まのさばで思いついた一発ネタ集   作:ないでーす!

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えっちはえっちでも


えっちなやつ (ネタバレ)

 

 

 

「連日何をしているんだ、エマ」

 

牢屋敷に囚われ、ここで過ごしてはや数日。毎日のようにスコップを持って外に出ては土まみれになって帰ってくるエマを私はとうとう問い詰めることにした。

夕方、玄関で待っているとエマは今日も頬に土をつけ、足元も土で汚れたまま帰ってきた。

 

「あのね、ヒロちゃん。ボク考えたんだけど……」

 

私の問に答えようとするエマはおどおどとしておらず、まっすぐに私の目を見つめて、スコップを力強く握りしめていた。

 

「みんな色んなところを探したのに脱出するための手がかり見つからないよね?だからね、みんながまだ探してない場所を探すことにしたんだ!」

 

「……それが地面の下、と言うわけか」

 

「うん!」

 

 

自信満々に言うエマ。あまり看守を刺激するようなことはして欲しくないところだ。ふと、思いついたが穴を掘って落とし穴を設置し、私を殺そうとしているかも知れない。そう考えると放っておくのは良くない。

 

「……分かった。次からは私も手伝うよ」

 

「いいの?わあ、嬉しいなあ」

 

 

笑顔になり、小さくガッツポーズをして喜びを表すエマ。人畜無害を装っているがその手には乗らない、と油断しないよう心がける。

 

「ああ。それはそうと、シャワーを浴びてくるといい。屋敷に上がる前にしっかりと靴の裏の土も落とすんだ」

 

「はーい!」

 

 

 

エマを監視しつつ、穴を彫り続けること数日。その日はゲストハウスの少し横を私たちは掘ることにした。

 

「頑張ろうね!シェリーちゃん!ハンナちゃん!ヒロちゃん!」

 

「任せてください!」

 

「やりますわよ!」

 

(まったく……かしましいな)

 

 

穴掘りをしている私とエマを見て、それならばと手伝い始めたシェリーとハンナ。彼女たちが入ればまさに百人力だろう。

もりもりと掘り進める私たち。まるで発掘現場のようになってしまったが構わず今日も彫り続けていた。

 

「あれ?何か今……わあ!」

 

 

エマが何か掘り当てたようだ。手を止めて私達が駆け寄るとエマの目の前で水が噴き出していた。

 

「なんですのこれ……?って、あっちいですわ〜〜〜〜!!」

 

「水道管を壊しちゃった訳ではなさそうですね」

 

「お湯……?まさか、源泉か?」

 

 

すぐさま現場から離れて観察をすると勢いが少し止みながらも、今もなお湧き続けているようだった。

すると騒ぎを聞きつけたのかバサバサとゴクチョーが飛んできた。

 

「はー……。まったく、めんどくさいことをしてくれましたね……」

 

「何をしに来た、ゴクチョー」

 

「何しにって……掘り当てちゃいましたからね。温泉。こちらで整えることになりました。はー……やれやれ、フクロウ使いが荒いですね……」

 

 

私に問われてもどこ吹く風のゴクチョーは、ホウホウと鳴いてから羽ばたく。すると何羽ものゴクチョーが四方から飛んできた。看守もやって来てゴクチョーを手伝うようだ。

 

「えっと……ボクたちどうしよっか?」

 

「ひとまずシャワー浴びたいですわ……」

 

「そうですね、ここはゴクチョーさんたちに任せて私たちは牢屋敷に戻りましょう!」

 

 

(施設を作るようだが、何を仕込まれるか分かったものじゃないな……)

 

そう思い手伝いをしにスコップを持って現場へ戻ろうとすると、手を止めた看守がぐるりとこちらを向く。

 

(邪魔をするなとでも言うのか?仕方ない……)

 

ため息を一つついてから私もエマたちとシャワーを浴びよう。そう思って彼女たちの背中を追った。

 

 

翌日、ゲストハウスの横は工事中と書かれた囲いで覆われていた。フクロウと看守がどう工事してるのか分からないが、今はチャンスだ。看守の目がないうちに計画を立て、実行に移すべきだ。

 

「ああ、エマ。よかったらこのあと──」

 

「もちろんいいよ!」

 

エマと約束を取り付け二人で移動をする。と、すぐにシェリーとハンナがやって来てしまう。

 

「あら?お出かけですの?」

 

「私たちも行っていいですか!」

 

「うん!いいよね?ヒロちゃん?」

 

「……ああ。もちろんだとも」

 

