プロローグ 天野江セイカと室笠アカネ
「ふぁ~」
朝日の光で目が覚める。
重い瞼をこすり、大きな翼を一度羽ばたかせてから部屋を出た。
私は天野江セイカ。ミレニアムの一年生で、空見観測研究部の部長。……と言っても、実際はこの宇宙戦艦「ソラノミ」で一人、空を観測しながら暮らしているだけ。身長190cmのこの身体も、背中の翼も、地上の喧騒から離れて生きるにはちょうどいい。
連邦生徒会長の失踪なんて噂もあるけれど、雲の上にあるこの箱庭には、本来なら関係のない話のはずだった。
部屋を出た瞬間、鼻をくすぐったのは香ばしい朝ごはんの匂い。
「あら……セイカさん、おはようございます。朝ごはん、準備していますよ」
……耳慣れた、けれどここにあるはずのない声。
室笠アカネ。私の幼馴染で、C&Cに所属する二年生のメイド。……いや、待って。
「どうしてここにいるの? 夜間はずっと空を飛んでたはずなんだけど……」
ソラノミは飛行中だったはずだ。並の手段で侵入できる場所じゃない。
「ふふ……それはですね……」
「それは……」
思わず唾を呑み込む。
「飛ぶ前に侵入しました♪」
「……不法侵入じゃない」
確信犯だ。何を「どやっ」とした顔で言っているんだろう、この子は。
「? セイカさんがこの前合鍵をくれたんじゃないですか」
「だからって勝手に入っていいってわけじゃないんだけど……」
「まあまあ。セイカさん、落ち着いて深呼吸してください」
ああ……もういい。彼女に理屈を説いても無駄なのは、今までの経験で嫌というほど分かっている。
「もういいや」
私はあきらめて食卓に着くことにした。
「いただきます」
諦めて食卓に着く。
並んでいるのは、炊き立てのごはんと味噌汁、そして焼き魚。完璧な和朝食だ。
「さすがアカネだね。ごはんがおいしそうだ」
素直な感想を口にして、黙々と箸を進める。
でも……さっきから視線を感じる。アカネがニヤニヤしながら、こっちをじっと見ているんだ。
私の顔に、何か食べ残しでもついているんだろうか?
「何かあったの……アカネ」
「いえ、ただあなたの横顔がかっこいいなと」
「へっ」
……何を言っているんだ、この子は。
不意打ちの言葉に、一気に顔に熱が集まっていくのがわかる。
「あら、今度はかわいくなりましたね♪」
「……ちょっと」
「ほらほら、食事が冷めてしまいますよ」
完全にペースを握られている。上手くかわされた気がするけれど、せっかくのごはんを台無しにするのはもっと嫌だ。私は赤くなった顔を隠すように、食事に集中することにした。
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「ごちそうさまでした」
「お粗末様でした」
さて、片付けくらいは私の仕事だ。
「食器は私が洗うよ。ここ私の家だし」
「いえ、それも私にお任せください。メイドとしてご奉仕させていただきます」
「だめ……これは譲れない。食事作ってもらったのに片付けもしないのは、私が納得できない」
変なところで頑固だとは自分でも思うけれど、彼女に甘えっぱなしなのは私のプライドが許さない。
「ふふ……こうなったセイカさんは意地でも譲りませんからね。なら一緒に片付けるのはどうですか?」
「まあそれなら……」
二人で食器を持ち、台所へ向かう。
隣で並んで作業するこの時間が、意外と悪くないと思ってしまう自分がいた。
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着替えを済ませた後、アカネに髪を整えてもらっている。
水色のロングヘアは、自分一人の手には余る。こうして彼女が鼻歌を歌いながら櫛を通してくれる時間は、正直に言って、私の日常においてかなり助かっている部分だ。
「……毎回思っているけどそんなに楽しい?私の髪を整えるの」
「はいっ! セイカさんの髪は触り心地がよくて匂いもいいので楽しいです!」
返事に迷いがない。少し食い気味なくらいだ。
でも、その言葉がなんだか嬉しくて。
「わお……すごい食い気味。ならこれからもお願いして……いい?」
「ええ。お任せください」
そう言うなり、彼女が正面から抱き着いてきた。
私の身長が190cmで、アカネは164cm。正面から抱きつかれると、ちょうど彼女の顔が私の胸のあたりに来る計算になる。
「相変わらず大きいですね」
「……セクハラですよ」
「まあそんなこと言わずに...たしか服で押し付けているんでしたっけ?」
「え、ええ、そうだけど」
物理的な制約で抑えている部分を指摘され、少し狼狽える。
「ふーん。そうなんですね。今度そのまま抱き着いてみてもよろしいですか。」
「セクハラですよ????」
冗談なのか本気なのか読めない彼女を、私は腕と大きな翼で包み込むようにして抱き締め返した。
外界の騒がしさも、観測者としての義務も。
今は、この腕の中にある体温と、交わされるくだらない会話だけでいい。
そんなことを思いながら、私のソラノミに、また新しい一日が始まっていった。
名前:天野江セイカ
所属:ミレニアムサイエンススクール
部活:空見観測研究部
部員:セイカ一人
宇宙戦艦に乗り込み、既に宇宙に出ていることで部活存続が可能
学年:1年生
身長:190cm(翼が巨大なためバランス重視)
大きな翼が生えており飛行可能
翼はある程度縮められる
体型:胸は大きめ、服で押さえつけるスタイル
髪色:水色(ロング)
目の色:紫
ヘイロー:船の舵輪(摩虎羅の方陣みたいなもの)
性別:女
年齢:15
誕生日:6月14日