まのさばで思いついた一発ネタ集 作:ないでーす!
思いつきでいろいろ変えたりしたのでガバガバですよろしくお願いします
その日ミリアは浴衣の着付けをしてもらっていた。花火大会がその日行われるからだ。
何日か前に花火大会が行われることを知って少女たちのグループで誘ってみたが一人を除いて都合が合わないようだった。
その一人と集合する時間と場所を決めたが、いいのかなあ……?と思うものだった。本人が考えがある、と言うのでミリアは了承してその日を待った。
花火大会の日。約束の時間の少し前。ミリアは慣れない浴衣で約束の場所についた。
「やあ!ミリアくん!ここだよ!」
両手を振ってミリアを呼ぶのは少し変装したレイアだった。眼鏡をかけ、髪型をアレンジしているが元の素材が良いため、もしレイアだと気づかれなくても端正な顔の美少女なだけで目立っていた。
「待たせちゃったかな!?ごめんね……」
「なあに、今来たところさ。さ、場所取りに行こうか!」
朗らかに言うレイアはずんずんとミリアの横を歩く。
「暑さも寒さも彼岸までとはよく言ったもんだね……ちょっと暑いけど、扇げば平気なくらいにはなったし」
「ああ、そうだね!うちわで扇いで、耳をすませば鈴虫の鳴き声も聴こえてき始めている。なかなか風情があるよ」
用意していたうちわを渡してぱたぱたと扇ぎながら二人は歩いた。夕暮れに並ぶ二人の金色の髪は夕陽によく馴染んでいた。
「屋台がたくさん並んでいるね」
「そうだねえ……美味しそうなのばかりで目移りしちゃうよ」
「まずは定番のモノから攻めていこうか」
「珍しいのも気になるなあ」
いくつか食べ物を買い終えて近くのベンチに腰を下ろす。まだ人もまばらで、気兼ねなく食べられそうだ。
「ここで食べようか」
「そうだね。あぁ、どっこいしょ……ってあー!その、ちがくて!」
「……?どうしたんだい?」
「あはは……えーっと、なんでもない……かな?」
腰を掛けた時、ミリアはついうっかりどっこいしょと声が出てしまった。焦りながら取り繕うが、レイアは気にせず飄々としていた。
足の上にハンカチを広げ、汚れないようにしてから二人は食べ始めた。
「普通の焼きそばだけれど、屋台で買って外で誰かと一緒に食べるとなんだか美味しく感じるね。……いや、一人で食べたら不味いと言うわけじゃないんだけど」
「あーうんうん、分かるなあ。シチュエーションとか大事だよね……」
全て平らげて感想を言い合い、談笑をしているとあっという間に時間が過ぎ去っていた。
「そろそろ行こっか」
「そうしよう。だんだんとだけれど、人が増えてきたしね」
日が完全に落ち、人が夕方よりも集まり出した夜。ベンチから立ち上がり、会場へ向かう途中スッとミリアの手と自分の手ををレイアは繋いだ。
「はぐれないように、ね」
「あっ、うん。ありがとう……」
思っていたとおり、人で溢れ出した。すれ違う人と肩がぶつかりそうになりながら進んでいた。
人の波に押し流されるように混雑し始めたので、落ち着いて見られる場所を二人で人をかき分けながら歩いて探すことにした。
「うん、このあたりなんていいんじゃないかな?」
「少し離れてしまったけれど、見晴らしもいいし混んでいない。悪くないと思うよミリアくん」
会場から少し離れたそこは穴場のようだった。カップルや親子などがぼちぼちと集まっていて、今や遅しと待ちかねていた。ミリアとレイアもそわそわとしている。
『間もなく、花火が打ち上がります』
アナウンスが聞こえてくると、辺りがざわざわとし始めた。
「もうすぐみたいだね。まだかなあ」
「ああ!待ち遠しいよ!」
軽く話して待っていると花火の打ち上がる音がした。この場にいる全員が夜空に注目をした。
打ち上がり、一筋の線が空へ向かっていく。パン、と花開き、色とりどりの火花が夜空を飾っていく。
人々は色とりどりに彩られていく夜空と花火を見上げている。ミリアとレイアも例外ではない。
ずん、ずんと打ち上がるたびにお腹に響く。会場ではないが、それでも近くで見る花火はとても気迫が違って見えた。
打ち上がる度に花火が辺りを照らす。散っていく華やかな光に見る人たちは歓声を上げる。
ミリアはふと気になってレイアを見ると、目を輝かせて花火を見る年相応の少女がそこにいた。思わずスマホのカメラでパシャリ、とシャッターを切る。
