという意味よ」

 

「計画したら遊びは遊びじゃないよぉ?」

 

 芦花が小さく笑った。

 

「でも、彩葉ってば本当に楽しそうよね」

 

「楽しそうじゃない。計画的に休息を取ってるだけ」

 

「うんうん。楽しそう」

 

「聞いてる?」

 

 聞いている。

 

 聞いた上で言っているのよ。

 

 かぐやはその横で、すでに海そのものに負けていた。

 

「彩葉! 見て! 水がいっぱい!」

 

「海だからね」

 

「しょっぱい!」

 

「飲んだら駄目だからねぇ!」

 

「波だぁ!」

 

「あと、サーフィンも禁止」

 

「彩葉いけずぅ!」

 

「日頃の行いでしょうが」

 

 彩葉は怒る。

 

 怒るも、笑っている。

 

 波から逃げる。かぐやに水をかけられる。叫ぶ。反撃する。また逃げる。いつもの部屋よりずっと広い場所で、いつものように振り回されている。

 

 それなのに、顔が軽い。肩が軽い。声が、少しだけ遠くまで届いている。

 

 真実はパラソルの下でスマホを見ながら、その様子を眺めていた。

 

「いやー、かぐやちゃん、普通にバケモンだよね」

 

「褒めてる?」

 

「褒めてる褒めてる。新規ファンの伸び方とか普通じゃないし。上位勢と違って、まだ知られてなかった分、届いた時の反応が大きいんだよ。つまり今めちゃくちゃおいしい」

 

「言い方ぁ~」

 

「事実だもん。あと、いろPも評価されてるよ。プロデュース上手いって。危なっかしいけど、かぐやちゃんの良さを殺してない。止めるところは止める。止まってないけど」

 

「止まってないよね~」

 

「そこが味なんでしょ。たぶん」

 

 真実が軽く笑う。

 

「この前の配信もよかったもんね。かぐやちゃんって歌やダンスもそうだけど、ゲームもすごく上手かったもの」

 

 芦花がそう言うと、かぐやは分かりやすく胸を張った。

 

「ふふん」

 

「しかも歌配信もカバーじゃなくて完全オリジナルの新曲っしょ? あれって彩葉が作ったんよね?」

 

 真実がにやにやしながら言う。

 

 やめなさい。

 

 その顔でこっちを見るな。

 

「ふふん、そうでしょうそうでしょう! ぜーんぶ彩葉のおかげだからぁ!」

 

「そう思ってんなら、もっとちゃんとしてほしいけどね」

 

 彩葉は顔をそらして言った。

 

 褒められるのは嬉しい。ありがたい。ちゃんと見てくれているのも分かる。分かるけど、それはそれとして、この子を甘やかさないでほしいのが本心である。

 

 だってすぐ調子に乗る。

 

 今も乗っている。

 

 もう肩まで乗っている。

 

「本当、かわいい上に天才すぎ~」

 

「花丸つけちゃう」

 

「つけないでいいから」

 

「えー、つけたい」

 

 芦花がにこっと笑う。

 

 そして、照れて目をそらした彩葉の頬を、指先でちょんとつついた。

 

「彩葉にも、花丸」

 

「……っ」

 

 やめろ。

 

 その顔でそういうことをするな。

 

 さすが美人。何をしても様になる。距離の詰め方が自然。強い。強すぎる。

 

 これが生まれながらの美人というものだろうか。

 

 真実はその横で、完全に面白がっていた。

 

「お、彩葉照れてる?」

 

「照れてない」

 

「照れてるね」

 

「照れてないし」

 

「かぐやも花丸つける!」

 

「あなたはまず片付けに花丸もらえるようになりなさい」

 

「海まで来て片付けの話する!?」

 

「するわよ。生活は海にもついてくるの」

 

「生活、こわい!」

 

 誰もが振り向きそうな少女たちが、夏の海辺で笑っている。

 彩葉。かぐや。真実。芦花。

 四人並べば、それだけで妙に絵になる。

 

 通りすがりの誰かが声をかけようとして、やめる。

 

 また別の誰かがちらっと見て、近づく前に諦める。

 

 かわいいとか、綺麗とか、そういう問題ではない。

 レベルが高すぎる。

 画面の中の人たちみたいで、むしろ近づきにくい。

 

 結果として、自然と男払いも済んでいた。

 

 便利。

 

 美少女、便利。

 

 いや、そういう使い方をするものではない。

 

     *

 

 芦花は、浅瀬の方を見ていた。

 

 彩葉がかぐやに水をかけられて、全力で文句を言っている。かぐやは笑っている。彩葉も怒っている。怒っているのに、口元が負けている。

 

「彩葉、変わったね」

 

 芦花がぽつりと言った。

 

 真実はスマホから目を離さないまま、でもちゃんと聞いていた。

 

「うん」

 

「前は、いつかふっと消えそうだった印象があったものね」

 

「うん」

 

「今は、怒ってる。叫んでる。逃げてる。笑ってる」

 

 芦花は、浅瀬ではしゃぐ彩葉を見つめたまま言った。

 

 水をかけられて、文句を言って、顔をしかめて。それでも、最後には笑っている。

 前みたいに、全部を一人で抱えて、大丈夫な顔だけしている彩葉ではない。

 

「それ、いい変化?」

 

 真実が聞く。

 

 芦花は少しだけ目を細めた。

 

「うん」

 

 小さく頷く。

 

「すごく、いい変化だよ」

 

 その声は、本当に嬉しそうだった。

 

 本当に、嬉しそうだったのだ。

 

 だからこそ真実は、少しだけ目を伏せた。

 

 芦花が彩葉を見る時の目を、真実は知っている。友達を見る目より、少しだけ柔らかい。大切なものを壊さないように、触れる前から指先を止めてしまうような目。

 