こうなっては仕方ない。その日はそのまま四人で行動し……と何度もなってしまう。二人きりがいいと断わることもできるが、その後のことを考えると怪しまれることはしない方がいいだろう。

 

 

何日かしてついに温泉施設が出来たらしい。ラウンジに集まった際に、ゴクチョーが私たちに報告をし始めた。

 

「と、言う訳でして……やぁーっと終わりましたよ。工事。行ってみたらどうですか?はい」

 

言うだけ言ってゴクチョーは飛んでいく。心なしか天井付近の穴に入っていく様は疲れ果てて見えた。

 

 

「どうする?ヒロちゃん」

 

「一度見に行った方がいいだろう。ノアも一緒に行くか?」

 

「うん!楽しみだなー」

 

「温泉と言うが何かしら効能はあるのだろうか?私としては美肌効果なんてあれば嬉しいが……」

 

「どうかしらね。この島の温泉なのだしあまり良いことは期待しない方がいいと思うわ。蓮見レイア」

 

 

四人で温泉へ向かうことにした私たち。ラウンジから出てロビー

を通るとエマたちが雑談をしていた。

 

「あっ!ヒロちゃん!」

 

「みなさんも温泉行きますよね?」

 

「ああ。その通りだが」

 

「ボクたちもなんだ!よかったら一緒に入ろうよ!」

 

 

断る口実は思い浮かぶが昨日までよく一緒に行動していたのに断るのは得策ではない。ならば、行動を共にする方が良いだろう。

 

「ああ、もちろんだよ」

 

努めて笑顔で返して私たちは大所帯で温泉へ向かうことにした。

 

 

「のあが一番乗りー!」

 

「こら、まだ体を流していないだろう。みんな入るのだから、きちんときれいにしてから入るんだ。それに走るのは危ないよ」

 

いつもはシャワーを嫌がるノアだが、温泉となると話は別なのだろうか、あっと言う間に服を脱いで楽しげに湯船に向かっていった。既のところで待ったをかけて、なんとかシャワーへ連れ戻す。

 

 

「ほら、座って。髪もちゃんと纏めてだな……」

 

「めんどくさい……ヒロちゃんやって」

 

「まったく……仕方ないな……」

 

世話を焼いていると続々と湯に浸かる少女たちが声を上げる。

 

 

「う"〜〜〜〜!あっちいですわねぇ〜〜〜!」

 

「あっつ!あっつ!あっつ!」

 

それぞれが熱さと格闘して肩まで浸かっていく。少女にあるまじき声がどんどんと出ていく。

 

「よし、これでいいだろう。私たちも入ろうか」

 

「ありがとうヒロちゃん!」

 

 

私も湯に浸かる。リラックス

エマが隣にやって来た。

 

「こうしてると昔を思い出すね……」

 

「……ああ、一緒に入ったことがあったな……」

 

「ボクね、またこうやってヒロちゃんとお風呂に入れて嬉しいんだ……」

 

「そうか……」

 

そう返事をして言葉が詰まる。しばらくして私もだよ、と言えたがそれがエマに聞こえていたかは分からない。

 

 

温泉は心と体を癒やしていた。私の心も、エマの心も。汗と一緒に憑き物が落ちた様に今は晴れやかな気持ちになっていた。

 

 

「みなさーん!あっちにサウナもあるそうですよ!行きましょうよ!」

 

「わあ、サウナ……ねえ、ヒロちゃん一緒に行こ?」

 

「分かったよ」

 

 

サウナに入って数分。初めのうちは談笑をしていたが次第に口数が減っていく。汗が出てきた頃にノアが立ち上がった。

 

「のあもういいや。ヒロちゃん、のあ先に出てるね」

 

「……私も出るわ。城ケ崎ノア一緒に行きましょう」

 

 

二人が出てからまた数分。今度はハンナが立ち上がった。

 

「う〜〜……限界ですわ……わたくし、もう出ますわね……」

 

「じゃあ私も出ますね!ハンナさん!肩貸しますよ!」

 

一人、また一人とサウナから出ていく。残るのは私とエマとレイアとメルルだ。

 

 

(待てよ……もしかして、最後まで残っていたら目立てる?)

