──大空洞の戦い。あるいは空無き果ての決戦。
死徒フェリシア=エヴリン・モンデンフェルトと、第四次聖杯戦争のキャスターによって繰り広げられた死闘は、おおよそキャスター優勢で運んでいた。
いくらフェリシアが千年を
対するキャスター、その宝具『
──次が、最後。
「──『
真名解放の言葉と共に、彼の掲げる長杖から魔力の波導が拡散し──そして、それきり何も起こらない。
「──?」
「…………『
唐突に、キャスターは自らの宝具の解説を始める。
おろした杖の石突がカツンと音を立てた。
「ボクの宝具であってボクの宝具ではないですから。これは主の定める災い。ボクはそれを地へ導くだけの
「……だから、何だ」
「だから、この十番目──何が起こるか、ボクにも読めないんですよ。この『被災者の最も大事なものを奪う』災いが、どう作用するかは」
「────」
フェリシアは愕然として自らの額に右手の人差し指と中指、二本を当てる。何かを思い出すような、確かめるようなポーズの彼女の顔が、見る見るうちに蒼褪めてゆく。
「そ、そんな──、まさか──!」
胸元を掻き抱く、死相の麗嬢。
そこからは、心臓でも潰れたかのように、濁った赫い液体が止めどなく。
「その様子だと、予想通りだったようで何よりです」
「貴様、貴様──私の、わたしの、『
「驚きましたよ。貴女、自分の命よりも何よりも、その汚らしい血の塊が大事だったんですね」
「────」
その揶揄には、キャスターの純粋な感慨だけがあった。彼は心底からフェリシアの悲願を蔑んでいた。
フェリシアも
彼女が憤死しかけたのは、彼奴が宝具の対象を絞り込みきれていなかったこと。
私が、この私ともあろうものが、命なんかのために、渇望する世界の到来を差し出す程度の器だと思われていたこと。
それが何より赦せない。
こいつはここで、必ず殺す──そう決意した。
「貴様ァァァアアア!!」
「ああ、その眼です。やっと貴女もボクを憎悪しましたね。──それで対等です。そうでなくては、終わらせる甲斐がない」
──そんな決意。とっくの昔に、目前の相手も決めていることなど、露とも思わずに。