やたら物騒なワードが飛び出したように思えるけれど、その中で引っかかった──辛うじて拾えた単語を足掛かりとしてみる。
「……ソロモン、って、王様の?」
「古代イスラエルに名高き賢者にして魔術師の王。過去と未来を見通し、我ら七十二柱の魔神を統べるもの。魔術師の頂点、冠位に値する偉大なる魔術王だ」
違うかもしれないと思って念のため確認したけれど。返ってきた説明は、やっぱり私でも知っているビッグネームについてだった。
ソロモン王。
紀元前十世紀ごろのイスラエルの第三代王。ダビデ王の子にして、イスラエルを最も栄えさせた名君。イスラエル神殿を築いたともされる。
偉大な人物には得てして付きものの神秘的な──荒唐無稽な──伝説の一つに、
あれは確か、まだルーラーの存在について聞く前だった。街を跋扈する悪魔の主は誰かという予想の候補の一人がソロモン王だったと記憶している。
結局、キャスター以外は不適格であろう英霊だし既にキャスターが現界している以上はありえないということで──
まさか、ベルがそのソロモン王の魔神だなんて、
それは皆も同じ。人理の影法師たるサーヴァントを召喚して戦わせる聖杯戦争の参加者たちでさえ、なかなかに受け入れがたい内容だったらしい。セイバーとそのマスターも口々に、
「────魔術王ソロモンの眷属、魔神……というのは百歩譲っていいとして、魔神
「そして、獣……人類悪とも言ったな。それは──」
「そうとも。我々は英霊──分けても
魔神柱とはその計画のためにデザインされた神殿の柱であり星の自転を止める楔。我々の計画のための、我々の全く新しい形象である」
「────……それが、あの黒い異形の姿か」
「然り。時に臙条叶の口を借りて、時にアインツベルンの器の容姿を借りていたのはまやかしの姿。あれが我々の真の姿、本来の形。神殿より人理定礎へ投錨され、固定のために聳え立つ柱にして針が、魔神柱の正しい機能なのだから」
「…………あの」
朗々と説明らしきものをしている
だってこれはちょうど、降参のポーズ。
聖が片っぽの眉を上げた表情で、
「付いていけてないんだろ」
仰る通りですとも。
人理は……何だっけ、これも前に聞き覚えはある。そして悲しいかな、聞き覚えしかない。言葉の響きから類推するに大事そうだ。ベル──魔神柱ベリアルはそれを焼き払ってしまったそうで、そのための姿があのにょろにょろした姿?
つっかえつっかえ確認すると、
「概ねその認識で正しい」
ほっ。
「ただし」
げっ。
「事態の重大さ深刻さをお前は理解っていない。人理とは人類の発展と繁栄のために存在する、この星に布かれた理だ。いわば人類全体の未来への航海図。我々はそれを焼却した」
「それッ──て……」