 ずっと隣にいた。見ていた。心配していた。何かしたかった。

 でも、彩葉が「大丈夫」と笑えば、その先に踏み込めなかった。

 踏み込むのが怖かった。

 壊してしまいそうで、失くしてしまいそうで、だからいつも、届く少し手前で止まっていた。

 

 芦花は優しい。

 

 優しすぎる。

 

 だから、彩葉の傷に触れられなかった。

 

 触れたかったくせに。

 

 そこへ、かぐやが来た。

 

 遠くから来た従妹の少女。

 遠慮を知らない。距離を知らない。助けてと言える。好きと言える。泣ける。怒れる。笑える。

 彩葉の閉じた扉の前で、ノックもせずに突っ込んで、怒られて、泣いて、笑って、結局その部屋に居座ってしまった子。

 

 そして、橘雅治が来た。

 

 学校では「僕」と言う、礼儀正しい優等生。

 でも最近、彩葉の前では時々違う顔をする。声の温度が変わる。

 たまに「俺」が混じる。

 そのたびに彩葉は少しだけ変な顔をする。

 困ったような、呆れたような、でも嫌ではなさそうな顔。

 

 彩葉は気づいていないつもりかもしれない。

 

 甘い。

 

 真実も芦花も、見ている。

 

 かなり見ている。

 

 友達なので。

 

「……どんな魔法を使ったんだろうね」

 

 芦花が言った。

 

 海の方を見たまま。

 

 笑っている彩葉を見たまま。

 

 その横顔が少しだけ寂しそうで、それでもちゃんと嬉しそうだったから、真実は何も言わなかった。

 

 茶化さない。慰めない。分かっている、なんて言わない。そういう言葉で触ったら、たぶん今の芦花は笑ってしまう。いつもの綺麗な顔で、何でもないふりをしてしまう。

 

 だから真実は、いつも通りの声で肩をすくめた。

 

「本人たちに自覚なさそうなのが、一番たち悪いよね」

 

「そうね」

 

 芦花は笑った。

 

 少しだけ寂しそうに。

 

 でも、ちゃんと嬉しそうに。

 

 好きな人が笑えるようになった。

 

 自分ではない誰かのおかげで。

 

 それでも嬉しいと思えてしまうくらいには、芦花は彩葉のことが好きだった。

 

 真実は、その横顔を見ないふりをした。

 

 見ないふりをして、ちゃんと隣にいた。

 

 その時だった。

 

「彩葉ー! 見て見てー!」

 

「今度は何  

 

 かぐやが岩をひっくり返した。

 

 ぞわっ。

 

 砂浜に、小さな赤い影がわらわらと現れた。

 

 カニである。

 

 一匹。二匹。五匹。十匹。

 

 ちょっと多い。

 

 かなり多い。

 

「ぎゃあああああああ!?」

 

 彩葉が叫んだ。

 

 全力で後退した。

 

 腰が引けている。かなり引けている。

 

「彩葉! カニ! カニがいっぱい!」

 

「見れば分かるわよ!」

 

「集めて軍勢つくる!」

 

「いらないしつくらないでよぉ!」

 

「かぐや軍!」

 

「やめなさい!」

 

 かぐやがカニを追う。カニが散る。彩葉が逃げる。真実が爆笑する。芦花が腹を押さえて笑う。

 

 海であった。

 

 夏であった。

 

 青春であった。

 

 ただし、絵面はだいぶ終わっている。

 

 最終的に、彩葉は反撃に出た。

 

 取り出したのは水鉄砲。

 

 ただの水鉄砲ではない。

 

 ()()()()()()()

 

 威力調整。飛距離調整。安全確認済み。安全確認済みなのに、見た目が若干おかしい。

 

 銃身が長い。ポンプが強い。なぜか圧力計っぽいものがある。

 

 水鉄砲とは。

 

「かぐや」

 

「な、なぁに?」

 

「覚悟はいい?」

 

「彩葉、目がこわ  

 

 パンッ。

 

「ぴゃあああああああ!」

 

 かぐやが水の弾を食らった。

 

 真実が吹き出した。

 

 芦花が拍手した。

 

 彩葉は、笑っていた。

 

 本当に、笑っていた。

 

 夏の海は、ちゃんと青かった。

 

     *

 

 かぐやが伸びている。

 

 それは、画面越しに見ていても分かった。

 

 数字は嘘をつかない。

 同時接続数、登録者数、切り抜きの再生数、コメントの流れ、コラボ依頼、招待、名前が出る頻度。

 その全部が上向いていた。

 

 ツクヨミでは、ヤチヨカップの話題で持ち切りである。

 

 月見ヤチヨとのコラボ権。

 

 それは、この仮想空間において一種の神域に近い。

 

 トップライバーにとっては名誉。

 中堅ライバーにとっては大きな飛躍の機会。

 新人にとっては、人生どころかアバター生が変わるかもしれない一発逆転。

 

 ルールは単純。

 

 期間中にどれだけ新規層を獲得できるか。

 

 登録者。

 視聴者。

 拡散。

 話題性。

 細かい計算式はいろいろあるらしいが、要するに、今まで届いていなかった人にどれだけ届いたかが重要だった。

 

 当然、最初から強い者は強い。

 

 プロゲーマーチームb()()()()()()()()()()()/()b()

 

 通称、黒鬼

 

 ツクヨミ内で知らない者の方が少ないと言われる超大物。

 既存ファンだけで一千万を超える化け物集団。

 ファンの数がそのまま地盤になる以上、彼らの優位は揺るがない。

 

 揺るがない。

 

 はずだった。

 

 だが、ランキング外から突然飛び出してきた月の姫が、その下の水面を馬鹿みたいな勢いで荒らしている。

 

