まのさばで思いついた一発ネタ集 作:ないでーす!
「プレイボール!」
ある晴れた日の事、私は大きく試合開始の宣言をする。マウントに立つのはシェリー、そしてバッターボックスに立つのはアリサだった。
事は少し前に倉庫から野球道具が見つかったことから始まった。それらは箱にしまわれていて、長い間手入れをされていないようだったが、手にとって見るとまだしっかりと使えるように感じる。とは言え、脱出に役立つようなものではない。今はしまっておこうとするとシェリーが反発した。
「せっかく見つけたんですから、野球しましょうよー!」
シェリーは言いながら私から箱を奪い取ると足早に牢屋敷へと戻っていった。私は、シェリーの背中を見送り、ため息をつきながら片付けを始める。
一人で片付けたあと私も牢屋敷へと戻ることにした。すると、ラウンジから少し言い争うような声が聞こえてくる。仲裁しなければ。私は、駆け足でラウンジへと向かった。
言い争っていたのはシェリーのアリサであった。聞けば野球がしたいシェリーと反対するアリサで少し口論になっていたようだったが、シェリーの一言でアリサに火がついてしまった。
「もしかしてアリサさん負けるのが怖いんですか?」
「……なんだと?」
一触即発。空気がピリピリとし出したのを肌で感じながら、咄嗟に間に入る。
「待て、シェリー。君が野球をしたいのはよく分かった。しかし、嫌がるアリサを無理に誘うのは正しくない。」
「うーん……そうですね!アリサさんと勝負したかったですけど、諦めることにします。」
シェリーはあっさりと引き下がった。私は胸をなでおろすとアリサが待ったをかける。拳を握りしめわなわなとしながら続ける。
「負けるのが怖えだと?ウチが?おめえに負けるってのか?」
「上等だ!やってやるよ!」
アリサが吠える。シェリーは待ってましたと言わんばかりに喜び、アリサの手を掴み外へと走り出す。
「決まりですね!それじゃあ早速勝負ですよー!それー!」
あっという間に走り去るシェリー。私はラウンジに置かれたままの野球道具が入れられていた箱を見つける。
「やれやれ……」
私は箱を抱えて後を追うことにした。
平原に集まっていることを知らされ私はそこへ向かう。聞きつけたのかたまたま鉢合わせたのか知らないがレイアがメンバーに加わっていた。
野球をするにはそもそも人数が足りない。ならばピッチャー、バッター、キャッチャーの3人でプレイして勝負をつければいいと思っていた。私がキャッチャー兼審判をやるつもりだったがレイアがいるのならキャッチャーを任せ、私は審判をすればいいだろう。
牢屋敷に背を向ける位置の私をはじめ、レイア、アリサ、シェリーが位置につく。先ずはアリサがピッチャー、シェリーがバッターとして勝負をすることになった。バッターボックスに立つ前、シェリーが軽く素振りをしていたがブンブンと振るごとに風が巻き起こっていた。
試合開始を宣言してアリサが振りかぶる。ズバンと気持ちのいい音がレイアのミットで鳴る。遅れてシェリーがバットを振ると先程よりも強い風がシェリーを中心地に吹き荒れる。
「ストライク!」
「クソッ……なんつー怪力だよ……!」
レイアから球を投げ渡されキャッチしたアリサがポツリとこぼす。当たれば場外ホームランは間違いないだろう。しかし、2球目、3球目もシェリーのバットにボールは捉えることは出来なかった。
「スリーアウト!チェンジ!」
攻守が入れ替わりシェリーがマウントに立つ。バットを受け取り、バッターボックスに立つアリサは、強くバットを握りしめていた。
「それじゃあ行きますよー!」
シェリーが大きく振りかぶる。【怪力】の魔法を持つ彼女が本気で投げればレイアはひとたまりもない。流石に手加減して投げるだろうと思ったが、シェリーの手から放たれた球はレーザービームのように一閃となり私たちの頭上を飛んでいった。
「あれ〜?ちょっと変なとこに行っちゃいましたね!」
「ハッ。ノーコンじゃウチの勝ちは見えたな」
アリサは何時ものように振る舞っているがその横顔に汗がつぅ……と流れるのを私は見た。気を引き締めるようにバットを強く握り直すアリサを横目に私はタイムを出す。
「シェリー、レイアが怪我なく捕球出来る球を投げられないか?もう少し、軽く投げてくれ」
「分かりました!軽〜く、軽〜くですね!」
本当に分ったのか分からない脳天気な返事を返すシェリー。しかしきちんと手加減して投げた2投目はど真ん中、レイアの構えるミットへと吸い込まれていった。遅れて破裂音のような音がする。
「ストライク!」
「痛っ……たたたたた!!!」
レイアはミットを外して手のひらをふーふーとしてから振り回す。涙目になりながらもきちんと捕球はしたあたり流石だ。
「面白ーじゃねえか……!」
闘志を燃やしたのかアリサは、バットの先をシェリーの後ろに向け、バッティングの構えを取る。レイアも返球した後、ミットを着け直し構える。
「来い!」
「そりゃー!」
シェリーの投げた球はまたど真ん中。
「ここだっ!」
アリサがバットを振る。位置が浅かったのかチッと音をさせながらボールが私の後ろを遥か遠くへと飛んでいく。
「クソッ!次で決めてやる!」
掠っただけでもバットから手に伝わる威力が尋常ではないのか、アリサは、バットを一度手から落としてしまう。手を入念に握っては開き握っては開くのを繰り返してから拾い直し、構え直すが……
「待ってくれアリサ。ボールを拾いに……いや、遠すぎるか。後日探すとして、まだボールがあるか探してみる。」
「はいはーい!ボールの件ですけど、これ使いませんか?」
シェリーがポケットから取り出したのは見た目は変哲のないボールであった。
「わざわざそれを持っていたあたり、なにか普通のボールとは違うのかな?」
「はい!これ他のボールと比べてカチカチなんですよ!」
硬球なのだろうか。特におかしくないように感じた私はアリサに確認を取る。
「アリサ、次からは硬球でも構わないか?」
「異論はねえ。とっとと投げさせろ」
待っている間軽くストレッチをしていたアリサから了承を得たのでそのボールで試合を再開することにした。
「試合再開!」
シェリーが振りかぶる。先程の2球よりも洗練された投球は最後までど真ん中で愚直に勝負をしていた。
「ウチの勝ちだ!!」
抜群のタイミングで渾身の一打を。アリサの振るバットの芯にボールがしっかりとぶつかった。
瞬間、それは大きく爆発をした。激しい音と光、揺れ、そして衝撃が周辺に撒き散らされた。野球ボールのように見えるそれはカモフラージュした爆弾だった。爆心地には何も残らない。アリサも、ヒロも、レイアも、そこにいた痕跡が見つからない。
マウントに立つシェリーはケホっと咳き込みながらVサインをして、私の怪力のせいですかね?と首をこてんとさせた。
シェリアリ同室なのでなんかいい感じにしたかった。また爆破オチ。
話の妄想してるとヒロちゃんの話だととりあえずレイアな感じでレイアが出てくる。