マブラヴ時空で現ナマは武器となるか? ~愛はお金で買えるのって少女漫画で言ってたから~ 作:行徳のり
――1947年 四角井造船 本社前
この時代、いやマブラヴ時空なのに結構不思議なことがある。
例えば何故か……本州と九州を行き来するには船しかなかったとか。
いや時代を考えれば、当たり前のこと。
だが宇宙開発の力を持ちながら、関門トンネルやら関門連絡橋が存在していないのは俺には疑問だった。
一応、戦時下は理解できる。インフラより戦争だって分かる。
だが、ここ数年、確かに景気は上り調子のはずだ。
だと言うのにトンネルのトの字も出ないことは地味に俺の胃を圧迫していた。
「社長、うちん島にも便利な船ば寄こしてくれんかなー!」
会うのが嫌だからと『かめのい』の料亭に突っ込んでいた地方自治体の長が一人抜け出して、俺の肩を掴んでそう言った。
「船?」
「そう、船ちゃ! 買い物に便利なやつば!」
「ああ、船、おーふね」
造船会社を持つ以上ポンツーンばっかり作るのもどうかと思う。
が、これはこれで便利なもので港湾機能の一時的には役に立つ商品となった。
で、そんなものをウチがお出しすると周辺の島々が言うわけよ。
「日出や別府ばっかりズルいんじゃねえんなぁ?」
つまり本音はこれだ。
ズルい! うちの島も何とかしろって話だ。
「………ええ私どもも全力で頑張っておりまっせ」
「そんな話な聞きたくないわ、はよしてな?」
コイツが初めましてならいい。
俺は何度も何度も同じ話をされていた。だからキレた。
「まえむきにかんがえます」
□□□
四角井造船、もとい元大神工廠の職工たちは暇をしていた。
軍から民間へ、民間から成金の元へ。
……と経営は移ったが、どうして成金は義理堅いやつである。
毎月お賃金が払われることを彼らは満足していたが、刺激のないことが気にならないわけではなかった。
何を世間様から言われようとも、由緒正しい出なのである。
ポンツーンばかり作らせる社長に文句を言ってやろうかと誰かが言った時であった。
工廠に社長が突っ込んできた。
線の細そうな学者先生を右わきに抱えての登場に職工らは度肝を抜かれた。
「仕事だ、俺らは空飛ぶ船を作る」
社長が言うと、年の入った職工が言った。
「飛行船ですか?」
「ちゃう!!!!」
元軍人らしい大声であった。
そのまま社長は目を充血させたまま言った。
「地面効果翼機だ」
小脇に抱えた学者の先生が吠えた。
「それ航空機「いいや船だね、ソ連では船舶。だから船、OK?」
社長は告げた。
「諸君らには速やかにコイツを開発しろ! いいか速やかにだ!
でもってだ! 漁師の父つぁんが乗れるくらい簡便にしろ! いいな!」
こうして斜め上の地面効果翼機開発で島の移動は高速となった。
だが強引に船舶だと言い張った四角井に対して、陸軍が航空機だと主張。
海軍を巻き込んだ騒ぎとなる。
その後、軍の取り扱いにて。
海軍「船だって言ってんだろが、陸軍カボチャ!」
陸軍「航空機だろが、海軍キュウリ!」
四角井くん「こいつら、いつもいつも争ってんな」