 かぐやいろPチャンネル。

 

 まだ若い。

 まだ粗い。

 事故も多い。

 危機管理はだいたい、いろPの胃に依存している。

 

 けれど、新規層の獲得率だけなら、一時的に上位ライバーすら振り向かせる勢いがあった。

 

 俺はそれを、少し離れた場所で見ていた。

 

 放課後の教室。

 ファミレスの席。

 ツクヨミの工房。

 あるいは、酒寄の部屋の隅。

 

 かぐやはよく笑う。

 酒寄はよく小言を言って怒る。

 諌山は面白がる。

 綾紬は静かに見守る。

 

 そして俺は、必要な時に手を貸す。

 

 ただ、それだけ。

 ただ、それだけのはずだった。

 

「雅治! 見て見て! かぐや、また伸びたよぉ!」

 

 かぐやがスマホを差し出してくる。

 

 画面には、かぐやいろPチャンネルの数字が並んでいた。

 昨日より増えている。

 かなり増えている。

 普通に考えれば、喜ばしい。

 いや、普通に考えなくても喜ばしい。

 

「すごいな」

 

 俺は言った。

 

 かぐやは胸を張る。

 

「でしょ!」

 

「酒寄の編集も効いてる」

 

「いろPすごいよね!」

 

「かぐやも頑張ってるとも」

 

「やっぱかぐやもすごい!」

 

「そうだな」

 

 自然に、そう言えた。

 

 少し前までなら、きっと言えなかった。

 褒めるという行為そのものが下手だったし、誰かの成長を自分のことみたいに喜ぶ感覚も、正直よく分からなかった。

 

 でも今は違う。

 

 かぐやが伸びると嬉しい。

 酒寄の作った曲が届くと嬉しい。

 あの子が笑って、跳ねて、自慢げに胸を張って、また次へ走ろうとする姿を見るのが、悪くなかった。

 

 悪くないどころではない。

 

 かなり、いい。

 

 酒寄は隣でため息をついた。

 

「それ自分で言う?」

 

「だって雅治が言ってくれたんだもん!」

 

「橘君が甘やかすからでしょ」

 

「だが事実だろう?」

 

「事実で甘やかすのが一番たち悪いのよ」

 

 いつものやりとり。

 

 いつもの声。

 

 最近、こういう時間が増えた。

 

 ファミレスで勉強会をすることもある。

 数学は俺が、英語も俺が見る。

 国語の古典は酒寄が俺に文句を言いながら見る。

 諌山は途中でポテトを頼む。

 綾紬はノートをきれいにまとめる。

 かぐやは隣で勉強しているふりをして、だいたい何か食べている。

 

 うるさい。忙しい。落ち着かない。

 

 でも、嫌ではない。

 

 酒寄はいつだって前を見ている。

 追いつけないものに追いつこうとするように、前だけを見て、自分に鞭を打っている。

 

 かぐやは前を見ている。

 見るもの全部が新しくて、触れるもの全部が楽しくて、転んでも怒られても、次の瞬間にはもう顔を上げている。

 

 俺だけが、未だに後ろを振り返る。

 

 いや。

 

 振り返っているつもりはない。

 

 ただ、足首に何かが絡んでいる。

 

 家にいた時は、常に独り。

 静粛、誰もいない家の中。

 できるのが当然であった。

 認めも褒めの言葉もなく。

 驚かれることもなかった。

 ただ次の課題が来るだけ。

 

 次。

 

 次。

 

 次。

 

 それだけ。

 

 俺は、あの家の中で、ずっと前を見ているふりをしていた。

 本当は後ろを引きずっているくせに。

 

 父の声を。

 母のいない食卓を。

 褒められなかった手の痛みを。

 何も言わずに置いてきたはずのものを。

 

 ずっと。

 全部、置いてきたつもりだった、のに。

 

 置いてきた、はずだった。

 

 けれど、最近になって、時々おかしくなる。

 

 ほんの少し。

 本当に少し。

 

 今までなら滑らかに回っていた歯車が、急に一つだけ噛み損ねるような。

 

 油を差して、見ないふりをして、まだ動くと自分に言い聞かせていた部分が、どこかで錆びていることに気づいてしまったような。

 

 そんな違和感があった。

 かぐやが伸びるたびに。

 

 酒寄が嬉しそうに笑うたびに。

 誰かが、かぐやを褒めるたびに。

 

 胸の奥で、何かが軋む。

 

 嬉しい。

 

 それは本当だ。

 

 本当に嬉しい。

 

 だからこそ、たちが悪かった。

 

     *

 

 それは、かぐやいろPチャンネルが、上位ライバーの一人にゲストとして招かれた日のことだった。

 

 配信自体は成功した。

 

 いや、成功という言葉では足りない。

 

 かなり跳ねたとも。

 

 かぐやは緊張しながらも、いつもの全力で突っ込んだ。

 相手の企画の予想を斜め上に行く答えとアドリブだけで乗り切った。

 いろPがいたとしても止めきれなかった、いつものかぐや。

 その結果、切り抜きが爆発的に拡散されることに。

 

 いつものことだった。

 

 配信後。

 酒寄の部屋。

 

 かぐやは床の上で跳ねていた。

 

「見て! 見て見て! コメントいっぱい! かぐや、また呼んでもらえるかな!」

 

「呼ばれるかどうかは先方の判断。あとお礼のメッセージ送るから、変なスタンプ押さないでよ」

 

「変なスタンプってどれ?」

 

「全部候補から外しなさい」

 

「全部!?」

 

 酒寄は忙しそうに端末を操作している。

 

 目の下には少し疲れがある。

 

 でも、その口元は少しだけ緩んでいた。

 

 嬉しいのだろう。

 かぐやが認められることが。

 自分の作ったものが届くことが。

 

