「ぐあっ、ぐ──!!」
生きている。
そんなことはあり得ない。
『
「く、ッお、おおおォ……!!」
全身血だらけになりながら身を起こす聖。
彼の眼前、衝撃で敷設ルーンによる環境欺瞞が吹き飛ばされてもとの森に戻ったそこには、巨大なクレーターが出来上がっている。
木々はなぎ倒され、中央からはもうもうと黒煙が立ち昇る惨状。戦場も顔負けの大破壊が、一体どのようにして発生したのか。椎名聖はそれどころではないと知りつつも、思い返さずにはいられなかった。
あれはそう、ほんのちょびっとだけ前のこと──
***
「────『
絶叫の如き
……あれを止める術はない。椎名聖は観念した。
白光の終焉を顕現させたうえで、未だライダーをオーラが取り巻いている。アレも火力であり、剣を突き出せば刃先がライダーに届く前に蒸発するだろう。飛んで火に入る何とやら──彼の他の手札も同じ。あの熱量を踏破してライダーまで届く手段を、今の彼は持ち合わせていない。
回避も…………この身体では厳しかろう。全身ボロボロで満足に動けないし、迂闊な位置取りをすれば
勝てなかった。倒せなかった。
キャスターの友誼にも、ランサーの願いにも、ハル神父の遺志にも報いられなかった。必勝を期して参戦した第五次聖杯戦争の途中が彼の人生の終わり。
完膚なきまでの敗北、避けられぬにしても早すぎる死。
にもかかわらず椎名聖の内心はさほど荒れていなかった。むしろ不思議なくらい凪いでいる。
────やれるだけのことはやって、願いも叶った。悔いは無い。
(あとは臙条を助けられれば言うことなしだったんだが。高望みだったらしい)
彼女
一応は味方に引き入れようと画策しているライダーがそんな有様では、その敵となるサーヴァントはもっとひどい。臙条叶のことをライダーの厄介な戦力として見做し、集中して狙ってくるはずだ。
そしてライダーはターゲットたる少女を、決して全力では庇護しないだろう。
もちろん自分の武器として有用なうちは手放さないし、メンテナンスも欠かさないし、狙われれば守りはする。けれどその戦略的価値が失われたり、勝つために必要なことと判断すれば躊躇なく切り捨てる。
彼と彼女の同盟の終幕が、最後の生き残りをライダーに使い潰されての終わりだなんて、そんなのは御免だ。
何としても回避したい結末だったから、死に物狂いで戦った。
けれど──もう出来ることは、ない。
それは椎名聖の悪癖。自らの取れる手段を網羅しており、極めて判断力の高い彼は
そしてそこに、もう一つの悪癖が重なる。これまでずっと一人で頑張ってきたから誰かに頼る発想が貧困であること。
自分の手札だけを見て、“ああこれは勝負にならないな”と見切りをつけて、命を諦める。
────それが、██████にはどうしても我慢ならなかった。