まのさばで思いついた一発ネタ集   作:ないでーす!

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人形 (雑BAD ネタバレ)

日課の点呼を終えた私は倉庫へ向かう。備蓄があるのは確認している画まだまだ中を検めていないからだ。

一つ一つ確認し外へ出し、奥のものを取り出していく。

 

「うん?これは……」

 

私は一つの箱を取り出す。紐で封をされたそれを解き中身を取り出す。そこに入っていたのは人形だった。

長く黒い髪の人形は赤い着物を着ており、顔は白く塗られのっぺらぼうのようであった。

 

「顔が描かれていないのか?」

 

自分で描くためのものなのか、それとも未完成なのかは分からないがそれは顔がない。気味が悪く感じた私は人形を箱に入れ直そうとする。

その時、手がチクリと傷んだ。

 

「痛っ……」

 

痛みについ手を離して人形落としてしまう。手を見ると指先から血が出ていた。

 

(何か刺さったのだろうか?ともかく、後で医務室へ行かないと)

 

落とした人形を拾い上げ、軽くはたいてやる。

 

「落としてすまなかった。今綺麗にするから……うん?」

 

人形の着物と髪を整え、人形を正面から見る。人形に目があった。その目と目があった。

 

「これは…!?」

 

私は驚いてまた落としそうになるのを堪えた。いや、それよりも人形だ。さっきまで真っ白だった顔に紅い目が描かれ、鼻筋や口までもが浮き彫りになっていた。その人形はまるで──

 

「私……?」

 

目の前が真っ白になる。倒れそうになるのをグッと堪えようとしたが、私の身体はまるで言う事を聞かずそのまま崩れ落ち、私の意識は途絶えた。

ガシャリ、人形が地面に落ちる。

 

 

 

「ヒロちゃん!どこにいるの!」

 

「ヒロくん!どこにいるんだい!」

 

「どこにいらっしゃいますのー!?出てきてくださいましー!」

 

夜になり、いつもならば指差し確認しているヒロがいない事を不審に思った少女たちが大声を出し、ヒロを探す。

開けっ放しになり片付けられていない倉庫から探し始め、ゲストハウスや地下、牢屋敷前を探した。

湖や花畑の方は暗く、二重遭難があるかもしれないことから今日のところは保留になった。

 

「ヒロちゃん、かくれんぼしてるのかな?アンアンちゃん、どっちが先に見つけるか勝負しようよ」

 

『わがはいが勝つ』

 

 

電話は通じず、チャットも既読が付かない。各々が探し回るが見つかることはなかった。

 

「心配なのはあてぃしも同じだけどさ〜流石にもう疲れてきたっつうか〜……もう戻って寝ていい?ヒロっちどっかで野宿して寝てんじゃね〜?」

 

「そうだね……そろそろ日付が変わる時刻だし、今日のところは帰ろうか、みんな。明日またヒロくんを探そう」

 

ココの提案にレイアが賛成し少女たちは監房へと戻っていく。

惜しむように一度外を見回してからエマもヒロのいない監房へ戻ることにした。

 

 

 

(くっ……なにが……起きたんだ……?)

 

私の意識が戻ると目の前には地面があった。倒れたのだろうかと思い、起き上がろうとするが立ち上がれない。

 

(なんだ……?)

 

手に力を入れるがピクリともしない。足も同じく。そして気がつく。口も開けないことに。

 

(声が出せない!?いや、それより……呼吸をしていないのか?)

 

私は混乱した。何が起きているかさっぱり分からなかった。そんな中、コツコツと足音がした。誰かが来たのだ。

 

(誰が!こっちへ来てくれ!私はここにいる!)

 

声にならなくても私は祈る。呼びかける。

通じたのかその足音は私の方へと近づいてきた。そして目の前の地面が遠くなっていった。まるで浮かんだように。

 

「何かしら、これは……」

 

私の目前にはナノカがいた。私は安堵し、ナノカへ訴えかける。

 

(ナノカ!良かった……)

私は言葉を続けようとするが、ナノカの言い出した言葉に絶句する。

 

「人形……?なんだか、二階堂ヒロのようね……」

 

(人形?私が?)

 

「念の為【幻視】しておきましょう……」

 

人形になったらしいことに私は言葉を失った。しかしナノカが幻視を始め、私には一筋の希望が見えた。

 

(頼む、ナノカ!)

 

しばらく目を瞑るナノカを私は待つ。昨日の事を視て、読み取ってくれ、と……しかし

 

「二階堂ヒロがこの人形を落としたようね……けどそのまま倉庫を出ていってる……?どこへ向かったのかしら」

 

希望は消えてしまった。私が倉庫を出た?そんなわけがない。私は人形を落として、そのまま──

 

絶望に暮れる中私を持ったままナノカは牢屋敷へと戻った。ラウンジで集まっていたみんなに報告をし、私をテーブルの上に置く。みんなの視線が私に集まった。

 

「へえ、確かにこれはヒロくんに似ているね。良く出来ているよ 

 

「ドールですの?服もヒロさんが着ていたものに似ていますわね…」

 

「ねー。あっ!そうだ!これのあのアトリエに飾ろっと」

 

(私が着ていたものに似ている……?そんなはずは…あれは確かに着物だったはず……)

(そんなことよりも……誰か……誰か……私の声を聞いてくれ……私はここだ……)

 

私の声は声にならず心の中で霧散していく。持ち上げられ、ノアのアトリエに置かれた後、私は私を探しに行くノアとアンアンの背中を見ていることしか出来なかった。

 

 

一週間が過ぎた。私の生存は絶望的だろうと考えたレイアが悔しそうに、泣く泣くと捜索を断念すると発表した。

時間が経ちすぎた。今私が人形として死んでも【死に戻り】するかは分からないし、発動しても人形に戻るだろう。

 

人形を持ち歩いたノアが悲しそうな声で私に謝りながら、人形の私の頭を撫でる。私の視界には少女たちの悲痛な顔が見えていた。

その中でも一際顔を青くし、涙を流しているエマが私の目から離れない。

 

(どうして君がそんなに泣いているんだ……私はあんなに君のことを嫌っていたのに……)

 

泣くな、エマ。

すまなかった、エマ。

こんな状況になって初めて、君のことをちゃんと見た気がした私は、謝罪の言葉が浮かんでいた。言いたいが今の私には君に話すことができない。

 

ノアがアトリエに戻り、私を定位置に置き直す。私が今できることはここから見守ることだけなのかも知れない。

 

他人事のように、少しずつ歪んていく日常を見つめる。

一人、また一人少女たちは消えていった。魔女因子の殺人衝動を抑えられず、殺し、殺される。

毎日アトリエに来ていたノアがアトリエに来なくなった。ノアが死んだのだろう。

時々、ふらふらとアトリエに来て、人形の私を見つめ、見つけられなくてごめんねと謝るエマも来ることがなくなった。エマのことだから殺すことはなく、誰かに殺されてしまったのだろう。

私の知る少女たちは二度とアトリエに訪れることはなかった。

 

いつしか見知らぬ子たちがアトリエに訪れてきた。そして、また死んでいく。私には見ていることしか出来ない。この不幸な少女たちを救うことが出来ず、ただ見ていることしか。

 

 

 




とりあえずメタ。
グッズでぬいぐるみやデフォルメフィギュアが発売されるので思いついたネタ
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