マブラヴ時空で現ナマは武器となるか? ~愛はお金で買えるのって少女漫画で言ってたから~ 作:行徳のり
そしてサルでもわかる帝国海軍の要求について。by 四角井
――1945年 夏 九州・大神村 四角井造船本社
俺は中佐を見た。
机から飛び降りて俺も応接セットへと移動する。
「……いいでしょう、中佐。そこまで仰るなら」
俺は見栄を切った。
「『商売』のいろはを教えて差し上げますよ」
「何を言ってるんだ?」
俺はステテコ姿のまま、ソファーの上で胡坐を組んだ。
机の上に山積みにされた赤字まみれの書類を、俺は煙草の箱で指してから続ける。
「中佐。いーですか、売り物を売る前に、母屋が腐ってたらどーしょーもないんです」
「それはそうだろう?」
「ええ。で? 今、海軍が求めているのは、戦艦の修理業ですか? それとも、来るべき『未知の脅威』への備えですか?」
中佐が眉をひそめる。
「……? 未知とは? 東側への対策だぞ」
ベタ金中佐が同類かと思って質問してみたが違うらしい。
俺は安堵しつつ、煙草に火をつけて話題を逸らした。
「どうですかね? 米帝だって怪しく動いてる」
俺は万年筆を回す。
国産の重たいコイツの書き味にもやっと慣れたころである。
「そんな時代だろう。だから貴様がココを立て直すのだろう?」
「ええそうです。海軍サンの望みはわかってますよ、設備の復旧といつでも稼働できるようにってことくらい!」
「だからそれをしろと言ってるわけだ。出来るよな?」
俺は頭痛を覚えた。
惰性で煙草に火をつけ目を閉じた。
何で……こんなこと(社長業)をしているのだろうかと思わなくもない。
この世界が本当にマブラヴの史実をなぞるなら、いずれBETAがやってくる。
そうなって俺がどうなるかは分からない。
50年後、なのだ。
爺になって死んでる可能性だってある。
だから準備をする……と言うほど、俺はこの世界を救う気なんてなかった。
詰んだと思って現ナマを得ようとしたのも、昏い未来の前にパーッとやりたかったからだ。
あぶく銭のギャンブル投資家で死ぬまで悠々自適。
そうだな、原作主人公らに財産を譲ってもいい。そんなことを考えていた。
だが、こうして社会人の延長線上で偉いサマになってしまったなら?
俺は経営を任された以上、赤字の不健康な会社にする気は無かった。
それは前世への執着からだったし、一企業人として無意味な天下りや献金頼みを嫌悪しているからだ。
でもって社員を路頭に迷わせるのは俺が無能と思われるみたいで嫌じゃない?
そんな現実逃避を喫煙しながら終えて俺は口を開いた。
「やりますとも、それが仕事ですから」
「母屋が腐ってると言う話だったが?」
「ま、それは良いんです。たとえ話ですから。いいですか、問題は軍の仕事を受けるであろう工廠で赤字。これは企業として最悪です」
「くどいな、だからお前が任されたのだろう?」
「そうです任されました。だが軍と違って弊社は民間です。自分の足で立てねばならない、企業ですから」
中佐は鼻を鳴らした。
「軍への不敬か?」
「防人と商売人の違いの話ですよ。俺は会社を持続させ、従業員を食わせなければならない」
そう言って俺は吸い切った煙草を灰皿にねじ込み、新たな煙草を再度吸おうとした。
マッチを取ると、中佐が鹵獲品らしきライターで火をつけてくれた。
「ありがとうございます。さて中佐、軍のついでの商売で利益も便宜も図る。これがどれだけ大変な商いか想像できませんかね?」
俺が言うと、そこで中佐は不敵に笑った。
「私は商売の良しあしには疎いが………良い啖呵だ」
「え?」
「つまり貴様は出来るわけだ」
「……オホメイタダキ、アリガトウゴザイマス」
俺はそう言いつつ、なんで気に入るかねと疑問を深めた。
とりあえず、何も状況が好転してないわぞ??
四角井くん「鳴滝? なんか引っかかるわ、前世持ちか(名推理)」
中佐「なんなん……コイツ?」
四角井くん「(やっぱちゃうんか)そっすか」
中佐「ふーん(オモシレーオトコ)」