 それを見て、俺も嬉しかった。

 

 確かに。

 嘘ではなく。

 

 かぐやは頑張った。

 

 酒寄は常に支えた。

 

 諌山も綾紬も手を貸した。

 

 俺も、少しだけ手を貸した。

 

 赤ん坊だった頃から、何も知らなかった頃から、泣いて、笑って、食べて、怒られて、走って、転んで、それでも前だけを見ていたかぐやを、俺たちは見てきた。

 

 育てた。

 見守った。

 

 止めた。

 止めきれなかった。

 

 それでも、ここまで来た。

 

 だから。

 かぐやならできる。

 

 かぐやが頑張ってきたのを知っている。

 

 あのキラキラと光る才能を知っている。

 どんなものにも臆せず飛び込む純粋さを知っている。

 知らない世界に目を輝かせて、前だけを向いて、全速力で突っ込んでいく強さを知っている。

 

 だから結果が出る。

 報われる。

 届く。

 

 そう言いたかった。

 

 そう言えばよかった。

 

 なのに。

 

「当然だな。なんだって、かぐやなら  

 

 優勝は当たり前だから。

 

 そこまで言いかけて、喉が止まった。

 

 違う。

 

 今、俺は何を言おうとした。

 

 誰に向けて。

 

 何を。

 

 かぐやがこちらを見る。

 

「雅治?」

 

 酒寄も手を止める。

 

「橘君?」

 

 違う。

 

 そうじゃない。

 

 そう言いたかったわけじゃない。

 

 俺が言いかけた言葉は、    

 もっと短かった。

 もっと簡単だった。

 もっと、聞き慣れた言葉だった。

 

 

  雅治なら、できる子だから当然だ。

 

  お前には才能があるから当たり前だ。

 

 

 頭の中で、父の声が走る。

 

 自分の声と同じ場所から。

 

 背中に悪寒が走る。

 喉の奥が冷える。

 指先が強張る。

 胸の奥で、錆びた歯車がぎしりと嫌な音を立てる。

 

 俺は今、何を言おうとした。

 

 誰に向けて。

 

 何を。

 

 かぐやは努力している。

 酒寄も支えている。

 諌山も綾紬も手を貸している。

 みんなで進んでいる。

 だから結果が出た。

 

 それでよかった。

 

 それだけでよかった。

 

 なのに、俺は。

 

 できる子だから当然だと。

 

 才能があるから当たり前だと。

 

 努力をすれば、報われるのも当然だと。

 

 努力の過程ではなく、心の震えでもなく、転んでも顔を上げてきた時間でもなく、ただ結果だけを見て。

 

 言おうとした。

 

 俺が一番嫌いだった言葉を。

 

 俺が一番失望した言葉を。

 

 俺が、父を遠ざけるきっかけになった言葉を。

 

 大事だと思っている子に向けて。

 

 俺は。

 

「……雅治?」

 

 かぐやの声がした。

 

 近い。

 

 心配そうだった。

 

 駄目だ。

 

 そういう顔をさせるな。

 

「いや」

 

 俺は息を吐いた。

 

 いつもの形に戻す。

 

 表情。声。姿勢。

 

 戻せ。

 

 戻せ。

 

 戻せ。

 

 多分、戻った。

 

 戻ったはずだ。

 

 いや、戻った

 

「かぐやなら、まだ伸びると思っただけだ」

 

「ほんと!?」

 

「ああ」

 

「じゃあもっともっと頑張る!」

 

「ああ、それがいい。ただし、無理はしない範囲で、な」

 

「むぅ、そこは雅治っぽい」

 

「そうか」

 

 かぐやはすぐ笑った。

 

 笑った。

 

 俺が何を言いかけたのか、分かっていない顔。

 

 それでいい。

 

 それでいいはずなのに。

 

「……雅治」

 

 かぐやがもう一度、名前を呼んだ。

 

 声が少しだけ違った。

 

「なんだ」

 

「今、なんか苦かった?」

 

 酒寄の指が止まった。

 

 俺も、止まった。

 

 かぐやは首を傾げている。

 意味は分かっていない。

 何を感じ取ったのかも、たぶん自分では分かっていない。

 ただ、感じたものをそのまま口にしただけ。

 

 この子は、そういうところがある。

 

 難しい言葉は知らない。

 人の過去も知らない。

 

 でも、感情の色だけを妙な精度で拾う。

 

「……苦くはない」

 

「ほんと?」

 

「ああ」

 

「ならいいや!」

 

 かぐやはまた笑う。

 

 切り替えが早い。

 早すぎる。

 

 助かる。

 助かってしまう。

 

 酒寄は少しだけこちらを見ていた。

 

 何かに気づいた顔。

 

 全部ではない。

 

 でも、何か。

 

「橘君」

 

「何だ」

 

「今の」

 

「何でもない」

 

「……そう」

 

 酒寄はそれ以上、聞かなかった。

 

 いつかの夜。

 俺が「いずれ話す」と言ったことを、覚えているのだろう。

 

 だから、今は聞かなかった。

 

 ありがたいと思った。

 同時に、苦しかった。

 

 聞かれはしなかったことが。

 聞かせられなかったことが。

 

 どちらも。

 

 歯車は、まだ動いている。

 動いているように見える。

 

 けれど、さっきの一瞬で見つけてしまった一つの錆。

 油を差して、見ないふりをして、それでもまだ回ると誤魔化していた場所を。

 

 そこにあると、分かってしまった。

 

 ならもう、前と同じようには動けない。

 

 そう思った。

 

 思ってしまった。

 

 

 

 

     *

 

 

 

 身体を動かせば、余計なことを考えなくて済む。

 

 昔からそうだった。

 

