まのさばで思いついた一発ネタ集 作:ないでーす!
独自設定あります
家に集まり鍋をすることになった。一人一つは食材を持ち寄ってみんなで作ろうと、チャットで話し合い日付を調整して。アンアン、ノア、マーゴ、ナノカ……そしてメルルも島から本土へ来れるようだ。
昨日から大広間と台所を掃除して準備は万端だった。エプロンを用意したところでベルが鳴り、来客を知らせる。
「はい」
13人のうち誰かが早速来たのだろう。すぐに玄関まで行くとエマがそこにいた。
「いらっしゃいエマ。君が一番乗りだよ」
「お邪魔します。ちょっと早すぎちゃったかな?」
「そんなことない。そろそろ準備しようと思っていたから、ちょうどいい」
エマを家に上げ、台所へと向かう。手を洗いエプロンを着け包丁を握り、カットや下ごしらえをしていく。私はエマと軽く雑談をしながら今日のパーティーで何を持ってきたのか聞いてみる。
「エマ、君はなにを用意したのかな」
「私は、野菜をたくさん用意した。野菜を食べたがらない子もいるし、肉ばかりで誰も野菜を用意してない可能性はあると考えてね」
アンアンとノアを思い浮かべ、私は野菜を食べさせなくては、と張り切る。
聞かれたエマは持ってきていた手提げ袋から取り出す。
「ボクはお肉ともう一つ。考えたんだけどね……みんながお肉とお野菜用意してると思うんだ。ちょっと余ることもあるかも知れないよね?」
「そんな時コレがあればもう一品できるってことだよね!」
エマが取り出したのはいくつものカレールウだった。なるほど確かに鍋の具材をカレーにしても美味しく食べられるだろう。肉を冷やすのに使っていただろう保冷剤を手提げ袋に戻してエマはルウを差し出してくる。
「そうだな……鍋に入り切らない量なら別の鍋を用意して、どうせならカレーにするのも悪くないな」
にんじんの皮を向いていく。エマにも頼んだが、慣れていないのか危なっかしく包丁で剥こうと奮闘している。
「ピーラーがあるから、これを使うといい」
「うう……ありがとうヒロちゃん……ボクもヒロちゃんみたいに包丁で綺麗に剥いてみたかったんだ……」
「慣れれば君にもできるよ。ほら、まずはそれを使って全部剥こう。」
彩りにと思って二本しか用意してないにんじんを私たちは剥いていく。剥き終えたと私ににんじんを見せつけるエマだったが、にんじんには皮まだ細く残っていた。くすりと笑ってから私は、満点はあげられないが、良くできているよと褒めることにした。
次にやって来たのは大きな鍋を抱えてるメルル、両手に買い物袋を持つノアとアンアンとマーゴとナノカであった。
メルルとナノカを台所に案内し、マーゴの広間の場所を伝える。すぐにノアとアンアンを広間へ連れて行った。
マーゴは二人を案内した後、台所へ向かい広間ではアンアンとノアが買ってきたものを見せあっていた。
「見ろノア!わがはいが選んだ食材を!」
「へえ〜……なにこれ?のあ分かんないや」
「イカスミだ!これで鍋を暗黒に染め上げるのだ。わくわくするだろう?」
「そうかも!楽しみだね〜!のあはね、チョコレートにしたの。カラフルなやつなんだ〜。ナノカちゃんが焼いてたクッキーと一緒に食べようと思って」
「皆の邪魔をしないよう、わがはいたちはあっちで待つことにしよう。いや、お菓子を全員分、分けるのがわがはいたちの仕事だ!」
「よーし、頑張るぞー」
台所でナノカと話す。手土産を持ってきたと言うナノカ。
「二階堂ヒロ。昨日焼いたクッキーよ。みんなで食べようと思って焼いてきたの」
「ありがとうナノカ。早速一つ貰おうかな」
ナノカに手渡されたクッキーは綺麗にラッピングされており、小さなリボンで結ばれていた。リボンを解き、一つ取り出し口に放る。サクサクとした食感と甘さが口の中に広がり、堪能して飲み込む。
「うん。美味しいよナノカ。残りは後で貰うことにするよ」
