行き場のない感情を抱えたまま、行く当てもなく屋敷にこもって過ごす日々。
自分の家なのに自分の家でないような居心地の悪さは、私が自分自身を不純物──もっと言うならば不用品と断じているから。
自らが召喚したサーヴァント、ランサー・
同盟を締結したキャスターのマスター、
二人の関係性はまさに運命で、私はそこに挟まった夾雑物。
「他所でやって欲しいよねぇ」
返す返すも、聖杯戦争。
大迷惑に私が巻き込まれていなければ、こんなやきもきさせられることもなかった。きっと今頃は連日テレビを独り占めしている、『
ちなみに『
一旦はという前置きが付くのは、未だ事件の全容が掴めていないから。テロリストの仕業であろうという推測から暫定的にそう呼称しているけれど、捜査が進展したり犯行声明が出されたりした場合はそれを踏まえた事件名にラベリングし直されると、ニュースキャスターが訳知り顔で語っていた
……まあ。
発生から約六十時間とちょっと、死者五百名を超す歴史的大災害。非常事態宣言は現在も撤回されず、夜間外出禁止令も発令されている。焼け出された避難民は……何人居るんだったか。被害総額は天文学的とか、昼のワイドショーでタレントが言っていたっけ。
そのド渦中から生き残った私は、けれどそれについてどこか他人事めいて受け止めきれない。
目下、私を悩ませるのは──
「うちの食材が、とうとう払底したってこと」
──そう。
いくら聖が昏睡状態で断食中、ひとり分の食事は不要とはいえ、食べたものは無くなるのは自明の理。
今朝でとうとう備蓄も尽きて、屋敷にはもう食べられるものは何もない。これが夏なら庭の雑草でも煮たら腹の足しくらいにはなるかも知れないけれど、生憎の冬でぺんぺん草も生えていないし、まる三日の昏睡から目覚める聖には栄養のあるものを食べさせないといけないし、何より私もそんなもん食いたくない。
なので、買いにいかないといけないのだった。
ランサーに言えば行ってきてくれるだろうけれど、彼女は聖のそばを離れたがらないだろう。無理を言って彼女を派遣すれば、屋敷にはまともに戦える人間が居なくなってしまう。
キャスターは論外だ。いくらサーヴァントとはいえ盲目の老人たる彼が、この屋敷から出歩くのは危険すぎる。
聖はあと十時間ほどは目覚めない……らしいし、目覚めたとて満足に動き回れるとは思えない。
「…………つまり、私しか居ないわけで」
これは戦力の論点じゃない。
要不要の話である。
この屋敷の中で、不要なのは誰か、という話。
聖杯にかける望みもない。戦略的・戦術的役割もない。
「だから、いってきます」
私はそっと挨拶をして、ドアを開く。
返事は返ってこなくて、それでいい。ドアを閉じて、しっかりと鍵をかけて。
私は