まのさばで思いついた一発ネタ集   作:ないでーす!

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調味料 (雑BAD)

ある日の夕方、エマは厨房に立っていた。

 

その日の昼、生き残った少女たちで探索をしていたところなんと小さな畑があるのを発見したのだった。

エマたちはいつものひどい見た目の食事を少しは改善できると喜び育っていた野菜をいくつか持ち帰った。

 

包丁を使い根菜の皮をたどたどしく剝いていく。

横でハンナがエマの倍以上の早さで綺麗に無駄なく剥いていくのぼーっと見ていたらチクリと痛みが走った。

 

「いたっ」

 

不慣れな包丁で剥きながらハンナの包丁捌きに見とれ、よそ見をしていたせいか指の腹を切ってしまっていた。

 

「あら!大変ですわ!エマさん大丈夫でして?すぐメルルさんを呼んできますわー!」

 

エマの声に気づいたハンナがすぐさま皮剥きを中断しメルルを探しに立ち上がる。

 

「だ、大丈夫だよハンナちゃん!ちょっと切っただけだから……って行っちゃった……」

 

厨房を出ていったハンナの背を見送り、指の血を洗い流すエマ。

手に持っていた野菜も念の為洗い、指から手が出ていないことを確認してから皮剥きを再開する。

 

少ししてばたばたと足音が聞こえる。ハンナがメルルを連れてきてくれたようだ。

 

「エマさん大丈夫ですか?今、治療しますから手を出してください……」

 

「ありがとうメルルちゃん。ハンナちゃんも、メルルちゃんを呼んできてくれてありがとう。」

 

「こ、これくらい当然ですわ!」

 

皮を剥き終わり、調理に入るとメルルも参加し三人で和気あいあいと夕食を作っていく。

調味料は厨房にあるラベルの貼られていないよく分からない物を味見をしながら使っていく。

その調味料の一つを少し手に取りエマが舐める。

 

「あれ?これ、初めての味かも……すごく美味しいよ!」

 

エマの歓喜の声に釣られハンナも手に取り舐める。

 

「な、なんですのこれ!?すんげえ美味えですわー!」

 

ハンナも食べたことがないのだろう跳ね回るようにして美味しさを現している。

 

「ねえ、これで今日の晩御飯作ろうよ!絶対美味しくなるよ!」

 

「賛成ですわ!あっ、メルルさん!あなたも味見してくださいまし!すんげえ…、ごほん!すごく美味しいですわよ?」

 

差し出された調味料をメルルは断った。

 

「私は……晩御飯で食べるので大丈夫です……。楽しみにしてますね」

 

「そうですの?それじゃあ腕によりをかけますわよ!さあエマさんも手伝ってくださいまし!」

 

「あ、うん!ボクも頑張るよ!」

 

胸を躍らせ料理を作るエマとハンナ。そしてニコニコとしながら二人を見るメルルであった。

 

日が暮れ、食堂に全員が集まる。食事の時間だ。

今日見つけた畑で採れた野菜を使った料理を楽しみにしているのだろう。心なしかいつもよりも雰囲気がいいラウンジに料理が運ばれる。

 

「お待たせいたしましたわ!」

 

ハンナがシチューを器によそい、一人ずつ受け取っていく。

全員に行き渡った頃、ハンナが料理の説明をする。

 

「みなさんで見つけた野菜が入っているシチューですが……なんと!それだけじゃありませんの!厨房にあった美味しい調味料を使ってますわ!」

 

説明を終え、ハンナは席に付きエマ、シェリー、メルルと食べ始める。

 

「うーん!確かに美味しいですね!これ、何なんですか?」

 

シェリーが疑問を持ちながらパクパクと食べていく。

 

「ボクもよくわからないんだ……見た目は普通だし、味わったことなくて不思議だよね」

 

「細かいことはいいじゃありませんの!食べますわよー!」

 

「あはは、ハンナさんいつものは勿体無いからって無理して食べてましたし良かったですね!」

 

三人が食べ進める中、メルル一人はいつもと同じように少しずつ食べているようだった。

 

「メルルちゃんあんまり口に合わなかった?」

 

エマが聞くとメルルは笑顔で答えた。

 

「そんなことありません……ただ、美味しくて食べきるのがもったいなって……」

 

「大丈夫ですわよ!まだまだ調味料はあるんですもの、明日からはいつもの食事にあれをかけるだけでも美味しくいただけますわよ!」

 