視線と音に気づいたレイアが横を向いてミリアと顔を合わせる。なにか面白かったのかくしゃりと笑った顔をミリアに向けた。
「花火よりも私の方を見てくれるのかい?」
「えっ!?いやあ……あはは、ごめんね……」
「いいんだよ!花火よりも私の方が見たくなったんだろう!嬉しいよ」
二人で笑い合っていると今までよりも大きな音が響き、眩い光が舞い散る。クライマックスと言わんばかりに最後の花火は派手に夜空に咲いていた。
『これにて今回の花火は終了となります。みなさま足元に気をつけて、お帰りください』
花火が終わり、終了のアナウンスが流れると、少し離れたこの場所にも帰宅する人の波が少しずつ押し寄せる。
駅の方へと向かえばさらに人混みが多くなってきたので、逸れないようにとまた手をつなぐ。二人はなんとか耐えて一息つき、フラフラと二人で歩いているとレイアの履物の鼻緒が切れた。
「あっ!?」
「えっ!?大丈夫!?」
油断していたせいか、レイアは足を挫く。ミリアの肩を借りながらひょこひょこと歩いてベンチに腰掛けてから挫いた足を見てみると少し腫れていた。
「すまない、ミリアくん。重くはないかい?」
「大丈夫大丈夫!レイアちゃんは羽みたいに軽いよ!」
レイアをおんぶしたが、背の高いレイアを背負い上げるとうっ、と声が漏れてしまった。
申し訳ないと思いながら歩いているとミリアとレイア、美人な二人が目立つせいか衆目を集めてしまった。
“え……?あれ蓮見レイアじゃね?“
“マジ?オフのレイア?”
誰かがレイアの名前を出す。わらわらと注目されミリアは不味い、と思いながら駆け出した。
「はあ……!はあ……!危なかったねえ、レイアちゃん……」
「すまないミリアくん。私のせいで……」
「いいっていいって!これくらい、平気だから!」
急いで逃げて駅から逸れてしまったミリア。戻ろうかと考えたが騒ぎになっていてはいけないと思い、歩いて次の駅を目指すことにした。
途中でミリアから降りて、肩を借りてひょこひょこと歩き始めたレイア。ミリアも苦にならず、道中楽しく歩き続けていた。
ミリアがふと空を見上げると街灯に負けないように、夜空に星が輝いていた。
「はあー……見てよレイアちゃん。星が綺麗だねえ」
「うん?ああ、そうだね……でも、見上げてばかりでは見られない星があるのを知っているかな?」
「えっ?なんだろう……?」
「それはね……スターであるこの私だよ!!!」
「あはは……そう言う事かあ……あっ!あれ!夏の大三角形ってやつじゃないかな!」
「あぁ!私よりも夜空の星を見られてしまった!こうなってはやはり張り合うしかないみたいだね!」
「わあ、ごめんごめん!レイアちゃんのことも見てるから!」
星を見て、笑い合い、わずかながら時間が過ぎた。
「たまには一人にだけ見てもらうのも悪くないね!」
「あはは……星を見て、レイアちゃん、見て、また星を見て……目が回っちゃうよ」
「それはいけない!私だけを見てくれていいんだよ!ああ!満点の星空より目が行ってしまう私を存分に見てくれたまえ!」
「あ、あはは……」
冗談を言い合いながら二人で星空を見続ける。いつの間にかあたりの虫の鳴き声が静まり返っていた。ミリアはそれがなんだか無性に寂しく感じた。
「ミリアくん」
「えっ?」
そんな寂しげなミリアを見透かしたかのようにレイアはミリアを見つめる。
「またおぶって貰えるかな?そうだ、どうせならミリアくんのところへ泊まらされてもらおうかな!」
「……うん。もちろん大歓迎だよ!よーし、頑張るぞお!さあ、乗って!」
レイアの体温を感じながら帰り路につく。駅に着き、名残惜しそうにミリアはレイアを下ろした。ミリアの最寄りの駅へと向かう電車の車内は人がまだ多かったが二人は気にせず手を繋いでいた。
駅から出て、家に着くまでの間またおぶり、他愛のない話をし続けた。話と笑みは家に着き、眠る時まで絶えることはなかった。
眠りにつく前にミリアは花火大会のベストショットをグループにアップして眠りについた。ポコンポコンと通知の音が二人の寝息に混じって消えた
『花火が見たかったわがはい……』
『良く撮れてますわね』
『花火じゃねーのかよ!』
『花火見てえな笑顔ってことか?』
来週投げられたらいいなって思ってます