まのさばで思いついた一発ネタ集 作:ないでーす!
花畑を探索していた私たちは昼前から探し続けていた。陽射しの気持ちよさと景色の良さから一度花を見ながら休憩しよう、ということになった。
ノアはウキウキとしながら絵を書き始めた。それを眺めていると、何思ったのかノアは花にスプレーを掛けていた。
「ふんふーん。こんな感じがいいかなー」
「ノア、花にスプレーをするのはいけないよ。こんな島に生えているとはいえ、花は一生懸命生きているんだ」
「えー……でものあこっちの色の方が好きだもん……」
「でもじゃない」
「ちぇー……ヒロちゃんのケチ」
注意すればノアは不満そうにしながらも素直に従って花にかけたスプレーを元に戻した。
良し、と確認してからの見回すと私とノアを見ていたレイアと目があった。手を振るレイアにさっと手を振り返す。花畑とレイアはとても画になる。風が吹いて花びらと共に髪を靡かせれば目を奪われるのも仕方のないことだろう。
陽気な雰囲気が流れる。ほんのひと時だが、こんな時間があってもいいかも知れない……囚われていなければ。そんな風に思っているとポカポカとした気持ちのいい天気についウトウトし、うたた寝をしてしまった。
気持ちよく浅く睡眠をして、深い眠りに入る前にふと私の頭がなにか、ムズムズとしだし、目が覚めた。
(……うん?なんだ?)
花びらが乗ったのか、はたまた虫でも乗ったのか。島に拉致され、着替えさせられてからずっと着替えと一緒に、毎回用意されている冠を手に持ち立ち上がり、お辞儀をするように頭を少し下げてから、ぱっぱと払うが特に何か落ちたりしなかった。
(気のせいだったか?)
私が頭を確かめているとレイアが話しかけてくる。
「どうしたんだい、ヒロくん?」
「いや、なんでもないよ。ただ、頭に何か落ちてきたのかと思ってね……」
言ってから念の為肩も払っておく。背中やスカートもある程度やり終えてからレイアを見ると私を指差しあんぐりと口を開けながら固まっている。
(何なんだ、一体……)
後ろに何かあるのかと思い振り返れば、あるのは一面の花畑だけ。レイアを見れば片手を口に当て小刻みに震えている。
「ふっ……ふふふっ……ヒ、ヒロくん……!ど、どうしたんだいその頭は……!」
どうやら笑いを堪えながら指差していたのは私の頭だった。何があると言うのか。今一度触って確かめる。ふんわりと髪ではない何かがそこに確かにあった。
「なんだこれは!?」
困惑しているとレイアが手鏡を差し出してくる。
「これを使ってくれたまえ。くくくっ……」
「……ありがとう。助かるよ」
笑い続けるレイアに私は眉根をよせる。が、礼を言って手鏡で確かめる。
ぴょこんと小さな【芽】が頭にあった。真っ直ぐ伸びた緑色のそれは私の頭に芽吹いていた。
こんな非常識なことが起きるとは……過去の囚人となった少女の魔法の影響に違いない。
「悔しいけれどとても目立っているね!芽だけに……ははは!」
「そうだ!良いことを思いついたよ!緑色の全身タイツを着て頭に花の着ぐるみを被るのはどうかな?もちろん顔が見えるやつで……待てよむしろ……ああ!インスピレーションが止まらないよ!」
(他人事だと思って……!)
