まのさばで思いついた一発ネタ集 作:ないでーす!
キャラ崩壊してます。
ココがそんなこと言うか〜!するか〜!とずっと心の声が聞こえてました。
肌寒くなってきた夕暮れ、ビュービューと吹く木枯らしがウチの体を冷やす。ベランダに立っていたウチは早く配信が終わらないかとスマホを眺める。映し出されているのは沢渡の配信だ。賑やかなそれをぼーっと見ながらふと思い出す。
去年の今頃のことだった。大学へ進学する際、ルームシェアをしないかと沢渡に誘われたのだった。
ウチは家に帰り、高校へも行くようになった。ウチとは違う高校に通っている沢渡とはなぜか頻繁に連絡を取り合っていた。
三年になり、進学した方が良いと両親に言われ、そうするつもりだった。
一人暮らしをするつもりだったのでルームシェアに乗り気ではなかったが、沢渡の口車に乗せられいつの間にか物件を見て回り、決めてしまっていた。
しばらくしてから沢渡から会って欲しい人がいるとチャットが届く。誰なのか聞いても来れば分かるからの一点張りで教えようともしない。訝しみながらも教えられた場所へウチは向かった。
少しだけ電車に揺られる。すぐに目的地の最寄りの駅に着く。ホームを出てウチはスマホの地図を見ながら歩いていく。少しして目的地へ着いた。
そこは一軒家だった。表札には沢渡と書かれていた。
「沢渡ん家か……?」
家についたことを連絡すると家の中からドタバタと音がする。扉が開けられると沢渡が顔を出した。
「早かったじゃんヤンキー!さ!さ!入って入って」
「ああ……そんで、会わせたいってのはもしかしてよ」
「あー……ここまで来たらもう答え言ってるようなもんたけどさあ……あてぃしの……その……推し……なんだよね」
沢渡は照れてるのかウチの背中を叩く。その後一室に案内される。そこにはやっぱり老人、沢渡のお祖父さんが座っていた。
「じーちゃん、あのさ……こいつ、じゃなくてこの子があてぃしの……友達っつーかさ……」
「あっどうも……沢渡……ココの友達の紫藤アリサです。いつもお世話になってます。」
「お世話してんのはあてぃしだろ〜?」
自己紹介をするとこちらこほいつもお世話になっている。よく孫が話している。よろしく頼む。と……お祖父さんが沢渡の昔話をするたびに沢渡はウチの背中を照れ隠しで叩き続ける。
日が暮れた頃。沢渡が駅まで送ってくるからとお祖父さんに言ってウチらは沢渡家をでた。しばらく黙っていたがウチは考えていた事を聞くことにした。
「良かったのかよ?推しと暮らしてなくて」
「あてぃしもホントはさ一緒に居たいけどさ、推しが……じーちゃんが一人でも大丈夫だからって。」
「いつでも会いに来ればいいから大丈夫って。何かあれば見守りカメラで分かるしってさ〜。」
「大学生活くらいは羽を伸ばしてもいいんじゃないかって……背中押してくれたからさ……つか、もしかして心配してくれてんの〜?ヤンキーいいとこあるじゃん」
「チッ……うるせえよ」
ポケットに手を突っ込んで少し前を歩く。沢渡が少し駆け足で追いついてきた。かと思えば手をウチのポケットに無理やり突っ込みそのまま握ってくる。
「おい、何してんだよ」
「いいじゃん、寒くなって来てんだしさあ。イヤならそう言えっつーの」
そのまま駅のホームまでウチと沢渡は他愛のない話をし続けた。手が離れたのはホームについてからだった。
ぼーっと見ていた配信はまだ続いている。しかし、何か沢渡の様子がおかしい。ハッとしてから顔が少し青ざめじわじわと汗をかいている様に見えた。
『あー!もう!ちょ、ヤンキー!ヤンキーちょっと!ヘルプ!早く来て!』
ウチの事を呼んでいるのだろうか。ベランダから部屋に戻り沢渡の部屋を軽くノックする。するとすぐに扉を開けた。
「マジでいま手が離せないけど、席外さなきゃやべーの!お願い!ちょっとやってて!ほんのちょっとで戻るから!早く!マスクしてんだから映ったって平気っしょ!」
まくしたてウチを椅子に座らせると沢渡は急いで外へ向かった。おそらくトイレだろうことは想像がつく。
(変われっつったって……どうしたらいいんだよ?)
