「それで? 無理でしょ、いくら何でも……」
だってどこからどう見てもボロボロの骨董品。今まで聖の剣は何本か見たけれど、ぶっちぎりに古くて、おまけに刃も切れなそうなくらい摩耗している。あれならウチの台所の包丁の方が、まだマシに見えるくらいだ。あんな代物で斬り合ったりしたら──いいや、斬り合いにすらならないだろう。一撃打ち合えば粉々になるって、賭けてもいい。
『キャスター、召喚して欲しい幻獣がいる。必要魔力は莫大だろうが、
つい口から漏れた率直な感想をキレイさっぱり無視して、
『構いませんよ。何ですか』
「『██』に出てくる█████だ」
…………聞いてない。私は何も知らない。
喚んでどうするつもりか、問い質すのすらおっかない。私は
平然としているのは問題発言の張本人くらい。さしものキャスターも、少し考え込んだ。
『…………『
『急いでくれ! ルーラーが
『また無茶な注文、短すぎる締切もあったものですね』
「聖っ、橋って──」
いつになく強い口調の聖の言葉に、私でも何だか判るワードが出てきたからつい反応してしまう。
「もちろん、未遠川に掛かるアイツさ」
聖は顎で方角を指し示す。ここからじゃ見えないけれど、そう遠くないはずだ。
フユキに住んでいる人間なら誰もが知る、一度は使ったことがあるランドマーク。一目見れば忘れられない真赤なアーチ。この街で『橋』と言えばまず出てくるその地名は──
「フユキ大橋。あそこを作戦決行ポイントとする」
どういう人生を送ればそんな自信が付くのやら。錆剣を携えて、私といくつも変わらない青年はきっぱりとそう言い切った。そういうところはちょっとだけ憧れなくもない。見習おうとも思わないけれど。
小心者で小市民な私は、街の一大スポットを戦場にするという宣言を咎めたりも出来ずに、
「作戦って……既に嫌な予感しかしないけど、一応聞いといたげる。何?」
「そうだな、とりあえず──作戦名は『オペレーション・マトリョーシカ』だ」