まのさばで思いついた一発ネタ集   作:ないでーす!

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独自設定あります。


仄暗い井戸の底から (雑BAD)

アンアンが処刑されたその日エマは娯楽室にいた。昨日までここでアンアンとミリアが楽しげにしていたのを思い出していた。

 

「どうして、こうなっちゃうのかな……」

 

娯楽室をとぼとぼと歩き回る。何も写していない真っ白のスクリーンを見てからエマは悲しげに俯き、娯楽室を出た。

 

 

エマは次の日、メルルと二人でホラービデオを見ていた。ビデオデッキの操作はメルルがしてくれており、ただ一緒に見るだけだった。発端は昨日のエマをたまたま見かけたメルルが気分転換をしないかと言い始めたことだった。

 

アンアンとミリアが見ていたスクリーンの映画ではなく、部屋の隅に置かれていたビデオで。電源を入れてもザーザーと砂嵐が映るだけで外の情報は得られない。無駄骨を折らせてストレスを与えるだけと思っていたテレビは意味がきちんとあったのだ。エマたちはビデオデッキを知らないせいで今日まで日の目を見ることがなかっただけだ。

 

 

(ホラーは苦手だけど、ボクより怖がってるメルルちゃんが横にいたらなんだか怖さが薄らいでる気がするな)

 

静まり返る画面、ホッと一息つく画面の中の主人公とメルル。後ろを振り向くと大きな声、音と共に血まみれの幽霊の恐ろしい形相が画面いっぱいに映し出される。いわゆるジャンプスケアと言うやつである。

 

「ひゃあああああ!!」

 

メルルのかわいらしい悲鳴が娯楽室に響く。エマもびくりとするがすぐにメルルの悲鳴でくすりと笑顔がほころぶ。

 

「ひぃ……やっと終わりましたぁ……」

 

「お疲れ様、メルルちゃん。まだビデオはあるけど少し休憩してから見る?」

 

エマは近くのテーブルにおいておいたコップを手渡す。礼を言ってから両手でコップを持ち、水を少しずつノンテロップ飲ま干すメルル。

 

「とても怖かったですね……あの……次のビデオで終わりにしませんか?……エマさん、選んでくれますか……?」

 

「いいの?それじゃあ……」

 

テレビ台の下に収納されているビデオのラベルを読みながらエマはどれにしようか考える。

 

(あっ、これボクでも名前知ってるやつだ……昔のだから見たことはないけど)

 

エマは有名なタイトルのテープを手に取ってから、がさりと音がしたのに気づく。並べられたテープの後ろに一つ隠されていたテープがあった。

 

「あれ?ここにもテープがあるよ」

 

「えっ……本当ですか?気づきませんでした……」

 

メルルもちょこんと首を傾げテープを見つめる。テープにはラベルは貼られておらずいかにもという怪しい雰囲気を放っているようにエマは感じた。

 

「ボク、これにするよ。中身が何だかわからないのもある意味怖いよね」

 

テープをメルルに手渡して再生してもらう。

砂嵐から始まった映像をエマは、怖がりながらも注視する。

 

「わあ……これって呪いのビデオ……みたいなやつかな?本格的かも」

 

そして砂嵐が少し晴れ、ノイズまみれのままではあるが見覚えのある場所を映し出す。

牢屋敷である。

 

「あれ、今のってここ……牢屋敷だよね?」

 

エマがぽつりとこぼした疑問にメルルが顔を青ざめながらこくこくとうなずく。

映像が映り変わる。次は湖が映り出された。やはりエマの知る、牢屋敷の外の湖が。かたずを飲んで映像を見守る二人。湖からは撮影者歩いてるようなカメラワークで進行していく。奥へと進んでいくとぽつんと寂れた井戸が現れた。覗き込むようにカメラが井戸の中を映す──その前にぷつりと映像が途切れた。メルルがリモコンで停止したようだ。

 

「ごめんなさいエマさん……私もう、怖くて……」

 

「うん。ボクも怖かったからいいよ。」

(でも、あの井戸気になるな……)

 

わざわざ隠されていたテープ。井戸の中に何かあるのかも知れない。エマは明日にでも見に行ってみようと考えてメルルと今日見た映画の感想を語り合った。

 

 

翌日エマは正午から井戸に行くことにした。湖へ着きそのままカメラに映し出されていた通りに進んで行く。

 

「本当にあった……」

 

井戸についたエマは辺りを見回す。井戸の横には蓋にするであろう板が立てかけられており、鬱蒼とした木々に囲まれ、木漏れ日もなく、仄暗いそこは異質な場所に感じられた。意を決してエマは井戸に近づく。

 

「暗くてよく分からないや。スマホで照らさないと……」

 

ポケットからスマホを取り出そうと意識を井戸から話した瞬間。とん、と背中を押された。

 

「えっ……!?」

 

頭から井戸に落ちたエマ。打ちどころが悪かったのか手足が思うように動かない。混乱するエマは、井戸の底から見上げる。少しずつ薄い光が閉ざされていく。

 

「待っ……て……助……け……」

 

呂律が回らず声を張り上げることも出来ない。エマは、懇願するがその声が外に届くことはなく、完全に閉め切られた。

 

井戸の底に光が消えた。耳に届くのは自分の痛みを訴える声。嗚咽。意識が無くなる前に聞こえていたのは徐々に弱まっていく呼吸だけだった。

 

 

「はあー……良かったあ……これで安心ですね……まさか、【念写】の魔法がかけられていたビデオが隠されていたなんて……」

 

ひと仕事終えたメルルは一人でビデオの続きを見ていた。途中から再生されたビデオには井戸の底から始まる。怨嗟の声と、井戸を覗き込む誰かが映り込む。覗き込んでいたのはメルルだ。過去に井戸に落としたメルルと落とされた少女の一幕がこのビデオテープに収録されていた。

 

氷上メルルが私を殺した。氷上メルルが黒幕だ。氷上メルルを許さない。

ノイズにまみれた怨念の告発にくすくすとメルルは笑う。

 

「もう、誰にも届きませんよ」

 

デッキからビデオテープを取り出し、テープを引っ張り出す。念を入れ、テープを細かく切ってからメルルはダストシュートにゴミを持っていく。

 

「こんな気持ち悪いの、いりませんよね……それに……私のこと、バレちゃったら困っちゃいますし」

 

投げ入れてからどうせなら、とメルルは他のビデオも今回の少女たちがみんな死んだら捨てようと決める。DVDを導入するならビデオデッキも、ビデオももう用済みだ。

楽しみのあまり足取りが軽くなる。しかし、新しく置くホラー映画は何にしようか考え、怖いの嫌だなあと少し思ったメルルの足取りは少し重くなった。

 

 

 




独自設定で娯楽室にブラウン管のテレビとビデオ置きました。井戸もBADENDとは別のが多分生えたと思います。
背景に写ってるの見た感じとエナちゃんENDの感じだと映写機使ってフィルムでホラー映画見てたのかな…?
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