まのさばで思いついた一発ネタ集   作:ないでーす!

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ハンナさんの誕生日なので一つ。


ハンナさんなやつ

『明日暇ですか?』

 

ハンナのもとに届いたシェリーからのメッセージ。それはハンナが二度ほど目をぱちぱちと瞬かせるほど驚くものだった。シェリーとは頻繁に連絡を取り合い、何度もハンナから誘って出かけることが主だったからだ。珍しいシェリーからのお誘いにハンナはもちろん、と返した。

 

「明日はこれでよし……ふあぁ……」

 

おでかけの着替えとカバンの中身を確認し用意してから、ひとつあくびをついてハンナはのそのそと布団に入りこみ、眠りについた。

 

 

ハンナは夢を見ていた。ハンナはお姫様である。

辺境の地の古い城の一室でハンナは今日もあくせくと刺繍をして日々、口に糊をしていた。身なりはその城の姫とは思えぬ質素な格好であった。

 

「お嬢様、失礼いたします」

 

老執事がノックをしてから恭しく部屋に入り、手紙を差し出す。その手紙にされている封蝋は王都の王族の使うものであった。

 

「これは……まさか!?」

 

「はい。招待状でございます」

 

年に一度開かれる栄誉ある舞踏会。それをこんな辺鄙な土地の分家の分家のまた分家のここへ届けられるなんて。ハンナと老執事は泣いて喜んだ。すぐに兄妹たちに招待状を見せてその日は慎ましやかながら宴が開かれた。とっておきのワインとチーズを倉から取り出して飲み食いし明日への気力にした。

 

城にあるドレスはきらびやかなドレスではなく、代々受け継がれてきたドレスが一着、大事にしまわれていた。ついにハンナはそれに袖を通す時が来たのだ。

 

「王都の流行りに合わせられるものではありませんが、しっかりとこのドレスを……わたくしが受け継いだ魂をお披露目いたしますわ」

 

明日は舞踏会。ドレスに袖を通すことをに嬉しさ半分、不安半分を抱えてハンナは眠りについた。

 

 

翌朝ジリリリと鳴る目覚ましで飛び起きる。目覚まし時計を止め時間を見ると遅刻寸前だ。

 

「まずいですわ〜〜〜!!!」

 

急いで制服に袖を通し、冷蔵庫にしまっておいた昨日の夕飯の残りを詰めた弁当をカバンに入れて走って学校へ向かう。

 

電車を降りて少し歩くと学園が見えてきた。その途中今日も人だかりが出来ているのにもはや慣れたものだった。

 

「「きゃあー!見て!四人の王子様よ!」」

 

女生徒のたちの黄色い声がそこら中に飛び交う。現れたのは学園のプリンスとして人気な演劇部の蓮見レイア、帰宅部で不良の紫藤アリサ、家庭科部によく顔を出す桜羽エマ、風紀委員の二階堂ヒロだった。

 

プリンスたちは女生徒たちの声援に応えながら歩いていく。途中ハンナと目が会い、それぞれがハンナに笑いかけた。

 

「ふ、ふん!わたくしには関係ありませんわ!」

 

ハンナはツンとそっぽを向き教室へ歩いていった。彼らが何を考えていたかは分からないが四人の目線はハンナの背中に向けられたままだった。

 

 

 

「やあ、良ければ演劇部の活動を見ていかないかい?」

 

「今それどころじゃないんですわ〜〜〜!」

 

レイアに声をかけられたのはいつのことだったろうか。ハンナは急いでいたため走りながら断り、レイアの中に強く印象を残した。

 

「私を見もしない!?……ふぅん……面白い子だね……振り向かせて私に注目させる甲斐がある……!」

 

 

 

「ちょっとそこのあなた!そんなとこにいたら危ないですわよ!それにびっくりしますわ!」

 

「なんだぁ……?てめえは……」

 

