引き抜かれた戦棍の支えを失って、ゆっくり髪がたなびく。そんな姿まで美しいと思ったのは、彼女を喪う
自由になったライダーよりも、私たち二人はランサーに駆け寄る。敵もサーヴァントさえ排除してしまえばあとは消化試合と判断したのか手出しはしてこなかった。
それくらい致命傷。散る光は即ち命。
胸部にぽっかりと開いた穴の向こう、地面が見えるほどの一撃の痕。喋れるだけでも奇跡のような状態なのに、彼女は、
「ごめん……なさ、い。私はここまで……。最後まで、まもれなくて──」
私なんかに謝ってくる始末。
止めてよ。謝ったりしないでよ。全部私のせいなんだから。
彼女がこんな夜の冬の森で消滅しつつあるのは全て私のせい。行き場のない感情を持て余して、うかうかと出歩いてライダーに拐かされて、こんな事態を引き起こした。罪は全部私にあるのに、ごめん、ごめんなさい。
「ごめんなさいランサーっ、わ、わたしが……っ」
私のせいで、また貴方を死なせてしまった。
それでも、そうだ、彼女が落命するのは初めてではない。彼女の宝具ならば、強制自害による死やルーンの反動での霊基崩壊からも帰ってこられる奇跡の力なら、きっと──
「ランサー、戻って来て……。私なんかのせいで、終わらないで……! 魔力ならいくらでも使っていいから、死なないで──」
「──それは、出来ません。私の
「──────な」
なんで、どうして。
「それが俺たちの──ヘルギとワルキューレの物語の終わりだからだ………………」
聖の震え声で、閃光のように思い出す。
第一の
第二の
そして、第三の
ヘルギと
カーラとして死んだあの時──そうだ、私は知っている、
いくら宝具とて道理はある。ワルキューレ物語の再演を成し遂げる奇跡には、
──つまり、これが、ランサーの本当の死。
「…………私のせいだ。全部私が、──」
「
俯いて顔の見えない聖が呟く。まさか彼が励まそうとしているはずがないから、こんな状況なのに困惑が先だった。
ランサーの上体を抱き上げて、
「
──それは、そんな、素朴で当たり前の懺悔。
悪いことをしてしまったら謝る。そうすれば許される、とも限らないけれど──そうしないと踏み出せないという気持ちは、私にも痛いほど判るから。
あのとき、天高くから墜ちて死んだ戦乙女カーラに謝罪の言葉が届くことは無かった。手にかけたヘルギはきっと同じように亡骸を抱き上げて詫びたのだろうけれど、彼女の
「ごめん、ごめんカーラ、ごめん……! ごめん、戦いに夢中になって、おれが──君を傷つけた……! 繋がってたのに、繋がりをおれが断ち切って、終わらせてしまったこと、赦して……くれ………………」