まのさばで思いついた一発ネタ集 作:ないでーす!
茹だるような暑さが牢屋敷を包んでいた。真夏のようなさとジメジメとした湿気は4月とはとても思えなかった。冷暖房が完備されていない牢屋敷で少女たちはラウンジで薄着になったりして各々なんとか涼もうとしていた。
「ゔ〜……あっちいですわ〜……」
スカートを折りたたむくらいでほとんどドレスを着たままのハンナは汗だくになってバテていた。
「湖で泳ぐか、シャワールームで冷水を浴びるか。はたまた多少は涼しい監房で寝て過ごすか。悩みますねー!」
上着を脱いだおかげか少しだけ過ごしやすそうな格好のシェリーはケロっとしたままだ。額に汗をかいているがまるで気にしていない。
「皆さん、水分補給はこまめにしましょうね……!」
メルルは熱中症対策にと畑で採れたらしいきゅうりやトマトを昼食の時にみんなに配ったり、水を飲むのを怠らないように注意していた。
「この島一体どうなってるんだろう……?」
上着を脱いでシャツ一枚になったエマは服をぱたぱたとしながら少しでも風を体に浴びせ暑さをごまかそうとしていた。
「この島、本当は赤道にでもあるんですかね?」
「うー……あまりに遠すぎると困りますわよ……」
「あの……もしかしたら、魔法……のせいじゃないですか……?」
「ボクたちよりも前にここにいた子たちの中に、夏にする魔法を持ってた子でもいたのかな……?」
あーでもないこーでもないとだらだらと話を続けていると他の少女たちもやってきた。やはりみんな揃って汗をかいている。
「あら……みんな、はしたないわよ」
マーゴがそう言うが、マーゴ自身暑さに耐えられていないのか、いつもより着崩しているのを誰も指摘する気にはならなかった。
「ふー……本当にあっついねえ……アンアンちゃん、大丈夫かい?」
「わがはいは……『医務室に』……」
医務室に行く。と最後まで書くのも億劫なのかアンアンは言うのも書くのもやめてミリアの手を取って医務室へ向かっていった。
「あぁ、ちょっと、アンアンちゃん!?じゃあ、おじさんたちは医務室にいるから!」
ミリアは連れられながら一度振り返って少女たちに手を振ってそのままラウンジを出ていった。
この場にいないアリサは湖畔で一人涼んで、ナノカは日陰で涼んでいるだろう。
「あ〜……あっち〜……本当ふざけんなってのマジ……」
ブツブツと文句を言いながら、いつもより威勢と元気のないココがラウンジにやって来た。ソファに横になりぐでっとしながら話に混ざる。
「で〜?なんの話してわけ?あてぃしも混ぜてよ〜」
「どうやって涼しく過ごすかって話をしてたんです!ココさんはなにかいい案あります?」
「あ〜〜……?全然浮かばんわ。案ならヒッキー……アンアンに聞けばいいんじゃね?なんつってさ〜〜……」
「はは……」
ココの駄洒落に少しだけ涼しくなれた気がしたエマは愛想笑いでお礼をする。
「やめろっつの……もお〜〜……」
だらだらと耐え忍ぶこと数時間、日が暮れ始めて少しだけ涼しく感じ始めていた。
「あんさあ、夜も暑いようならさあ百物語でもやんねえ?」
ココがぽつりと提案する。それにすぐさまシェリーが賛成した。
「いいですねえ!全員でやるなら一人十個はネタが必要になりますけど!」
「さすがにそれはちょっと無理ですわね……」
「十物語ならなんとかなりそうです……」
「ボクも……怖い話はあんまり得意じゃないし、話せるようなのも……」
「そうと決まれば……ライターはヤンキーに任せるとして蝋燭とか探すとすっかな……ねえメルっち一緒に探そ〜?」
「はい、ココさん!」
「あら、それじゃあ私も仲間に入れて貰おうかしら?」
頼られて嬉しそうなメルルとココ、そしてマーゴは必要になる物を探しにラウンジから出ていった。
「私達は場所の準備でもしときますわよ」
「そうですね!ちょっと集まりやすく模様替えしましょうか」
「じゃあボク箒持ってくるよ!」
集中して準備をしていると暑さを忘れて汗も無視してエマたちはわいわいとラウンジで準備をし始めた。
日が暮れてシャワールームで一度汗を流すエマたち。
「エマさん!ハンナさん!早く早く!」
「もう、あんまり急かないでくださいまし!」
「ボクが一番最後だし、もうちょっとかかるから先に待っててよ」
「はーい!ほら、ハンナさん早く早く!」
「そんなに急がなくても逃げませんわよ全く!エマさん、外で待ってますわよ」
二人を見送ってからシャワーを終え、着替えを済ませたエマが外に出る。
「誰もいない……?もしかして先に行っちゃったのかな?」
ちぇ、とかわいく誰もいない廊下にひとりごちるエマ。がっかりと肩を落とすと視線にある物が目に入る。廊下に置かれていた蝋燭と燭台だ。
「これ、ココちゃんたちが用意してくれたのかな」
それらを持ってラウンジへ戻るが、先にいるはずの少女たちはいなくシンと静まり返っていた。
「どうしたんだろう、みんな……」
エマがソファに座ってみんなを待っているとホールの先の玄関の方から声が聞こえてきた。
「おーい。おーい」
「こっちですわよー。こっちこっちー」
玄関へ向かうと外に少女が二人立っていた。エマは見つけられたことに安堵して息を吐く。
外に向かおうとする少女たちにエマは声をかけた。
「あれ?ラウンジでやるんじゃなかったの?」
「急に場所が変わっちゃったんですの」
「行きましょうか」
少女たちがゆびを指してから歩いていく。その方向にあるのはゲストハウスだ。
二人に言われるままエマは牢屋敷の外へ出ていった。胸騒ぎがして一度振り返り牢屋敷を見る。いつもと変わらないそれを見て首を傾げてからエマは前を見直す。いつの間にか先を歩いていた二人はいなくなっていて慌ててゲストハウスへ向かっていった。
一つ、二つ、三つのゲストハウスを過ぎてエマは違和感を違和感を覚えた。
(あれ……?今、何かおかしかったような……)
四つ目のゲストハウスの前にはすでに少女たちみんなが集まっているようだった。エマは急いでその中に入る。扉を閉め、辺りを見回すといつもよりもなんだか広く感じた。
(あれ?ここって大人数で居られるような広さだったっけ……?)