脱線して自分の世界に入っていくレイアを放っておき、私は手鏡で芽をよく見てみる。つむじではなく頭のてっぺんから生えており、髪をかき分けると、まるで自然なように不思議と生えているようだった。芽を突くと突かれる感じが頭の先から感じられる。芽に感覚が通じてることから私は、これを切ったり無理やりひっこ抜いたらどうなるのかが気になった。髪の毛の延長のようなものならまだいいがもしもこれが神経のようになっていたなら……
「わあ、ヒロちゃんの頭のそれかわいいね。描いてもいい?」
ノアに話しかけられ私は、考えを一旦やめる。
「好きしてくれ……」
「わーい!それじゃあ、じっとしててね?」
ふんふんと鼻歌を歌いながらノアはスケッチを始める。
(描かれてる間に今後どうするか少し考えていよう……)
いきなり生えた芽の事、エマを殺害するプラン。どちらも思うように考えが浮かばず静かに時間が過ぎていくだけだった。
「よーしできたあ。あっ、ヒロちゃんもういいよー」
ノアが描き終える頃にはレイアは自分の世界から戻って聞いてた。
「……ふふっ」
思い出したように私を見てはくすりと笑っている。はっきり言っていい気持ちではない。私の目線に気付いたのか手を合わせながらごめんと謝るがすぐにもっと見てくれとポーズをし始めた。
「全く、君たちは……」
ため息をついてからスケッチブックを畳んだノアとポージングをやめたレイアと共に牢屋敷へ戻っていく。少し先起こるであろうことを考えるとまたため息が出てしまう。
ラウンジに集まったみんなの目線は私に注がれていた。正しくは私の頭の上に。
「わあ、ヒロちゃん……頭のそれ……」
「光合成できるんでしょうか?気になりますね!」
「ちょっと、頭大丈夫なんですの?……あっ、そう言う意味じゃなくてですわね!?」
「ヒロから咲く花はきっと黒か赤い花に違いない。わがはいは楽しみだ」
ワイワイと言いたいことを言って私の頭上に注目している。
(私は、見世物ではないのだが……)
こほんと咳払いを一つして、手を叩いて注目させてから私はみんなに向かって言う。手を叩かずとも注目が集まっていたが……
「きっと、魔法のせいだと思う。できれば、あまり見ないでくれるかな」
笑顔で受け流していたつもりだがきっとこめかみと口元がヒクヒクとし、怒りが少しあらわになっているだろうが、それに気付けるのは一人だけだろう。
「ねえ、ヒロちゃん?大丈夫?」
「ああ、平気だよ」
「でも、今日だってあんまりご飯食べてなかったし、顔色も良くないよ……」
「あまりお腹が空いてなくてね。毒味の分と少しは食べているから大丈夫だよ……」
近頃、ぼーっとしていることが多くなってきた気がする。エマに対してもつい昔のように接してしまう。就寝時間にエマに気遣われるほど私は気力がなくなっていたのかもしれない。
日に日に伸びていく芽。それに反して私のエマへの殺意が薄れていくのが分かる。些細なことであれほどエマを憎んでいたのが嘘のように感じる。許せないと思う気持ちは今もなお私の胸中にある。だが、エマの態度にはなにかおかしな点があったと、そう改めて思えるようになった。この芽が私の怒りを吸い取って、私を冷静にさせているのか?
(わけがわからないし、忌々しいのには変わらないが、この芽に感謝はしておこう……)
芽に感謝をしてから横になり、今後のことを考えると、いつもよりも捗った気がした。眠りに落ちるまで時間はかかったが。
「ヒ、ヒロちゃん……それ……!」
ある日の朝エマが私の頭を指差す。何かあったのかと鏡を見れば芽に蕾が発芽していた。芽の先から割れた赤いそれは開花する前から花を咲かせているようだった。
何日かして、気が付けば私はここ数日の記憶が曖昧なことに気づいた。
気づくきっかけになったのは、いつも付けていたはずの日記を見つけて、日記をつけていないことを思い出したからだ。日記を開き最後に綴った日を確認するとスマホに表示される日付よりもだいぶ前だ。
(不味いな、このままでは……)
頭に霧がかかったようで上手く思考がまとまらない中、なんとか食事だけはしなければと食堂へ向かった。すでに何人かが食事を終えていたようだ。減っていた食事を少し取り分け、席に付き口に運ぶ。身体が、勝手に動いてるように感じる。いつもなら私が毒味を済ませなければならないのに……そんなことを考えているとエマから話しかけられる。
「おやすみ、ヒロちゃん」
いつの間にか私はベッドで横になっていた。困惑とやって来る睡魔の波で気を失うように私は眠りついた。
夜中、目を覚ました。おぼつかない足取りで監房を出て、牢屋敷を出る。
(行かなくては……)
ふらふらと彷徨うように私は、私の身体はある場所へ向かっていた。
(いや……なぜ私は……?どこへ向かっているんだ……)
疑問が浮かぶがそれはすぐに霧散してしまう。足は勝手に動き牢屋敷の外へ出た。
(どこへ向かうか……どうでもいいか……)
目的地へたどり着くと膝から落ちて座り込む。月明かりが照らし出す花畑だ。身体がぐっと姿勢を正すと足の先からじわじわと冷たく、硬くなっていく。
(ああ、ようやく……)
私の意識は頭より上にあり、私は頭の上から俯瞰している。
ついに花が咲いた。強く反り返ったその赤い花は凛と咲き誇って、私もなんだか嬉しく感じていた。
身体がつま先からボロボロと崩れ落ちる。栄養と何か大事なものを失った身体は役目を終えたように朽ちて土塊のようになり、花畑の土と一つになる。
この島の花畑には色とりどりの花が咲いている。
その日花畑に一輪の赤い花が新たに咲いた。枯れてはまた咲き枯れて……この花畑で繰り返し続けるだろう。
芽が出るとこから思いついてたからみどりの日の範囲内
首吊り輪のスチルの障子とまのむらの花から花はそんな感じに…
エマピクミンは炙り瓶になるよ!ヒロピクミンは悪は死ね!