「ライダー……!」
私の言葉は当然のように無視されるけれど、彼のマスターであるミシェルの言葉であれば、と期待する。
けれど。
「止めるのか、マスター。それでいいのか。それが貴女の決断でいいのか。知りたいのではなかったのか。臙条美青が何をしたのか、確かめたいと思ったからこの街へ来たのでは無かったのか! 貴様の願いは、その程度のものだったのか!! マスター!!」
「…………ッ」
従者として喚ばれようとも、彼は王。
上に立つ者の覇気が、動こうとしたシスターを圧する。蛇に睨まれた蛙のように痺れ、動けなくなったのをみて片が付いたと考えたか、彼は立ち上がり歩いてゆく──ずっと、最初からそこにあった魔法円へと。
連行されていく私も、行先は同じだ。
「く、このッ」
ぶっちゃけた話、とっくの昔に理解していた。抵抗なんて、無意味だって。
銃を取り上げられ、両脇を神秘の存在たるライダーの
……ライダーの詰問だって、正直信じちゃいないのだ。
私がそんな、狙う価値のあるほど大層なものに、どうしても思えない。“そんなわけないだろ”が率直な感想。
そもそもそう思っていたからこそ、私は無抵抗でライダーに拉致されることを選んだのだから。
令呪も念話も一切使用せず、唯々諾々とリムジンに乗り込み、ザクロジュースを飲んで、まんまと眠らされて。まともな生存本能の備わった人ならば正気を疑うだろうことは、理解している。
理解しているけれど、実感できない。
良くて死ぬだけ。それならば、別に構わなかった。
そりゃあ、出来れば意味のある死に方をしたい。したかったよ。だから悪魔から逃げて、ランサーと契約して、聖と同盟して──誰かの役に立てて死ぬなんて、私にしては上等すぎる末路と憧れた。
──こんな、約束された二人の間に挟まる邪魔ものになるなんて。想像もしていなかったんだから許して欲しい、なんて。なんて──傲慢。
謝れば、赦されるのか。
罪は罪ではないのか。
──私は、あの夜にさっさと、死ぬべきでは、なかったのか。