「そう、良かったわ。……私も手伝うわね」
エプロンを着けるナノカを横目に私は、作業に戻る。
そして野菜のカットを続けながらメルルと話す。メルルが用意していたのは鍋と島で採れたと言うきのこであった。
「鍋を用意してくれてありがとうメルル。ところで……そのきのこは魔法の影響があったりしないのかな?」
「はい!大丈夫ですよ!これは2つ食べると幻覚が見えるきのこですが、お出汁は美味しいし幻覚作用がないんです。私が食べて飲んでるので間違いありません」
「そうか……良くはないが、食べる前に取り出せば良いか」
肉、野菜、きのこ。少しずつ鍋は形になっていく。
次々と少女たちが集まる。レイア、ココ、ミリアと全員が揃った。
「みんなは何を持ってきたんだい?私が持ってきたのはお肉さ!鍋の主役!そう、まさに私にピッタリのチョイスだと思わないかい!?」
「あーはいはい、そうですねー。あてぃしは春雨にしたんだ〜。ヘルシーなやつ」
「おじさんは調理酒とか……白だしとか鍋の味付けに必要そうなやつを用意したよ」
「楽しみになってきたね!そうそう……実はカニも考えたんだけどね、みんなカニに夢中になったら困るじゃないか!だからやめたんだ」
「困んのはレイアっちだけっしょ?……あ〜〜……いや、よく考えたらあてぃしも困ったかも」
「えっと、それはどうして?おじさんカニ大好きだし困るのはあんまり分からないな……」
「カニ食うのはいいし、ほじんのも割て食べるのもあてぃし好きだけどさあ……絶対一人まだ殻の中に身が残っている。とか行ってチェックするやつがいるじゃんよ!あてぃし……縮こまりながらほじほじしたくね〜し……」
「ははは、それはそうかも知れないね!ところで……」
この場にいないヒロの話から話はどんどんとスライドして雑談は盛り上がっていった。
最後にハンナ、シェリー、アリサがやって来た。
「私たちはお米にしました!」
「シェリーさんと二人で運んできましたの。クソ重かったですわ……」
丈夫な袋に入れられた米は女子二人が持ち歩くのは大変だろう。
「あー……わりぃ、ウチは大したもん持ってきてなくてよ……豆腐とか……油揚げとか……」
「大豆がお好きなんですか?」
「そう言うワケじゃねえよ。あんま思いつかなくてな……」
アリサがバツが悪そうに言う。ここまでの具材になかったので大いにありがたい。米を私も加わった三人で運んでからさて、どうするかと考える。14人分炊くとなると何回かに分けて炊飯しないといけないな。
米を開けたところでメルルが私に聞いてきた。
「あの、ヒロさん。あそこのかまどは使えるんですか?」
メルルが指さしたのは昔使っていたらしいかまどだった。手入れを定期的にしているので今と使えるらしいが……
「使えるとは聞いているよ。ただ私は、釜でお米を炊いたことがなくてね……」
「それなら、私に任せてください!」
メルルが胸を張って言う。それなら、と私は薪を取りに倉庫へ向かい、すぐに戻ってきた。薪をセットして火を付ける。付けたのは台所をすぐ近くから見ていたアリサだった。
「アリサさんありがとうございます。……ヒロさんふいごはありますか?」
「ふいご……ああ、あの火に吹きかける……すまない、わからない。検討がつかないな……倉庫にあるのか……?」
倉庫へ向かう私の背にアリサが待ったをかけた。
「要は火の調整できりゃいいんだろ?ウチがやるから氷上教えてくれ」
「わあ……ありがとうございます!それじゃまずは……」
メルルに言われた火加減に魔法で調節するアリサ。炊飯は二人に任せていいだろう。
グツグツと煮えてきた鍋をお玉ですくい、小皿によそって味見をする。
「うん。美味しい。もうそろそろ出来上がるな。」
「ヒロちゃん、ボクにもちょっと味見させて」
