Fate/second to none   作:吉田一味

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此彼結べ、血色の蛇①

「それで? 無理でしょ、いくら何でも……」

 

 だってどこからどう見てもボロボロの骨董品。今まで聖の剣は何本か見たけれど、ぶっちぎりに古くて、おまけに刃も切れなそうなくらい摩耗している。あれならウチの台所の包丁の方が、まだマシに見えるくらいだ。あんな代物で斬り合ったりしたら──いいや、斬り合いにすらならないだろう。一撃打ち合えば粉々になるって、賭けてもいい。

 

『キャスター、召喚して欲しい幻獣がいる。必要魔力は莫大だろうが、臙条(えんじょう)なら賄えるだろ』

 

 つい口から漏れた率直な感想をキレイさっぱり無視して、(ひじり)はさっそくキャスターに指示を出していた。何気に私のことこき使う気満々だし。まあ、魔力には余裕あるからいいんだけどさ、一言くらい許可取れっつの。

 

『構いませんよ。何ですか』

 

「『██』に出てくる█████だ」

 

 …………聞いてない。私は何も知らない。

 

 喚んでどうするつもりか、問い質すのすらおっかない。私は()()()()方じゃないけれど、それでも()()はどうかと思う。知らなかったていでやり過ごしたいから内容そのものをすっぱりと忘れようと思ったけれど、インパクトがデカすぎてそうもいかなかった。

 

 平然としているのは問題発言の張本人くらい。さしものキャスターも、少し考え込んだ。

 

『…………『幻獣(エル・リブロ・デ・ロス)辞典(・セレス・イマヒナリオス)』には項がありませんので、()()()()()()()()()()()が』

 

『急いでくれ! ルーラーが()を越える前に完成させるんだ!』

 

『また無茶な注文、短すぎる締切もあったものですね』

 

「聖っ、橋って──」

 

 いつになく強い口調の聖の言葉に、私でも何だか判るワードが出てきたからつい反応してしまう。

 

「もちろん、未遠川に掛かるアイツさ」

 

 聖は顎で方角を指し示す。ここからじゃ見えないけれど、そう遠くないはずだ。

 

 フユキに住んでいる人間なら誰もが知る、一度は使ったことがあるランドマーク。一目見れば忘れられない真赤なアーチ。この街で『橋』と言えばまず出てくるその地名は──

 

「フユキ大橋。あそこを作戦決行ポイントとする」

 

 どういう人生を送ればそんな自信が付くのやら。錆剣を携えて、私といくつも変わらない青年はきっぱりとそう言い切った。そういうところはちょっとだけ憧れなくもない。見習おうとも思わないけれど。

 

 小心者で小市民な私は、街の一大スポットを戦場にするという宣言を咎めたりも出来ずに、

 

「作戦って……既に嫌な予感しかしないけど、一応聞いといたげる。何?」

 

「そうだな、とりあえず──作戦名は『オペレーション・マトリョーシカ』だ」

 




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