 考えたくない時ほど、走る。殴る。受ける。倒れる。立つ。息が切れるまで動く。そうすれば、頭の中の声が少し小さくなる。

 

 消えるわけではない。

 

 小さくなるだけ。

 

 それでも、ないよりはましだった。

 

 

     *

 

 

 翌日。

 

 ジム。

 

 いつものように筋トレ動画を撮り、残った時間でスパリングに打ち込む。

 

 相手をしてくれるのは、叔父さん  ジムではコーチと呼ばれている人だった。

 

 打撃。

 

 組み。

 

 寝技。

 

 ボクシング、レスリング、柔術を含めた、俺の身体の使い方はだいたいこの人の仕込みである。

 

 本家で習った古武術らを捨てた日から。

 

 いや、捨てたと言うより、握れなくなった日から。

 

 俺が新しく身につけたものは、ほとんどこの人に叩き込まれた。

 

 週に四回以上。

 

 仕事の合間を縫って、わざわざ時間を作って、技の仕込みと鍛錬に付き合ってくれる。

 

 本当の意味での師匠だ。

 

 普段は叔母さんのいる家が怖いから  本人は断固として否定する  週末になると、よく俺の家に泊まりに来る。

 

 いい歳した大人が、何をしているのか。

 

 いや、俺が言えた義理ではない。

 

 それでも、人として。

 

 格闘技を教える先達として。

 

 そして、俺より先にあの家を飛び出し、外の世界でちゃんと成功を掴んだ反抗児として。

 

 俺はこの人に頭が上がらない。

 

 尊敬している。

 

 信頼もしている。

 

 信用もしている。

 

 今の俺がいるのは、かなりの部分でこの人のおかげだ。

 

 ただし。

 

 その叔父さんは、今日の俺の動きを見てすぐに眉を寄せた。

 

「脇が甘い」

 

 ミットに打ち込んだ拳が、わずかに流れる。

 

「重心が前に流れてる」

 

 踏み込む。

 

 返される。

 

 足が止まる。

 

「反応が遅い」

 

 分かっている。

 

 分かっているのに、身体が一拍遅れる。

 いつもなら考える前に動くところで、ほんの少しだけ詰まる。

 噛み合っていた歯が、ぎしりと音を立てて滑る。

 

 痛いわけではない。

 苦しいわけでもない。

 

 ただ、気持ち悪い。

 

 自分の身体なのに、自分のものではないみたいだった。

 

「考え事しながら殴るな。怪我するぞ」

 

「……分かっています」

 

「分かってない奴の返事だな」

 

 叔父さんは遠慮がない。

 

 ありがたい。

 

 遠慮される方が、今はきつい。

 

「もう一本」

 

「やめとけ」

 

「まだ動けます」

 

「動けるかどうかの話じゃない」

 

「問題ないです」

 

「あるから言ってるんだよ」

 

 叔父さんの声が少し低くなった。

 

 ミットを下ろす。

 

 俺は拳を握ったまま、息を吐いた。

 

 汗が落ちる。

 

 床に跳ねる。

 

 現実の身体は、正直だった。

 

 誤魔化しがきかない。

 

「雅治」

 

「はい」

 

「本家からお前当てに連絡が届いたぞ」

 

 その言葉で、呼吸が一つ止まった。

 

 本家。京都。あの家。父。母のいない場所。できて当然の場所。

 俺が捨てた。

 

 いや。

 

 逃げた場所。

 

「……誰から、ですか」

 

「お前の親父、貞治(さだはる)のことだ」

 

 拳の力が抜ける。

 

 嫌な音が、頭の奥でした。

 

 聞きたくない。

 

 でも、聞かなければならない。

 

 そんな音。

 

「今ここで言う必要はありますか」

 

「ああ」

 

 叔父さんは目を逸らさなかった。

 

「他のことなら後でもいい。だが、これはお前にこそ早く知らせるべきだと思った」

 

「……」

 

「貞治が倒れた」

 

 叔父さんは、短く言った。

 

「今は病院にいる。家でどうこうできる状態じゃない」

 

「……それは」

 

「軽くない」

 

 その一言で、十分だった。

 

 十分すぎた。

 

 俺は何も言えなかった。

 

 叔父さんは続けた。

 

「癌だ。転移もある。初期じゃない。医者は、かなり悪いと言っている」

 

 癌。

 

 転移。

 

 初期じゃない。

 

 かなり悪い。

 

 聞こえた。

 言葉は聞こえていた。

 聞こえているのに、すぐには意味にならなかった。

 

 誰が、橘貞治(たちばなさだはる)が。

 あの人が。

 父が。

 

 病院にいる。

 家でどうこうできる状態ではない。

 軽くない。

 

 そこまで理解した瞬間、喉の奥に、昨日飲み込んだはずの言葉が戻ってきた。

 

 できて当然。

 結果が出るのも当たり前。

 

 親子の血は争えないとでもいうのか。

 

 今さらどの面下げて。

 

 ならばなぜ、あの時に。

 なぜ、もっと前に。

 なぜ、俺がまだ何かを期待していた時に。

 

 全部が、一度に押し寄せた。

 

 憎んでいた。

 失望していた。

 離れたかった。

 

 もう関係ないと、何度も思った。

 

 思ったはずなのに。

 

 父が死ぬかもしれない。

 ただそれだけの事実が、どうしようもなく重かった。

 

 ジムの空気が遠くなる。

 

 ミットの匂い。汗。床の感触。叔父さんの声。全部があるのに、どこか遠い。

 

 握っていたはずの拳から、力が抜けていた。

 

 もう一度握り直そうとして。

 

 できなかった。

 

 俺はただ、立っていた。

 

 何も言えずに。

 

 拳も握れずに。

 

 ただ、立っていた。

     *

 

