「ぐう……ッ、く──は……」
爆発はエネルギーの総量の割には控えめだった。あれが全部無秩序に爆ぜていたら、とてもこんなものではすまなかったろう。爆撃機から投下するような大型爆弾と同じだけの破壊が繰り広げられ、臙条叶と椎名聖はおろかライダーでさえも消滅しかねない激突だった。
ベル──魔神ベリアルはそうなる可能性、危険性を呑み込んで、
結果は────
「………………」
臙条叶は、もしくはその中に同居する魔神ベリアルは爆心地から少し離れた位置に倒れたっきり動かない。胸は上下しているから生きてはいるが、吹き飛ばされた拍子にどこかぶつけたか……それとも魔力の急激な消耗によるものか。
対するライダーは、
「くッ…………ふう、ハハハハハッ!」
依然、健在。
といっても無傷ではなく、彼の半身は焼け焦げている。『焼却式』の被害を最小限に抑え込んだ結果としての痛々しい被害ではあるが、彼は構わず笑っていた。
興奮は当然。成果は上々。
多少の火傷などどうとでもなる。臙条叶と魔神ベリアルさえ手中に収めてしまえば、第五次聖杯戦争など勝ったも同然。自然と哄笑も漏れようものである。
ひとしきり感情を発散すると、
「抵抗は無駄だったな、何もかも──むしろ余の益となった。喜べ、貴様は余に使われるために生きてきたのだ」
唯我独尊、傍若無人そのもののようなセリフを吐かすライダーに気絶した少女は何も応えられない。椎名聖もまた、それを否定できるだけのチカラは残されていない。
『
何より聖の身体が限界だった。
そもそもがまる三日昏倒していた起き抜けなのだ。戦うどころか立ち上がることから始めるべき人間が、意志力ひとつでここまでよく保ったというべきか。しかしその気力も、既に底をついている。複数回の魔剣接続──そのうちの一度は悪性情報を解禁しての全力を超えた死力。
また再び、昏睡の手が肩にかかっているのを感じていた。
冗談じゃない、ここでオチてたまるか。死ぬにしたって死に方というものはある、敵前でぶっ倒れて寝こけているところを始末されるなんて最悪過ぎる。せめて、死ぬその時まで、自分を殺す相手をしっかりと睨んだままで逝かせてくれ
ギリギリギリと食いしばる音。
ショートソードを支えと突き立て、半死半生の椎名聖が立ち上がろうとする。
そんな彼を陰が覆う。見上げれば、もうもうと立ち込める黒煙を背景に、ライダーがそこにいた。
「貴様はもう良かろう。よく戦った。もう終わるがいい──」
──結局、彼の言う通り。何も変わらないな、と椎名聖は思った。
ライダーがわずかに焦げただけ。臙条叶は捕まり、椎名聖はここで死ぬ。
変わったことと言えば、あとは空に上がる爆発痕の煙くらいのもの──────