魔物に転生した俺は、優しい彼女と人間に戻る旅へ出る〜たとえ合成されても、心は俺のまま〜   作:犬型大

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41新たな体で金稼ぎ4

「‘これだけやられても突っ込んでくるのかよ’」

 

 俺だったら前の方が火炎で焼かれて死に絶えたら逃げる。

 しかしネズミどもはそんなことも関係なく、焼け焦げたネズミを乗り越えて襲ってくる。

 

 やはり行動としては生き物の本能が歪んでいるとしか思えない。

 

「‘まあ、俺たちとしては好都合だがな’」

 

 噛みつき、斬り裂き、突き刺す。

 残ったネズミも俺とクリアスで倒し尽くした。

 

「わっ!?」

 

 ポポポポポポン!

 突然倒されたネズミが音を立てて消えて始め、クリアスは驚いて軽く飛び上がる。

 

「‘おお……これだけあれば結構な金額になりそうだな’」

 

 ネズミの焼け焦げた臭いが消えて、代わりに大量のドロップ品が床に散らばる。

 壁の植物が焦げた臭いは残っているので俺にとってはまだまだ臭いが、多少はしょうがない。

 

「なんてことだ……」

 

 青年に怪我はなかったけれど、疲労とショックで地面に座り込んでいる。

 ネズミの大群にバッタリ出会ってしまった。

 

 逃げれば逃げるほどに追いかけてくるネズミは増えてくるし、連れていた魔獣は逃げている最中にネズミにやられてしまった。

 欲張ったつもりはないのだろう。

 

 こうした事故も起こりうるのがダンジョンというものだ。

 改めて気を引き締めねばなと俺は落ち込む青年を見て思った。

 

「ひぇぇ……大変ですね」

 

 俺とクリアスでネズミのドロップ品をせっせと拾う。

 どれだけネズミがいたのか不明であるが、落ちているドロップ品の数を見るにかなりいたようである。

 

 時々チーズも落ちていて、素材を売るだけでもそれなりの金額になってくれそうだ。

 

「落ち着きましたか?」

 

 持ってきた袋がずっしりとなるほどにネズミの素材を回収できた。

 クリアスが青年を声をかける。

 

「ありがとう……助かったよ。俺の魔獣はフォレストラットにやられちゃって……お金欲しさに無理はするものじゃないな……」

 

 時間をおいて少し落ち着いたのか、青年は青い顔をしながらも答える。

 

「これ、受け取ってください」

 

 壁に手をついて青年は立ち上がった。

 そして自分の腰につけていた袋を差し出す。

 

「俺が倒したフォレストラットのドロップです」

 

「そんな……」

 

「命を助けてもらったお礼です。こんなものしかないので……受け取ってください」

 

 青年はクリアスに押し付けるようにして袋を渡す。

 

「俺は外に出ます。ありがとうございました。頑張ってください」

 

「大丈夫ですか?」

 

「……多分大丈夫ですよ。仮に襲われても自己責任……冒険者ですから」

 

 青年はそのまま部屋を出ていく。

 送ってあげることも考えたけど、青年の目がこれ以上は迷惑をかけられないと言っていた。

 

「‘俺たちにとってはラッキーだったが……これでめげずに頑張ってほしいな’」

 

 命があればやり直せる。

 これから青年がどうするのか、俺には分からない。

 

 諦めずにまた魔物を捕まえて冒険者としてチャレンジするかもしれないし、あるいは諦めて別の道を歩むのかもしれない。

 

「……そうですね。三階、目指しましょうか」

 

 ネズミの素材についてはだいぶ集まった。

 あまり荷物が多くなっても、進む上で面倒なことになる。

 

 ネズミ狩りは帰りでもいい。

 欲張りすぎると良くないことが起こるかもしれないとクリアスも前回で学んだ。

 

 俺たちはひとまずネズミを後回しにして、三階の階段を探すことを優先しようと決めたのだった。

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