アリサに絡まれだしたのはいつの日かの放課後、自販機の間にいるアリサをハンナが注意した日の翌日だった。

 

「見つけたぜ……おい、おめえ放課後ツラ貸せよ……場所は昨日のとこだ」

 

「な、なんなんですの?一方的に……」

 

昼休みにハンナのクラスまで赴き、要件を告げてさっさと去って行った。教室には女生徒たちの黄色い悲鳴が轟く。

 

「紫藤さんが私達の教室に来てくれたなんて!!」

 

「遠野さん!紫藤さんとなにがあったの!?ことによっては……!」

 

「ちょっとちょっと!なんにもありませんわよ!そんなに押し寄せないでくださいまし!」

 

何もないと誤解だと説いてからハンナは自販機の場所へ行き、きっぱりとアリサへ告げた。

 

「急に来られても迷惑ですわ!それでは失礼しますわね!」

 

言いたいことだけ言われてぽかんとしたアリサだが、すぐに笑みが浮かんでいた。

 

「へっ……ウチに向かってあんなこと言うなんて……おもしれー女……」

 

 

「へえ〜キミ、ハンナちゃんって言うんだあ〜」

 

「ええ、よろしくお願いしますわね」

 

人懐っこい笑顔で寄ってきたのはエマだった。手には購買で売られていたであろうパンをいくつも抱えていた。ファンにもらった分もあるであろうそれらは2000kcalをゆうに超えそうだ。

 

「ねえ、お昼もう食べた?まだならボクと食べようよ」

 

「ああ〜っと!そう言えばわたくしちょっと用事がありますので失礼しやがりますわね!」

 

弁当箱を持っていたハンナはあたふたと弁当箱を隠すように腕で抱きしめてエマから離れていった。あとに残ったエマは含みのある笑顔でハンナが走り去った扉を見ていた。

 

「ボクとお昼食べるの断るなんて……面白いなあ」

 

 

 

「良かったんですかハンナさん。さっきエマさんにご飯誘われたって噂で持ちきりになってましたよ」

 

「いーんですのよ。もとからあなたと食べる予定だったんですし」

 

校庭にある木の下のベンチに腰掛けながらハンナは幼馴染のシェリーと弁当を広げる。シェリーが食べるのは黒焦げの塊のようだった。

 

「なんなんですのそれ……」

 

「シェリーちゃん特製ハンバーグです!ちょーっと焦げちゃいましたが、捏ねるのはしっかりできましたよ!」

 

ガリゴリと音がしそうなソレを箸で割ってからシェリーは口に含む。一瞬無表情になったように見えたがそのまま米もパクパクと食べていく。

 

「はぁ〜〜……まったく。ほら、おかずの交換しますわよ。わたくしのは昨夜の残りですけれど、いいですわね?」

 

「いやー、そんな……」

 

「いいですわね!?」

 

押されてシェリーはこくこくと頷いておかずの交換をする。弁当の蓋におかずを置いてそれぞれが口にした。

 

「うーん、ハンナさんの料理はいつも美味しいですねー!」

 

「んぐ、むぐぐ……」

 

喜びながら食べるシェリーと百面相してから飲み込み、米をかっ喰らうハンナはお茶も飲んで一息つく。

 

「はー……生き返りますわね……」

 

「あー、やっぱり駄目でしたか?」

 

シェリーはバツが悪そうにハンナに感想を聞くが帰ってきたのは思っていたよりもいいものだった。

 

「シェリーさんのハンバーグは味付けはしっかりできていますから、問題は焼き方だけですわ」

 

「あはは、ガーッと焼いちゃえばいいかなって思ったらこうなってました!シェリーちゃん失敗失敗!」

 

「笑い事じゃねーですわよ!そうですわね、今度わたくしが教えますから一緒にハンバーグ作ってご飯にしましょう!」

 

「いいんですか?いやーハンナさんが手取り足取り教えてくれるなんて、嬉しいですねー」

 

