Fate/second to none   作:吉田一味

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カーマイン⑨

 ──四騎一組による一糸乱れぬ連携攻撃。

 

 ルーラー・オルタの『我この徴にて勝てり(ラバルム)』を貫いて、ようやく一撃。

 

 大帝の鎧、肩当が砕ける。

 

 姿勢を崩した彼が、姿勢を崩したまま手を真っすぐ伸ばす。その指先に“槍”が象られてゆく。一度形成済みだからか、あれ以降の投影魔術は簡捷だ。

 

「避けなさい!」

 

 ランサーの簡潔な指示に、幻獣ワルキューレたちはまるで彼女の手足であるかのように反応した。即座に散会し、不規則に飛び回る。

 

 これは当たらないな、と判断してルーラー・オルタは()()()と肩から大きく振り回す。誰もが困惑した。()()()()()()()()()()

 

「『我この徴にて勝てり(ラバルム)』──」

 

 瞬間、光の障壁が大渓谷を造り出した。

 

 ワルキューレたちは分断され、『独立(デクラレーション・オブ)宣言(・インディペンデンス)』を掲げているアーチャーは孤絶し、それ以外も隔離される。

 

 マスターの魔力を湯水の如く蕩尽する、大盤振る舞いの大展開。

 

 それも、突き詰めれば聖槍の軌道修正のための誘導壁。──ルーラー・オルタの指先、そこから続く曲面を辿った先に居るのは、アーチャー。

 

「──『十字さす運命の槍(ロンギヌス)』!」

 

 如何な宝具とて宝具と激突すれば軌道は逸れる。ならばそれを百回、千回と繰り返せば軌道は自在!

 

 光盾を破砕しながら進むことで曲射を成し得た聖槍がアーチャーに迫る。このタイミングでは、彼の回避・防御は間に合わない。無理な挙動では、『独立(デクラレーション・オブ)宣言(・インディペンデンス)』が致命的に破れてしまう。

 

 槍が──槍と激突する。

 

 軌跡に割って入ったのは、桃色の髪の幻獣ワルキューレ。誰に指示されたわけでもなく自己判断で、アーチャーが戦況の要だと見抜いた幻獣ワルキューレたちのうち、彼女が最もアーチャーに近かったから。

 

 聖槍の推進力を受け止めて、凄まじい火花が散る。そのほんのひと欠片が跳ねて、桃色の彼女の頬に小さな擦傷を創った。

 

 それで、おしまい。彼女は何を言い遺す間もなく、光となって消滅した。

 

 けれど彼女の生み出した猶予でアーチャーは退避。『独立(デクラレーション・オブ)宣言(・インディペンデンス)』は無事。

 

 そして遺った三騎も、消滅の悲嘆に暮れたりはしない。再び攻めかかった。

 

「ッ──」

 

 さしものルーラー・オルタも、間髪入れない猛攻に表情が()()()。瞬間的に、千を超える『我この徴にて勝てり(ラバルム)』が戦乙女たちと大帝の間に創り出され、あるいは割り込む。それは安全確保、態勢の立て直しのためであろうけれど、いやに過剰な反応にも見えた。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()──

 

 ──やはり。

 

 始終を観測していたキャスターは確信する。彼はペンを執ると、

 

「ルーラー・オルタ。……いいえ、()()()()

 

 彼の記す文字は、戦場の虚空に響く、天よりの言葉となって実現される。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 その(もじ)で以て、そんなとんでもない疑問をぶつけるのだった。

 




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