Fate/second to none   作:吉田一味

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停戦破却①

 

 椎名聖とランサー、ワルキューレ・カーラ。

 

 抱き合っていた二人は抱き合ったまま、ふわりと浮きあがった。

 

 あれよあれよという間に飛来したひと塊は、空中で勢いよく分離した。ランサーが聖を放り投げたのだ。

 

 慣性のままに砲弾と化した聖が私めがけてまっしぐら。

 

 彼の手には未だ、ルーラーを討った剣が握りしめられたまま。

 

「ちょっ、待──」

 

 聖の白刃が閃いて、

 

「アサシンめ、美味しいところ総取りにしようったってそうはいくか」

 

 ──背後、迫っていた幽精(ジンニーヤー)が両断された。

 

「えッ、あ……」

 

 フユキ・ハイアットホテルの会合のおり、アーチャーと共に開戦の火蓋を切って、ルーラーのマスターだったリーンスフィール・フォン・アインツベルンの心臓を貫いた──暗殺者としては大活躍なのかも知れないが、ルーラーとの戦闘が本格化してからは影も形も見せなかったアサシン。

 

 それが、終わるや否やマスター狙いしてくるとは。

 

 アサシンらしく気配を殺して、らしいと言えばらしいけれど、心証は良くない。

 

 まあそもそも、また殺しにきたって時点で最悪なのだけれど。何度目だ私狙い。そんな狙い目? ……狙い目か、まあ。

 

「俺たちの戦力に危機感でも抱いたか。ただでさえ全面的同盟で戦力バランス偏ってるもんな」

 

 他人事みたいに分析しながら剣を納める聖に、音もなく着地するランサー。抜群のコンビネーションで二人で私を挟み込むみたいに位置取って、庇われていると否が応でも理解させられる。

 

 ……そして、戦いは未だ継続しているということも。

 

 ()騎のサーヴァントのうち、まだルーラーが脱落しただけ。最後の陣営になるまで殺し合う必然の中で、誰にとっても強大で危険な敵が出現したから優先的に討伐したからといって、和解や休戦と表現することは出来ない。

 

 よくて停戦、しかも条件付き。

 

 ルーラーという目の上のたんこぶが消えたなら、すぐに動き出す。

 

「だからって、これじゃ……! ルーラー狙いがそのまま、私狙いにスライドしただけじゃん……!」

 

 黒煙踊る夜空にはアーチャー。

 

 通行止め間違いなし、どころか年単位の修繕工事であろうフユキ大橋を平然と渡って、ライダー、セイバー、それにバーサーカー。

 

 アサシンの姿は見えないけれど、監視していないはずが無い。

 

 つまり私たち以外の全員が私たちを見て、狙いを定めていた。

 

「~~~~~っっ」

 

 多分、誰から動くかで牽制しあっているんだろう。

 

 一定の距離を取りつつも、全員の敵意がこちらに向いているのが肌で感じられる。

 

 竦み上がって声も出せない私と違って、修羅場慣れしている二人は常在戦場(いつもどおり)

 

「私と()()()が揃っていれば、全員相手取っても負けはしませんが」

 

「決して勝ちって訳でもない。やってられるか、って話だ」

 

 聖は窓枠に足をかけて身を乗り出す。

 

 上体を仰け反らせて、大きく息を吸い込んで、

 




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