「ビシ!バシ!厳しくいきますから、覚悟してくださいまし?」

 

「はい!」

 

約束を取り付けている内にすっかり食べ終えてた弁当を閉じて二人でごちそうさまをした。お茶を飲みながら談笑して二人の昼休みはあっという間に過ぎていった。

 

 

放課後、日直の仕事をし終えて生徒会室の前を通ると風紀の腕章を付けたヒロが30cm定規片手に何かしらのチェックをしていた。

 

「やあ、キミか。」

 

会うなりヒロはさっと定規を合わせた。

 

「うん……キミは制服を正しく着ているようだね。素晴らしいよ」

 

「はあ……ありがとうございます……?」

 

「私が正しく指導して以来、なぜか風紀委員をやめる生徒が何人も出て人手が足りていなくてね……キミのように模範になる生徒が来てくれるのを待っているよ」

 

軽く勧誘をしてロボットのように一定の歩幅、一定の速度で規則正しく廊下を歩くヒロを見送ってハンナはようやく下校するのだった。

 

 

「待っていたよハンナくん!今日こそは私と……!」

 

「待てよ!こいつはウチが用があんだよ!」

 

「ボク、ハンナちゃんとお昼ご飯食べたいな〜いいでしょ?」

 

「やはりキミの正義が必要なんだ。ぜひとも風紀委員会に入って服委員長にだね……!」

 

「や、やめてくださいまし〜〜!もげますわ〜〜〜!!」

 

四面楚歌もみくちゃにされながらハンナが悶ていると……

 

「ハンナさん!」

 

シェリーの助け舟だ。声とともにハンナは首根っこを掴まれ、引っ張られた。

 

「んげっ!?」

 

ピリリ、ピリリ。スマホのアラームで目を覚ます。ハンナは飛び起きて首をさすりながら辺りを見回す。ハンナを取り囲むプリンスたちも手を取る幼馴染もいなくなっていた。夢を見ていたのか、と思い出していると最初に見ていた夢のドレスのことを思い出した。

 

「ふふっ、これがわたくしのドレスでしたわね」

 

夢の中で見たそれは今日、出かける時に着ようと用意していた服と同じであった。

 

「んんー……!」

 

伸びをしてから洗面所へ向かい顔を洗う。朝食にパンを焼き始め適当につけたテレビの天気予報を見ながらトーストをかじる。

 

食べ終わり、歯を磨いて、着替え諸々を済ませ終えた頃、玄関のチャイムが鳴った。扉を開けると満面の笑みのシェリーが立っていた。

 

「それじゃあ、ハンナさん!行きましょうか!」

 

「はいはい、急がなくても平気ですわ」

 

手を取りながら二人はいい天気の中歩いて出かけていった。ぶらぶらと店を見て回っていたらあっという間に昼食の時間になっていた。

 

「ハンナさん、お昼何食べますか?」

 

「そうですわねえ……」

 

ふとハンナは夢で見たハンバーグを思い出した。昼食にいいかと思ったがどうせならシェリーと作りたいと思いやめた。

 

「ハンバーグ以外なら何でもいいですわよ」

 

「えっ?ハンバーグお嫌いでしたっけ……?」

 

「好物ですわよ!ただ単に晩ごはんをハンバーグにする予定なだけですわよ。一緒に作るんですわよ?」

 

「え〜!?急ですね!でも、いいですよ!楽しみですねー!」

 

軽く昼食を摂ってから二人は店ブラを再開してあれがいいこれがいいと選んで楽しんでからスーパーで材料を買ってハンナの自室へと帰っていった。

 

その日のハンバーグはきれいな俵型のハンバーグといびつで少し大きいハンバーグが並べられたがどちらも火加減が良くされていて美味しそうな色合いになっていた。

 

 

 




ハンナさんがメイン。誕生日を祝う感じのを考えてたらなんかこんな感じになりました
夢の部分とかちょっと不安だけど夢だし多少破綻しててもいいか…
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