「一騎か。窃視者ども、マスターとしては優秀だな」
「ランサーッ!!」「ランサー、ランサー!」
ゆっくりと倒れ込んでいく戦乙女に、私も
ぱしゃっ。
足元、血だまりの中に踏み込む。傾ぐ彼女の身体に触れた瞬間に悟る。
──
「ラン、サー……! そんな、嘘……うそ……!」
「申し訳……ありませ、マスター……」
途切れ途切れに謝罪する彼女に、返す言葉が出てこない。私が悪いのに、私が聖みたいに令呪で抗うことを指示できれば良かったのに。私が咄嗟に正しい選択肢を選べなかったから、彼女は自らの血に沈んで消えようとしている。
私のせいだ。
私の判断の遅さが、彼女を死なせる。
また私は、私のせいで──
「──条、
がく、がくん。
衝撃と共にブレる視界。
ああ、さっきの逆だな、とぼんやり思う。聖が私の襟首を掴んで、叱咤しているのが他人事みたい。よく見えないけれど、彼がこんな強い語調で叫んでるってことは、それはもう必死な表情をしているんだろうな。ちょっと見てみたかったな、きっと見たことない表情してそうだから。
けど、もう、顔向けも出来ないし、そもそも涙で滲んで何もかもぼやけて。
「
『やれ、やれ。気軽に言ってくれ、ますね……。霊基の内側で、相反する二つの命令がぶつかり合っている気分、是非マスターにもお教えしたいものですが──』
「──無駄だ。彼女の霊核は砕けている。完全に消滅して聖杯に還るのは避けられない」
ボヤく、珍しく本当にツラそうなキャスターの念話と、私たちのすべてを否定せんとするルーラーの肉声。それを聖は「うるせえ!」の一言で振り払って、
「臙条、いいか、俺を信じろ。信じて、言う通りに令呪を使え」
耳元に彼が寄る気配がして、囁き声が鼓膜を震わせる。
大事なことだけは判るから、取りこぼさないように必死で頭のノートに刻み込む。まだ、もしも、挽回できるのなら。今からでも、私にも令呪を使う機会があるというのなら。
どうか、お願い。お願いします。ランサーを、死なせないで。
「れい、
震える響きは、とても届きそうにない。私は意識的に咳き込んで、自分の中の役立たずな自分を吐き出すつもりになって、
「お願いッ、ランサー──!」
そして、その後に続けて。
聖の言う通りに、私は