暗さのせいだと一度飲み込んでからエマは持ってきた燭台に蝋燭を立てて隣の少女から火を灯してもらった。
口元までしか見えないが、服装はよく見えている。見覚えのあるその服はミリアのものだ。
「ありがとうミリアちゃん」
「どういたしまして。それじゃあみんな揃ったし始めよっか?私からでいいよね?」
エマの左隣のミリアと思わしき少女から時計回りに話をし始める。エマはぞっとする怖い話に耳を塞ぎたくなったが我慢して涼を感じようとした。
(そう言えば……夜になったからなのかあんまり暑くない……?)
「うぎゃあああああああ!!!……そう悲鳴が聞こえて……」
「わっ!?」
話のイイところで少女が大きな声を出し、それに驚きエマがかわいく小さな悲鳴を上げた。
(怖いなあ……なんだか、少しずつ肌寒く感じてきてるのは、百物語の雰囲気のせいなのかな……?)
一人、また一人と話を終えて蝋燭の火を消していく。
(……?あれ……今、何人目だっけ……?)
島に囚われた少女は13人だった。一人減り、二人さらに減った今、全員集まったのならば十人のはず。
「これでお話は終わりだよー」
蝋燭の火がまた消える。今残っている数と話終えた少女の数を数える。
(13人……いるの……?)
エマは冷や汗が流れるを感じていた。つばを飲み込めば、話の邪魔をしてしまったかのように大きな音を立ててしまった気がした。
ホー、ホー。
スマホの通知音が鳴る。びくりと身を震わせてから燭台を持つ手と反対の手でスマホを取り出し確認する。
『エマさん?今どこにいらっしゃるんですの?』
『もう皆さん集まってますよ!』
「……!」
スマホのメッセージを確認してエマは背筋が凍った。恐る恐るスマホに向けた顔を上げると、暗い部屋の中の、顔の見えない少女たちがエマを見つめているのをはっきりと感じていた。
せめて、スマホのライトを付けて少女たちの正体を知ろうと顔を照らそうとするエマ。しかしその手を掴まれてしまい、そのままスマホを落としてしまった。
「次は君の番だよ」
話を終えた右隣の赤黒い長髪の少女が蝋燭の火を吹き消す。残る灯火はエマの手元の蝋燭だけだ。
「キミは、キミたちは……一体誰なの?」
エマは少女たちに問いかける。
誰一人として質問に応えることはなかった。
『うふふ……』『あはは……』
少女たちはクスクスと笑い出した。エマの前から、横から、後ろから。上から、下から。笑い声がこだまする。聞き覚えのあった声はすぐに知らない笑い声に飲まれていく。
閉め切られ、風が吹くはずのないその部屋でふう、と息を吹くような風が吹いた。
エマの蝋燭の火が消えた。
おしまいです
合計10万文字くらいやれたらなとかSwitch版出るまでだらだらやれたらなとか思ってたらなんとかどっちもだらだらやってギリギリ達成したので満足です
Switch版でひさしぶりにやり直して書いてる途中で止まってたやつ再開したり新しいネタ思いついて書いたりしたらまた投げます
ポツポツ書いてたシェリーの誕生日のやつを誕生日に投げられたら投げます
(7/9 16時にここの部分書いてます。DX版届いて特典読みました。めっちゃ良かったです。本編のあれから定番なそれを思いついて別のキャラで書いてたけど書きたいとこだけ書き終わったら1600文字程度で塩漬けにしてたやつがあったのでなんとか伸ばして夏中に…暑い内には投げたいです)
ここまで見てくださってありがとうございました
お気に入り評価しおりめっちゃ嬉しかったです