Fate/second to none   作:吉田一味

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誰も①

 

「──それが、私と臙条美青(えんじょうみさお)さまの、出逢いでした」

 

「────、……」

 

 シスター・ミシェルの語りが一区切りつく。私は密やかに、対面の彼女に気づかれないよう細い息を吐いた。

 

 確かに予告通り長かった、メチャクチャ長かったけど。それより──

 

「………………」

 

 ほとんど初対面くらいの距離感、挨拶しただけのを厳密に数えたとしても二度目の人から、メチャクチャ重たい話された……っ!

 

 そう思っているのはどうやら私だけではないらしい。もう一人卓についていた、

 

「………………」

 

 話を振ったライダーも、言葉に詰まっているように見える。それはそうだ。あんな話、聞かされてどう反応しろと言うのか。

 

 せめて悲劇として、たっぷりと情感的に語られたなら没入の一つも出来たかもだけれど……わりあい淡々と、全体的に他人事みたいに述べられると、どうにも反応に困る。

 

 尤もそれは前半の話だけで、後半は彼女の語り口にも熱が籠っていた。うっとりと、自分のことを救ってくれたヒーローを余すことなく細部まで。微に入り細を穿ちすぎて、ちょっと話の筋を見失いかけたり。

 

 まあ、つまり、代行者・臙条美青が大活躍。カンザス州の一都市ウィットロックを貪り尽くさんとした。その渦中にて命を散らしかけた幼いミシェル・ドーソンを救ったのが、どうやら私の義母(かあ)さんだった、らしい。

 

 ほんとどこのコミックのクールな美人(ビューティ)って言いたくなる。

 

 詳細は不明だが、彼女は自身の気配をボカすというか──“気にされない・されにくくなる”性質を帯びていたらしい。その強弱というか濃淡を調節することで、そこにいると露見しながらも意識を払われなくなる……アサシンの『気配遮断』とは似て非なる透明化。ミシェルに気づかれたのは濃淡の淡い状態だったからだけれど、それにしたって珍しい事例だったんだよと語られた、とか。

 

 武器もまた特注品の一品もの。美青の特性を加工(?)して造られた武器は、貫かれたモノの動きを封じる、らしい。V階梯の吸血鬼にすら有効となるその刃を、自らの能力をフル活用してつき刺した時点で、勝負はすでについていたのだそうな。

 

 あとはゆっくりと子供たちを避難させ、大きな荷物──あとの流れからいって大量の爆薬──を体育館(ギムナジウム)に運び込んで。やがて三発の銃声が響いたのち再び姿を現した彼女は、握っていた起爆スイッチを押下。建造物ごと怪物を焼却せしめた──

 

「かくしてウィットロック事変は終息。この一件については箝口令が敷かれ、生き残った子供たちは教会に保護されました。その後の人生に自由はあまり無くなってしまいましたが、私は気にしませんでしたので。あの方と同じ、代行者を志したのです」




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