 その日の夜。

 

 ツクヨミにログインした。

 

 逃げるように。

 

 いや、逃げたのだろう。

 

 ジムでは駄目だった。身体を動かしても、頭の中の声は小さくならなかった。汗を流しても、息を切らしても、拳を握っても、父の声は消えなかった。

 

 だったら、作ればいい。

 形にすればいい。

 言葉にできないものは、いつもそうしてきた。

 

 シらぬイとしてなら。

 あの工房なら。

 手を動かしてさえいれば、余計なものは黙らせられる。

 

 そう思った。

 思いたかった。

 

 工房はいつも通りだった。

 

 工具。材料。設計図。未完成の部品。視聴者が待っている。無声配信。いつものプラカード。いつもの手順。いつもの俺。

 

 シらぬイ。

 

 昼の橘雅治とは違う。

 

 礼儀正しく、丁寧に、角が立たないように整えた「」ではない。言葉を捨てて、説明を捨てて、ただ作る。ただ形にする。

 

 そうやって、夜だけは息ができた。

 

 できていた。

 

 はずだった。

 

『きた』

『今日なに作る?』

『筋肉筋肉筋肉』

『またネット倫理でも削るんか?』

『この前のコラボ見たぞ』

『コラボという名の事故だけどw』

『かぐやちゃん伸びてるな』

『いろPもすごい』

『シらぬイ、次は何?』

 

 コメントが流れる。

 

 速い。

 

 いつもなら、気にならない。

 

 むしろ流れている方が落ち着く。誰かが見ている。誰かが待っている。誰かが俺の作ったものに驚く。笑う。呆れる。

 

 そういう場所だった。

 

 今日のタイトルは、珍しく普通。

 

【再現調理】現実レシピ検証 苺のショートケーキ

 

『え、普通?』

『逆に怖い......なんだいつものことじゃん』

『このタイトルで普通に終わるわけないだろ』

『今日は料理で爆発?』

『ケーキなら安心だな!』

『安心できる要素どこ?』

 

 文字板(プラカード)を出す。

 

『本日は健全です』

 

『嘘だ』

『嘘だな』

『健全の定義を疑え』

『シらぬイの健全は信用ならない』

 

 いつも通り。

 いつも通りのはずだった。

 

 計量する。

 

 混ぜる。

 

 泡立てる。

 

 型へ流す。

 

 温度を管理する。

 

 手は動く。

 

 動いている。

 

 けれど、滑らかではなかった。

 

 指が一拍遅れる。器具を取る角度がずれる。作業台へ置いたボウルの音が、いつもより少しだけ大きい。

 

 ほんの少し。

 誰が見ても分からない程度。

 俺自身にしか分からない程度。

 

 それでも、分かってしまう。

 

 歯車が錆びている。

 

 油を差して、見ないふりをして、それでも動くと誤魔化していた場所が、ぎしぎしと嫌な音を立てている。

 

『今日なんかえらい普通だな?』

『工程はちゃんとしてるさ、工程は』

『いや上手いんだけど』

『なんかいつもの常識へのパンチがこない』

『シらぬイ疲れてる?』

 

 疲れている。

 どうだろう。

 

 たぶん。いや、違う。そういうことにしたいだけだ。

 

 疲れているだけ。

 

 コンディションが悪いだけ。

 

 父が倒れたことも。

 癌だと言われたことも。

 かぐやに、父と同じ言葉を向けかけたことも。

 

 全部、今日だけの不調。

 明日になれば戻る。

 次になれば戻る。

 

 次。

 

 その文字を見た瞬間、指が止まりかけた。

 

 次。

 

 次は何をする。

 

 次は何を作る。

 

 次は何を見せる。

 

 次。

 

   次。

 

  次。

 

 うるさい。

 

 いや、うるさくない。

 

 コメントは悪くない。視聴者は楽しみにしているだけだ。いつもの軽口だ。いつもの期待だ。いつもの空気だ。

 

 分かっている。

 分かっているのに、刺さる。

 

 オーブンへ入れる。

 焼成時間が始まる。

 

 その間に作業台を拭き、器具を並べ直し、次の工程の準備をする。

 

 いつもなら、その間にもう一つ仕掛けを考えている。

 

 どう崩すか。

 どこで外すか。

 どこで笑わせるか。

 どこで常識を殴るか。

 シらぬイなら、ここで何かやる。

 シらぬイなら、普通では終わらない。

 シらぬイなら。

 

『今日は別に普通?』

『普通に上手いだけ?』

『いや上手いんだけど』

『珍しく空振りしたなホームラン王』

『まあコンディション悪い日もある』

『でも次に期待』

『次も料理?』

『次はなにする?』

『次の狂気待ってる』

 

  次。

 

 次。

 

   次。

 

 悪意はない。

 悪意なんて、どこにもない。

 

 ただの軽口。

 いつものコメント。

 いつもの期待。

 いつもの空気。

 

 分かっている。

 分かっているのに、刺さる。

 

 褒められている。

 待たれている。

 楽しみにされている。

 

 それだけのはずなのに。

 

 俺の中では、それが別の音に変わっていく。

 胸の奥で、何かがずれる。

 

 ここは本家ではない。

 

 ここに父はいない。

 

 誰も、できて当然だと言っていない。

 

 誰も、もっとやれと命じていない。

 

 誰も、俺を縛っていない。

 

 それなのに。

 

 逃げてきたはずの場所で。

 

 自由の証だったはずの名前で。

 

 シらぬイという仮面の下で。

 

 俺はまた、次を求められている。

 

    いや、違う。

 

 求められているのではない。

 

 俺がそう聞いているだけだ。

 

 期待を、()()として聞いている。

 

 視線を、()()として受け取っている。

 

 感想を、()()として飲み込んでいる。

 

