夢の終わり①
「ヘルギ、ああ、ヘルギ」
ほとんど裸だ。
そして、それは
同衾する男女。秘めやかな睦言の雰囲気は、しかしそこには無かった。
乙女は涙で
「オーラヴ王の配下、勇猛なるフロームンド。スラーイン王の墳丘墓を踏破し、ミストルティンを得た勇士。かの益荒男が敵方に居ないと、佞臣によって遠ざけられていると、そう聞いていたのに!」
「恐れることはないよ、カーラ。俺には君がついている。たとえかの恐れ知らず、我が兄フロングヴィズをも打倒したフロームンドと戦うことになっても、望むところさ」
ヘルギはそう言うけれど、本人もそれを心底から信じられていない。
なにせヘルギの兄フロングヴィズと言えば、その戦闘力はデンマークに名高き猛者。常勝不敗にして意気軒高。ヘルギにとっての彼は、兄の生前はついぞ超えることの叶わなかった偉大なる戦士だったのだから。寝物語に語られて、
そんな男をフロームンド・グリプスソンは打倒した。そしてそれは、フロームンドが聖剣ミストルティンを手に入れるより昔の話。
ヘルギとてフロングヴィズの死ののちに旅をして、多くの冒険をした。
それでも、フロームンドは難敵に違いはない。
それでも、挑まねば
止められようものか。
「むしろやっと仇を討てる機会が巡ってきたんだ。祝福してくれよ、愛しいひと。君が付いていてくれるならば、俺は誰にも負けない」
戦乙女としての本能が、運命の糸を織り戦死者を連れ去る”死の乙女”としての側面が、この先に待ち受けている破滅を嗅ぎ取っていたとしても。
今だけは、この感情に身をゆだねて。
「ええ、ええ。私はどこまでも、貴方と共に」
……それで共に墜ちるならば、それもいいかもしれないな。
そう、どこかで想ってしまったのは、本心か。
「ああ。共に征こう、カーラ。後の世の吟遊詩人たちが、俺たちの愛を歌わずにいられないほど最高の人生を送るんだ」
……夜は更けてゆく。
翌朝は決戦。凍り付いた湖上にて、オーラヴ王とハッディンギャル王の軍勢が激突する。ハッディンギャル軍の最大戦力たるヘルギは英気を養うべく、早々に床についた。
不寝番もうつらうつらしてしまいそうな未明。
暗中、閉じていたハズの──寝ていたハズの勇士、その瞼が開く。
愛する戦乙女と素晴らしい未来を語らっていた時は熱っぽかったのが、今はどうだ。刃のような瞳は、命のやりとりの予感にいっそう冴え冴えと冷たく。
「──そのためならば、俺は。何だってするとも」
彼の独白を聞こえないフリ、寝たフリ。
だって、そんなの。
言われるまでもなく、