 

レイアが真面目な顔をしながらアホなことを考えている事をなんとなく私は察した。

 

「レイア、言うまでもないが無理はいけないよ。倒れては元も子もないからね」

 

「……ああ!もちろんだとも!当たり前じゃないか!ははは……」

 

 

まだしばらくサウナに籠もる。誰も喋らない……喋れないがそんな静かさとだらだらと流れる汗が心地よく感じ始めた。

 

 

「ふぅー……無理はしないと言ったからね……そろそろ私もギブアップするとしよう。どうだい?水も滴る爽やかな私は」

 

汗まみれのまま笑顔を私たちに向けてからレイアはタオルで汗を拭って外へ出た。うひゃー、と叫び声が聞こえてきたが水風呂を体にかけて温度差に驚いたであろうことは容易に想像が出来た。

 

「私もそろそろ出ますね……エマさん、ヒロさん。我慢のし過ぎは駄目ですからね……?」

 

「うん、大丈夫だよメルルちゃん」

 

「分かっているよ」

 

 

メルルが出て行き、今は二人切りだ。もしも昨日までなら今がチャンスだときっと思っていただろう。

 

(私は一体、何に駆り立てられていたんだろうな……)

 

サウナから出て、火照った体を水をかけ流す。水風呂に浸かり体を冷やし、チェアに腰掛ける。心地よい外気温が私を整えていく。殺意は私の中から流れ出ていった。

 

 

 

 

 

「じっとしていろアンアン。洗い終わったら次は髪をまとめるからな」

 

「うむ……」

 

「良かったねアンアンちゃん。ヒロちゃん、次はのあもやってね」

 

アンアンとノア以外の長髪の全員はきちんと湯船に髪をつけないように髪をまとめているが、二人はめんどくさいのかやりたがらない。なら、私がやるしかない。これから13人みんなで入るのだから。

 

 

温泉を楽しみだして数日後。その日は初めて13人全員で温泉に浸かっていた。

温泉が出来てからなぜか用意されだした人数分の瓶の牛乳は、温泉から上がって飲んでいた。その日は誰かの提案で湯に浸かりながら飲むことになった。

 

「お風呂の中で飲むのって行儀悪くないですか?」

 

「ウチたち以外に誰か入るわけでもねえし、零さなきゃいいんじゃねえの」

 

「飲み終わったら私が回収するから、捨てたりしないように。さて……みんな、蓋は開けたな?では、乾杯!」

 

 

その時、魔女因子がデトックスされたこと、乾杯のために牛乳瓶を掲げたことが原因で不思議なことが起きていた。

 

「か〜〜〜〜っ!これですわ〜〜!」

 

「その反応って普通お風呂上がりじゃありませんか?まあ、美味しいですけどね!」

 

 

全員が飲んだ瓶を回収していると数が合わないことに気づいた。瓶は13本ある。しかし人数が合わない。

 

「なっ……!?」

 

すぐにその原因が目に入る。白く長い髪がゆらゆらと揺れている。アンアンの長い髪かと一瞬考えたが、きちんと言い聞かせて髪をまとめたらアンアンはしっかり髪を湯船につけたりしないだろう。ならばその髪の持ち主は……

 

「ユキ!」

 

「ユキ…ちゃん…?」

 

「久しぶりですね……エマ……それと、ヒロ……」

 

ニヤニヤと笑うユキはぷかぷかと浮きながらこちらを見ていた。なぜここに?そんな疑問を聞くよりも前に私は行動していた。

 

「はしたないぞユキ!それに髪をまとめないのは正しくない!それに君はきちんと体を洗っていないだろう!出るんだ!」

 

急いで瓶を脱衣場に持っていってから改めて私はユキと向き合う。

 

「え……?」

 

「仕方ないから私が面倒を見てやる。エマ、手伝ってくれるな?」

 

「うん……もちろんだよ」

 

「私も!!」

 

エマの返事のあとに誰かが大きな声を上げる。驚いてそちらの方を向くと声の主はメルルだった。いつも静かな彼女らしくないその声に面食らう。

 

「私も、お手伝いします!させてください…!!」

 

「あ、ああ……ではメルル。そっちを持ってくれ」

 

無抵抗で私とメルルに持ち上げられられるユキ。髪が床についてしまう前に気づいたエマがせっせと後ろから巻いていた。

 

 

 

「いいですか、エマ。私は……」

 

「肩まで浸かっているか?100数えるんだぞユキ」

 

「……ちょっと。邪魔しないでくれますか?ヒロ。今私はエマと」

 

「こうして三人で入ってると昔みたいだね……」

 

 

 

「よし、次はサウナだ。気持ちがいいぞ。エマも行こう」

 

「また三人でサウナに入れるなんて……なんだか夢見たいだね……」

 

「エマ……?私サウナ入るの初めてなんですが……?」

 

 