「うーん、どうして今までこんな調味料があったのに気づかなかったんでしょう?不思議ですねえ」

 

食べる手を止め、周りを見回す。この日の夕食はいつもよりも少女たちの顔が明るくなっていたようにエマには見えた。

 

(少しだけどみんなのストレスが緩和されたんじゃないかな……このままここを出られたら……)

 

食事を再開し思いを口に運んだシチューと一緒に飲み込むエマはこのあとおかわりをして夕食を終えた。

 

 

次の日、朝食の時間。

調味料を手に取りさっそくかけて食べてみる。食感は最悪なままだが味が大いに改善された。

 

(うん!いつもより美味しい!これなら平気だよ!)

 

一人、また一人と調味料を食事にかけ食べていく。いつもよりも食べて少女たちは笑顔になっていった。

 

昼食、夕食、そして次の日……

今までと嘘のような食事。辛い生活の中の楽しみになったのは間違いないだろう。

しかし終わりは必ず来る。

 

 

何日か経った頃、エマとハンナは頭を悩ませていた。

 

「どうしよう、ハンナちゃん……」

「マズいですわね……」

 

悩みの種はもちろん調味料のことであった。残り少なくなったそれは少女たちを焦らせる。

これがなくなったら前の食事に逆戻りである。むしろその味に慣れ贅沢を覚えた分苦痛に感じるであろう。

 

他の調味料を少しずつ使うようにし節約したりして多少は消費量が減ったがそれでも底は見えてきている。

 

 

ついにその日が来た。調味料がなくなった。

見た目も食感も味も食べる気の失せるそれは懸念していたとおり苦痛となった。

一口食べるごとにあの味を思い出す。どうして、どうしてあれが味わえない。

少女たちは苛立ち、食事の時間は刑罰のように感じられていた。

 

(我慢しなきゃ……)

 

全員が協力しあちこちを探索をしたが見つからない。調味料は消え去ったのだ。その事実がエマに重くのしかかる。

 

エマは手や膝が汚れるのも構わず探し回った。まだ探してない何処かにあるかもしれない、埋まってるのかもしれない。一人で何度も探し回った。

ガツンと音が鳴った。

 

(えっ……)

 

エマは地面に倒れていた。混乱するエマ。頭がズキズキと痛み、背後から襲われたことにしばらくして気づいた。

 

(どうして……ボクは……)

 

 

死の直前考えたのはヒロの事だった。目が覚めたらヒロと朝食を食べよう。あの調味料を勧めて一緒に食べよう。意識が切れる最後までエマはヒロとまた仲良くしたいと、一緒に食事をしたいと願った。

 

 

次の日、ハンナとシェリーはエマがいない事に気づいた。メルルと共にエマを探すがどこにもいない。日が暮れて牢屋敷に帰ると食堂にエマを除く生き残っていた少女たちが集まり、まるで少し前のように笑顔で食事を取っていた。

 

「よお、遅かったな。」

 

「アリサさん?なにかあったんですか?」

 

話しかけてきたのは上機嫌なアリサだった。手には見慣れた調味料があった。

目を見開くハンナはアリサに詰め寄る。

 

「な、どう言うことですの!?その調味料見つかったんですの!?」

 

「ああ、桜羽がいなくなったっておめえらに言われてウチもちょっと外を探してたんだけどな。一向に見つからねえから一旦帰ろうと思ったらこれが半分埋まってるのが見えたんだ。」

 

ハンナ手渡しアリサは席に戻る。

 

「桜羽は…まだ見つかってねえ見てえだな。おめえらもそれで飯食って明日に備えろよ。」

 

ぶっきらぼうに言うアリサに礼を言い、ハンナとシェリーもメルルのいる席に着く。

 

「あっハンナさん、シェリーさん……あの……どうでしたか……?」

 

「駄目ですねー。どこへ行ったんでしょうか?」

 

「本当に……心配ですわね……」

 

二人は食事を取る。調味料をふりかけて、再び味わえたそれを噛みしめる。

 

何日か経ちまた調味料がなくなる。そして一人の少女がいなくなり、また調味料が見つかった。

それは最後の一人になるまで続いた。

 

 

「ちょっと時間がかかってしまいましたが……まあいいですよね……結局、大魔女様は見つかりませんでした……それにしてもこれは一体何なんでしょうね……?」

 

 

 




思いついたところから二転三転してました。
美味しいBADENDの3番煎じくらい。
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