マブラヴ時空で現ナマは武器となるか? ~愛はお金で買えるのって少女漫画で言ってたから~   作:行徳のり

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エターナルまで初投稿です。
あ、主人公の名字に深い意味はありません。


01-02 四角井なる男

 

 再開発された神戸。

 その静かな住宅街の一角であった。

 とある新聞の取材班は粘り強い交渉を経て、その場所へ訪れることに成功した。

 

 

 品の良い応接間である。

 新人の肩書が取れた記者と、その目付け役の部長。

 そんな二人が、その最後の秘書であった老人と向き合った。

 記者はボイスレコーダーを回しながら、挨拶もそこそこに取材を始めた。

 

「えーっと、社長の事ですか? 本当に苦労しましたよ」

 

 白髪ながらもシャンとした彼、四角井総帥の元秘書の彼は続けた。

 

「戦後にポット出た財閥だったでしょう?」

 

 それはそうだと部長は思った。

 新興も新興で、名門じゃないと散々言われたと記憶している。

 

「でもね、どーしても小市民な方でしたよ、総帥は」

 

 元秘書の言葉に記者が食いついた。

 

「小市民ですか? 最終的にアレだけの影響力を得ておいて?」

 

 記者の質問に上司である部長は若干、胃が痛くなった。

 

……思想の面で腹は割って話したつもりだった。

 

 だが、反武家、反財閥への反骨精神が彼に強くある。

 ソレを、ここで初めて知って部長は胃痛を覚えた。

 部長は茶を啜り、中年太りの腹を無意識に擦る。

 ピリと空気に緊張が走るが、元秘書は気をさして悪くもせずに答えた。

 

「本当ですねえ。私だってそう思いますよ。社長のせいで変わった法律はどれだけでしょうねえ?」

 

「後の遠田や、富嶽、光菱、河崎とはどうだったのでしょうか?」

 

 その質問に対して、少し考えてから元秘書は答えた。

 

「いやー、それは何とも言えませんねえ」

 

「何とも、と言うのは?」

 

「総帥の出が海軍関係と言うこともあり、ええ、晩年まで苦労されたようで」

 

「確か社長夫人も? 帝国海軍でしたか?」

 

「ええ、怖い方でしたよ。ハンモックナンバーも若かったようです」

 

 ハンモックナンバーと、記者は黙った。

 知らないのかと部長は思ったが、軍に関わりない家庭ならそうもなるかと思いなおす。

 

「経歴の詐称を彼は疑われてましたが」

 

「戦時任官だったので、本人も無頓着だったようですね」

 

 元秘書は部長を見る。それから質問を投げかけた。

 

「部長さんはどうでしょう? 当時を知るのでは?」

 

 部長は苦笑した。それこそ幼少期の記憶だ。

 

「商売と投資の鬼才と言う認識ですよ」

 

 だから部長は本音を話した。

 経済部に在籍したことがあるからこそ、彼の人物のぶっ飛んだ投資が理解できた。

 半導体、娯楽、未知のビジネス……失敗するから天才ではないが、鬼才と言えよう。

 

「でしょうねえ、何考えているのか分かりやすかったんですが……どう選んだかは分からない、不思議な人でした」

 

 記者の口が開いた。

 取材が長くなるなと、部長は思った。

 

 

 




基本週一更新です。


余談

記者ちゃん……反財閥、反武家、女性解放論者、オトコハーテキヨー
部長くん………ねっとりボイスの中間管理職(愛妻家)
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