うんうん、と頷いて私たちはサウナへ向かう。メルルとアイコンタクトをすると、メルルはこくりと頷いて脱衣場の方へぱたぱたと歩いていった。

 

「結局誰なのか分からねえですけど、もうあちらに任せた方がいいですわね……」

 

「そうですね!気にならないと言えば嘘になっちゃいますけど」

 

 

 

サウナに入る。私、ユキ、エマの順で座り扉を締めると次第に汗が流れていく。

 

「ふう……話の続きですが、エマ……」

 

「お待たせしましたぁ!ロウリュのサービスです!」

 

着替えたメルルがタオルを持ってやって来た。これを待っていた。

 

「え……?メルル、何を……」

 

「失礼します……!!」

 

 

熱せられた石に柄杓で水をかける。ブワッと熱気が籠もると、すぐにメルルがタオルで扇ぐ。

 

「な、なん……?……エマ……たす……」

 

「メルルのロウリュは牢屋敷イチだな……!」

 

「まだまだこんなものじゃないよ、ユキちゃん!」

 

「失礼しまぁす!!!」

 

熱風が何度も何度も私たちに襲いかかる。しばらくしてメルルがぺこりと頭を下げてからサウナから出ていく。ここからが本番だ。

 

 

「ふう……気持ちがいいな、エマ。ユキ。」

 

「うん。なんだか今日はいつもより長く居られそうだよ!」

 

「ふふ……そうか。では、私も本気を出して耐えるぞ」

 

「も……り……」

 

 

弱々しく手を上げているユキに気づく。これからが本番だったが、慣れていないユキにはまだ早かったらしい。

 

「ユキ、大丈夫か?今外に連れて行くからな」

 

「ユキちゃんボクに掴まって」

 

エマにしがみついてサウナから出るユキ。安堵しているようだが、お楽しみはこれからだが、その前にメルルが再度やって来る。

 

 

「お待たせしましたぁ。お飲み物をどうぞ……!」

 

「んくっ……はぁ……助かりましたメルル……」

 

「いいえ……!これくらい、当然ですから……!」

 

水分補給をしているユキを他所に私たちは汗を流してから水風呂に浸かる。

 

「ボクたちは整ってからお水飲もうね」

 

「ああ、そうだな……」

 

 

その後ユキも同じようにしてから水をかけ、水風呂に入る。しばらく堪能してからサウナにまた入り──

何度も繰り返して最後に外気浴をチェアに座り楽しむ。ユキも整ったのか目がいつもよりも虚ろだ。

 

 

「島の温泉……島の大魔女、あなたが……?」

 

 

ぶつぶつと何やらつぶやいているユキに声をかける。よく見ればまんざらでもない顔をしているように私には見えた。

 

「どうだった?ユキ」

 

「……そう、ですね……悪くはありませんでしたよ……」

 

「そうか、良かったか」

 

「……もうそれでいいです……」

 

 

ユキはぷいと横を向くと、そのままエマと話し始める。

 

「こほん。久しぶりですね……エマ」

 

「うん……」

 

「私が現れたのは他でもないあなたの……あっ」

 

「うん?ユキちゃん?」

 

 

間の抜けた声を発したユキ。よく見るとその姿は薄くきらめいていた。

 

「ユキちゃん!」

 

「ユキ!」

 

「大魔女様っ……ようやく会えたのに……!」

 

 

「どうやら時間切れとかあったみたいですね……また会いましょうエマ……メルル……それに」

 

私の方を向いて、私の名前を呼ぶ──事なくそのまま消えていったユキ。いたずらが成功したような顔をしながらのさらさらと消えていってしまった。

 

 

「ユキちゃーーーーん!!」

 

「大魔女様ぁ!!」

 

 

二人の叫びが響く。ユキの座っていたチェアにはタオルがそっと置かれているだけだった。

 

 

 

次の日のこと。私たちは変わらず温泉に入る。

 

「待ってましたよ……サウナに行きましょうエマ、メルル」

 

思わせぶりに消えたユキが脱衣場で私たちを待っていた。エマとメルルにもみくちゃにされるユキを見ながらこれから騒がしくなるな、と私は思った。

 

思ったとおり次の日も、その次の日も少女たちは温泉に浸かったり、サウナ水風呂外気浴の一連の流れで整っていく。牢屋敷ならぬ温泉屋敷のこの島で。

 

 

 




HOTなやつ
相変わらずオチが弱いですごめんなさい
サウナは市民プールとスーパー銭湯でしか経験ないので間違ってる部分あると思いますが見逃してください
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