私が味見していたのを見ていたエマに小皿を渡す。汁と肉と少量の野菜を乗せて。ふーっと息を吹きかけ、冷ましたそれらをエマは味見する。
「美味しい!みんなも味見して見てよ!」
小皿を追加で用意して台所にいたみんなで味見をした。広間で待つ子たちには悪いが、ちょっとした約得だ。
米が炊け蒸らし終わる。鍋も出来上がった。鍋の持ち手の片方を私が持ち、もう片方をエマが持つ。広間に運び出し、鍋敷きの上に乗せる。みんなに鍋をよそおうと茶碗を用意してるとふいに誰かがつぶやいた。
「あ、UFO」
屋敷の中でUFOなんて見られるわけがない。そう思いながら私は、声の主の指差した方へと目を向けてしまう。目を向けさせられた。出来上がった鍋から新たにいい匂いがしだす。カレーだ。ハッとしてすぐに鍋を見るとそこにはカレー鍋となっていた。視線を鍋から戻し、声の主へと向ける。そこには14人目の少女がくすくすと笑っていた。カレールウの空箱と空の容器を手に持って。
「ユキ、どうして君が」
「どうして?ひどいですねヒロは……私だけのけものにするですか?」
「君が消えてどこにいるか分からないから誘えなかっただけだ」
「誘う気があって良かったです。それなら、私が参加しても構いませんよね?この通りカレールウを持参しました」
「ボクのルウ……」
エマが持ってきていたルウをいつの間にかかっぱらい、さも自分が持ってきたと言い放ちルウの箱を掲げるユキ。いつの間にか鍋にルウが入れられていたとしても、カレールウが溶けるには早すぎる。魔法を使ったのか?
「全く君は……いや、参加してくれて嬉しいよ。たくさん食べるんた」
急遽カレー鍋パーティーとなったことから茶椀から皿に変え、全員の前に置いていく。
「あれ?カレーパーティーになったんですか?」
「わがはいがイカスミを入れるタイミングを探っていたらなんだこれは……!イカスミ暗黒カレーにすればいいか」
「いたずらしたら駄目よ。スミは今度パスタにしてあげるからしまっておいて頂戴」
「カレーはすごいんだよ……!」
「カレーに対するその絶対的な信頼はなんですの?」
わいわいと賑やかに食事が始まった。全員に行き渡ってるのを確認してから私も一口食べる。美味しい。ベースが鍋なだけあって出汁が利いていて和風なカレー、と言う感じだ。
「大魔女様には私がお持ちしますね……!」
「ありがとうございますメルル」
ユキはメルルと二人で食べているようだった。
「私が用意したものをたくさん入れましたから、たくさん食べてください!」
「では早速……おや、これは……?」
ユキは目をつむり、食べたものの正体を探り当てようとしている。咀嚼し、味わい、飲み込み、口を開いた。
「これは……懐かしいですね。島に生えていたきのこではありませんか?」
「わあ……!そのとおりです!大魔女様が美味しいとおっしゃられていたあのきのこです!」
「私達魔女は食べても平気ですが……そのことに気付かずあなたにいくつか食べさせてしまった時は、悪いことをしたと思いました」
「いいえ、いいえ……!」
感極まりメルルはポロポロと泣いていた。ユキはそんなメルルに何度もおかわりを要求し、皿にカレーを注がせる。泣きながらもメルルは全てのきのこをユキの皿へ乗せていた。
鍋にたくさんあったカレーは空になった。全員満足していることから、今回は大成功と言っていいだろう。
ふと、メルルを見る。二人でいた彼女はいつの間にか一人になっていた。
「大魔女様はまた消えちゃいました……」
「そのようだ。だが、今日みたいにみんなでまた集まれば、今日みたいにふわりと姿を表すんじゃないかな」
「そうかも知れませんね……また、皆さんで集まりたいです」
次は、いつ集まれるか。どんなパーティーにしようか。みんなてわいわいと話してると、ふわりとそよ風がささやいた。
次は甘いもの、スイーツパーティーがいいです。
魔法まだ使えるとかいろいろふわふわ