 自分でそうしている。

 

 自分で自分の足首を掴んでいる。

 

 自分で自分の首を絞めている。

 

 焼成が終わる。

 

 オーブンを開ける。

 

 普通のスポンジが焼き上がっている。

 

 よくできている。

 

 きれいに膨らんでいる。

 

 香りもいい。

 

 普通に、美味いものができる。

 

 それでいい。

 

 それでいいはずだった。

 

 けれど、指は勝手に別の工程へ向かっていた。

 

 仕掛けを入れる。

 

 変換する。

 

 熱と圧力と素材の組成を、ツクヨミの理屈で強引にねじ曲げる。

 

 ショートケーキから、ダイヤモンドケーキへ。

 

 馬鹿馬鹿しい。

 

 意味が分からない。

 

 いつものシらぬイなら、視聴者は笑う。

 

 だから。

 だから、これでいい。

 これで、いつもの通りだ。

 

 透明な結晶が生成される。

 

 スポンジだったものが、硬質な多面体へ変わる。

 

 光を受けて、きらりと輝く。

 

 完成度だけは高い。

 

 無駄に高い。

 

 なのに、俺の中では何も跳ねなかった。

 

 何も面白くなかった。

 

 ただ、作った。

 ただ、形にした。

 ただ、シらぬイらしいものを出した。

 

 シらぬイらしくあるために。

 

『????????』

『なぁにこれぇ』

『苺どこ行った』

『レシピ再現するだけで鉱物が産まれるってマ?』

『そういうとこだぞ!!!!』

『いや笑うけどさ』

『今日ちょっと無理やり感ある?』

『なんかいつもよりキレ悪いな』

『まあコンディション悪い日もある』

『次に期待』

『次はなに?』

 

 次。

 

 まただ。

 

  次。

 

 また、その言葉だ。

 

 ダイヤモンドケーキを作った。

 

 常識は殴った。

 

 視聴者も笑った。

 

 崩壊もした。

 

 なのに、もう次の話をしている。

 

 次。

 

  

 

   

 

 次とは何だ。

 

 次は、何をすればいい。

 

 次は、何を作ればいい。

 

 次は、何を見せればいい。

 

 何を作れば満たされる。

 

 何を見せれば終わる。

 

 どこまで行けば、もういいと言われる。

 

 できて当然。

 

 次だ。

 

 まだ足りない。

 

  もっとうまくやれ

 

 父の声がする。

 

 視聴者のコメントが流れる。

 

 それは違うものだ。

 

 違う。

 

 違うはずだ。

 

 なのに、重なる。

 

 自由になりたかった。

 

 シらぬイ(ツクヨミでの俺)は、自由の象徴だった。

 

 ここは本家じゃない。

 ここに父はいない。

 

 誰も俺に命じていない。

 誰も俺を縛っていない。

 

 それなのに、息ができない。

 

 逃げてきたはずの場所だった。

 自由になるための名前だった。

 

 本家の名前も、父の声も、橘雅治の形も、全部脱ぎ捨てて、ただ作るための場所だった。

 

 走る。創る。撮る。

 また走る。また創る。また撮る。

 

 それを、自由だと思っていた。

 

 好き勝手に作っているつもりだった。

 誰にも縛られず、誰にも命じられず、ただ自分の手で世界の前提を壊しているつもりだった。

 

 でも。

 今、俺は何をしている。

 

 誰のために。

 何のために。

 

 シらぬイらしくあるために、シらぬイを演じている。

 

 自由に見えるように。

 期待に応えるように。

 次を出せるように。

 

 次。

 

 次。

 

 次。

 

 自由になるために足掻いた。

 足掻いて、足掻いて、ここまで来た。

 なのに、自由そのものを俺が縛っている。

 

 シらぬイでさえ、もう自由ではない。

 

 それに気づいた瞬間、胸の奥で何かが決壊した。

 

 罅が広がる音がした。

 錆びた歯車が、最後に一度だけ空回りする音がした。

 

(次、か)

 

 そもそも。

 

 自由なんて、あったのか。

 

 画面の中で、シらぬイは止まっている。

 

 ダイヤモンドケーキを作業台に置いたまま。

 

 文字板も出さずに。

 

 工具も持たずに。

 

 ただ、止まっていた。

 

『どうした?』

『あれ?』

『止まった』

『配信トラブル?』

『シらぬイ?』

『回線?』

『いや動いてる』

『本当にどうした?』

 

 違う。

 

 回線じゃない。

 

 故障でもない。

 

 たぶん、俺だ。

 

 壊れているのは。

 

 配信を切った。

 

 唐突に。

 

 何の説明もなく。

 

 画面が暗くなる。

 

 工房に静けさが戻る。

 

 俺はしばらく、その場に立っていた。

 

 何も作らずに。

 

 何も壊さずに。

 

 何も残せずに。

 

 ただ。

 

     *

 

 翌日。

 

 ツクヨミに、一つの投稿が上がった。

 

『昨夜の配信につきまして、配信環境の不調、および現実側の私用が重なり、予告なく終了する形となりました。ご視聴いただいていた皆様には、ご心配とご迷惑をおかけしました。申し訳ありません。以後、同様のことが起きないよう、配信環境ならびにスケジュールの見直しを行います。次回配信につきましては、改めて告知いたします』

 

 丁寧。

 礼儀正しく。

 言葉の不足もなく。

 

 言い訳にも見えない。

 

 過剰にへりくだってもいない。

 

 誰が見ても納得できる、責めようのない文章だった。

 

 完璧な謝罪文。

 完璧すぎるほどに。

 

 その文面には、いつものシらぬイらしさが欠片もなかった。

 

 馬鹿みたいな言い回しも。

 妙な文字板も。

 常識への横殴りも。

 

 何もない。

 

 ただ、整っている。

 綺麗に整っている。

 整いすぎている。

 

 それは、誰が見ても分かるほど完璧な謝罪で。

 

 誰が見ても分からないほど、壊れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

走る。

 創る。

  撮る。

 

      を繰り返す   

 何も珍しくない、皆も被っている仮面を同じく被るだけ。

 

  走る。

 創る。

撮る。

 

みんなは知らない  本当の僕/俺

 

 

自由な(ぼく)を魅せ、正しい(おれ)を見せる

 

 

 

 

 

 

もう、いいか

 





今回も最後までお読みいただきありがとうございましたー!!!!!

