──326年、ローマ。
パラティーノの丘は赤く夜を照り返す。
「あぁぁぁあ……何故、なぜですか……陛下!! コンスタンティヌス陛下っ!」
一人の女が火中、泣き喚いている。涙も蒸発するような熱量の中で
哀れっぽい声と爆ぜる火の粉のパチパチ、ゴウゴウという音に負けじと、彼は良く通る声を張り上げた。
「何故。 何故だと? 貴様こそ、よく言えたものだ、ファウスタ」
呼ばわる名は、ローマ帝国皇后であり、つまりは彼の妻でもある女性のもの。
だというのに、その声は実に冷ややかなものだった。政略結婚であった彼と彼女の間に愛があったかは判らないが、仮にそういった情動は無かったとしても──これは、あまりにも不適切。
首を刎ねる
「
「ああ、あぁぁぁッ、誤解、誤解なのです、陛下──! 私は、そんな……!」
情けを
──この夜、コンスタンティヌス一世の妻、皇后ファウスタは処刑された。
──彼女は
──ただ、そのような事実のみが、歴史には刻まれている。
***
「はッ!!」
「うおおおッ──」
ランサーの短い呼気と、アーチャーの裂帛の咆哮。
繰り出される双騎の連携は、即席ながらもかなりの精度。もちろんサーヴァント基準であって、私からすればホテルのスイートルームに突如として竜巻が現れたようなものだ。それも二つ。巻き込まれれば塵も残らない間断なき連撃、無比。
互いに逆回転するが如きニ騎が
何しろそうやって二人がかりで攻め立てても、ルーラーは平然とすべて防ぎきってしまうのだから。
通用しない、ことはない。双方とも、『
ルーラーは、破壊されるよりも速く、多く『
「さて、そこにランサーとアーチャー。アサシンは身を隠し、キャスターは穴熊を決め込んで出てくる様子は無し」
あまつさえ、攻撃を凌ぎながら指折りサーヴァントを数えだす始末。私たちを相手にするサーヴァントと同じか、それ以上の余裕っぷり──!
見ていられなくて、私は退いていた
「ねェッ、どうするの、これ……!」
「どうもこうもあ──」
その時、雷光と雷光の切れ間で──ルーラーと目が合った。