ルーラーの胸に突き立っていた錆剣が、瓦礫の中を転がりながら塵となって崩壊していった。元々からして原形を留めている方が奇跡みたいな骨董品に、北欧神代の勇士の魂を流し込んで無理に魔剣化していたのだ。接続を切られれば、反動で塵に還るのも自然なこと。
同じことが、椎名聖の肉体にも当てはまる。
「っく…………」
心臓の音。
明るいはずなのに狭まる視界。
力の込め方を忘れてしまったような四肢。
それでも──彼女を孤独に逝かせる訳にはいかないと、彼は気力を振り絞った。
顔を上げる。原初のルーンの負荷に霊基を食い荒らされてほとんど消えかけの戦乙女が、雪のように彼のもとに降りてくる。
一目見ればもう永くないのは察せられた。まさに目前で消え去ったルーラーと──そして、自害させられた
彼女が、再び
これが今生の別れとなる可能性は十分にある。
「……シグルーン」
「私はここまでのようです。さすがに無理をし過ぎました」
「ルーラーの宝具を根絶する自己増殖魔術なんて、無茶をするからだ。……いや違う。そうじゃなくて……俺が言いたいのはそんなことじゃなくて、」
引きつりそうになる口を何とか堪えて。
震える声は必死に取り繕って。
現実逃避のあまり、消えゆく英霊に今言うことではないような軽口を叩きそうになる感情を抑えつけて。
言うべき言葉、手向けるべき感謝を。彼女の献身に、花束を。
「──ありがとう、シグルーン。きみのお陰で助かった。後のことは任せて、ゆっくり休んでくれ」
聖の言葉に、戦乙女は淡く、けれど嬉しそうに笑んで。
最後までその表情のまま、儚くなった。
「さよなら、シグルーン」
……散らず留まる魔力の灯り。
かつて人のかたちを成していたとは到底信じがたい蛍灯の群れのごとき
「……おはよう、
「──ええ、私のヘルギ」
彼の言葉に燐光が動きを見せた。
魔力は結像し、霊基崩壊して消滅したはずのサーヴァントは新生する。彼女は新たなワルキューレ、カーラ。シグルーンの死をトリガーとして召喚された三騎目のランサー。
この異常現象を巻き起こした宝具こそが『