 前回開いたアンケートだけ今週の日曜日の24時までで終わらせますが、今の所10票ぐらいで意見が分かれています。
 なので、このままで集結したら今後の新たに書くものだけを本篇の0.5話として入れて、連載初期のものだけを頭においとこうと思います。
 本篇が一度完結を迎えたら、これまでの内容とに合わせて書き加えるなど編集をした後にそれぞれの場所に入れようとも思いましたが、まぁまだ遠い未来の話ですのでこれについてはまたアンケートでも開いてその時にご意見を伺いたします。


さすがに本篇が重いから後書きに書く内容までをも前書きに全部入れてしまった()
上げて墜とすギャップは作者の得意であり好みだと幾度も言ったハズ。
みなさん、お加減はいかがだったでしょうか。
僕はこれからの雅治の困難たちを想像するだけでウキウキです。これらをどう乗り越えさせようか、もしくはこのまま折れてしまった未来はどうなるのか想像するだけで指がウキウキ。







おまけ
~もしも、かぐやが反省しなかったら with 雅治~

「あのね、こんなのあぶく銭、水物なんだよ」

「でもぉ~、合法でございましょ?」

 ちゅー、とジュースを飲みながら、かぐやは星形グラサンを指でぐいっと上げた。

 にやり。

 完全に調子へ乗った顔。

 部屋の狭さとも、さっきまでの説教とも、現在の彩葉の顔色とも、何一つ噛み合っていない派手なパーティーグッズ。

 そこにいたのは、月から来た姫ではない。

 パリピ化を遂げたかぐやである。

「「……イラッ」」

 彩葉と雅治が、同時に顔を見合わせた。

 心は同じ。

 うざいな、こやつ。

「橘君」

「判決は」

「有罪。再審はなし」

「承知」

 こういう時だけ、言葉はいらない。

 以心伝心。

 一心同体。

 なぜその連携をもっと平和なところで使えないのか。

「うぇぇええええ!?」

「そういうことだ、かぐや。清く受け入れるといい」

「ヘェン、雅治なんかに捕まってあげるもんかぁ!」

 脱兎のごとく。

 抜蝉のごとく。

 脱却のごとく。

 かぐやは最善最速のルートで脱出を試みた。

 した。

 はずだった。

「カバディ」

「ウグェ」

 終わった。

 またしても、筋肉の化身にして歩く理不尽こと橘雅治の大胸筋へ吸い込まれただけで終わってしまった。

 堅い。

 固い。

 硬い。

 一体何を食べたら、こんなカチカチの鋼の肉体が出来上がるのか。

 気になる。

 気になるが、聞いた瞬間、この世ならざるトレーニング方法を淡々と語られてこちらの正気が削れそうなので黙る。

 かぐやは学習できる賢い子なのだ。

 懲りないだけで。

「橘君」

「うむ」

「……スッ」

 彩葉の言葉に頷き、雅治は無言で筋トレマットを敷いた。

 その上に、かぐやがそっと寝転がる。

 腹筋の姿勢。

 さすがにここまで来ると、オチが見えてくるのである。

「今日はエンドレス腹筋と三曲分プランク」

「だそうだ」

「……こンの熟年夫婦目」

 おい。

 だからその口が問題なんだって。

「おやつ一週間抜き。外出禁止」

「ごめ゛ん゛な゛さ゛い゛」

 パリピかぐや。

 享年、約三分。

 死因、口。

番外編を時間列に合わせて本篇の合間に入れてみる?

  • 話の展開やネタの繋がりがあってよさそう。
  • 「番外」やから別途でいいんじゃね?
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 月見ヤチヨ、八千歳。得意な事はかくれんぼ。今日も彼女はかくれんぼをしている。大切な友達と。▼ 


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八千と百六八年(作者:節足甲殻)(原作:超かぐや姫!)

なんて綺麗で美しくて残酷なのだろう。▼それでもやっぱり、笑顔が見たい。▼ノリと勢いで書いちゃいました。映画と小説の情報をもとに書いていきます。▼小説初挑戦の筆者ですが、長い目で見ていただけると嬉しいです。▼(2026/4/25)日間ランキング五位、誠にありがとうございます。


総合評価:683/評価:7.39/連載:5話/更新日時:2026年05月11日(月) 12:00 小説情報

超お世話係!(作者:チクワ)(原作:超かぐや姫!)

▼ 「──じゃあ、俺にお世話させてください」▼  1人で生きて欲しくない、1人で綺麗に生きたかった男の話。


総合評価:1680/評価:8.53/連載:31話/更新日時:2026年06月09日(火) 18:00 小説情報

超人酒寄彩葉と借金貧乏男子が運命的な出会いをする話(作者:陸結)(原作:超かぐや姫!)

完璧超人女子高校生酒寄彩葉と莫大な借金を抱えて日夜バイトを繰り返す男子高校生有原泉が運命的な出会いをしてハッピーエンドへ向かう話▼作者の体調不良に付き更新が滞っています。ご了承下さい


総合評価:369/評価:6.07/未完:24話/更新日時:2026年05月31日(日) 22:21 小説情報


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