「あー……えっと……よろしく……?」
コントローラーを握り沢渡がやっていた銃で撃ち合うゲームを始める。操作が覚束ず右往左往しているとすぐに撃たれた。
「あっ!おい……クソ!」
何もできず撃たれたことに腹が立ちいつものように汚い言葉が口から出る。ハッと、見られていることを思い出し、咳払いをして続ける。
「あー!あっ!またかよ!」
何度も何度もやられると繕うことも忘れてカッとなってしまう。早く戻ってこいよ、と扉をチラリと見るとすでに戻ってきていた沢渡が口元を押さえながらプルプルとして入る。
「ヤンキー雑魚すぎて超ウケるんですけど〜!」
「おい!おめえ戻ったなら早く代われよ!」
「え〜もうちょい見たかったのになあ〜。まあいいや。雑魚ヤンキーがあんだけやられても巻き返せっから!見てなって」
次々と相手を撃っては屈伸師で煽り、ボイスチャットでも煽り続ける沢渡。すげえ、そう思ったが徐々に押されていき、最終的にに僅差で沢渡のチームは敗北していた。
「あ〜!ムカつく〜!あとちょいだったのに〜!」
椅子に座りながら地団駄を踏み、悔しがる沢渡。すっかり配信を再開した。配信に集中してるのを視てからウチはベランダに戻り、スマホでまた配信を見る。
そろそろお開きにする様で、いつものさよならの挨拶をして配信を終了させた。
スマホをポケットにしまい、ぼんやりと外を見る。すっかり日が暮れ、夜空に光る星よりも街灯と建物の灯りが目に入る。しゃがみこんでマスクを下ろし、冷たくなってきた手を擦り合わせ、はぁっと息を吐いてみる。白く染まるそれを見て冬が近いんだなと改めて感じる。
「ヤンキー終わったよ〜部屋入んないの?」
沢渡がベランダに出てくる。
「……ああ、もうちっとしたらな。」
すぐに戻りたいのに沢渡に反発したくなり、まだ外にいると言ってしまう。
「あのさ、どうだった?やってみて」
「あ?」
なんの事か聞かなくても分かる。さっきの配信のことだろう。
「まあ、悪くはないんじゃねえか?」
「そっか!まー、あてぃし的にはこれからもたまに出て欲しい的な?ヤンキーにあてぃしのリスナー取られるとは思わないし?」
沢渡はニヤニヤと笑ってから冗談だよ、と続けた。そのまま黙った沢渡を見上げたが、寒いのか少し顔を赤くしていた。見ていることに気づいた沢渡が片手で顔を隠しぽつりと口を開く。
「なんて言うかさ……あー……退屈させね〜から、これからもよろしくアリサ」
沢渡は手を差し出す。ウチは手を掴んで立ち上がる。
「ああ、よろしくな」
ココ。名前で呼ぶのは少し照れくさいので口の中でだけ呼ぶ。きっとウチの顔もさっきのココの様に寒さで少し赤くなっているかも知れない。マスクを下ろしたままなのを忘れて部屋に戻る。
木枯らしは止んでいた。
12話目のやつまでは一発ネタと言うか雑BADENDネタ的な感じで思いついやつでした。
某所に投げた超短いネタを短いネタくらいに伸ばしたやつ。
配信はたくさん見たことがあるわけでなくて配信モノを読んでもいないのですごくふわふわしてます。
マルチFPSゲー長いことやってないので同じくらいふわふわしてます。