墜ちてゆく。
墜ちてゆく。
真っ逆さまに、物理的に──この場合は精神的に?
意識のみとなった
要するに明晰夢の要領だ。“できる”と確信することが、この世界における実現性と直結する。
彼は空中でくるりと一回転しながら、境界のあやふやな霊体からいつもの恰好に転じていた。夢の中で武器が必要かどうかは重要なことではない。この場合、
そのまま、やがて足下に見えてくる地面に難なく軟着陸。現実の物理法則に則れば全身骨折の即死間違いなしな高高度からの着地だが、“無事に降りられる”と強く意識すればこれこの通り。
逆に言えば、僅かでも揺らげばかくの如き完璧なソフトランディングなど不可能なわけで、
「──まったく、つまらない人間だな、貴様は」
待っていた
口調と状況からして候補は
「アインツベルン……?」
「の、外見だけだ。私たち魔神柱に人間としての姿は備わっていない。誰かから借り受けるのが手っ取り早いというだけで、私とかの一族にゆかりなどないよ」
「じゃあ何でアインツベルンなんだ。臙条の夢の中の住人なら、それこそアイツの姿をしてるとか──」
「私があの子に宿った当時、あの子は今より更に未成熟だった。そんな状態で自分と同じ姿をした誰かとして夢に姿を現せば悪い影響を与えてしまう」
ベリアルはそっと己の──借り物の胸に手を添える。
「この姿の元となったアインツベルンは、第四次聖杯戦争の関係者──当時の小聖杯の
「
「…………ああ、この世界では一般的ではないのか。
それはいわゆるインターネット用語。仮想空間内での代理の肉体、デジタルで表現された分身のことを、インド神話の化身を示す言葉になぞらえてアバターと表現するのは、ベリアルの知る世界ではそれなりに一般的なことであり。
「────やっぱり、アンタ。キャスターと同じく別世界からの来訪者だな」
異なる歴史を辿ったこの世界では、まったく馴染みのないワードであった。
「おかしいと思ってたんだ。人類悪が出現した話なんざ聞いたことがない。他所の世界で暴れて、負けて、この世界に落ち延びてきた
すらりと抜刀された刃は既に魂の通じた魔剣の輝き。元より肉体なき心理領域ならば、接続を経ずとも初めから神秘は剥き出しの殺意と等しい。
「やっぱりまずはアンタを斬るしかなくなるが、どうだ」